BNA ビー・エヌ・エーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
狼神を偽る偶像として、アニマシティに訪れたみちるの親友、なずな。
晴れない心を抱えるみちるに、空から降り注いだ青天の霹靂。気楽で自由な信天翁は、軽薄の奥に何を隠すのか。
蠢き出す、人と獣の謀略。
空にすら、権利と不自由が蓋をしている。
そんな感じの獣人シティジュブナイル、後半戦開始の第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
アランCEOと銀狼教団、二つのきな臭さがアニマシティに”定住”する中、空のノマドたる渡り鳥が屋根を突き破り、みちるに空の広さと狭さ、両方を教えるエピソードとなった。
権利闘争、獲得された人権と責任、テロルと茶番劇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
毎回色んな角度から世の中と自分を学んでいるみちるだが、今回の授業は難しくて重たく暗い…”大人”の話である。
世界でたった二人の獣人患者として、生育途中の子供として、複雑さの只中に身を置いているみちるにとって、必須の課題ともいえる。
自由に見える空に不自由があり、権利は屍で支えられ、素顔に見えるものが仮面でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
裏と表が複雑に交錯し、嘘と本当の境界線が簡単には引けない現実を前に、未熟な少女に何が出来るのか。
教団とシルヴァスタが街に根を下ろし、陰謀が加速するだろう後半の、足場になりそうな物語となった。
”空”は自由のフェティッシュであるが、今回は初手からそれを否定してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
獣であるワタリアホウドリは通行の権利を認められているのに、獣人であるピンガは”人”が交じるからこそ、地上に引かれた国境に縛られる。
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権利など手に入れず、野の獣でいたほうが、自分を縛る鎖は少なかった。人間の束縛はただ不自由なだけでなく、沢山の命を奪い、声を圧殺してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
後に明らかになるピンガの出自、抱えた主張を思うと、銃で武装した鋼鉄の鳥(よりにもよって”イーグル”。アルバトロスよりスコアが悪い)との対話は重い
銃火で追い立てられ、地上に縛り付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
空のノマドの生活様式、積み上げてきた血のプライドを踏みつけにする、人間国家の当たり前。
その輝きを手にするために、兵士として身を捧げもした。しかしそれは、愚者の黄金でしかない…のか?
答えを掴むために、ピンガは獣人の街に堕ちていく。
上から下に降りるピンガの動きと、下から上を見上げるみちるの目線は交錯し、派手に屋根をぶち破る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
親友と思っていた人に敵意をぶつけられ、自分が親友と向き合えるほど善良ではないかも知れないという疑問に、心を苛まれる。
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答えを掴めないまま投げたボールは的を得ず、みちるは重たい曇天に心を閉じ込めていくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
その重苦しさは、何も知らない愚かしさを剥ぎ取り、自分と世界がどう在るべきか見定めるのに必要な、蛹の苦しさなのかもしれない。
しかしそんな感慨は、青春ど真ん中で苦しむ当人には関係ない。
スカッとしたいし、答えも欲しい。『それも青春だよ』なんて訳知り顔は、ずぶ濡れのみちるには勝手な言い分だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
そして彼女は行動の人でもあるので、閉ざされた場所でくさくさしているよりも、合いた風穴から身を乗り出し、激しい風の只中で学んだ方が性に合ってもいる。
ピンガは墜落という形で、みちるの憂鬱に風穴を開ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
破壊と革新の力は実は双方向で、ピンガにとってもみちるは穴を開け、光をもたらす存在になっていく。
出会いと日常の描写に、抜かりなく後半のシリアスの種を蒔く筆致は元気だ
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みちるは高く危うい場所に不用意に登って、感じられない風に煽られ、堕ちかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
ピンガは信天翁としての獣相を顕にすることで、彼女の命を救助する。アニマシティのモブ達が、暴力や無理解の表層として獣人化している場面の多さを考えると、彼も一般的なBestialityとは違うものを持っている。
手を伸ばし、繋ぐ。翼を拡げ、風を感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
『落ちる→救う』という流れも過去エピソードで幾度か繰り返されているが、出会いの段階でみちるとピンガは、お互いがお互いの窓であり、光であり、翼であるような繋がり方を果たしている。https://t.co/kCY1dYMA04
この段階では、みちるは”飛ぶ”こと(正確には、”飛ぶ”という可能性に向かって狸らしく化けること)を、自分の属性に出来ていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
