ドロヘドロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
契約に縛られたニカイドウは、容赦なくカイマンに拳を突き立てる。
飛び散る血飛沫、千切れる友情。加速した闘争は、アスの介入により新たな局面を迎える。
失われた記憶と、暴れ狂う暴力。
奇妙な物語の行く先…それはまだ、混沌の中。
と、言うわけで! アニメドロヘドロ、最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
終わってねぇー! つうか新たに始まった所で終わったッ!!
まぁ原作18年続いてモリモリだし、そもそも混沌の中を這いずるような、道の見えにくい話であったので、新たなカオスに飛び込む終わりは非常に”らしい”。
ニカイドウからは契約書が摘出され、カイマンとも指切り出来た。何も判っていないのに、一番大事なものはちゃんと確認した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
超ハイクオリティでウロウロと、笑いと生活感と血飛沫をごたまぜに進んできたこの物語、こう終わる(もしかしたら続く)のは凄くシックリ来る。
友情決裂、緊迫のヒキから急に学園モノが始まった時はビックリしたが、栗鼠の過去もまたノンビリスクールライフとは行かず、血と暴力と友情に汚れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
どれだけ真面目に鍛錬しても、特別な存在になりえない焦り。それを救い上げる十字眼。
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魔法は使えずとも、友を篤く思いやる(ついでに、ナイフで敵をズタズタに切り裂く)会川は、栗鼠と背中合わせ、仮面を外して会話する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
遠い思い出の中にしかない、確かな縁。この二人の関係も、カイマンとニカイドウに響き合って面白い。
登場人物が、個別の物語を背負いつつどっかで呼応する構造ね
ダチとの決別を経て、栗鼠は十字眼の組織と関係を深め、殺された。空白の記憶を取り戻すべく、過去が眠るベリス村に挑む直前に、ふと思い出した懐かしい顔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
結局誰もが迷い路の中、友情を追い求めている。そういう話なんだろうなぁ…。
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この作品では、魔法使いは仮面を付けているものだ。だから、仮面を外す/付ける行為には結構な意味がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
会川が友情を語り、分厚いハムに齧り付く人間性を見せた時は外されていたものが、別れの瞬間には付け直されている。
栗鼠はもういちど、仮面を外したダチと再開できるのだろうか?
一方もう一つの友情は、激しい衝突を繰り返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
契約の魔力に縛られたニカイドウは、カイマンの言葉に耳を貸さず、重たい打撃を繰り出してくる。激闘は床を砕き、二人の戦いはより深く、暗い場所へと堕ちていく。
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鳥太の呪いに呼応するように、カイマンは偽物のパイオツを切り裂かれ、ガスマスクを引っ剥がされていく。照れ隠しとか婉曲表現とかではなく、ガチで死んで欲しいと思ってる辺り、鳥太はドロヘドロ力高いな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
血が流れ、命を取り合う。普通なら友情がぶっ壊れる危機だ。
しかしこのお話では、暴力は呼吸のように当たり前であり、死んで蘇る行為は何度も顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
切り裂かれたものがツギハギされ、その場しのぎが本物になっていく。何が正しいか判らない混沌の中で、それでも何かを探し求め、しかしその意志が正解を掴むとも限らない。
物語のスタンダードを外した展開は、友情よりも暴力に突破口を見出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
鏡の向こうで囁く悪魔に、己を失って友を殺す。悲劇のはずなんだが、これが決定打になる所がドロヘドロでカイマンだと思う。
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カイマンを魔界までつれてきた、友情への信念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
それはニカイドウを前に無力で、殺されかけて殺してしまう。死にかけのニカイドウを蘇らせたのも、契約書を引っ張り出し正気を取り戻させるのも、悪魔であるはずのアスの役目だ。
最終話まで、つくづく主人公っぽいことが出来ない男である。
そう、カイマンは主役っぽくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
雑魚には強いけど猛者相手には負け続きだし、状況を見通す冷静さも持たない。
熱い感情を沸き立たせようにも、白紙の記憶は乾きをもたらす。
すぐ暴力振るうし、衝動主義者だし、運命を掴み取る特別性もあんまりない。
だからこそ、カイマンはこの話の主人公なんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
そもそもにおいて、このお話では”正しさ”なるものは機能しない。
善悪は転倒し、未来は見えず、全ては薄汚れた混沌の中。そんなカオスの中だからこそ、虚飾を剥ぎ取った輝きが一瞬、確かに光る。でもそれは、すぐ血に埋もれていく。
そういう話のど真ん中で、迷ったり間違ったり情けなかったりを繰り返しながら、一歩進んで奈落堕ち、三歩進んで地獄行き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
なかなかニカイドウを信じきれない不甲斐なさ含めて、カイマンは最終回でも(だからこそ)ドロヘドロの住人だ。
ホント、当事者性薄い主役だなぁ…。
悪夢の迷宮で揺らぎつつ、カイマンは自分を取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
それは『魔法使いは殺す』というルールに縛られた、記憶のないチンピラ…であり、なにもない所に”カイマン”という名前と餃子の味を焼き付けた、ホールの住人だ。
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ホラーシーンのおぞましい闇、鋭い表現力に最終話でも感心させられつつ、”カイマン”の起源を僕は知る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
そこにはやっぱり、友情がある。血みどろに殺し合い、死すら冒涜して乗り越え、何も見えない迷妄の渦に飲み込まれていくとしても。
始まりにも、たどり着くべき未来にも、答えはいつでも”それ”だ。
そのはずなんだが、カイマンはすぐさま答えにはたどり着けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
そういう男なのだから、魔法使いは頭から齧り付くし、土壇場でもギャーギャー騒ぐし、ピンチからの脱出はアス任せである。悪魔の方が主役っぽい!
