キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
カイルへの憧れを導きに、母に向き合うことにしたチューズデイ。
加熱する情勢は星を冷やし、戦神の星に雪が降る。少女は精一杯のお洒落をして、淡い初恋を手繰り寄せる。
そして、夢が溶ける。
恋だけが、キミの世界を壊していく。
というわけで、傑作第14話に引き続き板村監督のコンテが唸りに唸る、キャロチュー人生教室失恋編であるッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
髭面のナイスガイ・カイルに惹かれていくチューの淡いときめきと、加熱する火星の政治状況、家族への向き合い方が絡み合う。
人生の岐路に立った相棒を、キャロルが静かに見守る。
やや引き気味の繊細なカメラワークが、人生の悲喜こもごもを飲み込み蠢動する街を丁寧に切り取り、少女が恋に出会い、恋に破れていく瞬間を柔らかく写し取った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
ナチュラルだと思えていた、火星の長い夏。それがテラフォーミングの果てにある”不自然”だと気付かされる、気候テロルと時を同じくして。
チューズデイはカイルに導かれて母と向き合い、恋を手に入れて失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
第14話で想い出の中降り注いでいた雪は現実となり、ままならない人生の苦さを、そこに傘を差し出してくれる親友を照らしていく。
第2クール目のキャロチューが、様々な出会いから学んだことが結晶化するような、綺麗なエピソードだ
今回も第14話と同じく、音楽は重要な遠景として遠くに押しやられ、様々な人の人生が錯綜し交錯する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
アルバムのレコーディングも、サイドニアフェスの本番も今回は終わらず、しかし少女にとってとても重要な瞬間が降り注いで来る。
キャロルには父、チューズデイには恋。共に出会い、別れていく光と影
一足先にダンと出会い、別れておいたことが、キャロルの足腰を鍛え、初恋にのぼせ落ちたチューを受け止める訓練になっていたようにも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
相棒の生き方を尊重しつつ、静かに見守り抱きしめるキャロルのタフな生き方、そこに甘えないチューズデイの自立が、どこか物悲しくも力強かった。
先にサブラインを見ておくと、アンジー周辺はなかなか賑やかな感じに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
お互い向き合って堂々文句を言い合える、悪ガキみたいなタオ&アーティガンの関係性。先週生まれた三角関係は、いい方向に転がっている。
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それとは正反対に、アーロンとの関係は破綻し、黒騎士は遠くからアンジーを睨めつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
奇妙な、しかし美しい火星の病院を、遠くから確かに見つめる視線の、凶暴な湿度。
タオへの淡い慕情が花開く前に、暴力と執着に絡め取られそうになっているのは、なかなか可愛そうである。
無人タクシーをクラッキング出来る技量は、車載カメラをハックし、スターのプライバシーを露わにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
全てが監視されている恐怖。AI技術を濫用する欲望。それに反発する形で、アンジーと”母”との関係は整復されていく。
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隣り合って、でもちょっと余所余所しい距離感から、怪物の挨拶を受け止めるべく前のめりになる。ママがアンジーを愛しているのは、(色々歪みつつも、あるいは愛ゆえに歪みつつも)嘘じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
そこに在る人間関係の機微を、AIカメラ…を通した、ストーカーの冷たい視線は気にもとめない。
シベールで描かれたストーカーの身勝手で直接的過ぎるな愛が、ブラックナイトの場合はIT技術を駆使した間接的いやらしさで彫り込まれているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
なかなか洒落になっていない状況だが、この危機をてこにママとの、あるいはタオとの関係が動くのか。男男関係に楔を打ち込めるのか。大変ねぇ…。
色々波乱を含みつつ、アンジーが新曲作成に邁進するように、キャロチューも独自の道を闊歩する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
アルバムが作成され、サイドニアフェスへの正式のオファー、ボロボロデビューをリベンジする機会がやってくる。
一枚目のバッキバキの構図、好き
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二人は何も知らない子供であり、プロの音楽家でもある。ガスに言われたとおり『簡単には首を縦に振らないプロ』を演じてみるけど、ヘフナーにチャンスを取り上げられそうになると前のめり、思わず足も軽くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
今回は子供っぽさの活写、そこからはみ出ている思春期の描写が洒脱だった。
