ケムリクサ 第9話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
白き機械知性の犠牲の先に、待っていたのは奇妙な山嶺だった。行方を遮る壁、そこに潜むヌシに立ち向かうべく、一行は一旦休息を取る。
己の無力を嘆きつつ、足を進めた霧の中。死んだはずの過去が蘇り、世界の形を告げていく。
我々は何処から来て、何処へ行くのか。
そんな感じの富士山大決戦! アンタら死んだはずじゃ!! な、ケムリクサ第9話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
亡霊たちの現状とか、世界の真実とか、ウォールフジ突破とか、まぁ色んな事が起きる回だった。
死んでるはずの姉妹と接触すると、デカい世界設定周りがゴロゴロ飛び出してくるなぁ。後わかばがランクアップする
何かと命に直結した赤いケムリクサを使おうとする凛ちゃんの必死を、壁の中のヌシとの戦いで見せた上で、彼女がそこに追い詰められている大きな理由たる姉達とは、わかばしか出会えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
しかしわかばが霧の中から持ち帰ったものが、強がり泣き虫と彼女の”好き”が生きていく、大事な足場にもなる。
霧の中で(わかばだけが)行き来可能な”死”の、奇妙な優しさに触れるエピソードだった気がします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
”かぐや姫”を紐解けば、富士の山は不死をもたらすケムリが燃えているから”ふし”なので、亡霊と出会い直すには良いセッティングよね。
生が現行人類と大きく異なるので、死の扱いもかなり特殊だなぁ…
というわけで、ついにやってきました日本最大のランドマーク富士山。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
っていうには、僕らの慣れ親しんだ形とは大きく違う。赤い霧と根に侵蝕された異形の山様は、隠された真実の一端を無言で伝えるかのようだ。
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相変わらず、赤と黒に彩られた旅路は地獄めいて美しいけれども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
網の目状に切り刻まれた大地は、後に好奇心で繋がる二人が推察するように、テラフォーミングされたかのように異形だ。
思い返すと、九州から静岡まで進むにしては短い旅路だもんなぁ…。
世界の謎は後で物知りメガネと一緒に考えるとして、同行者となったシロにりなちゃんは警戒を解き、りんちゃんはツンツン対応する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
それは戦士という役割を、姉が去った後背負わなければいけなかった責任がそうさせる、頑なな扉だ。
デレてきたとはいえまだまだ開かないし、開くわけもいかない。
りんちゃんがシロに無警戒になる…身内だと感じる大きな一因は、顔文字で表情を作ったことにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
シロに備え付けられたディスプレイには書き文字しか表示できないが、彼はヒューマノイドが感情を表出(display)するやり方に寄り添って、文字で顔を作った。
限定されたコミュニケーション手段、独自の感覚器官を賢く活用して、自分が仲間であること…同じ価値と感覚を共有できる存在だと伝えたわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
ここには異文化…ともまた異なる、根本的な存在規程を超えたコミュニケーションが成立している。
そのきざはしになるのが”笑顔”なのが、僕は好き。
オリーブの葉を咥えてきた鳩のように、シロの行く先に安全と平和があると、りなちゃんは無防備に信じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
その無警戒(ある種の愚かさ)は、小さな集団において”子供”として扱われる/振る舞うことと、無関係ではない。
難しいことを考え、警戒を説かずおこりんぼで頭固いままでいるのは”大人”の責務だ
姉が去ってしまって以来、りんちゃんは集団の頭として行く末を決断すること、集団を守るために賢く強くいることから、逃げられなくなってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
その一環として自分の”好き”を見ぬふりして、無邪気に”好き”を追い求める子供っぽさを追放し続けている。
しかしこの作品に流れる”好き”原理主義を思えば、それはとても不自然で哀しい在り方だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
例えばわかばが自分の”好き”を暴走させて、身の危険も顧みず集団から離れていたように。
りんちゃんもまた、姉がいた時は元気だった”子供”っぽさを、何処かに隠している。
でもそれを駆動させれば、集団は免疫を失って残酷な世界に食われてしまう。赤い霧、赤い虫に染まってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
かつての姉達と同じように。
だからりんちゃんはシロを信頼せず、頑なな”大人”でありつづける。腕組みは外さない。
早く安息の地へ皆がたどり着いて、存分泣いたり笑ったりしねーかなー…。
新たなカナンに行き着くためには、謎と壁を超えていかなければいけないというのは、ここまで描かれた物語のルールだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
今回も奇っ怪な富士の山頂には青い壁がそびえ立ち、しかもそこにはヌシが巣食う。二次元の壁で身を守り、簡単には未来へ進ませてくれない。
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ヌシとの初戦で”見る”りんちゃんの能力を描写しておくことで、それが誰から継承されたか微かな疑問の種を蒔いておくの、構成が上手いなぁ、と思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
姉から引き受けた鋭い視覚は、ヌシがどんな存在であるかをしっかり見通し、撤退を果たさせる。
もう、誰も死なせない。お前も含めてだ。
そう言ったりんちゃんは、わかばの死も許容せず、勝てる可能性を探すために一旦引くことを選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
しかし自分自身の命は慮外で、命の籠もった赤いケムリクサを燃やして勝つ自滅戦法を、オプションに入れてしまっている。
”誰も死なせない”に、自分を入れなよりんちゃん…相変わらず優しすぎる。
彼女たちの象徴色が”赤”なのはずっと気になっていて、作品を貫通する色彩演出を素直に受け取れば、赤は危険の色、敵の色だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
し彼女たちの命はそんな”赤”いケムリクサに繋がっていて、しかし赤だけではない。ミドリちゃんやわかば…”緑”の種族を受け入れることで、生存可能性を上げている。
とすれば、そもそも別の色だったものが赤く染まった結果、今の彼女たちがあるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
後半ちょっとずつ明らかになり、しかし謎が残る自分たちの起源。シロムシたちを赤く、凶暴に染める赤い霧。
彼女と、彼女たちを生み出し包む異様な世界は、どこから来てどう変質したのか?
