petを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
狂った運命の歯車は、子どもたちを巻き込みながら回る。司の策略は、悟の疑念をも飲み込む。
檻の中の兎のように、孤独に震えるヒロキが見つける、メイリンの蝶。誰かに共感する優しさは、憎悪と欺瞞の泥沼に誘う罠。
あまりにも、あまりにも哀しい、ペット達の牢獄。その名は…。
そんな感じの、狂い咲く凶暴なる愛の讃歌、pet最終盤である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
破綻した仮面の奥に荒れ狂うエゴを隠しつつ、”会社”の冷たい論理に協調する司。
その謀略に、疑念を呑み込まれ怒りに塗り替えられる悟。
ヤマ親から離れても、誰かの日常に寄生し、透明に生きるしか無いヒロキ。
地球上の生物全てが重力に惹かれるように、愛ゆえに迷い、傷つけ、傷ついていく群像。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
『マジどうにかならないッスか…きれいなお山の中で、皆笑って暮らすってのは無理ッスか…』と、無理を承知で聞きたくなる因縁の牢獄。
絡み合う想いに、出口はあるんだろうか。
あって欲しいが、まぁ難しいよね…
そう自問自答せざるを得ない、蜘蛛の巣めいた愛憎の罠であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
誰かが誰かを愛し、誰かを憎む。
そういうシンプルな切り分けが出来なくて、愛ゆえに憎んだり、憎しみの奥に愛があったり、境界線が曖昧な人間の有り様が、様々に滲む凄みと切実さ。その境目を、もう定められない混乱。
petはスゲェぜ…
お話は悟とヤマ親、涙の対面から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
事実を隠し、”会社”の都合の良いストーリーでペットを操るための、偽りの会談。
しかしそこで流れる涙は、結構な部分本物だ。
悟の異能は『扉を開ける』ことで発現するが、現実だと毎回地獄の扉開けてるな…。
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ロンがドン引きするくらいの”名演技”は、真実が混じってるからこそ悟に刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
司だって本当は、会社の仕事もしたくないし、林さんを潰したくもなかった。
でもそんな、心のなかで抱え込んでいる”本当”になんの意味が、なんの力がある?
サイキックな暴力で他人を書き換え、犯罪組織に益をもたらす
嫌だろうが薄汚れていようが間違っていようが、そういう事をしないと生きていけない。なら、そんな現実こそが”本当”なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
…という仕事人の諦観も、司を染め上げてはいない。完全に破綻しているのに、その破綻に気づけない犯行計画で自分を慰め、会社とヒロキと自分のバランスを取る。
林を潰して以来…あるいは林と別れて、もしくは林に”ヤマ”を分け与えられ愛されて以来、司の世界はバランスを欠いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
”名演技”はぶっ壊れた心の中身が、会社の望む仮面の奥からはみ出した結果だ。社長との会合で、悪徳の食事を飲み込めず嘔吐したのと、この涙は重なっている。
同時に全てを顕にして、裁きと許しを待つ率直さも、司からは遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
逃げることも出来ず、会社の言うままにヤマ親を潰した。
だが『会社の言うまま』を自分に課したのは、林さんが言ったから。
でもそうあるためには、大好きな林さんを潰さなきゃいけない。
大好きな人を、慈しみ一緒に居続ける。人であることを当然望むのに、ペットとしてしか生きられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
そんな歪みと矛盾は、司をすっかりすり潰し、矛盾と謀略で固めた怪物にしてしまった。
むしろそのいびつなキメラをこそ、”人間”というのかもしれない。助けてやってくれ…多分手遅れなんだが…。
『林さんがそんなこと、するわけない!』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
ヤマとタニが混じり合ったメイリンの心象を前に、悟が吠える。
悟は自分の中の林さんを信じ、ベビーを作る非道を否定する。それは真実と合致しているが、”会社”が押し付けたい事実とは異なる。
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同じ”林の子供”同士、二人きりで心を通わせればいい方向に行きそうなのに、煙草スッパスッパのクソ大人たちが横から口出して、酷い方向に歪めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
『ヒロキは正義のために、林を潰した』