AIによって決められ、AIによってブロードキャストされる母の似姿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
自分が逃げ出した場所を見る時、チューズデイはとても不安定な場所にいる。子供と大人、家庭と政治の中間地点に立つ相棒を、キャロルは心配そうに、優しく見守る。
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何か言いたくて、しかし何を言えばいいか解らない。後にカイルのインタビューによって巧妙に開放される、大統領候補を”母”として見る曖昧な視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
そのあやふやな危うさ、発火寸前の静かなエネルギーがしっかり切り取られているのは、とても良い。作画のクオリティが、ドラマの下支えしてる感じ。
相棒と裸足で話す、気楽な時間。これまでもそうであったように、キャロルはお姫様を守る騎士のように、妹を背中に隠す姉のように、積極的に話しかけ、チューズデイを守ろうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
心地よいシェルターから、しかし少女は出る必要がある。
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何故ならば、キャロルの人生は彼女一人のものであり、例え母や相棒に密接に繋がり、その庇護と影響を否定しようもなく受けつつも、彼女が一人で立ち向かうことには意味があるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
今回のエピソードで、ようやくチューズデイはキャラクターとして独り立ちする、とも言える。
代価は失恋、悲しいね…
待ち構える運命を知らず、少女は胸をときめかせて約束の場所へ行く。光あふれるオープンカフェの、角の席。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
カイルと対等に向き合える、ちょっとオトナモードの場所。チューのときめきと、あくまで取材なカイルの距離感を、構図が冷静に斬る
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弱さを見せる。プライベートを教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
軽そうに見えて社会派な経歴と、その代償としてもぎ取られた聴覚を晒すのは、インタビュー相手をアイスブレイクする記者の熟練か。はたまた、ナチュラルに人が良いのか。
多分それは切り離せなくて、だからこそカイルは優秀なジャーナリストなのだろう。
カイルは一個人としてチュー(やスペンサー、彼らを通してヴァレリー)を尊重し、”家族”を窓に変化していく(させられる)情勢をまとめようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
近づくのは、あくまで仕事。自分の全てを掛けてもいいと思えるほど大事な、チューにとっての音楽のため。
そんな分別を、恋する少女は持てない。
ホント初恋に踊るチューが可愛くて可愛くて、だからこそ『あ…ヤベ』感も凄くて、でもカイルを憎むには好青年過ぎて、身悶えするエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
サブタイ”Only Love Can Break Your Heart”は、タイトル通りの失恋ソングではなく、恋を知って世界が広がり、恋に敗れて人生が深まる不思議を歌う。
キャロルにとって、父に出会い別れたことが悲しいばかりではなかったように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
チューにとって初恋と初の失恋は、凄く辛くて痛いBreakであり、同時にぶっ壊れた心と世界が広がるための爆破工事…ともなりうる。なるかならぬかは今後次第だが、相棒が余りに”強い”からまぁ、どうにかなんだろ…。
この最初の逢引では、チューは自分の気になることをまず聞き出している。次のインタビューでは相手の欲しがるものを真摯に与え、最後の衝突では望まぬもの(失恋、カイルにとって当然の恋)を叩きつけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
テラスの角で展開する、人生の階段上り。どう己を、相手に与え、欲しい物を手に入れるか。
印象に焼き付く綺麗な風景を、幾度もリフレインして使い倒す演出がキッチリハマっているので、チューがカイルと出会うことでどんどん大人になっていく姿も、鮮明にキマる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
恋に浮かれているようで、カイルを触媒にチューの人格が、どんっどん太くなっていくんだよなぁ…いい男なんだよ、カイル君。
ノートと対面の温もりある”娘”の距離感と、AIに冷たく向き合う”母”の間合い。息子は去り、三角関係は破綻した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
信条も熱情もない地球移民排斥を、より強く発火させていく選挙屋の謀略。そのドス黒さに、母は染まりきれない。
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二度目の接触で、カイルはキャロルが見て見ぬ振りをしていた母との関係、母を思いの外理性的に分析していた少女を引き出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