そうするためのヴィジョンも切実性もなく、飛ぶことを生業とするピンガに助けられ、教えられる”子供”だ。
しかしその未熟な世界は、どんどん変化していく。
ピンガと出会い飛ぶことが、ただのアトラクションではなく、世界の実相を教える授業でもあること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
何も知らない子供であることに甘んじず、また、そうさせてくれるヌルい場所を追い出され、一人間として己を修養していく歩み。
みちるは今回も、街という教室から一つ学び、一つ変わる。良い生徒である
そんな街もまた、外部から持ち込まれ、内側でうねる変化に翻弄されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
銀狼教団との距離感、スポンサーの横槍。市長は難しい舵取りを強いられ、笑顔の仮面の奥で策謀が行き交う。
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オープンエアで親しく、風通し良く出会ったピンガに対し、アランと大神は一線を引き、強いディストーションのかかった舞台で遭遇する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
”人間”への警戒を隠そうともせず、差し出された手を繋ごうともしない大神の、実体験に裏打ちされた警戒と智慧。
無防備なみちるには、未だないもの。
それが街を…そこに刻まれた理想を守るために必要な武器だからこそ、大神はニヒルでシリアスな態度を守り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
戯けた侮蔑を隠そうともしないアランに、牙を剥く大神。それはただ、”人間”への嫌悪から生まれた反応ではない。
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高くて歪んだ場所から、ずっとアニマシティを見下ろし続けてきたアラン。彼が満を持して堕天(あるいは降天)し、己の望みで縄張りを汚そうとする時、狼は怒る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
市長のように表には立たないが、矛盾だらけのアニマシティは大神にとって誇りの源泉、守るべき理想そのものなのだろう。
だからこそ、”気まぐれ”なんぞで…あるいはその稚気に本音を隠してかき回されては、たまったものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
むっつりと自分の本音を隠し、ハードボイルドに街を駆けてきた大神が、譲れないものを顕にするシーンであった。
様々な矛盾に現地で対応しつつも、大神さんはアニマシティが好きなんだなぁ…。
牙を隠しきれない幼さは、みちるにどこか通じる気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
揺るがない確かさを大人びた無表情に隠しているようで、熱い血潮が心臓に流れている。そういう存在だからこそ、時に反目しつつも”大人”と”子供”は隣り合って、影響し合えるのではないか。
そんな凸凹バディの描き方が、僕は好きだ。
ピンガはみちるを背に乗せ、みちるはピンガの翼に支えられて、共に空を飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
一瞬の遊覧飛行は気楽には終わらず、みちるは獣人生の複雑さを、会話から教えられることになる。
話が獣人権に差し掛かると、画面にも影が伸びる。
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テロルを抱えて街に滑り込んだピンガは、気楽な仮面を抱えてみちるに楽しさだけ与えて、自分の勝負に踏み込ませないことも出来たはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
しかし彼は、自分の抱えた重荷をみちるに少し預け、思い悩む人生の複雑さを、一緒に考えるパートナーとして、背中を預ける道を選ぶ。
それは一瞬の”気まぐれ”なのかもしれないが、同時にひどく重たくシリアスなものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
人間から獣人に唐突に変異したみちるは、ピンガが持つ血縁、信天翁達の歴史を持っていない。空に国境が引かれ、人の法が銃弾となって命を奪うシリアスさを知らない。
でも、知らないままでもない。
背中越しに語られる、血と風に彩られた複雑な歴史。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
それが他人の話であると同時に自分の話でもあると受けとめる感受性が、シリアスな生真面目が、みちるにはある。
ピンガもそれを感じたから、自分(達)のシリアスさを、何も知らない子供に預ける気持ちになったのかも知れない。
みちるが何も知らず、浅はかで愚かなガキであると、執拗に重ねていく筆が僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
皆、そういう存在として世界にある。しかし愚かで未熟なままではなく、翼と心を拡げて変わっていける可能性と希望も、共にある。
そこに説得力を持たせるためには、”不足”をちゃんと書くのは大事だろう。
みちるは未だ”化ける”能力を、決定的な変化には結び付けられない。少女が世界を革命しうる存在だと、己を証明するのはいつでもクライマックスだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
