22/7を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
壁から突如吐き出された解散指令により、人気絶頂のまま散りゆくナナニジ。
理由なく始まったものは、終わる理由を語ることが出来ない。全自動で進行する破綻を前に、少女たちはあまりに無力だった。
しょうがない。
そう呟いて、理不尽を飲み込むメンバー。
その諦観こそが、現実の形か
つー感じで、ナナニジ突如の解散! 奇跡の大逆転とかは特になし!! な、非常にこの作品らしいクライマックスである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
全自動アイドル処刑装置と化したGIPが、粛々と己の手足を、首と心臓を切り飛ばしていく様子が淡々と描かれ、異様な迫力があった。わ、訳が分からねぇ…。
理由も意味も答えないまま、ただただ終わりが少女を巻き込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
その光景は、王道アイドルガッツストーリーに(恐らくあえて)背中を向け、被膜に覆われた分かりにくさと、分かり合えないまま繋がる不鮮明をずーっと書いてきた、このアニメだけが描ける絵面だったと思う。
それが良いものなのか、悪いものなのか。最後まで見てみなきゃ判断はつかないが、少なくともこのエピソードはナナニジアニメじゃなきゃたどり着けない、独自で異様な物語ではあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
主役の居場所が一切の人間味を消去したままぶっ飛ばされて、それでも現実が続く冷たい感覚…凄いもん見たな…
これ、今回急にやってもそこまで染みなかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
今まで『この作品の”世界”ってこういうもん』と、個別のキャラエピに重ねて積み重ねてきたからこそ、理不尽な断絶に飲み込まれていく少女たちに、一種異様な説得力があった。
この回だけでも、このトンチキアニメ見続けた意味はある…のか?
それは残りの話数、特にニコルの秘められたオリジンを見てからじゃないと断言できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
つーかあのツンツン女、最後の最後で最強の爆弾『実は幼馴染』をブッパしてきやがった…。
忘却と傷。刻まれた不滅と、顕にしないプライド。理不尽を跳ね返す”素材”は整っているので、次回の感情爆裂は楽しみ。
さてお話は、壁の指令がガツガツと少女を飲み込むところから開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
自分たちの存在を全否定する指令を、嘘だと思いたい少女たち。
しかし壁から吐き出された指令は、合田ちゃんという”大人”が握ることで一気に現実味を増す。
たとえ死刑執行スイッチでも、壁が言えばGIPは押す
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それはナナニジというアクターだけでなく、GIPという組織それ自体の首も跳ねるスイッチだが、合田ちゃんは感情を握り込んで押す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
なぜなら、我々はそういう存在だからだ。
壁が吐き出した理不尽にただ従い、それに乗っ取って進む。それしか許されず、そうしたからこそ成功もあった。
ナナニジが曖昧な笑顔で否認しようとする、理不尽な終わり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
合田ちゃんはそれすら引っ括めて”仕事”なのだと、子どもたちより早く飲み込む。
動揺はある。感情は乱れる。しかし、全てを跳ね返せるほど強くはない。我々は顔もない壁に向き合って、それに従うことで生きているのだ。
『扉が開く』という、フツーのアニメなら希望の象徴にもなりそうな演出が、全自動でナナニジがぶっ壊されていくスタートに使われるところが、このアニメらしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
迫りくる理不尽を前に、まだ過去を暴かれないニコルにフォーカスが合うが、主役が見ているのは擬人化され、対話可能な壁だ。
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壁ちゃん人形が特に表情を変えることも、個別の言葉を吐き出すこともないのも、このアニメらしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
それは『自分たちが自動的に、理不尽な存在の命令を飲み込むだけの存在だ』という事実を受け入れたくないから、人間サイドが勝手に貼り付けた人間味だ。
顔があって、愛着が湧いて、双方向の対話可能。
そういう幻想を支えに、ナナニジとGIPは『人間らしいアイドル稼業』を続けていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
しかしここで壁は、第1話の冷たく理不尽な無貌を取り戻す。
というか、もともとそういう存在だったことを忘れて、人間らしい交流を壁とも果たしていると勘違いすることで、ナナニジはなんとか走れたのだ。
それが嘘…というか、人間サイドの勝手な思い入れだったことを飲み込みきれないまま、みうはニコルの表情を見落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
そこにクローズアップするのは、全自動アイドル処刑装置が情け容赦無く、ブンブン回った後である。
こっからのハイスピードで冷たい残酷劇は、最高に人間味がなくて良かった。
何しろ壁の理不尽が根底にある組織だから、対外的な説明は一切できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