火星に移民してもなお、父権に染まることでしか存在を許されない政界。そこに身を置くことで、”母”は不自然な仮面を付けざるを得なかった。
ダリアとはまた別の形で、ヴァレリーは父と母の淡いにいる。その曖昧さを、娘たちはしっかり見据えている。無邪気でバカなようでいて、至近距離からしっかり見ているのだ。何しろ、家族なんだから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
チューは”父(を演じる母)”の息苦しさから抜け出したが、その実母自身も開放したいと願っている。
チューが家族の視点から見据える、地球移民排斥政策の不自然さ。それは(僕らが神の視点から見ているように)正解を射抜いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
政治屋と、その道具になったAIが導き出す情熱のない炎。自分の身近な場所で炸裂する、排他の衝動。
それが移民と同時に、母自身をも不自由にしている可能性。
かなり複雑な思考を、ぼんやりお姫様はしっかり考えている。それは彼女にもともとあったもので、同時にインタビューを受けることで言語化、結晶化したものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
出会わなければ、可能性は形になっていかない。
『自分らしさを結晶させる、触媒としての他者との出会い』は、このお話の核の一つだ。
カイルのアナログなノートは、彼の思考を外形化する大事なメディアだ。自分の指を使ってマインドマップを書くことで、見えなかったものが見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
チューが作詞をする時、アイデアを書き留めるのとそれはよく似ている。
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今目の前にいる少女は、ノートに描かれた一つの情報でもあり、恋に少し背伸びをする実在でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
カイルは目の前のアナログな存在を見落とさないが、そばかす少女を恋愛対象として見れないし、見ていない。あくまで、マップの大事なアクター
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明暗半ばする机の下で、所在なさげに揺れつつ、つま先で地面を掴んでいる可愛らしいエナメル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
この足先の表情が、カイルのように取材対象を的確なポジションに据えられないチューの不器用、幼さ、必死さをよく語っていて、良い演出だと思う。
そうだよね…ドキドキしてるよね…。
そんなドキドキは、青天の霹靂でぶち破られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
ウェザープラントへの、反火星派へのテロル。無人でも運営できてしまう、AI技術に支えられた火星の心臓部。
遠い場所にあると思っていた反目が、身近に爆裂するショックに、チューは動揺する。
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年長者として、保護者として。パニックを適切に(”曲を歌う前のように”と、チューの得意領域をジェントルに引き合いに出しつつ)収めるカイルは、混乱の闇から出て、ジャーナリストらしく現場の白日に踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
子供なチューは、両手を抑えて闇の中、うずくまるだけだ。
『ここですくんでしまうから、対等の恋愛対象にはなれないんだ』とも言えるし、『青春闘争まっしぐらの少女にとっては、これが限界だ』とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
ともかく、母がぶん回す政治に踏み込みたい欲望を持ちつつ、それが最も苛烈に炸裂した瞬間に、チューは踏み込めない。カイルに隣り会えない。
お姫様を相棒にしっかり送り届けたカイルへ、キャロルは警戒を解く。ただのイエロージャーナリズムじゃない、人間として信頼できる友人だと思うようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
恋の当事者であるチューだけでなく、彼女を大事に思うキャロルも細かく描くのが良い
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ナチュラルだと当然視していた心地よい気候は、テロルによって破綻する。缶詰とヘルメットを倉庫から引っ張り出す”非常事態”に、政治の季節が加速する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
娘は携帯端末越しに、母は巨大なモニタの上で、内乱の予感を睨みつける。
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擾乱を好機と捉え、損害を支持率でしか考えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
AIよりも怜悧で下劣な政治屋と一緒に、ヴァレリーは危うい際に立っている。政治家である彼女の足は、つまり彼女の支持者と権力を同行する。
選挙だけを見たポピュリズムが崖から落ちる時、巻き込まれるものはあまりに大きい。
そこに手を差し伸べられるだろう息子も娘も、今は冷たい場所に隣り合わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
