からかい上手の高木さん2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
夏休み、学校はない。君と毎日会える、保証もない。
入道雲が湧き上がり、それぞれの時間を過ごす中で、約束を積み上げていく。
夏祭り、一緒に行けたら。
その言葉が陽炎の中に飛び出していけるか、恥ずかしさに飲み込まれていくか。
ひどく、熱い夏だ。
そんな感じの、最終回直前! 決戦の舞台を整えに監督達がコンテ切ってくれたよ! 回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
『うぃーっす! ”まちカドまぞく”の方から来ました!』と、桜井弘明と大地丙太郎が第2・第4エピを。
『うぃーっす! ”かぐや様は告らせたい”の方から来ました!』と、第3エピを小俣真一が担当。
そして第1エピをここまで登板回数も多い”高木さん”勢・岩岡夢子が担当という、バラエティ豊かな面子である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
それぞれの個性は出つつ、高木さん”らしさ”みたいなものでエピソードがしっかり貫通されて、安定感と見ごたえのあるエピソードであった。
やっぱこういう、人の色が出る話数が好きなんだな。
お話は終業式を終え、私服になった二人の歩みを追う。全体的に高木さんが素直で、西片が自分を見てくれる喜びをグイグイ出していたように感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
からかって悦に浸るよりも、あなたと二人の時間に胸が躍る。”夏祭り”という勝負が迫るからこその変化、だろうか?
初手はいつものからかい勝負。いつものように浅はかな西片の企みを、高木さんの賢さが正面粉砕する展開となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
西片が情報源としていたクラスメートが、最後に顔を出して高木さんのウキウキを観測する”証人”になる作りが、なかなか凝っていてよかった。
今回の高木さんは『え? 確定反撃きっちり入れてれば、絶対”勝って”んじゃん西片』と思わされる好き好きブッパを連発してきて、いつもと調子がちょっと違う。”夏”…か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
そして脇の甘いブッパは、西片も同じである。照れようがはぐらかそうが、もう漏れちまってるんだよなぁ、”好き”が…。
初手強めのジャブで既に顔面はボコボコであるが、第2エピも普段どおりで、ちょっとテイストが違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
三人娘の家族構成が見れて、また少し作品世界が広がった空気が良かった。目の前の些事に囚われつつ、ふっと画面から目を上げて、妹ちゃんをちゃんと見てあげるユカリちゃんの”姉”が良い。
凸凹な返信の時間間隔、すれ違う話題。噛み合わないようでいて、夏休みでも繋がってる友情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
恋の甘酸っぱさで舌が痺れないよう、じわっと味わいのある友情、青春の別の形を味あわせてくれるので、三人娘のエピソードは好きだ。皆、とても可愛い。
そこから第3エピソード、第9話の特別な仕上がりを生かした神社の接近戦である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
成層圏までぶっ飛ぶ西片の心象風景と、二人の歩調がズレては繋がるシーンの、奇妙なアングル。テンポのとり方が独特で面白い。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/z1O34596HC
今回は高木さんの素直さと同時に、西片の”照れ”が目立つ回でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
健全な中学生男子として、たとえ好きでもなかなか認められない。自分の思いにまっすぐ踏み込む勇気が、なかなか出てこない有様を、カメラは丁寧に追いかけていく。
内面の青い空と、現実をナメる手すりの差異は、その現れだろう。
二人の歩みは神社に至る。夕景は静かなオレンジ色に沈み、軒下でモジモジと、甘い誘いが出たり入ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
肩の力を抜いて、ぼーっと夕焼けに染まる二人の色彩が良い。
やっぱ情景の爽やかさが、ノスタルジーの切れ味上げてるなぁ…。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/jr7kvOZcZI
母親と喧嘩するほど、待ち焦がれた運命の日。その時、隣りにいて欲しい誰か。私が唯一からかって、私のことを見てくれている誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
”誰か”は”あなた”。そう言ってしまえば、ゲームは終わり。クローズアップが、揺れる気持ちを切り取る。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/dm3HyxDAn4
ここの高木さんの手足の震え、瞳の色合いは非常に甘酸っぱく、人間味があった。最終エピソードに向けて、ゲームを支配する”超・少女”から、恋に焦がれる一少女へと、高木さんのスケールが静かに下がっている感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
そういう身体性と、軒下を屋根から切り取る一瞬のバロック。やっぱ落差が上手い
ジリジリ甘酸っぱい距離感は一旦夕焼けを抜けて、沸き立つ入道雲に開放されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
BGMをほとんど入れず、環境音をどっしり取り回す第4エピソード。とにかく一歩ずつ、少年と少女の揺らぎを追いかけていく。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/PRH2JudPd0
高木さんの衣装がちょいダサなのが、等身大で凄く良い。どんどん、少女幻想を背負って”無敵”だった彼女が、悩みも震えも悲しみもする一人間に戻っていく感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
高木さんだって人間なんだから、からかいが上手く行かないときも、クソダサい服着るときもあるよね!