用意された脚本を、感情を交えず読み切り、世間が向けてくるカメラに対し仮面をかぶり続ける。
ここで感情が出ず、壁が望む役割を演じきれるのは皮肉な”成長”だろう。人形劇の主役、上手くなったじゃん。
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情け容赦のないメディアの追求は、ここまでナナニジを半自動で押し上げる原動力と裏腹だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
よく分からない、理解ってくれないマスを相手に巨大プロジェクトを回すことで、少女たちの充足は支えられてきた。
なら、理不尽に壊れるときもまた、マスに向き合わなければいけない。
人気絶頂での解散。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
理に合わない不条理に、一番説明を求めているのはアイドル本人だ。しかし個別の感情など関係なく、壁とその使徒たるGIPは動き、そこに棹をさす強い意志もまた、少女たちには動き得ない。
一旦引き返せないところまで、状況がマジで転がるところがナナニジアニメ。
普通こー、『発表直前で思いが通じて解散撤回!』とか、『八人の祈りが奇跡を呼ぶ!』みたいな、墜落寸前での急上昇が起きそうなシチュエーション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
しかしナナニジは全自動な破滅を一切止めることなく、世間的にも”解散”ってことになる。
そこに情けも容赦も都合もない。ある意味ご都合の塊だがな!
大きすぎる嵐の只中で、用意された脚本に一人反逆するニコル。その背中を、みうはようやく見始める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
凄い速度でアイドルの首を狩り飛ばす展開に、ニコみう巨大感情爆裂の下準備をジワジワ積むのは、なかなか面白い。デカイの頼むぜマジ…。
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かつてあかねの人生を蕩尽した、大衆の象徴たるオーロラビジョン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
処刑台に粛々と登ったアイドルに、ファンは己の思いをぶつける。
ここの交流も、これまでの画角が続いてやや遠い。ファンの顔見るイベントとか、一切やってねぇからな!!
同時に、ダイレクトに繋がらなかろうが、人の思いというものは何かを動かす力になりうるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
それはメンバーの過去を当人と視聴者だけに見せて、他のメンバーには見せないまま、アイドル活動に血を宿す源泉として書いてきたのと同じ筆致である。
中身を知ろうが、知らなかろうが。
感情の入れ物たる人間は、周囲に影響を及ぼしながら存在できてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
『秘められた過去が共有されて大感動! そのエネルギーで奇跡が!!』みたいな、普通の物語経済やんないストイックさが、最後まで貫かれるのかは注目ポイントだ。
他人のことなんて、判りゃしないんだよ。そこからスタートだ。
どん詰まりの暗闇で、足踏みを続ける少女。ニコルはクールに、一人明るい方向、孤独な未来へと進んでいってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
その態度が、傷を隠す強がりだと分かる程度には、みんな一緒にいたのだ。ここの陰気な色彩は、最高にナナニジアニメで素晴らしい。
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ここまでの物語…ナナニジの一年間を通して、みうはニコルの方をチラチラ見て、しかし決定的な踏み込みを掴み得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
唯一過去を公開されていないニコルが、鬼札としてこの状況をひっくり返す役割なのは判る。そこに、主役の目線がいかないとお話にならないのも。
しかし10話タメるのは凄いね…。
情け容赦のない世間の目は、下手くそな変装を貫いてみうを捕まえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
答えようのない追求からセンターを救うのが、光ではなく闇から伸びてくる手なのも、このアニメらしい転倒だ。
映像言語が全体的に独特で裏腹。素直に読めない屈折を、基本言語として作品を編む。
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ニコルがマスクを外し、タフに飲み込むもの。みうはそれに手を付けず、糧に変えれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
何があっても、アイドルであり続ける。こんな理不尽に、負けてたまるか。
そう思える原点が、何処にあるのか。それが暴かれることが、全自動な終わりを反転させる決定機なのか。
次回描かれるだろうニコルの過去へ、視聴者とみうの視線を上手く集める運びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
揺らぐことのない、強い視線。諦めを踏破し、大人であっても夢を見続けたいと…雪かきだけが仕事じゃないと自分に言い聞かせる、ニコルの答え。
それを、我らが主役は未だ腹に落とせない。
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ある意味みうは、三話以前のグジグジ主人公に戻ったと言えるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
なんだかんだ言って”主役”なんだから、彼女が発奮しないと話は収まらない。
