ヴィンランド・サガを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
天秤にかかった主と故国、答えと出したは乱心の刃。灰まみれの人生が、血まみれで終わる。王を僭する狂人として、全てに噛み付く”ヴァイキング”として。
腹心最後の舞台を演じきるクヌート。悪しき”父”を失い、獣のように吠えるトルフィン。
人生という荒波に、航海は続く
という訳で序章終了! アシェラッド死す!! な最終回となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
ここまでフルポテンシャル、本気の四つ相撲で2クール使って、ようやく”End of Prologue”である。
伊達や酔狂で14年、22巻連載してねーな…今漫画でいうと何巻辺りなんだ…完走しきるのに、どんだけパワーがいるんだ…。
そんな果てなき海路に思いを馳せつつも、今は最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
暴に溺れ、愛に乱れた人生を遂に終わらせるアシェラッド、最後の晴れ舞台。冴えきった智ゆえの暴走、大逆人の烙印を、狂気の仮面で演じきる。
その生き様を受け切るクヌート、手から滑り落ちるトルフィン復讐の刃。
北海帝国樹立とその瓦解、ヴィンランド入植とその崩壊。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
世界史に己を刻む二人の男の幼年期は、赤い血に塗れて終わる。
そこで失われたもの、手に入れたものがどう芽を出すかは未だ白紙とはいえ、大河の如き歴史のうねりにどれだけ個人の感情と傷、赤い血が積み重なるかは、見事に描いた。
物語は、王の働きかけから始まる。笑顔の仮面から奸智を光らせ、アシェラッドの素性を見抜くスヴェン王。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
ただ権力に己を太らせたヒキガエルにはわい鋭さが、進言を飲み込む鷹揚から漂う。
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これまで幾度か、馬上を活用して描かれた”高地の優位”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
高いところに立って、誰かの上に君臨する。その高さは馴染めなさや孤立を生み、アシェラッド兵団壊滅の一員となった。
スヴェン王は玉座から降りる。対等な距離感を、アシェラッドとつくる…諸侯の前でそれを演じるべく。
あなや、それが命取り
後に全てが決着した後、王冠を抱いたクヌートは玉座に登ることで、己の道を定める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
アシェラッドの死を最大限活用し、王にふさわしい”高み”へ自分を押し上げる。
父は落ち、子は登る。血腥い乱戦の最初と最後に描かれる階段は、運命を照らす。
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スヴェン王が不注意にも足を汚した、下郎たちの地面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
本来そこが器量だったアシェラッドは、ウェールズを背負わんと馬上に立ち、”ヴァイキング”の反発を買った。
生来の王、のちの北海覇王として堂々高御座に位置するクヌートは、アシェラッドが使いこなせなかった高地の優位をしっかり活かす。
少なくとも、今は。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
この高所は、峻厳にして冷酷。王冠は無限の拡張と戦乱を求め、楽土と愛は血に汚れていく。
『王権の魔力、俺なら飼いならす』と父を蔑したクヌートは、望んだ場所を手に入れた。そこがいかな毒を吐き出す蛇の巣かは、まだ分からない。
だがそこに登る資格は、ギリギリの即興劇で見事に証明した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
インプロヴァイズの最初は、スヴェン王がアシェラッドの耳元で、国と主君を両天秤にかけさせたところから始まる。
敵を知り己を知れば、百戦殆うからず。書面で素性を知るのは大事だ。
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だがそれが、烈火の怒りへの導火線となる体温を、スヴェン王は知らない。王のコマとして死にゆく属人、100人からの戦団すらまとめられなかった男の魂に、どれだけ強力なものが宿っていたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
その”奴隷”呼ばわり、高く付くぞ。
獣の瞳で流し目に答えつつ、アシェラッドはここからの”絵”を一瞬で描いた
アシェラッドは侮蔑の対価として王の首を落としたのか、はたまたクヌートを玉座に付けるべく冷静に計算をしたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
僕は両方だと思う。
ウェールズへの愛情、母への祈り。
ヴァイキングとしての蛮勇、奴隷のニヒリズム。
常に複雑な仮面をかぶり、何も正解を持たなかった演技者。
分裂と虚偽こそが人生だったアシェラッドは、王に刃を向け、ブリテン王を僭称する時、全ての建前と本音が入り混じったように思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
マジで殺したいほどキレたのも、その怒りを発露させることがクヌートの未来、ウェールズの未来に繋がることも、両方本物だと思えたのだろう。
人生を貫通する自己矛盾を昇華できる瞬間が、死の間際にしか訪れないのは皮肉であるし、宿命でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
望みのままに素直に振る舞えたのなら、真の戦士は殺していない。トールズを頭目に懐き、ここではないどこかへ、奴隷ではなく自由人として進んでいく道を”なんちゃって”にしてはいない。
あの時はアシェラッド戦団頭目の立場が重荷となったが、もはやアシェラッドには何もない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
戦団は壊滅し、副官は自分で殺した。剣を捧げるべき王を見つけ、復讐に囚われた犬との茶番も終えた。
死ぬには良い日だ。
そう心から思えたことが、アシェラッドを最後の舞台に引きずり出す。
そんな男との因縁に囚われた少年は、故国へ、光ある世界への道へ足をかけ…背中を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
レイフおじ…マジ何も悪い子としてないっていうか、身を粉にして善を為してるのにマジで報われない…。
ハゲなのはコッチも同じだろトルフィン!!