挑発、ほのめかし、誘い水。ゲームの技法を駆使して、西片を”夏祭り”に引っ張り出そうとする試みは、”照れ”に邪魔されて動かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
それに傷つきつつ、硬い表情で感情をとどめている横顔を、西片はじっと見る。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/NKnX5t06Ny
特別ではなく、ただ普通に優しくしてくれたお礼として、高木さんはジュースを差し出す。それを一本だけ受け取って、悲しみを閉じ込めた仮面に背中を向けようとして…西片は踵を返す。”照れ”を乗り越え、自分と高木さんの本当に向き合う
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/Ei5sv8SykO
ここでどっしり、一旦”照れ”に負ける西片と高木さんの薄暗さを切り取って、自転車をま絵にすすめるところが最高である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
恋は照れくさい。シャイボーイは簡単に、自分の気持ちにも、女の子のアプローチにも素直になんてなれない。
それが普通で当たり前なのだ。
そういう当たり前を書いた上で、当たり前じゃない”正解”に踏み込めてしまう西片、それを受け取る高木さんの純情を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
西片から踏み込んだ瞬間、ゲームが成立した一瞬の、甘酸っぱいソフトフォーカス。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/srAuS09qvU
誠実に下げた頭と、気恥ずかしさに邪魔されて西片は、高木さんの動揺を見れない。好きな人が自分を選んでくれた喜び、自分が”勝って”いる事実を掴まえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
でも、その瑞々しい感情はそこにある。ゲームが続くとしても、答えはもう出ているのだ。
はー…マジですっぺぇぇぇぇ!!!!!
高木さんが喜びをいつものクールさに隠しつつ、隠しきれずどんこどんこ、ドリンクに乗せて手渡すシーンが泥臭くて好きだ。そらー、浮かれちまうよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
そらー口角も上がる。何しろ”夏祭り”である。キメるか、高木…ッ!!
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/KxPNq8rvfv
このお話は思春期を書くのがとても巧くて、大人びた態度の奥の幼さをいいタイミングで爆裂させてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
高木さんの無防備な笑顔、それを正面から食らって大ダメージな西片の可愛げ。みな、圧倒的に無邪気で可愛らしい。
恋の甘酸っぱさと、少年少女の無垢な透明感。その同居が””強さ”なのだ。
ほんと凄いピュアネスで、クソみたいな人生経験でデロデロに汚れきった陰獣人間は『すまんがその青春をしまってくれるか…ワシには強すぎる』って感じにもなるが。(ラブコメポムじい)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
ゲームに興じつつ、勝負どころで圧倒的に”児童”なんだよなぁ二人が…そこが強いよホント。
約束の決戦場を前に、大物を既に釣り上げた西片。上の空で恋を反芻する彼と、自分の戦場に向かうもう一人のシャイボーイ。茶化す悪友たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
空は青く、海もまた青い。夏である。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/4umsPrl0Dz
というわけで、最終決戦場”夏祭り”に向けて、どっしり滑走路を作るエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
制服を脱いだ夏休みの、普段とはちょっと違う雰囲気。”照れ”に邪魔されつつも、お互いの好きがパチパチと接近し、ときに少し離れて、決定的衝突に至るまでの空気の味わい。
焦らない。一瞬一瞬を静かに、積む。
日常系ラブコメの強みを、深く腰を落として的確にぶん回すお話でした。どこにもないけども、だからこそどこかにあったと夢見る青春のユートピアを、緩みなく積み上げる第4エピが特によく仕上がってました。つえーわ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
このお膳立てで、最終回夏祭り。
恋は始まるのか、西片は”勝って”しまうのか!
そういうお話ではないことは、僕らは知ってる。からかい勝負は永遠に続き、彼らは無限の思春期で足踏みを続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月16日
それでも、何かが少しずつ変わっていく。忘れられない夏が来るのだ。
そんな瞬間へと期待感を、キッチリ上げてきました。来週、非常に楽しみです。