スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ロケットを修理するべく、ヤンヤンの母星へ降り立ったプリキュア一行。美しい水の星を堪能するべく、人魚に変じて楽しいバカンス!
そんな平穏をぶち破る、単眼の巨大感情。独行の復讐鬼戸化したアイワーンの愛憎が、ユニの過去をどす黒く照らす!!
というわけで夏だ水着回! に、復讐のアイワーンを絡め、ユニのこれまでの行いを図り肯定するという、スタプリらしい欲張りなお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
想像力の正負の可能性、変化の二つの顔。緩いバカンスムード、海の中のファンタジーに堅牢な芯を通し、安定感とメッセージのある仕上がりとなった。
最初にキャラ周りの話をしていると、いつにも増してプルンスが大車輪で頑張っていた。よっしんの喉は限界だッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
完全に少女の引率をするお父さんであり、その献身を当然視する女性陣の対応には、疑問を挟まざるを得ない。褒めて感謝して労ってくれやマジ…クラゲの形したお前ら全員の親父やぞホンマ…
まぁ膝カックンの笑いとしては、『プルンスが吹き上がる→クールにスルーする』の天丼が安定なんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
個人的にはそこに、人情を見落とさない目があるともっと良いかなぁ、とは思う。ちょっとキャラが恩知らずに見えちゃうのよね…眇めだとは思うけども。
さておき、人魚に変じて海を舞うシーンの幻想は素晴らしかった。色んな星を旅して回るスタプリの基本設定が、こういう形で生きるのは善い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
重力から解き放たれ、心地よい水の中を一緒に駆け抜けていく特別な体験。爽やかで心地よい夢を、ひかるとユニは共有する。
これは気楽なバカンスであり、だからこそ後半アイワーンの感情爆弾が炸裂した時に、ユニを罪悪感から引っ張り上げる足場にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ユニは楽しむことを否定しがちなので、その防壁を乗り越えスルッと心に滑り込む体験を投げないと、なかなか心が変わんないのよね…。
ユニの罪悪感はプリキュア(非日常を戦う戦士)に変身した後の力強い言葉だけでなく、言葉無く一緒に過ごした海の魔法によっても、前向きに変化していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
日常に密接した穏やかな体験は、時に正義の言葉よりも力強く人間を動かす。だから、そういうシーンが綺麗だったのは非常に良い。
あの美しい泳ぎを見たら、ユニの心にすごく特別なものが生まれたことには強く納得できる。そういう体験を一個ずつ積み重ねなければ、ユニが溜め込んだものを変化させる(そして変化させない)ことは不可能なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
これは仲間になる時、そして仲間になってからもずっと、スタプリが蓄積しているものだ
変わることは楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ひかるのその言葉は、海の日常と浜辺の戦場で、2回顔を出す。
変わったからこそ水中で息が出来て、特別な体験ができた。変わったからこそ、今まで生き延びられた。
そして変わらない心を持ち続けるからこそ、変化の善い側面を適切に受け取ることも出来る。
スタプリの敵役はつねに、主役を照らす鏡として有効に機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
正義の側に立つ時必ずこぼれ落ちてしまう陰りや矛盾を、しっかり拾い上げて叩きつける。悪役の仕事をしっかり果たせばこそ、主役たちのキャラクターはほころびを繕われ、より良い形に変化していく。
暴力行使のチャンスで拳を引いてしまったのは、アイワーンの指弾に一部の理があったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
変わることはウソを付くこと。チャラチャラ騙して乗り換えるのは悪いこと。
自分を棚に上げた身勝手な指摘だが、それでもユニの心には突き刺さる。視聴者もちょっと引っかかってたところだろう!