そこを冷たくしたのは”母”自身であるが、同時に生き残るためのやむ終えない選択でもあったことを、娘は認識している。
カイルが引っ張り出したチューの賢さと優しさが、火星の失楽を防ぎうるのか。
政治の領域と家庭の領域は、静かに接近していく。というより既に密接していた事実を、カイルとの交流の中でチューズデイは思い出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
二人の出会いは恋だけではなく、もう少し大きいものを生み出した。それは恋が破れたとしても、強い切実さで残り続けるだろう(と、願いたい。)
ここでジェリーがタオを的にかけたことで、また別のブリッジがキャラクターにかかった感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
求めているのは音楽プロデューサーではないだろう。脳科学者か、プログラマーか。タオの多層な顔と能力が、知らず政治に捲くりこまれていく
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重なる逢瀬。揺れる心。いつもの指定席。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
新しいものに出会う喜びが、チューの頬を染める。コーヒーカップに反射し、揺れる心。
だんだん厚着になっていく衣装が、気象コントロールの不全を静かに語ってもいる。
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凄く親密なんだけど、決定的に分断されている大人と子供の距離感を、窓越しに切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
苦いブラックコーヒーも飲めるけど、ちょっと深く口づけしすぎて、スマートではない少女の飲み方。
仕草一つ、アングル一つがスタイリッシュに、彼らの在り方を活かしていく。ホンマバリバリやわぁ…。
シベールが過剰な愛とエゴイズムを込めた、カードとラッピング。チューはそこに、ノート仲間への慕情を可憐に込める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
精一杯の武装で可愛く装うチューの可憐が、この後の切断面を際立たせる。うう…マジ可愛いが、のんきに喜べない…。
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『今青春真っ盛り、初恋戦闘準備よしッ!』って感じの超可愛い衣装で勝ちムードなのに、黒い斜線が不吉に切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
鏡越し、曖昧なイメージを投影し、”カワイイ私”を調律する健気さ、危うさ。
清潔な白い光の刻が終わり、夜闇が来る。衝撃と真実が。
やーめーろー!(リアルタイム、マジ叫んだ)
そこが指定席だと勝手に思い込んでいた、オープンカフェのコーナー。ウキウキと身を寄せた視線の先で、見ようとしなかった事実がチューを襲う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
あんだけのいい男、彼女いないわけないんだよなぁ…。当たり前といえば当たり前、でも…。
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衝撃を受けたこの瞬間ではなく、その衝撃を体に染み込ませ、街を彷徨うシーケンスに尺を取るところが、メリハリ効いてていい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
事実は一瞬で、残酷に降り立つ。それを受け入れ、対処を考える人の側が、時間を伸ばしていくのだ。そうしなければ、人間は当たり前のものを飲み込めないから。
自分の中に眠っていた、”母”と政治との距離感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
出会うことのポジティブな側面を教えてくれたカイル自身から、失恋という思わぬ一撃を食らうのも皮肉というか、当然というか。
人生いろいろある。あまりに色々ある。その渦の中に身を投げることで、世界が壊れ、広がっていく。キチーが大事な修行時代。
チューの生活を焦らず丁寧に追ったことで、彼女の岡惚れと浅はかさ、純情とときめきもしっかり見てる側に染み込んで、この結末に納得もできる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
ちっぽけで弱っちい、ただの女の子にはコレが当然。
でも、こんな辛い結末、こんないい子に起きて欲しくはなかった…。
でも、よくあるよねコレ。
キャラへの間合いがグラングラン揺らされ、客観と主観で揺すぶられる感覚が心地よい酩酊を呼ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
その余韻に浸りつつ、画面はチューの彷徨、キャロルの接近を切り取っていく。
第14話で親子の歩みを切り取った、遠いカメラワークが再び唸る。
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雪降る冷たい街に、一人取り残されたチューズデイ。明るいオレンジの光は、傘を忘れた彼女には届かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
コーヒーカップに反射していた自己像が、今は冷たく街を彷徨う。ぽつねんと、ただ一人。
ありふれた失恋でも、当事者には世界の破壊と同じ重さ、同じ辛さで身に迫る。寒い…凍えてしまう…。