そこら辺、終盤で大事になってきそうな感じがしてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
緑は安全、仲間の色。
そう描かれ続けている物語で、主役の起源が”赤”であることにどういう意味合いがあるのか。
何しろその起源に”irodori”を冠するのだから、色彩とそこに込められた意味は大事なんだろうなぁ…。
まぁそれは後で判ることとして、一行は山小屋…の残骸に身を寄せ、いっときの安らぎを得る。ミドリちゃんも根っこを解いてお休みなのがかわいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
りんちゃんは眠るときも、両腕を組んで警戒を解かない。それは戦士で有り続けるための、強靭な盾だ
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皆がその警戒を解いて、瑞々しい感受性と脆い優しさ…りんちゃんらしさを発揮できる未来を望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
しかしそこにたどり着くためには生き続ける必要があり、そのためには腕組みは解けない。ジレンマである。
姉妹が一時の安らぎに眠る中、わかばは霧の中にさまよい出て、亡霊と出会う。
バトルマニアであり、嗅覚で世界を感覚・理解するりょう姉との出会い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
『やるか~』モードの時は、巻きつけた布が赤く光っているのが面白い。倒すべき異物という認識が解けて、わかばが『知ってる人』になると、赤信号は消える。
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赤い闘争本能は生物が持つ自然な反応…というより、りょう姉の”好き”と噛み合った彼女”らしさ”なのだろう。りんちゃんは、防衛が好きなのであって闘争が好きなわけじゃないからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
戦いを持ちかけるのはりょく姉独特のコミュニケーションであり、匂いを嗅ぐのと同じく、相手を知る手段なのだろう
個性に適応した”らしさ”があるということは、そこから生まれるその人だけの”好き”と直結していて、とても大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
例え死んだとしても、”始まりの人”から分割した姉妹の個性は消えず、”好き”も消えない。
赤い死は他の誰でもない”わたし”であることを、終わらせないのだ。
時にある種の業にもなるだろう、そんなエゴの凸凹をこの終末巡礼は常に肯定する。諦めきれない”好き”は集団内部で”らしさ”として肯定され、生存にも活用される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
この基本ルールから、りんちゃんだけがはじき出されていることが、救済されるべきヒロインとしての強さでもあるな、と思う。
そして人は自分が抱えたものを差し出して、相手と通じ合おうとする。見えているものが異質であったとしても、そこには断絶だけがあるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
これは前回のシロムシや、りなちゃんに顔文字で笑顔を作ったシロと似通った描写だ。取り巻く世界はバラバラでも、そこを繋げるメディアは、確かにある
”好き”を作品の玉座に据えたこの物語は、個人が兼ね備えたセンスが共有されないことを前提に、バラバラの世界がどうすれば繋がれるか、様々な角度から彫り込んでいっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
最初はがんじがらめの奴隷だったわかばが、身を挺した働きでだんだん、集団に受け入れられる描写だとか。
姉妹がそれぞれ特化した感覚で世界を見つつ、それを共有・連動して生き延び、思い合っている様子だとか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
あるいは特化した感覚を持たないからこそ、様々な感覚、それを備えた個体とコミュニケーションできるわかばの資質だとか。
異質なる機械知性との、出会いと別れだったりとか。
わかばは好奇心と知恵しかない、脆弱な存在として物語に登場し、ケムリクサへの興味を実践に繋げ、先達(あるいは亡霊)に学んで力を獲得してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
戦えない存在が、戦えないようになる。意志と行動が自己を変革させていくことは、そこから見える世界、反射する自己像も変えて行く。
そういう意味で、わかばがケムリクサで獲得したパワーを肯定的に伝え、出来るようになる、変わることが出来ることを価値と認めていたのは、結構大きな描写だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
戦うための力は、より強く自分を誇る支えにもなり、その実感がもっと新しい場所に踏み出す足場にもなる。変化の理想形を、彼は歩く。
りょう姉のように積極的には戦わないけど、戦うことと意味、失うことの痛みを身を持って学んだわかばは、赤く突き出される闘争のコミュニケーションが、完全に分からないわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
