からかい上手の高木さん2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
羞恥心と自意識を乗り越え、遂に誘ったお祭りデート。
『デートじゃない!』と自分を保つ西片に、高木さんは勝負を挑む。
勝つことが幸福なのではない。誰かを思い、思われることが幸せなのだ。
熱い夏を舞台に、最後の決戦の幕が開く…。
というわけで、先週きっちり作った滑走路に乗って、高木さん2最終話が高く高く飛び上がっていくエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
地固め、一本繋ぎの運び、エモの高め方、画角の広さ。
どれをとっても完璧で、シチュエーションを活かしきった必然の勝利でした。
勝てるところで、勝つべくして勝つ。王者のラブコメ…
第7話”林間学校”と同じく、24分フルセットで戦いに来る今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
夕景から夜闇に移っていく時間、同じ場所が意味を変えて立ち上がってくる面白さを最大限活かして、どっしりと二人の青春に向き合う運びである。
シチュエーションが同じであることが、迷子がエモを燃やす後半にガッチリ生きてた。
今回も2期に特徴的だったクローズアップは元気で、普通抜かないだろって所に密着してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
高木さんの腕まくりに寄せるカメラとか、判りすぎててヤバい。”気合い”なんだよなぁ…『今夜…キメるッ!』っていう、”一撃”に賭ける意識よ。
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先にEDの話に飛ぶと、Chara”優しい気持ち”サビの『♪手を繋ごう』に合わせて、過去描写された”手”をモンタージュしていくところを見て、やっぱクローズアップは狙った”味”だったんだなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
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こんだけピックアップできるくらいに、二人の距離と感情を乗っける土台として、”手”は重視されてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
一期の物語を経て、二人の間合いは近づき、高木さんの挑発はより露骨になってきた。
それを切り取るための窓として、クローズアップは良い象徴だったのだろう。
今週の高木さんは捨て身というか、ゲームの勝者であり続ける関係がここで壊れてもいい、という覚悟を見せて、ガンッガンに前に出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
『デートじゃない!』と必死に否定する西片を、ポーカーフェイスに寂しさを滲ませて睨む横顔。二人で夕焼けを歩く時、隠しきれない喜び。
『判れ…判ってくれ西片!』と、全世界ニ千億人の視聴者が思っただろう出だし。これがわからないから、ゲームは続くのである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
ほんと、特別なシチュエーションに高揚して、捨て身でギリギリを攻めてくる高木さんが面白い。イヤデートでしょ…マジで。
前半はいつものからかい勝負と、甘酸っぱい距離感がドシドシ続いていく。画面が退屈にならないように、ちょっと凝ったカメラの使い方するのも面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
りんご飴の反射、水からの景色、ポイのなかの高木さん。
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高木さんの目は、幼い兄弟のために出目金=自分の”勝ち”を見逃した西片の優しさを、ちゃんと見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
だから『引き分けだね』と言ったわけだけど、西片はそのロジックが解らない。
西片は今回、何回も勝ってる。デートっぽいことも、彼氏っぽいこともしてる。西片だけが、それに気づかない。
自分の善性に気づかない無垢さが、西片の魅力であるのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
普段は肥大化した自意識で失敗ばっかしてるのに、幼く真っ直ぐな人の良さでクリティカルを出す。その事実に気づかず、ふんぞり返ることもない。
その透明な善意に、高木さんも恋したのだろう。
そんな二人の出会いと思いが、どこに行き着くか。時代を超えて繰り返す恋の結末を、浴衣の三人娘がサラッと語る所が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
食い気・食い気・色気で凸凹なんだけど、やっぱり仲良し。恋以外にも、青春を輝かせる光はある。
