彼方のアストラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
方舟の眠り姫は、希望と違和を運ぶ白い鳩。
アーク7号唯一の生存者、ポリーナを救助したクルーは、無事アストラ号を修理し、惑星イクリスを後にする。
微笑ましい結婚の約束、勇ましい遺品の改修。それぞれの未来が光を放つ中、繋がらぬはずの”血”が疑念を生む。
そんな感じのさらば第四惑星! こんちわポリ姉、疑問と衝撃!! っていうエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ポリ姉の記憶惑乱をカバーに、色んな情報が噛み合わず、伏札が増える展開となった。うーむ、宇宙ミステリの本領発揮って感じだ。
最後の爆弾については、大体の予測は立ててたんで実はそこまで衝撃でもない。
12年の冷凍睡眠から目覚め、次第に記憶と体力を回復していくポリーナ。キトリーが主治医として頼もしい立ち回りをしていて、成長が良く見え喜ばしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
そういう”大人”な表情があると思えば、ザックと甘酸っぱいラブコメ…通り越して交際・婚約・結婚まで一気に突っ走ったり。揺れてるなぁ…。
ルカは己の性別でもって曖昧さを肯定していたけども、色んな断絶をきっちり切り分けずに、その中間点を肯定することを、このお話は大事にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
大人と子供の中間点、男と女の中間点、B5班の世界とポリーナの世界の中間点。
そこには断絶があるが、同時に橋もかかっている。
ポリーナと子供たちには12年の断絶がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ひどく怯えながら『何もなかった』ことを確認する彼女の記憶は、未だ不鮮明である。
ポリーナ視線だと当然で、確認するまでもないことが子供たちには共有されていないのかな、という感じもある。
一体何が『なかった』のだろうか。あるいは、『あった』のか
これは多分デカイ札で、サバイバルのゴールが見えてきたお話を引っ張る強いエンジンだ。だから、まだ曖昧なまま残しておく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ここら辺の曖昧さを、コールドスリープ覚醒直後という状況で食わせているのはなかなか巧い。あんだけ命がけの状況だったんだから、曖昧なのもしょうがない、という。
アストラ号もアーク7号も、Ark…”方舟”の名を持つ。迫りくる大破壊を前に、生命の可能性を乗せて旅立った船。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ポリーナが居住可能な惑星を探し旅をしていた記述も、何か巨大な破壊がかつて『あって』、なおかつ子供たちの世界では『なかった』ことになっている状況を思わせる。
ここら辺の答え合わせは、違和感がより鮮明になって、各々の世界認識をすり合わせた時に確定するところか。真相は曖昧に保留(suspend)されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
都合よくモジュールが合致した、二つの船。それが同じ場所から放たれた希望の種子だとしたら、偶然は運命に変わるわけだが…さて。
新しい仲間を船に迎い入れ、絶望を修理して希望に変える喜び。その裏で積み重なる違和感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
和合と断絶が複雑な顔を見せるエピソードに、キトリーとザックの穏やかな幸せが踊る。
おめでとう…結婚おめでとう!
ザックくんは”やる”男だと思っていました。
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過酷な大地にキノコ紅茶とクッキーを差し出し、労る男。絶望の中でも未来を志し、自分の道を探そうとする少年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
クールな表情の奥に隠した優しさと情熱が、キトリーの瞳をうるませる。
”トゥンク”な瞳の表現が細やかで、なかなかロマンチックであった。はー、キト公は可愛いなぁ…。
カナタの宇宙船もそうだけども、結婚という”未来”を見据えて、帰還を諦めない描写が太かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
皆明日を目指し、前に進んでいる。過去と未来の間で、曖昧で危険な現在を生きつつも、それに押し潰されはしない。
曖昧なままで良いもの。霧を払い、真実を顕にするべきもの。世界には色んな顔がある。
出立の目処がついたイクリスは厳しいだけでなく、青とピンクの美しい色合いを見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
子供たちを”大人”に脱皮させていく厳しい学舎…惑星の自然が毎回美しいのは、このアニメのいいところだ。
ムード満点の景色の中で、薄暗い景色ともう叶っていた夢が重なる。キト公…独り相撲は無駄じゃなかったね…
ザックは自分を”子供”と見てくれない父の冷たさを、ある意味諦めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ユンファやウルガーのように、”家”の呪いを自力では解除できなかった子供とは、ちょっと状況が違う…のだが、”家”から傷を受けたのは同じだ。
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それはありふれた家庭の悲劇なのか、記憶転写技術を必要とする特別な技術が、背景にあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
バラバラなはずの、キトリーとフニシラの”血”。曖昧さを剥奪する科学の目が、一つの真実を顕にする。
兄弟どころか同一人物。父母に宿る冷たさは、スペアパーツを見る目線なのか?