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アスは悪魔としての生き方を捨てて、ニカイドウに報いるべく全力を尽くした。過去を乗り越え、信念に殉じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
迷えるカイマンが、そういう”正解”にこの先、たどり着けるのか。
アニメで続きが見れるかはさておき、主役コンビがそこに思い悩めるのも、アスさんの侠気あってのことである。
一方煙ファミリーはどっかノンキで、追放するはずのホール人には焼き肉振る舞うし、ボスはアスの欺瞞工作に綺麗にハマる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
煙に愛されるなら、殺したいほど悪い相手の皮を被るのも、悪魔にヘーコラするのも余裕。鳥太いいキャラだなぁ…。
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ここでアスが偉ぶって悪魔マウント取りに来るのも、彼を”英雄”にし過ぎない塩梅で凄く良い。キラキラ完璧な善人(善悪魔?)描かれても、ドロヘドロっぽくないからな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
それはどっかマヌケに、友情煙幕に騙されるボスにも言える。
皆完璧ではなく、かといって善良にも過ぎず、ハンパなツギハギだ。
そういう連中が時にぶつかり時に支え合いながら、生きたり死んだり生き返ったりする浮世草子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
ぶっ飛ばされた先、悪魔の街でカイマンとニカイドウは、大事なものを確認し合う。廃墟の美術が、最高にイイ…木村真二美術監督、ありがとう…。
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記憶を奪われた、蜥蜴顔の殺戮者。それに寄り添う、嘘まみれの魔法使い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
お互い秘密や空白を抱えつつも、それでも出会って、笑いあって、生きてきた。
殺し合いもしたけど、友情はまだまだ元気で、それだけははやっぱり嘘じゃない。
何もなくても、ないからこそ、未来に指切り。
その約束が、呪いとなるか祈りとなるか。どんな運命を、悪魔飛び交う廃墟から切り開くのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
それは全て、混沌の只中だ。何もかもが不明なまま、人生という舞台を役者たちは、堂々歩いていく。
十字眼の猛者たち、アニメで動くところ見てぇ~。
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何もかもが道の途中で、明瞭な見通しも分かりやすい決着もない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
モロに”続く”な終わりなんだが、妙に爽やかで納得する部分もある。
飯を食って、殺して殺されて。非常にゴアでバロックな形なれど、タフに継続していく”生”を描き続けるお話は、これで良いのかも知れない。
まぁ見通しの良いスッキリした構造求めるなら、こんな魔窟にわざわざ足を運ばないわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
最後までギトギトした混沌が、複雑に絡み合い混じり合わない展開になったのは、僕は凄く良かったと思います。
いやでも、続きはアニメで見たいよ。本当に面白くて、良いもん見れたからさぁ…。
夜闇に灯火のように、お互いの身を寄せるカイマンとニカイドウ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
繋いだ指切りは、不鮮明な未来を照らす確かな明かりか。それとも、秘められた記憶には漆黒が待つのか。
その全ては、未だ混沌の中。かくして、奇妙な人生は続く。
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そんな感じの、ドロヘドロ最終回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
いやー…面白かったな!
ドラマ的にもキャラ的にも絵面的にも、無茶苦茶クセの強い作品の魅力を120%、超ハイクオリティ&ハイテンションにブチ上げて描きぬいてくれました。
ホントこの質の高さを、12話ぶっ続けたのはクレイジー。
殺しは当たり前、死んで蘇るのも当然。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
ノリと命が紙のように軽い世界を、暴力的に爆走する異形達の生命力。そこに軋む、確かな人間の証。
乾いた感覚と湿ったヒューマニティを、非常に良いバランスで駆動させ続けたのは、とても良かったです。
バラエティ豊かなアニメだったね、野球もしたし!
魔法が荒れ狂う異世界の美術が、下世話でありながら圧倒的に美麗な存在感を持っていたのも、本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
作画のクオリティは、バイオレンスシーンの奇っ怪な”美”とか、血みどろゴア人間が見せる不可思議な輝きとかでも元気で、非常に良かったです。
能井の睫毛が毎回バッチバチで素晴らしかった。
分断され、漂白され、混迷に落ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
己が何者であるか、人が何をするべきなのか。答えとなるものがなんにもない混沌を、それでも過去を求めガムシャラに進む。バラバラに砕かれても、ツギハギに治して必死に生きる。
そういう物語を、鋭いビジュアルと溢れるセンスがシッカリ支えていました。
個人的には、”食事”の描写が毎回シズル感満載で、すげー美味そうだったのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
人倫のゴミ溜めだろうがこの世の果てだろうが、人間は生きて飯を食う。そういう生活を共有することで、確かに生まれるものが命を支える。
食事描写の切れ味が、作品の背骨になってた感じはあるんだよね。
猥雑で魅力的な世界を、華麗なる超暴力で駆け抜けていくキャラクターも、軒並みキレッキレでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
デザインの強さ、生き様の颯爽も良いんだが、声優陣が軒並み好演で、奇妙な世界の住人に命を吹き込んでくれました。
やっぱ細やんの声はセクシーだよなぁ…心先輩すっごく良かった。
記憶の迷宮を行ったり来たり。出口が無いようで、確かに進んでいるようで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
混沌とした物語をテンポとセンス良く、活力満載で推し進めてくれたアニメでした。非常に面白かった。
今までの語り口に嘘をつかず、最後まで謎は山盛り残る…っていうか増えて終わりましたけども!
こんだけ良いものを見せられると、やっぱ”続き”を見たくはなるんですけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月30日
しかし同時に、非常に骨の太い満足感と感謝が、じんわり湧き上がってくるのを感じます。非常に良いアニメ化であり、見事な表現だったと思います。
アニメ・ドロヘドロ、面白かったです、ありがとう!!