しかし劇的なる変化に鋭さと重さを与えるためには、ここまで積んだような発見と確かな変化を、ちゃんと書くのが大事だろう。今回の飛行も、その一環だ。
みちるが新たな風に素直に己を晒すのに対し、アランは獣人のスタイルに手を伸ばしつつ、それを地面に投げ捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
理解者を装い、獣人の食い物を口に含んだ上で『飲めたもんじゃない』と吐き出す悪辣は、世知のイヤーな味がする。
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『飲めたもんじゃない』は”気まぐれ”などではやはりなく、獣人のあり方を吐き出す結末は、口をつけた時から決まっていたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
相手の内側に入る/相手を内側に入れるチャンスがありつつ、それを拒絶する。アランと街の関係は、『それでも知りたい』と願ったみちるとは正反対だ。
おそらくラスボスポジションだろうアランの人間性を、ジワジワと積み上げる今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
信頼ならず、幾重にも嘘が重なり、他者を尊重もしない。
そんな”大人”の悪しき部分を、子供の稚気で煮込んだような表情には、大神ならずとも牙を剥き警戒したくもなる。上手いムードの作り方だ。
アランの不穏さは後々爆発する地雷として、今は空から降り注いだ爆弾との対応が、街の急務である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
みちるが楽しそうに、広い空だけを見る後ろでは、ピンガと大神がお互いを窓越し、しっかり認識している。大人の視界は広い。
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大神とピンガの間はガラス張りで、『見る/見られる』という相応が成立している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
街を守るもの、その平穏に抗議するものと立ち場は別れつつ、彼らはお互い譲れないスタイルを持ち、対等の存在だ。
敵として、あるいは味方になりうるものとして、お互いを認識する。
それは(今の)みちるには出来ないことで、年経た大神だからこそ可能な反応だといえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
こういう”大人”の対応を身につけるために、色々置き去りにしたものも当然ある。
それを無自覚に教えてくれるから、大神はみちるを買っているのかもしれない。教師と生徒の関係も、双方向で可変なのだ。
屋根を壊した非礼の詫びと、差し出される札束。これもまた、”大人”の対応だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
自由な(のだと、みちるには見える)空へ飛びだっていくピンガに手を振って、それでお仕舞いハッピーエンド…とはこのお話、毎度ながらならない。
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大神が連れてきた、複雑怪奇な大人の事情。疑い、警戒しなければ守れないものが世の中にあると、無邪気な子供に教える夕暮れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
誠と礼の籠もったお金を差し出したのと、同じ手が汚れた金を差し出し、テロルの気配を受け取りもする。
何もかも、見たまんまではない。誰もが仮面を被りうる。
なずなに批判された、みちるの無邪気な世界認識。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
それは早々簡単には変わらないけど、大神の背中についていって、自分が思うままのシンプルさで世界が回らない事実を思い知ろうとする…あるいはそれが”嘘”だと証明しようとする率直さが、みちるにはある。
それは、変化に向かって開かれた、心の窓だ。
事実は大神が嗅ぎつけたとおりきな臭くて、ピンガはみちるが感じた(そうなのだと信じたかった)シンプルな善人ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
でもその複雑さは、必ずしもみちるの無邪気な世界を轢殺するわけではなく、純粋さと折り合いをつけて、より良い方向に進めそうな希望も宿っている。
市長が果たした決断は教団を動かし、世界もまた揺れていく。その只中でピンガはドッグタグを握りしめ、答えの出ない問を届けるために、暴力に背中を預ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
ボリスが筋を書き、なずなが演じる神の戯曲。
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その裏には多分、もう一枚仮面がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
まーぶっちゃけ、シルヴァスタと銀狼教団はズブズブでしょ…。
スケジュールの漏洩の仕方、暗殺と救済のタイミング、動いた世論と教団の定住。
何もかもが、『アランは教団をアニマシティに浸透させたかった』と考えるとハマる。
仮面を外すことのないボリスに己を預けて、狐の顔を晒すこともなく偽神を演じるなずな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
世知を気取る幼い危うさは、なかなかヤバいモンを街にも彼女にも持ってきそうだが、それが炸裂するのはもうちょい先になりそうだ。
反発しつつ相互に影響し合う大神と、願望を満たし肯定しつつ操るボリス。