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おばあちゃん達が紡いだ恋は、今高木さんと西片の間で静かにやり取りされている。ロマンスは幸福な場所に流れ着いて、次代に夢を繋げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
そういう時間的奥行きが、三人娘の友情をスケッチする中で生まれるのは最終回に相応しいと。
名言はしない。からかいは続く。だが、闘いは幸福に終わるのだ。
このお話ずーっとそうなんだが、どこかにありそうでどこにもない、だからこそ輝いて見えるノスタルジックな風景を描くのが上手くて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
派手ではないけど、想い出の中の理想を煮出したように綺麗な祭りの風景、そこに踊る恋や友情の輝きは、とても眩しい。手が届かないからこそ、ユートピアなのだ。
そんな世界の中で、西片はあと一歩の間合いまで近づいては離れ、負けていく。お互い向き合ってるんだけども、接近しきれない距離が、幾度もリフレインする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
この連続が、クライマックスに大きく離れて近づく間合いの変化を際立たせる。
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りんご飴、金魚すくい、狛犬。何気ない祭りの景色に、いつものからかい勝負を織り交ぜることで、”場”を印象づけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
一緒にいた場所に、君がいない。その寂しさと焦りを際立たせるためには、視聴者の脳に”場”を刺しておく必要がある。ここら辺の準備が今回、異常に巧い。
西片は『からかわれたらどうしよう』という、肥大化した自意識、存在していない外部への意識に囚われることで、高木さんを見失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
一回、恥ずかしくて目をそらした時見失って、すぐ見つける動きがあるのも、クライマックスへの小さな予感を作って巧い。
同様に、周囲を気にせず為すべきことを為す無垢な勝利も、前景において予告される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
ただ、似合うと思ったから。子供だましのかんざしでも、想い人から手渡さされば特別だ。
照れ隠し気味に、お面を渡す高木さんが可愛い。
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ここで木村の察しの良さがでて、『やっべ…デートの邪魔したら殺される…』と、ダチを恋路に送り出してやる優しさが好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
これもクライマックスで回収されて、激エモ階段ダッシュを生み出すことになる。劇的なるものは、全て流れ行く日常の中にその種子を眠らせているわけだ。
西片は外部を過剰に意識して、再び高木さんを見失ってしまう。今度はかなり致命的な別れで、二人は楽しかった祭りを一人だけで彷徨っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
花火の反射で、見慣れたはずの風景が色を変えているのが、二人の動揺を魅せて面白い。
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ここで高木さんが高い場所に行くのも、それを木村が目ざとく見守っているのも、非常に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
いざとなったら”上”を取る。
”からかい上手”の高木さんは追い詰められた時、西片との関係性と同じ行動を取るのだ。
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様々な人の幸福を照らす花火の下で、お互いを探してさまよう二人。出会うべき運命を、見失ってしまった親友のために、木村が熱く吼える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
ここ、すっげー真っ直ぐに”友情”してて、気持ちのいい不意打ちだった。
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この作品を貫くルールは”恋”で、しかしそれが全てではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
なんとなく過ぎていく中学時代の、ありふれた喜び。当たり前に気づかれる、肩肘張らない友情。微かに、確かに積み上げられていく変化と友情。
このお話は思春期そのものが孕む、多彩な輝きをしっかり見据えて来た。
だから激エモシチュエーションのキックスターターを木村がやって、”友情”が最後にデカく花火打ち上げるのは、すごく”らしい”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
それだって、この季節に輝くとても大事なものなのだ。見せ場があって良い。
でも本命は激エモダッシュだよ!