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アジサシを追い、レイフの庇護、満ち足りた優しい日々に背中を向けたトルフィンは、何を探したのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
アシェラッドに奪われ、望まず与えられ、11年の憎悪をたぎらせた日々の答えか。安住を拒む激情が、彼の始原なのか。
どちらにしても、鳥は飛び立つ。運命を鎖につなぐことは出来ないのだ。
ほんとマジ、トルフィンくんはレイフおじさんの真心を、人間が人間を本気で思いやるってことにしっかり向き合ったほうが良いよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
でも親父さんを通じてそれを知っていたからこそ、復讐鬼になっちゃった側面もあって。白刃の修羅場に戻るのは、失われた愛の答えが、そこにあるからだ。ままならねぇ…
逆鱗に触れたスヴェン王の顔を見据え、最後の品定めを果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
『ここで傲慢に、人間の魂に素手で触るような相手は、謀略のパートナーとしても器が軽い』って判断も、やっぱあったんだと思う。
痴れ者と切り捨てられるには、そんな賢さは邪魔になる。
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ブリテン王を僭称し、玉座を簒奪せんと図る狂人。牙を剥いた獣として処理されることが、彼が見込んだ未来の王の礎となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
なら、狂った道化で俺は良い。その真意を判ってくれるかは、瞳一つでしっかり通じる。
死すらも飲み込む、賢き運命共同体。この読解力が、トルフィンにはないのね…。
アシェラッドが望むのは故地ウェールズの安泰、そこに眠る母と、その子である自分のプライドだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
奴隷と蔑まれ、取引の材料にされる。そんな生き方に汚れたら、もう自分を保てない。自分につながる母も故郷も、薄汚い存在に落ちる。
クヌートだけは、そんな自分を分かってくれる。
死してもなお輝く、本物の誇りを一人覚えて、自分が届かなかった未来へと進んでくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
散々人を値踏みし利用してきたアシェラッドの慧眼が、ここで非常にピュアな夢を見抜くのは面白い。
こんだけ追い込まれないと、自分の中にある綺麗なものに素直になれないってのが、”業”よなぁ…。
切り落とされる”父”の首。地に落ちる王冠。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
一国を乱す奸雄にふさわしい凶暴、錯乱、暴力を演じるアシェラッドに、クヌートの眉間は曇る。
弑逆を持って、最後の忠義つかまつる。その思いが痛いほど判るから、政治の茶番を血まみれで演じ抜く。
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そんな強い関係性から、トルフィンは弾き出されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
11年を”茶番”と片付けられ、空っぽな自分を押し付けられて逃げ出した。自分を愛する人と再開し、満ち足りた未来が待つ船にも背中を向けた。
アジサシよ、教えてくれ。未来はどこに続くのか。
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クヌートは王たる存在として、暴力を配下…トルケルに仮託しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
個人の刃ではなく、権力の象徴として他人を使う。
その傲慢に、ヴァイキングの中のヴァイキングは反発する。
見込まれたなら、自分の手を汚し、血に塗れて夢を殺してやれ。それが頭領の責務だ。
自身も最強の戦士として武器を振るうトルケルの、赤い現場主義。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
誰かに託すのではなく、己の刃で終わらせる重さ。幼年王最後の通過儀礼へ、トルケルは厳しく押し出していく。
滅びゆく”ヴァイキング”最後の誇りを背負うものとして、切らないことが己の存在証明になる。良い描き方だ。
アシェラッドとクヌートが作り出す、政治の茶番。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
そこに割り込まんとする野心は、フローキには重い。刃を押し付け、迫りくる血顔。
ともすればここで佞臣切っちゃって、クヌート後顧の憂いを断っておこうかなって計算もある…気がする。
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人間の荒波をかき分け、運命の劇場に飛び込もうとしたトルフィンを、アシェラッドは制する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
触れるもの皆切り捨てた狂人の演技を、ほころばせかねない静止。それでも叫ばざるを得ないものが、アシェラッドの中にはあった。
その隙間に、クヌートの刃が突き刺さる。
アシェラッドは『殺さない』という倫理を持たない男だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
”ヴァイキング”として、殺して終わらせることが正しさなのは、ビョルンとの関係を見ていれば判る。
だから、『これ以上の殺しをトルフィンにさせたくなかった』なんて、現代人のセンチメンタリズムで止めたわけではないだろう。