少女たちがお互いシャドウとして描かれているように、狼と蛇もまた、正反対の”大人”として描かれてんだな-。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
耳触りの良い称賛、気持ちいい肯定を与えてくれる存在には、気をつけなきゃいけない。
”良薬口に苦し”という格言の意味をなずなが知る時は、相当な深手になりそうだ。
それは先の話として、大神はアニマシティの守護者として、ピンガと対峙する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
それは譲れない信念の対峙であり、同時にお互いを胸に入れ合う対話でもある。語り合うべき窓は、ここでは空のように開け放たれている。
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大神の鼻が嗅ぎつける、暴力の匂い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
排除し、去勢するべき”敵”の気配にたぎりつつ、しかし序盤の彼のように、不変なるマチズモに縛られてはいない。
ピンガという強敵を前に、彼は窮地に陥る。
それは墜落死に終わりかねない戦闘だけではなく、状況を飲み込む認識の過ちにも及んでいる。
不変で無謬の完璧なる神、成人、あるいは男。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
そういうものとしてみちると出会った大神は、『間違えることが出来ない不自由』から、次第に開放されているようにも思える。
信じた街を守るために、弱さは見せられない。負けることも許されない。そういう、ハードボイルドの鎖。
それに自分を閉じ込めていた大神の窮地を、みちるは”化ける”ことで救っていく。手を伸ばし、それでも足りないなら飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
必死の思いを引き出すシビアなピンチが、みちるの可能性を引き出し、変えていく。
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Aパートではピンガの翼を借り、世界の重たさを教えてもらっていたみちるは、大神を爪に掴み(そして傷つけることはなく)、力強く飛び立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
世の獣人が誰もなし得ない、あらゆる可能性を秘めたキマイラ。それはみちる1人で完結せず、鷲と狸と狼、二体一心の新たな生物として、大神を巻き込んでいく。
このときみちるは大神に、(獣)人の新しい可能性を示す教師になり、命と自由を守る翼にもなっている。その力強い羽ばたきで、”大人”を追い抜いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
『負うた子に教えられて』な変化に、大神は目を瞑らない。大したやつだと認め、不敵に微笑む。
このタフな謙虚さが、僕は好きなのね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
物語開始時の大神さんって凄く頑なで揺るがない存在だったんだけど、みちるとぶつかり合う中で心の底から、柔軟で”化け”れる自分を引っ張り出してきて、ある意味子供に戻ってる感じがある。
それは譲歩でも敗北でもなく、変化に踏み込む勇気の現れだ。
信念を持って獣人と街を守ってる大神さんが、『大したやつだ』と無言で認め、みちるの可塑性と可能性を自分の中に入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
そのことが、主人公の資質を描写(説明ではなく!)する結果にも繋がっていて、キャラ描写とドラマにコクが生まれてくる。良いな、と思うよ。
みちるが信じたように、ピンガは頑なさに堕ちた修羅ではなく、背負ったテロルはフェイクだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
大神が見抜いたように、ピンガは現実との擦過に思い悩み、暴力で意を通すテロリストだった。
その両方が、複雑な色彩の夜に同居する。
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みちるは相変わらず、時分が見定めたフレームから己を出さない。頑なで、率直で、無意識に人として獣としてあるべき正しさを捕まえるスタイルが揺るがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
2人が出会った屋上に帰ってきて、冒頭思い悩んでいた身勝手な頑なさに戻る。でも、塞ぎ込んだ迷いはこの時、みちるから消えている。
それはピンガが屋根を突き破って、新しい景色を見せてくれたからだし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
大神がみちるの可能性を受け止め、自分のスタイルの新しい側面を、臆せず表に出すことにも繋がっていく。
未だ為されていないテロルを、裁く傲慢を俺は持ち合わせちゃいない。
タフな男から差し出される、対話の兆し。
それをみちるもピンガも、ちょっと意外そうに、そして嬉しそうに受け取る表情が細やかに描かれているのが、僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
多分みちるは、大神さんがピンガの言い分に寄り添って、分かろうとしてくれたことが嬉しかったのだと思う。テロルに追い詰められたピンガも、また。
そういう可能性がどこから来ているか、ピンガはしっかり見抜く。自分を突き動かした過去の楔、否定されてはいけない血の歴史を、最も新しい獣人に預けることにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