そういうカバーストーリーが、ジワジワとヒロキのイメージを書き換えていってしまう。
最終的に決定打になるのは、pet界の共有セキュリティーホールこと葛城さんの”記憶”だが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
司が『正義』を持ち出したのが、結構悟に刺さっているんだと思う。
彼は結構考えて、正しいことをしたいと思っている。なぜならば、敬愛する林さんは”正しいこと”を迷わない人だったから。
だからメイリン製造を強く否定するのだけども、望んで果たせない”正義”で林が潰されたという物語も飲み込んでしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
”正義”には、それだけの事を成しうるパワーが有る。だからヒロキも”正義”で林さんを潰したんだ。
だって俺も、”正義”を本当はしたいから。会社の檻を飛び出して、正しく生きたいから
『そういう考えを、同じく”林の子供”である司もどっかで共有しているから、悟に突き刺す毒として”正義”を選んだのかなぁ』と考えると、本当にやりきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
正しいこと…例えば、ヤマ親を潰さないこと。悪徳の紫煙が渦を巻く密室で、悟は司に問いただす。
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その追求から、司は目をそらし、背中を向け、顔をずらす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
桂木ほど現実を諦め、鈍感に生き抜く愚かさ(あるいはタフさ)が無いのだ。だからやせ衰え、凶暴な欺瞞を張り巡らせてでも、自分の中の幻想を守ろうとする。
他人に向けて貼った嘘と罠に、自分も捕まっているのだ。
異能者だけが踏み込める、記憶という証拠。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
通常不可侵の領域だからこそ、悟はそこで描かれたものが真実だと思いこんでしまう。
林から継承したイメージ、メイリンのような子を作らないという信頼を、自ら書き換えてしまう。
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これが、とても悲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
悟は自分の中の林さん、彼が体現する”正しさ”を支えに、大人の嘘を跳ね除けようとした。
しかしペットの異能、他人の心に入り込むのが当然の経験が、改ざんされた記憶に重さを与えてしまう。
普通人が確認すら出来ない、心の奥の風景。それを見るのは、悟の”当たり前”だ。
林から引き剥がされた痛みをサヴァイブするために、選び取った『考えない』という自衛。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
それがこの極限状態で顔を出して、悟を塗りつぶしてしまった感じもある。
でも考えた所で林さんは帰ってこないし、”会社”に逆らって生きるのはとても難しい。
正しくても、正しくなくても、まさに三界火宅なり。
かくして、悟は”会社”の用意したストーリーに呑み込まれ、その一部になってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
それが上手く動くように策を出した司も、後ろでほくそ笑むロンも。
それぞれ思惑を抱えつつ、”正しいこと”としてヒロキを回収しようとする。おお…最悪だ…。
他人の心を書き換えたり、潰したりするのは正しくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
そう信じて”会社”を飛び出したヒロキも、ペットの生き方しか知らない。檻の外側に出ても、他人の認識を書き換え、日常に寄生することでしか命をつなげない。
鏡の中の影、檻の中の兎としてしか、生きれない
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熱帯魚屋のままごとで描かれた生活能力と常識の無さが、グロテスクに哀しくあぶり出しにされて、ヒロキの奇妙な新生活はとても寂しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
人を潰すのは良くないと思いつつも、催眠で認識を弄って、カップルの私生活に割り込むことでしか生きれない。
ペットは何処まで行っても、そういう動物なのだ。
本当にそうなのかは、”会社”との因縁を生きのびてみなければ判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
それぞれの思いと異能がグチャグチャに混ざり合い、血みどろに潰し合う修羅場が、多分この後に待っている。
そこに虹がかかるかどうかは、走り抜けてみなければ見えない景色だ。願わくば、みな幸福な虹を見つけて欲しい…けど…
悟は”会社”の用意したストーリーを飲み込み、ヒロキに憎悪を燃やす。司はメイリンのケアを、そんなヒロキに頼む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