それは未来に待ち構える衝撃として、賢いザックくんは幼い頃の約束を日付つきでしっかり覚えていて、当然の未来としてキト公との人生を計画していたのでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
めでたしめでたし。
体は大きくなったけど、変わらないものは確かにあるのだ。
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衝撃の真実がどのようなものでも、この旅で手に入れたもの、取り戻したものの意味は失われない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
『もっと愛しちゃうかも』とダダ甘お姉ちゃん力を見せるキトリーが、幸福そうに妹の頬を撫でる手付き。
彼女たちがクローン・スペアでも、消えない繋がり
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それは既に在ると同時に、今まさに作られるものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
アスリートとして鍛え上げた身体、リーダーとしての強い意志が、新たな仲間の思いを救い上げる。
ただ命が助かれば、それでいいってわけじゃない。想い出と魂在ってこその”人”だ。
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カナタが12年前の残滓を体を張って拾い上げ、ポリーナの思いを尊重したのは、とても大事なことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
仮にクローン仮説が正しいとして、子供を子供、人を人として見ない視線が、B5班を死地に追い込んだ。
それは宇宙の荒野に放り出される、物理的な窮地だけではない。
愛されず、荒廃した自己否定に自分を置くしかなかった。あるいは、自力で魂をサバイバルさせるしかなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
心の荒廃こそが、子供たちが立ち向かうべき巨大な嵐であり、父母と切り離された過酷な環境で(だからこそ)、それを乗り越えられた。
お互い支え合い、自分の中の真実と向き合えた。
弱さや恐怖をさらけ出すことは、溜まっていた膿や謎を排出する医療行為ともなりうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
ラファエリ姉妹の”血”に秘められた真実、二つのArkに隠された秘密。未だ謎は多いが、ポリーナという新しい”血”を入れたことで、一気に露わにされそうでもある。
ふーむ、面白い。
異星サバイバルに視聴者が慣れてきて、咲きを読ませるショックとして機能しにくくなった所で、蒔いておいた世界観レベルの謎を刈り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
漂流譚からミステリへと、作品ジャンルの軸足を変えることで面白さを維持する精妙な操作が、次回唸りそうである。
いや、異星サバイバル相変わらず面白いけどね。
そういうデカイ話が、家庭から阻害された少年少女の自己実現という、スケールの小さい(だからこそ実感が強い)話にしっかり噛み合っているところが、なかなか巧妙なところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
殺しの標的に選ばれた理由。自分たちを繋ぐ共通点。愛されなかった訳。個人の謎が、世界の謎とそろそろ絡みだすのか。
いい具合に素材が蒔かれて、今後の展開、話運びを想像したくなるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
心をめぐるジュブナイル、秘められたミステリ、世界規模のサスペンス。今ある要素をフル活用して、お話の全領域がガッチリ噛み合うと、これは凄いことになりますわ…。(既に名作の誉れも高いお話です)
曖昧な謎が、混じり合う”血”のなかで真相を露わにしていく。ハッピークールな両思い判明のように、ポリーナが抱える違和は、義姉妹のありえぬ合致は、幸福な未来を連れてくるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月21日
物語のエンジンはノンストップ、終盤へ向けて更に加速する旅路。マージで面白いなこのアニメ…来週も楽しみッ!