みちるももう、その重さは知っている。判ろうと踏み込み学んだのだ
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権利を獲得するために闘い、押し付けられた義務に撃ち抜かれて死んでいった、沢山の不条理。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
みちるはそれを市長に届け、世界に知らせる義務を受け取った。この重たさに恥じない生き方を、立派に果たしていく責務と気概を手に入れた。
それは重荷であり、より広い場所へみちるを導く翼でもあろう。
みちるは空を住まいとする信天翁ではないし、権利闘争と犠牲の当事者でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
しかし他人の生き様や歴史に、己を変えることで近づき、引き受けることは出来る。出来るように、世界も人も変わっていける。
そんな信念への兆しが、主役と物語に刻まれるエピソードだったと思う。
そんな世界の片隅の、個人的なドラマを置き去りにして、政治は踊る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
暴力、救済、先導、羨望。
世論を巻き込むように、計算と演出を重ねたであろう、新たな(偽)神話の一幕。
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『掴み上げ、舞い上がる』というモーション自体は、みちるとピンガ、あるいは大神とみちると同じだが、メテオールとアラン、なずなとアランの共同飛行は、相互理解には繋がらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
ここも、物語中に的確に鏡像関係を配置する劇作の巧さかなー、と思う。
みちると大神は飛んで、落ちて、飛び直すことでより開放的な変化と対話へと踏み込むのに、なずなとアランは偽り、頑なに何かを隠す方向へと進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
同じことをしても、違う結果が出る不可思議と納得。
そういう複雑さに、みちるはまだ、目が開かない。月下の偶像を、憧れを込めて見上げている。
かくして人間は獣の女神に救われ、教団は街に受け入れられる。そうならざるを得ないように、的確に神話劇は演出されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
大神が幽かに嗅ぎつける、陰謀と偽証の香り。
あまりにも眩しい親友の姿に目を焼かれ、みちるは気づかない
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その憬れと羨望と無力感が入り混じった表情が、切なくも綺麗だと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
そして、みちるという”子供”が青春の只中で見せる複雑さに、大神さんがちゃんと目をやっているのが良いな、と思った。
求められる役割を果たし、己の在るべき姿を定める。誰もが憧れる、立派な晴れ舞台。
なずなもみちるも、おそらく”そこ”が完成されたゴールだと思うだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
でも大人たちは、それが終わりじゃないと知っている。
子供らの無邪気な祈りをすくい上げて、もっとシビアで重たいものを演じる複雑さが世界にあるのだと…これは終わりでも真実でもないと、知っているのだ。
そういう冷たい世知を、みちるに解かれというのは無理な話だ。それはのぼせ上がり、痛い目を見て、後悔と情けなさにハラワタをよじりながら、ようやく手に入れられる…かもしれない目線だからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
みちるは今、そういうものを掴む渦中にいる。大神も、かつてそういう渦の只中にいたのだろう。
というよりも、理不尽な矛盾が詰め込まれた街を、それでも譲れぬ理想と静かに守る闘いに身を投げている今この時、大神もまた己の視界を、周囲を取り巻く世界を、その中心にいる自分自身を変化させる季節に、取り囲まれているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
それはつまり。”青春”と呼ばれる時代だ。
大人びて完成したように見えて、蒼い迷いと確かな理想に身を投げている男。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
何も知らないからこそ、渦を巻く風に胸を開き、逆風に翼を広げ新たな可能性を掴める少女。
そんな二人が、また新しい何かと出会う話でした。
それと並走し、また無関係に、街も変わっていきます。
地に落ちつつ、獣の泥臭さから距離を取るアランCEO。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
夢見た偶像を演じつつ、足元の危うさに気づかないなずな。
新たなキャラクターを舞台に乗せて、アニマシティの状況もまた、複雑な乱気流に投げ込まれていきます。
嵐に翼を折られ、泥に伏すか。
あるいは風を掴み、可能性に羽ばたくか。
みちるの自己実現の物語は、アニマシティの激動と重なりながら、どんどんと勢いを増しています。みちるが学ぶだけでなく、みちるから色んな人が学び、変わる双方向性が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月21日
彼女と一緒に作品も次々”化けて”くれそうで、僕は非常に嬉しいし、楽しい。やっぱこのアニメおもしれぇなぁ…。