林の遺産が受け渡されかねない、危うい交流。ロンはそれを潰すべく、”ドア”を開けて司をヤマに乱入させる。
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司はなぜ、悟のヤマにメイリンを預けたのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
『ボーッとしてた』とは言うけども、心の何処かでヤマ親が残した”正しさ”が受け渡されることを望んでいたから、ポカをやったんじゃないか。
そういう事も、ちょっと考えてしまう。…”望んでしまう”か。司の良心が未だあることを、僕は願ってるんだな
林から継承できなかった虹と蝶が、舞い踊るヤマの景色。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
林を潰したことで、司のヤマはもうズタズタだ。自分の心をどれだけ覗き込んでも、澄んだ水も美しい虹も舞い踊る蝶も、何処にも見えない。
それを羨むってことは、司もやっぱり正しく、楽しく、美しく生きたいのだ。決定的に間違えきってるけど…
ヤマに入られるということは、心をいつでも潰されるということだ。メイリンには優しく微笑んで居場所を預けた悟も、司が侵入した瞬間にドアから脱出する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
その危惧は正しい。
林の、自分の、ヒロキのヤマ。壊してしまえば、ずっと一緒に入られる。
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ぶっ壊れた林のケアを、悟には譲らず独占する歪み。たどり着いてしまった最悪に、少しでも救いを求めようとする浅はかさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
それが、もう一人の最愛に牙を剥くまで、もう時間はない。
『オメー本当にそれで満足かよ…』と聞きたくもなるが、外側の声を聞く余裕は、もう司には無いのだ。
ズタズタになって/して/されてしまった現実を、滅茶苦茶なロジックで繋いで、破綻したまま折り合いをつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
人間の心はそういう、狂ったタフさを持っていると思う。あらゆる方向で矛盾し続ける司の言動は、”正しさ”を求めつつ果たせなかった怪物の末路であり、あまりにも人間的な肖像だ。
一方ヒロキは、鏡に自分を写しつつ、過去の行動を反省する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
司が一番苦しくて、助けを必要とする時に逃げてしまったのではないか。
それは林さんすら思い至れなかった、とてもタフな内省だ。責任ある、立派な”親”の視点ともいえる。
自分の苦しさより、愛する人の痛みを思う。
そういう成長に答えを出せないまま、蝶を手繰って因縁がぶつかり合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
悟、『ニューモデルだぜ!』じゃないんだよ! お前のドアの使い方はそうじゃないだろ!!
例えば大人が暴れるのを怯えてみてるメイリンたんを、ドアから逃してあげるとかさぁ…。
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炎と悪意、嘘と情念が渦を巻く地獄の中で、子どもたちは出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
司はヒロキを潰したいのか、守りたいのか。
悟は正しさを信じたいのか、嘘に飲まれるのか。
ヒロキは何を求め、何を掴むのか。
何もかも、この炎の中で塵に帰っていくのか。
それとも、檻の中の蝶は広い空へ、旅立っていけるのか。
それぞれの思いが入り混じりつつ、最終決戦である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
はー…辛いッ!(クソデカため息)
司が”会社”の走狗に落ちつつ、心のどっかで『ヒロキを生かす!』とヤマ親っぽいことちゃんと考えてるのが、マジで辛い。
それと並走して、潰して完全に支配するヴィジョンも見ちゃってんだよなぁ…。
ヒロキが支配し、支配されるだけの”親子”を越えた、人間としてお互いを尊重できる関係を強く望んでいるのも、それが果たされぬゆえに哀しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
人間として当たり前の願いを、”正しい”はずの現実はすくい上げてはくれない。祈りを常に裏切られながら、人はみな、空を夢見るのだ。
林さんがメイリンに残した遺志が、そんなどん詰まりを突破する契機となるのか。渦を巻く悪意と迷妄を、子どもたちは突破しうるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月19日
物語は、まさに佳境。
正直無茶苦茶シンドいです…でも、見届けなきゃなぁ…。次回も楽しみ!!!(空元気と本気の入り混じった絶叫)