既に”答え”を見つけてるっぽいニコルを起爆剤に、生粋のパンクスが自動装置にNOを突きつけるパワーを捕まえて欲しいもんだ。
ここからは、それぞれの敗北が描かれていく。個別回でディープに、それぞれの過去と人格を描いたのがよく効くシーンで、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
都の明暗。さくらと桜。あかねがガラス越しに見る自由な鳥。
事情を知ってる僕ら視聴者だけが、その意味合いを読み解ける。
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しかし判ったところで作中の現実にはなんの影響も及ぼせず、諦めきれない純ちゃんのあがきを、SNSに投稿することすらも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
次元を超えた視聴者様を、特権化しつつ阻害する。この距離の作り方も、”らしい”なぁ、と思う。あんま、お客のご機嫌取ってくれないよねこのアニメ…。
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純ちゃんが両親を前に笑顔を捏造したり、どうやっても諦めきれない想いを踊りに託したり、ファンを前に逃走したりする仕草一つ一つが、彼女の人格を反射していたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
どのエピソード、どのメンバーが自分に刺さったかによって、ここの個別スケッチは印象が変わるんじゃないかなぁ…いいシーン。
みうは前髪の向こう側、全自動なアイドル活動が生み出した余波を見つめている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
自分がやりたいこと。諦めたくないこと。
『やりたくないこと』を追い求めて始めた、大嫌いなアイドル。空疎で自動的で、何処にも自分がなかったはずの、嘘っぱちの一年間。
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ここでファン個別の言葉ではなく、SNS越しのなんか曖昧で、ボーッと実体のない好意を見せてるのは、嘘がなくていいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
だって実体あるファンと触れ合って、生身の確かな手応え感じるようなシーン一回もないもんこのアニメ。
成功は自動的だし、交流はメンバー限定で、なおかつ不完全。
しかしそれでもなお、”何か”が生まれる様子もまた嘘なく書いてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
成功へ続くベルトコンベアが反転し、抗いようもなく解散に突き進む今回。
当然といえば当然の帰結の中で、それでも自分だけが掴み得たもの、見つけたい場所があるとするなら…。
それを吠えることで、やらされていた雪かきは『やりたいこと』になって、話は収まる所に収まるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
そこまでさんざん、前髪の向こう側でウダウダグジグジするのも、このアニメらしさだろう。
ずーっとそういう、陰気で内省的なアニメだったからな…やりきって行こう!!
情け容赦なく、全自動な夢が醒め、お城が空っぽになった後。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
ニコルはアルバムに、己の原点を反射する。
みうが未だ掴めない『やりたいこと』への確信。
ニコルを支え、物語を反転させるだろう爆心地には、いつでも貴女がいた。
急に強い百合で殴ってくるんじゃないよ!!
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ツンツン確信女が、前髪ウジウジ女に10話どういう巨大感情を抱いていたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
作中最大の感情地雷が、炸裂するのが来週である。いやー…ニコみうは”ヤバい”と、ずっと思ってたんだよねぇ…(後出し識者っ面)
こういうのは好物中の大好物なので、ドッカンドッカン炸裂させてください。
その焼け野原から、処刑されたナナニジが再起動するパワーも生まれてくんでしょ多分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
冷たくて遠い理不尽と、その渦中にどうしても生まれてしまう人間味。譲ることが出来ない過去への思いが、顕にならないまま人を動かす不可思議。
ずっとそういうもの描いてきたアニメなんだから、最後もそれで。
そういう気持ちをしっかり作る、ナナニジ死刑執行回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
ボタンを押された処刑装置が、一切遅延も容赦もなくグルグル回り切る描写は、本当にこのアニメでしか描けなかったと思う。
下手な露悪や偏見抜きで、”アイドル”(特に大型企画の束もの)の特質を切取り、浮かび上がらせる。
そのスタンスは独自だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
一般受けは悪いだろうが、この屈折し考えすぎで分かりにくい語り口は、やっぱ好物なんだよなぁ…。
大型企画の一大勝負を、こんなトンチキに預けてしまって良いのか。余計な心配もしてしまうが、今最高に面白いよナナニジアニメ。
次回も楽しみッ! ”ニコみう”はありますッ!
しかし一般的には”陽”の記号として、前に進んだり何かが好転するだろう”光”を、世間の冷たさとか、これから始まる大処刑とかのフェティッシュとして活かす反転は、”アイドルアニメ”としてはやっぱ異色。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月15日
第7話鮮明な、届かない”生”の象徴としての、青すぎる空。方向性としては完全に”ミッドソマー”だ