かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
遂に迎えた、生徒会選挙本番。石上は優勢を越えた徹底的な勝利を求め、ミコは緊張に震える。
対立候補の自滅で終わろうとした演説を前に、白銀御行は一歩踏み出す。
支えてくれるお前らに、恥じない俺でいるために。
そんな感じの一大イベント決着ッ! な第六話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
ミコちゃんという”外部”を置くことで、生徒会室から出たメンバーが見れたのが、振り返ってみると収穫かな、と思う。
ドタバタやかましい醜態ばかり見てきたけども、傍から見るとコイツラ、貫禄ある立派な若人なのよね…。
親しい仲間に支えられ、生まれる見栄と張り合い。それに恥じないように強がっている内に、実際大した人間になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
『恋愛頭脳戦』とはまた違う角度から、フカシと強がりに満ちた生徒会生活が何を生み出しているか、確認できるエピソードでもあったか。
畠山監督の切れの良いコンテが冴える今回、話はシャープな陰影から入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
伊井野ミコに、徹底的に勝ちたい。
低体温な会計が、突如見せた静かな熱血。
その裏側で、震えるミコ陣営の弱々しさ。
この段階で、勝敗それ自体は問題ではない。
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上がりっぱなしのミコちゃんも応援したくなったが、瓶底眼鏡に分厚い友情を隠したこばちちゃんが相当に”人物”で、今回でグッと陰影が付いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
トンチキなギャグを矢継ぎ早に繰り出しつつ、ナイーブな傷や友情の描写も強く押し出せる。作品の器用さが、勝負どころで活きた印象だ。
ミコ陣営が”勝てない”雰囲気作りは、周到に組み上げられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
必死過ぎて遊びと計算が足りないこばちの演説と、アクシデントを装い衆目を集めるかぐやの智謀。普段は怠け気味な石上も、”勝ち”を引っ張るべく全力で演出を組み立てる。
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外野から見た生徒会が、どれだけ”強い”存在か判る面白いシーンであるが、ミコちゃんの仕事は引き立て役ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
彼女の不器用な真摯さに、生徒会メンバーがどう向き合うか。それぞれの性根が見えてくるのが、この選挙の面白いところだ。
『真剣なやつが笑われるのは、面白くない』
シニカルな態度の奥に隠した石上くんの本音が、モロっと出てくるのはとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
なんだかんだ生徒会でバカ騒ぎする内に、バカ真面目な会長に感化されたのか。はたまた、そういう資質がもともとあったのか。
こういう勝負どころで”体温”見せてくるから、石上くん好きだよ…。
石上くんにしてもこばちちゃんにしても、生真面目さをあざ笑う『普通』に苛立ちつつ、決定的な変化は掴めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
無力で真摯な祈りを引っ張り上げて、堂々カッコいい完璧を演じきる。そういう仕事は、やっぱり我らが会長の見せ場である。
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会長がどんだけ小市民でダメダメで、それでも頑張って愛しのかぐや様に釣り合う自分を捏造しているかを、僕らは見てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
そのカッコつけは恋だけではなく、怯えつつも正しさを求める少女と、それが報われて欲しいと願う者たちを救ったりもする。偉い。圧倒的に白銀偉い。
今回はシーンの受け渡しが凄いキレてて、シャフトで経歴詰んだ畠山監督の”味”出てるなぁ、と思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
凶暴な色彩でマイクを照らす光から、回想に入る流れの気持ちよさとかすんごい事になってる。
センス良くトリッキーなの、好きだなぁ…
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片目隠しの陰気ボーイが、ホットになっちまうほど溜め込んでいた鬱屈。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
いつでも正しくて、いつでも報われない女の子の輝きを引き出して、カッコよく勝って欲しい。
そんな身勝手な祈りを、先輩は堂々引受けて、掟破りのタイマン討論へと持ち込む。
我が子を正しさの犠牲にしてしまう環境を、恨むことなく己も正しく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
そんなミコの幼少期から、こばちは寄り添ってきた。彼女もまた、ミコの正しさを世界に受け入れて欲しいと祈りつつ、叶えられなかった。
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地球儀の照り返しで、ミコが包囲されてる世界規模の”正しさ”…その暴力性と空疎を演出するセンスとかマジスゴイと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
石上くんもこばちちゃんも、全てを救うヒーローを求めつつ、成れない自分を思い知っている。
敵味方に陣営は別れつつ、実は願っているのは同じことだ。
その祈りを引っ張り上げて、ヒーロー参上とカッコよくキメるのが、僕らの主役である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
顔の見えない遠い悪意に震えていたミコは、会長個人を目の前に置くことで、不要な緊張からようやく開放される。
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差し出された救済に、ミコが何を見つけたか。あまりにも”陽”の気に満ちた生き様に、複雑な心境のかぐやの顔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
キャラクターの地金が激しく擦れ合う見せ場に相応しく、スムーズでトルクのある演出がグイッと唸る。
個別の相手や問題に向き合う時は優秀だけど、透明で顔のない悪意に弱い。
ミコのそういう資質は、蛇の巣で悪意の泳ぎ方を学んだ”冷たい”かぐやと、面白く正反対だなぁ、と思ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
そしてどちらも、一人間として一人間に向き合う白銀御行の生き方に、大きく救われてもいる。
討論をアドリブで適切に回すには、知識と胆力が必要。白銀くん、なんだかんだ真面目だなぁ…