ユニはつくづく正義の人であり、また優しさの人でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
故郷を滅ぼし、死体から金品をかっぱいだ極悪人だろうと、騙して利用した己の所業を肯定しきれない。その言葉に含まれる"理"を無視もできない。
確かに共有した時間の中で、感じた相手の人間性は立場と姿を変えても、否定できないのだ。
キャノピー越し、憎悪に歪むアイワーンの単眼を、コスモは見てしまう。そこに人間の業があることを見据えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
だから手を緩め、反撃を食らう。戦士としては甘い。そして人間としては、正しすぎるほどに正しい。なんて復讐者に向いてない女なんだ…。
ひかると仲間たちは、アイワーンの憎悪(と"理")から体を張ってコスモを庇う。主人公の背中がデケェ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
変化は楽しい。変わることで生まれる喜びを、変われない苦しさから抜き出す勇気を、私は肯定する。
その言葉に顔を上げたユニが、えれなとまどかと"目を合わせる"のが善い。
アイワーンはその単眼が非常に印象的なキャラで、今回もコスモはその目を見る。あるいは、全てを失ってなおアイワーンの視界はコスモだけに囚われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
そういう憎悪と罪悪感の反射以外にも、眼は別の可能性を見れる。自分を信じる仲間の笑顔、自分を守るひかるの背中を。
変化とは可能性の中に身を投げること、見つけた希望を己に引き寄せることだ。良い目がなければ、良い変化は訪れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
だからアイワーンの"眼"が別のものを見れれば…想像力の応用範囲を広げれば、彼女を縛り付ける憎悪は別の形にカワれる。だが、彼女は単眼を閉じ、憎悪に縛られ続ける。
日曜朝八時半に投げつけるのは、あまりに巨大過ぎる感情の質量。アイワーンの猛烈感情がブンブン唸りを上げて最高である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
しかしコスモはそのどん詰まりから、可能ならアイワーンを開放したいと思っているようだ。暴力はその助けにはならないと思ったから、拳を引っ込めてしまう。
アイワーンは己の憎悪をペンに溜め込み、他人の事情を見ようとしない。殺戮者で盗人の自分を棚に上げて、コスモの悪行を指弾する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
コスモは世界と自分と他人に目が開いているので、それをしっかり受け止めてしまう。想像力の鎧を閉ざす強さと、開け放つ脆さが衝突しているわけだ。
それでも変化に前向きに、誰かの手をとり瞳を開けて前に進んでいくことを、ひかる(とスタプリ)は肯定していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
閉じたほうが強い。他人の目を見ないほうが強い。
そういう閉鎖系の"理"をカメラに据えつつ、強さの意味を問い続ける。正しくヒロイックで知的だと思う。
ひかるの変化肯定は、その能力を疎まれ不毛の惑星レインボーに追放された、ユニの民族的ルーツを肯定することでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ユニが変化能力に頼りつつ、それを使う時罪悪感を見せるのは、自身のプライドと責務に強く繋がった、今は石となってしまった故郷に繋がっている体と思う。
変化の力で誰かを演じる。他人を騙す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
民族復活の大望を果たすためだとは言え、そこには確かに悪がある(アイワーンの指摘したとおりだ)
その微かなザラつきを、巨大な正義で押し流し無視するには、ユニは賢すぎるし優しすぎる。
自分の行いは、守るべき民の誇りを汚しているのではないか?
多分そういう思いが、あの猫耳がアイドルやったり怪盗やったり悪の組織の執事やったり、今人間やり直している最中にズキズキ傷んでいるんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
私に繋がった歴史の傷。歴史に繋がった私の傷。
ひかるの『変わるって楽しいね!』という歩み寄りは、その傷をケアする言葉だったのだろう。
ユニは変化していく自分、変化しない自分を、アイワーン(が反射する自分の過去、自分の傷)に向き合うことで肯定できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
それは頑なな戦士が少し、仲間に体重を預けるに足りる大事な一歩だと思う。私だけが守らなきゃいけないものを、一緒に支えてくれる人がいるという実感を、今回ユニは手に入れた
それは誇り高き戦士であり、打ち捨てられた子供でもある彼女にとって非常に良いことで、僕は少し泣いてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ユニがゆっくりとおのれを取り戻していく道のりに、プリキュア(と非戦闘宇宙人)は優しく、楽しく手を伸ばしてくれる。強くて優しい、気持ちのいい連中である。
変わることの負の側面しか見れないアイワーンは、自分と他人を並列で見る想像力に欠けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
自分だけは特別で、どんな悪行をやってもOK。他人に騙されたら死ぬほど執着する。
単眼なのは肉体だけでなく、偏った世界観に歪む心の反映でもある。世間が狭いッ!!
その狭さは同時に、思いが溢れ出す圧倒的な強さにも繋がる。組織を追われたアイワーンには、もうユニへの憎悪しか縋るものがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
それだけを縁に生きる哀れさと、プリキュアはどう向き合うのか。ただ殴ればいいってわけじゃないのは、今回コスモが示したとおりだ。
今後も激重巨大感情をブンブンぶん回してくれそうで、アイワーん様には機体が高まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
巨大感情の何がいいかというと、それを投げつけられ受け止めはね返す側のキャラ、それを支えるキャラの地金が、やり取りの中で色濃く見えることなんだよなぁ…ガンガンぶつかって行け!!
というわけで、ユニの過去と現在、プライドと罪悪感を人魚変化の中で彫り込んでいくエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ひかるの人間力が相変わらず巨大で、アイワーンが暴力で迫る前から、ユニの中にある"変化"への罪悪感を見て取って、『変わるの楽しいね、変われるユニは凄いね!』って言い続けてる所がマジ強い。
自己像ってのはつねに世界の反射で、虐げられれば陰り、認められれば輝く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
ひかるは何かがキラヤバいって感情を隠すことなく、その思いを凄く真っ直ぐ伝える。その熱量に押されて、出会ったみんなは変わっていく。とてもいい方向に。
そういう善性世界のエンジンに主役がなれてるの、マジ良いと思うの
そんな光が染み込んでいく様子は、焦ることなくジワジワ描かれる。時に背中を向けて、時にすれ違うときだってもちろんある。見落とすもの、すくいきれないものも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
でも、それで良いのだとスタプリの語り口は言い続ける。人魚になって海を泳ぐ喜びが、過去と未来の変化を肯定する時が、いつか来るのだ
そしてその輝きが、悪と規定された存在に届くのか。イマジネーションの瞳を閉じてしまっている存在は、"変われる"という希望から切り離されているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月11日
敵役の扱い方という、ヒーロー物語の最重要課題にも切り込む良いエピソードでした。スタプリ、やはり"強い"…次回も楽しみ。