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夜闇に乱舞する花火、長い階段、全力疾走。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
勝てるシチュエーションを全部詰め込んで、西片が走る。高木さんが待つ。
高い場所にいたものは降り、低い場所にいたものは駆け上がって、お互いの距離が縮まる。
この物理的なポジションが、”からかい勝負”のスタンダードを反映してるのが良い。
高木さんは恋の真実を知りつつ、西片から歩み寄ってほしいから、ゲームを続けている。思い切り走って、あと一歩の距離を自分から詰めてくれたら、私の負け。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
西片はその望みを、本気で叶える。勝ちに行く。でも、自分が勝っていることに気づかない。答えはとうに出ていることに、気づかない。
西片は後半歩の間合いを詰めて、今度こそ高木さんの手を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
気恥ずかしい、負けたくない。
そういう自意識を脱ぎ去って、でも彼氏と胸を張ることは出来ないまま、赤面して至近距離に入る。
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みんなが見上げるきれいな花火は終わって、二人だけの小さな線香花火。私だけの、あなただけの想い出。この瞬間にしか、私達にしか手に入らないものを掴み取って、高木さんはまた"勝つ”。負けているが”勝つ”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
西片は幾度も積み重ねた決定的な勝利に、やっぱり気づかない。からかい勝負は続くのだ。
作品構造としては、ずーっと同じ距離感が続く。西片の無垢も、高木さんの待機も変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
だが結末はもう分かっている。
二人は幸せな恋の渦中にいて、いつか背丈が伸びてそれに気づき、からかい勝負は終わるのだ。
だが、それは今ではない。青春というユートピアは続いていく。
そういう作品の永遠性を、すごく大事にした最終回でした。同時に彼らの物語がどう終わるか、これ以上無いほどの答えをしっかり出していて、ロマンティックだし誠実でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
いい最終回でした。これを見て、二人の恋が形をなさないと思う人は、まぁいないでしょう。エンディングは決まったわけです
まぁ”元高木さん”要素をアニメでも描いた以上、約束された未来は確定している、とも言えますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
ほんと、決着のつかない永遠の甘酸っぱさと、恋路の安定保証という矛盾する願いを『スピンオフで勝負が終わった後を描く』って叶えるの、とんでもないウルトラCだよな…。
というわけで、からかい上手の高木さん2終わりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
いやー…凄く良かった!
第7話、最終回の一本繋ぎ勝負回がやっぱ印象に残るけど、同じことをリフレインするミニマムな幸福感と、色々工夫してテイストを変えていくサービス精神が全話で元気で、非常に良かったです。
やはり基本構造が強くて、高木さんの無敵少女っぷり(を、ときに崩す可憐さ)と、西片の思春期ど真ん中純情ボーイっぷりが強烈でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
このストロングポイントを殺さないように、毎回手を変え品を変えキュンキュンさせてきて、『プロの手管はマジでスゲェな…』と感心してました。
やっぱ西片ボーイへの好感度が作品への信頼を高めていて、肥大化した自意識に踊らされつつ、決定的な瞬間ではそれを捨てて”あなた”を大事にできる絶対正解能力が余りに眩しかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
マジで人生の問題集を間違えない男過ぎて、信頼しか無い。ヘテロラブコメは、ボーイの可愛げと誠実。間違いない。
甘酸っぱい恋を太い主軸に据えつつ、青春の諸風景を非常に鮮烈に、しかし悪目立ちさせずに丁寧に描画してくれたのも、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
児童の書き方がマジでウメェんだよなぁ…これはシンエイ動画が制作担当した強みだと思う。”本丸”じゃん児童向けの。
圧倒的に存在感があるわけではないが、じわっと染み込むように”いい風景”を描ききった美術のパワーも凄かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
異世界のように輝いてしまうと、どっかにあるはずなのに何処にもないユートピア感が薄れていくからね…水彩画のように淡く、でも魅力的に浮かび上がらせて。難しいラインを取りきった
2期になって作品への愛着も深まり、繰り返される構造を勝手に深読みすることも増えました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
自分はTRPGを趣味にするゲーマーなので、”からかい勝負”というゲームがどうやって成立しているか考えると、ゲームの面白さやそこで大事なものが、ちょっとずつ掴める感じがしてたんですね。
そういう”作品の外側”に面白さが伸びるのは、やっぱお話が豊かな証拠であり、キャラクターと彼らを取り巻く世界、時間、場所の空気を真摯に描いたからこそだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月24日
12話みっしりと、今青春の真っ只中にいる子供たちの”空気”を共有させてくれて、とても幸福でした。
面白かった、ありがとう!!