では完成しつつある政治の劇場を壊させないためだけに、大声で吠えたのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
それもある…けど全部ではないと思う。
クヌートには殺されなければいけない。そのために、アシェラッドには殺されてやれない。
踏み込めば、大逆の狂人としては切るしか無い。
ウェールズとクヌート、自分の命で両方を贖い死んでいく身が、行きがけの駄賃とするにはトルフィンの命、重すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
そういう考えがよぎったからこそ、アシェラッドは止めたのだと思う。嘘まみれで生きた男、最後の本当がその叫びにはあった…と、僕は思いたい。
自分の手で、命を奪う。楽土にたどり着くための道が、何で舗装されているかを身を持って知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
クヌートが期待通り成し遂げてくれた事実を確認し、アシェラッドは狂奔の仮面を剥がす。
11年、それしか持たなかった復讐の刃。その終わりは唐突だ。
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アシェラッドが灰の中、母の呪いを背負って夢見た理想の王。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
それを背負いうるのはクヌートであって、トルフィンではない。だから、殺されてやるわけにはいかない。
”父”を奪った命盗人にしてた…というかむしろ、だからこその不公平。アシェラッドは己の血で、夢の最後にサインを果たした。
神の戦士として、様々な生き場死に場を見てきたトルケルの鋭い視線が、トルフィンの動揺といい対比である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
揺るがない理想を既に手に入れ、望みのままに生きる。作中一番ブレがない男は、事情を知りつつ…知ればこそ、アシェラッドの死をしっかり飲み込む。
しかしそんな成熟は、少年には無縁だ。
吠える。吠える。吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
獣のように、赤子のように終わりに抗うトルフィンの自由を、王たるクヌートはもう持ち得ない。
唯一残った腹心に背中を支えられ、震える手を隠して王を演じる。死に報いようと思うのならば、それしか、もう道はない。
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やっぱただのゴロン棒ではなく、貴種としての責務、王が果たすべき政治を分かってる知性が、トルケルの魅力であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
欲望のまま血に狂っているように見えて、為すべきことを見据えている。散るものの思いを無駄にしないために、震える”子”の肩を握る。それが、自分の夢にも繋がっている。
そういう安定感と、トルフィンは無縁だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
レイフの差し出した未来に背中を向けてでも、手に入れたかった決着。目の前で冷たくなっていく仇に、理不尽への吠え声を上げ続ける。
満足できる死に場所を見つけた”父”と、未だ無明の”子”。
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血と業に塗れた”ヴァイキング”にしては、悪くない終わりと飲み込んで、アシェラッドの死に顔は穏やかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
彼が『とどめを刺す』ことでビョルンとの因縁を終えたのに対し、トルフィンは遺品の刃を血に汚すことは出来ない。
殺さず、言葉を刻まれることが”父”との終わりになってしまう。
『テメーハゲ! 何キレイに終わってんだ!!』って思わなくもないが、アシェラッドは遥かなる海原への航海を、自分が果たせなかった真実の闘いを、トルフィンに託す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
アジサシが指し示す、海原のはて。殺すのではなく、自由を掴むための闘い。
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そこにたどり着くためには、己の手を血で染める必要があるのか。そうして地面に染み込んだ紅は、どんな果実を実らせるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
握りしめられたままの、トルフィンの白刃。血に汚れた刃を、引き剥がして落とすクヌート。
納得ずくで殺したものと、全てを中途に奪われたもの。
その交錯は、やはり刃で果てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
トルフィンが身を焦がす、愛憎の個人的なカルマ。それを涙と流し、優先してやれる特権は、堕ちた王冠を拾ったクヌートにはない。
せめてこの頬傷から流れる赤心を、拭わぬことが…。
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フローキの野心を機転と器量で押し込んで、クヌートは玉座に上がる。地べたを這いずり、届かぬものへ吠えるトルフィンの声が、玉座に虚しくこだまする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
復讐の刃、父の遺品は手から滑り落ちて、あまりにも長かった日々を照らす。
さらば、揺籃の日々。