演説開始時に遠く離れていた聴衆は、会長が顔の見える個人としてミコに向き合うことで、グーッと近づいてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
その距離感こそが、彼女の正しさがしっかり噛み合う間合いであって。
今まで失敗に終わった演説は、遠いものに対峙しすぎたのだろう。
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己の票田が危うくなるほど、対峙した相手の魅力を引き出し、その正しい輝きを強くする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
まさに王道ともいうべき勝ち方をキッチリやりきって、
会長の名前に花が乗る。
いい具合に負けさせられた事実を感じつつ、ちゃんとショックは受けるミコちゃんが好きよ。
今まで顔のない悪意を突きつけてくるだけだった群衆は、
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
ミコの素顔を受け止め、応援してくれる。こばちちゃんも思わず涙、おじさんももらい泣きである。
討論という形で一回プロデュースしたのでは終わらず、その先を見る。
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かぐや様のことばーっかり考えているようで、存外色んなやつの笑顔を考えられる白銀くんの”器”が、よく見える選挙であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
その博愛が、”陰”の存在であるかぐや様をヤキモキもさせんだけども、そこひっくるめて全部”正解”しちまうからなぁ会長は…偉い男だよ。
会長が今回カッコいいのは、彼が強くて優しいからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
強がって背伸びして、誰かの笑顔を沢山生み出す。ヒロイズムの地金が、アーパーなコメディを支えているように思う。
こういう所で点数稼いでおかないと、普段がダメダメすぎて忘れちまうからな…彼がヒーローだってことを。
かくして王道制覇を為した会長であるが、その裏で奔走したかぐやのよろめきを、未だ知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
まーたこの娘は、心がヘロるとすーぐ早坂お姉ちゃんの胸に頼って~!
ホント早坂いないと、かぐや様は完全にぶっ壊れてると思う。
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噴水を挟んで明暗裏表、会長が知らない裏事情と、かぐやが知らない表舞台が交錯する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
知る/知らないのダイナミズムを、大胆なカメラワークで魅せる演出も良い。
会長が自分の弱さを知られたくないように、かぐや様も自分の黒い強さを、想い人には知られたくないのよね…。
光の当たる場所で、会長は堂々強敵を生徒会室に誘い、仲間を新たな旅立ちに選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
オレンジがかった暖かな光が、戦い終わって動き出す”風”を爽やかに描きつつ、かぐや様はマジ”陰”である。重いんだよなぁお前だけ…。
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保健室でモダモダ独り相撲してるかぐや様と、それを静かに見守る早坂のやり取り。”陰”を知る相手だからこその、ヒステリックな甘え。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
それが会長の踏み込みでスパッと切り取られ、顔を隠すシーツが場面を転換する。気持ちのいい受け渡しだ。
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早坂が姿を消した窓の外、シーツに隠れて見えないかぐやの表情、その向こうにある会長の真心。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
秘し、隠してなお溢れるものが思わず繋がって、お互いのあり方を変えていくダイナミズム。
この1シーンに作品の魅力、面白さの核が詰まってる感じだった。”秘”の面白さ、可憐さを上手く使ってる作品よね。
普段は強気にクールを装っている(そして間違えまくる)会長も、王道制覇の余韻を受けて、真っ直ぐに思いを伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
何も出来ない俺だけど、お前等が支えてくれるから正しくあれる。
だから、嘲笑って自滅を待つような生き方は、したくなかった。
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ダメ人間大暴れのドタバタコメディが、どういう”芯”を背骨に入れてるか。それがこの保健室のやり取りに、よく現れていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
かぐやが育んでしまった暗い部分に、寄り添い見守ってきた早坂の言葉が、風に吹かれて夕景に溶けていく。
会長が放つ光と交じることで、心に巣食った氷も溶けるか。
それはまだまだ、青春を駆動させてみないと解らないところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
まぁ惚れるにはいい男だよ、白銀御行は。強がりだしバカだけど、人生の問題集は間違えねぇからな…。
やっぱ主役が尊敬できる人格、確かなヒロイズムと人間味を持ってると、ラブコメは面白く感じるネ。
かくして新たに陣を整え、輝かしい学園生活へと二期目の生徒会が漕ぎ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
そこには馴染みの面々だけでなく、新たに扉を開けた仲間も加わる。
ミコちゃん…想像を超えたダメ人間の巣だけど、多分楽しいから頑張んなよ!
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そんな感じで綺麗にまとまる、生徒会選挙・完結編であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
ミコちゃんのキャラを描く中で、石上くんが秘めてる熱血、会長のヒロイズム、かぐや様の陰りと、色んなものが見えて面白かったです。
それを切り取る画角も、センスとテンポが良く鋭かった。画作りの強さあるよなぁ、このアニメ…。
かぐや様がモダモダ自己嫌悪する”陰”を、会長天性の”陽”が知らず包み込んで変えていけると安心させてくれた、保健室のシーンも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
四宮の娘として、人間の暗い部分に過剰適応しちゃったかぐや様の変化って、作品全部使って取り組む課題よね…その一環として、多分恋もある。
新たな仲間も加わって、バカに青春に、生徒会もさらに加速していくでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月17日
小気味いいコミカルも、ハイセンスな見せ方も、重めのシリアスも闊達自在、冴えた筆で描きぬく作品の強みも、たっぷり堪能できる中盤の山場でした。
いやー、面白かった。次回以降も楽しみです。