ハイスコアガールⅡを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
愛しさと切なさと心強さが交錯する、大阪の熱い夜。
夜のドラマチックバトルはあくまでじゃれ合いで終わり、迎えたトーナメント本番。
胸に満ちる、大野さんへの思い。ハルオが予選を駆け抜けたその先に、ライバルの名前はなかった…。
CONTINUE PRESS START
そんな感じの、大阪決戦中編。焦りすぎず、しかし愛に満ちた夜のふれあいから、大会の緊張、まさかの敗戦、意地の復活と覚醒まで、グイグイと進むエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
俺たちが出逢った頃のように、いけ好かないゴリゴリ女と、コンプレックスまみれのクソガキのまま…。
アストロシティはタイムマシンだ
お話は前回のエロティックなヒキから始まり、しかし決定的な一線は越えずに進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
かつて日高さんを相手に残酷に証明されたように、ハルオは直接粘膜が擦れ合う、ハードコアな恋愛に飛び込むほど成熟はしていない。
そういうものが先にある階段に、一歩足をかけたくらいの純情ピコピコボーイだ。
そう考えると、同衾しつつも肌は合わせないこの距離感、この相手をこそハルオは望んでいて、そのコンフォタブルゾーンに大野さんはぴっちりあった、といえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
日高さん…アンタ焦りすぎたんだよ。
時間の共有量、因縁の太さ、特別性と純粋な情念と、全局面で制圧されてるなら、そら焦るけどさぁ…。
可愛い可愛い大野さんを可愛く描く筆は冴え渡り、とにかく非常に可愛らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
触れ合う右手、置きどころのない左手。でも、それが心地よい。
『左手はスティック握るだろ!』という、最悪のツッコミを思いついたのは秘密だ。
©押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールⅡ製作委員会 pic.twitter.com/FlZOXsTp05
”家”に閉じ込められ、自分の感情を持つこと、表すことを許されなかった大野さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
彼女はゲームを通じてハルオに出会うことで、ハルオを通じてゲームに出会うことで、唯一”自分”を出すことが出来た。
そんな特別さが、表情豊かなふたり旅ではよく出ている。
”家”も両親も与えてくれなかった情緒を、ゲームだけが取り戻してくれる、とも言えるし、ハルオと触れ合う時間だけが彼女が人間らしく在られる瞬間だった、とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
それが終わる。子供にはどうにも出来ない強制力で、勝手に終わらされてしまう。
大野さんはそれを知っていて、ハルオは知らない。
ここには知識と成熟のギャップがあって、ハルオは大野さんが否応なく越えてしまうギャップの前で、ずっと足踏みを続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
それは今に始まったことではなく、コンプレックスに悩まされつつも平穏で平凡な少年と、特別な”家”で言葉を奪われ続けた少女の間には、大きな違いがある。
しかしそういうモノをバニシングフラットしてくれるのが、ゲームというメディアの凄いところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
アストロシティの前に座り、コインいっこ入れれば後は対等。キャラ差はあろうが、技術と気合でどうにか捲くることは出来る。
そういう場所を、二人は共有してきた。
それが終わる。
その舞台に、大野さんは立てない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
まさかの一回戦負けを前に、大野さんは内なるザンギエフの助けを借りて、時間を巻き戻していく。
まだ、ハルオを好きじゃなかった自分に。溜め込んだ鬱屈を、思う存分おせっかいな少年にぶつけれた子供時代に。
それは、あくまで時限式の魔法だ。
夢は醒める。この勝負に勝ったから、あるいは負けたから、何かが変わるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
それでも、今まで積み重ねた時間が嘘ではないことを、いつでも子供に戻れることを確認しないと、心の置き場所がない。
思う存分遊ばないと、ゲームやってるどころじゃない現実を歩けない。
そういう気持ちは、大野さんとハルオが共有するものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
目に見えない何かが決定的に変わってしまう、その瞬間を飲み込むべく、あえて時限式の魔法を自分にかけていく。
己の全てを賭けた、己の全てだと思えるほどに愛したゲームと、その対戦相手。
それに向き合うためには、心の扉を開ける必要がある
ハルオにガイルさんがいるように、大野さんにはザンギエフがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
挫けそうな時、自分の気持ちを確かめ、勇気づけてくれる不思議な友達。それを”ゲーム”に求めるしかなかった子供を、哀れんでんじゃねぇ。
そういうギラついたプライドが、ゲームキャラとの対話には籠もってる気がする。
赤いサイクロンと化した大野さんは、破竹の勢いで櫓を登っていく。ルーザーズとか、そういう配慮は一切ない漢の一先。良くこんなんでゲームしてたな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
ちょうどこれを書いてる日は、カプコンカップ2019決勝だ。
20年の時を超えて、格闘ゲームは今でも元気だ。妙なシンクロを感じて面白い。
マンダレイ・ベイでもThe Novo Theaterでもないが、この大阪が二人の天王山。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
時を巻き戻し、ベッドでいちゃつく”今”の二人ではなく、”あの頃”の二人がアストロシティの前で対峙する。
一回は断った気合ソニックを、二回目は受けるハルオが良い。
©押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールⅡ製作委員会 pic.twitter.com/K9RrVJo7BO
ゲームばっかりやってるわけには行かない、色々複雑な現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
そこに飛び込むしかないハルオが、決意を込めて挑んだ一戦。それに飲み込まれるしかない大野さんが、離別を覚悟して挑む一戦。
今、時計の針は大きく戻っている。それは一瞬の魔法で、すぐに現実が追いついてくる。
その時、ただノスタルジーに思い出を浸して、『昔は良かった』と呟きながらリアルな苦さを飲み込むか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
過去に戻れた奇跡をガソリンに、今を飛び越え未来を掴むために走り出せるか。
この決戦が、最後の戦場ではない。戦いは続く。敗北を背中に、勝利を胸に、何処までも続いていく。
そういう広大な地平を描ききるためには、まずゲームで始まった因縁をしっかりぶつけ合い、決着を付ける必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
第1ラウンドは、キャラ差を覆した大野さんの気迫勝ち。さて、第2ラウンド、第3ラウンドはどうなるか。
物語は怒涛のクライマックスへと、静かに温度を上げていく。
ザンギが大野さんを励ます時に、日高さんとの勝負を持ち出すのが良かったな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
二人がどれだけ運命で結ばれていて、沢山の時間と景色を共有して、お互いがお互いじゃなきゃいけない特別性を持っているか。
ロマンティックを強調する当て馬ってだけが、彼女の存在意義じゃない。
負けたとしても、闘いは胸に刻まれていく。差し合った技と技、交わした言葉と言葉は、消えずに残り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
それが敗者を立ち上がらせ、運命に向かわせる。そういうモノを掴み取る時代、青春という季節に、あの子もまた居たんだなって気持ちに、あの瞬間なった。
皆、生きてる以上負けていく。
ならばどう負けて、どう立ち上がるかが大事だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月15日
魔法が取り戻した子供時代は、あくまで一瞬の幻。
それを走り抜けた”今”だって、魔法は生きている。
そういうモノを確認する最後の戦いが、次回幕を開ける。
青春は終わり、続いていく。
このアニメはそれを、どう語るのだろうか。非常に楽しみだ。