ガジェットデザインが凄くいいアニメであるが、今回はシャフトが光る傘が凄く良い小道具になっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
それは雪を凌ぐ道具であり、闇を照らす照明にもなる。今の傷を癒やし、未来を探すために必要なツールを携えて、
キャロルは友を探す。
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オレンジの暖色がキャロルの隣りにある(そしてチューズデイから徹底的に遠ざけられている)ことが、彼女が何を背負い、相棒に何を与えられるかを鮮明に伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
世界に一人ぼっちの女の子を、必ず見つけてくれる人。初めての出会いとはまた違う形で、運命は惹かれ合う。
第14話でダンは、雪について語った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
淡く融けていく希望、去りゆく想い出、終わった幸福。
それはもう届かないものの象徴だったが、父は火星に赴き、娘と出会えた。
いつか、私の歌を届ける。
約束を携えて、雪が降らないはずの星から去っていった。
天候コントロールを破壊され(キャロチューの属性たる”ナチュラル”を壊され)、降り注ぐ雪。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
それは幼子の過去に降り積もった哀しい雪とも、再開を果たした親子が見た美しい幻想とも違う、静かな現実。静かに降り積もる、壊れた世界の破片。
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ここの作画と撮影はまさに天下一品、勝負どころに超絶クオリティって感じであるが、その前の雪の街を空撮するカメラの”遠さ”がクールで好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
世界は凄く冷徹に、少女の失恋を切り分ける。当たり前でよくあることだと、冷静に見据える。
でも、とても冷たくて痛い。一人では耐えられないほどに。
そこに無言で現れ、グイと力強く傘と灯火を差し出すキャロル。雪から身を守るよりも、温もりを切実に求めて踏み込むチューズデイ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
騎士の背中から出て、自分だけで戦った姫の初恋は砕けて散った。火星の空に、雪片が舞う。
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そんな感じの、ありふれた少女の背伸びと勘違い、破綻と友情のエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
まーよくある話なんだが、稀有なセンスと絵力、演出力でガッツリまとめ上げられると、ありきたりから普遍へと色合いが変わって、スゲー心を揺さぶられる。
形は違えど、皆こんな雪を凌ぎながら、なんとか大人になる。
『あ、一人なら耐えきれないな…』と一発で分るチューへの共感を作るべく、カイルの魅力を自然に積み立てる。少女の浅はかさと純情を積み重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
それをスパッと、短い衝撃の目撃で切り落として、血を流す心の放浪を長く、雪の中で見せる。それを受け止める、かけがえのない人の優しさを照らす。
二期のキャロチューは、アンジーが登場前から向き合ってきた人生の暗い部分と向き合う物語を歩いていると、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
父(自分が孤児である事実)と出会い直し、別れていく。死を間近に見て、遺志を受け継ぐ。憧れが老いさらばえ、自分の歌がそれを蘇らせることを学ぶ。
その流れに、この失恋がある。
カイルは本当に良いやつで、だからこそチューが好きになるのも、先約があるのも納得がいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
恋が破れ、世界が壊れたとしても、彼から受け取ったもの、作り上げた関係を全否定せず、大事に扱って欲しい。そこから世界を広げていって欲しい。
オッサンはそう思う。でもキチーよなぁマジ…。
どっしり親友を見守るキャロルが描かれたことで、父との出会いと別れが彼女をどう変えたか、第14話との有機的な連結もよく見えた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
ずーっとキャロルが前、チューが後ろだった関係が、チューが引き受けるしかない大勝負で変わる。待つ強さ、信じる強さを、キャロルが手に入れている。
同時に、あまりにも冷たい夜に放り出された相棒を見つけて、傘を差し出せる優しさと強さも、キャロルは持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
皆、よく青春を戦っている。その個人的な闘いが、政治家の娘、地球移民の娘を巻き込む大きな闘争に、今繋がろうとしている。
アンジーのVSストーカーも、どうなるかねぇ。
あまりにもハッピーな少女が出会った、当たり前の挫折。そこに埋もれた思いと出会いの輝きが、オレンジの光を放つお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月22日
この雪をどう生かして、キャロチューは歌を作っていくのか。その歌は火星の政治的摩擦に、その中心にいる”母”に、どう関わっていくか。
来週も楽しみ。