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父を奪われた空白を、復讐で埋めて歩いてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
その先にある未来は、父なるものが夢見た王の完成のため奪われた。
何も定まらぬ、迷いだけの歩みをどこに進めるのか。
祈りのように、呪いのように呟かれた遺言。
真の戦士への、刃を握らぬ旅路。
トルフィン、白紙の未来を如何に歩むか。
呉越同舟、親しいものを殺し殺され繋がった一行は、ここで完全にバラバラになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
アシェラッドは黄泉路へ、クヌートとトルケルは権力の座へ、トルフィンは…どこへ行くのか。
少なくとも、レイフおじさんと一緒に進む道は、今回絶たれてしまった。マジ報われねぇ…。
その未来をともに進むであろう者たちを写し、序章が終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
雪原に足跡を刻むもの。砂浜に夕日を見つめるもの。嵐に揺られるもの。
彼らがトルフィン人生の旅路に関わる未来は…未だ定かならざる白紙である。二期…ホンマ…。
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という訳でヴィンランド・サガ、序章堂々の完結である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
お、終わってねーーー! 今期こういうのばっかかよマジで!! 色々大変なんだなぁ…。
まぁこっちは、まさに”サガ”たる大長編を切り取るために、ここまでと定めての終わりって話なんだが。
一少年が新天地に足跡を刻むまでの、長い長い旅路。
その最初、道を定める前の迷妄を描く”序章”は、サワリとは思えない分厚さ、血腥さ、重たさを兼ね備えた見事な仕上がりだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
愛ゆえに生まれる憎悪、美しい世界の残酷。
裏腹なもの全てを切り取るべく、動員される最高の美術。コク溢れる顔面作画。アクションとユーモア。
1000年前の生活感を、一切抜かり無く醸し出したことで、その時代を支配する残酷と断絶、変わらぬヒューマニティと愚劣がしっかり突き刺さった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
”ヴァイキング”に欠けて、僕らにあるものを考える材料になるのが、実はこのアニメで一番気に入ってるポイントだったりするよ。
人権、国家、平和、安定。僕らが当然と受け取っているものは、血みどろの歴史から鷲掴み引っ張り出されたものであり、空から落ちてきたわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
時に空疎になりうる”正しさ”が、どれだけの傷と凶悪から生まれてきているかを実感する上で、”ヴァイキング”の悪辣を一切逃げず描いたのは良かった
そういう1000年の遠近法だけでなく、”今”にも通じる…どころか更に上回る苛烈さ、熱量で生き抜き、死んでいく者たちのドラマが、非常に熱かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
美しいもの、醜いもの。弱いもの、強いもの。
様々な人間が業を背負い、剣で自分の居場所を獲得するしか無い荒波の世界。
そこで出会い、刃に魂を乗せてぶつかり合う者たちの物語が、分厚いタピストリを作っていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
想いが無条件に叶うわけではなく、すれ違って消えていく虚しさも含めて、人が生きることの難しさと面白さを、興味深い歴史ドラマ、解像度の高い生活描写に織り込んでいました。
そういう大河のうねりと、キャラクター個々人の魅力が相互に響き合って、非常に良い物語を生んでいたと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
”序章”なので未熟な部分、迷って答えが見えない部分ばかりクローズアップされたトルフィンは、なかなか可愛そうな主人公だったなぁ…でも俺、アンタの事好きだぜ。
複雑怪奇な知性と暴力、業と愛を同居させ、人生の幕を己の刃で引いたアシェラッド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
あまりにも巨大な”父”の背中に縛られたトルフィンが、その影から出て己になっていく物語も、是非に見たいところです。
つーか不公平だろうがよ! ハゲだけ満足顔で死に逃げかよっ!! レイフおじはどーなるんだ!!
そんな感じで、非常に続きが気になる最終回でした。いやー…終わり方もやる気満々だし、超期待して待ちます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
しかし序章と日和ること無く、徹底して苛烈にテーマを、キャラクターを、彼らが生きる時代と世界を考え抜き、アニメートしきった作品の熱量と仕上がり、大変素晴らしいものでした。
残酷をエンタメで終わらせずに、その虚しさと矛盾にしっかりクローズアップして、視聴者に考える余地を叩きつけていた姿勢、非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
人間存在のハラワタを、生臭ぇ血潮たっぷりに叩きつけて、思考停止を許さない。作品を通じ視聴者と対話を続ける意欲が、最後まで衰えませんでした。
この風を背に受けて、新たなるサーガ、二期という”航海”に漕ぎ出していって欲しいものですが、しかし今は下りた幕を寿ぎたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月29日
良い物語、良い終わりでした。
大変な労作、お疲れさまでした。
ありがとう、とても楽しかったです!