それがわかばの”好き”でなくとも、りょうの”好き”が、赤い命が鉄パイプに籠もっているのは、理解も共有も出来る。
つーかサラッと、『後一回本気出したら、アタシ消えっから!』みたいなこと言ってましたけども、止めてくださいよねホント…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
まぁ背景はわからないながらも、描かれ方としては猶予を貰った亡霊そのものなので、現世に関与できるのが期限付きだってのは納得するけども。
限りある生命をどう使うかについては、この作品の答えはかなり徹底してる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
”好き”に使うのだ。
シロムシ達は創られた目的を果たすため、”船長”の命令を貰い、赤く染められ自分を歪めることを拒否し、散っていった。
りょう姉は満足いく戦いのため、りょくちゃんは好奇を満たすため。
それぞれ、ただ生きるのではなくより善く生ききるために、自分なりの”好き”へと命を燃やしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
それはそれぞれ個別の形をしているが、譲ることも揺るがすことも出来ない尊厳の源として、常に描かれている。
来たるべきクライマックスに、一行もまた、”好き”に命を燃やすのだろうか。はー…活きろ!
そして3/1の過密状態(りなが1/6の過疎状態なのと、亡霊姉妹の状況は面白い対比だ)を忙しく切り替えながら、ダイダイのケムリクサの主が顔を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
やっぱり赤は殺意の色、プライベート見たやつはコロス!
と吹き上がっても、そこは知らないを放っておけない同士
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スルスルと接近して、世界の謎を語り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
好奇心以外にわかばとりょくを繋げるモノがもう一つあって、それは赤い姉妹が”好き”だということだ。
ヘンテコな声とナードな態度の奥に、亡霊となった今でもりょくちゃんは姉妹への愛情を抱えている。
それが多分、死んでも死ねない彼女の心臓なのだろう。
いやマジ、『関根明良さん、こういう声も出るんだぁ…』とビックリ&クリティカルだったけども。みやびちゃんとプリンセスのイメージだったからねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
声オタトークはさておき、日記の著者と会話することで、色々世界の謎が判っていって…全然わからん!!(ジャガー顔)
この赤い霧に包まれた”日本”が、地理的にも環境的にも改変されたものだとして、霊長気取りでうろついてたホモサピエンスは何処に行ってしまったのか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
ヒューマノイドたるわかばと赤い姉妹の起源は、改変される前の人類社会にあるのか?
観察と推測を重ねても、答えは黒く塗りつぶされて出ない。
赤いケムリクサさえ残れば、命をつなげる不思議な存在。人に似て明らかに異質で、しかし人間の証明を色濃く、その行いに焼き付ける者たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
その謎は、まだまだ奥が深そうだ。
自分たちの起源を知ることが、”好き”を追う精神的旅路と強くシンクロしてるので、謎解きとドラマが噛み合うのは巧い作りね
六人に分かれる前の”はじめの人”が、どんな存在であったか…ひらがなではなく漢字を読む(あるいは読めるものが、わかばに真実を教える)時が、世界と自分の成り立ちを知って、そこから力強く未来を踏み出す…話が決着する足場になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
そのための地ならしを、賢いりょくちゃんはしてくれた、と
直近の危機を乗り越えるための知恵も、賢い亡霊は差し出してくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
りつ姉の”好き”であるミドリちゃんを折り、その力を叩きつける。
そこにどんな重さがあるか知っているから、りんちゃんは怒り、わかばは戦場に出る決意を見せる。
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ミドリちゃんを手折るりつ姉の表情は、りんちゃんだけが見守り僕らには見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
”好き”を自ら砕く決意には、とても複雑な感情が宿るだろうし、それを見届ける特権は一番近しい人にこそある。
それでもわかばは、見えないものの意味を考え、自分も背負おうと踏み出した。
その『解らないものを、解ろうとする』歩みこそ、彼が背負う資質であり、物語に善き変化をもたらす特権なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
他人の”好き”は、ほんとうの意味ではけして分からない。りつ姉がミドリちゃんを砕くその表情は、けして見えない。
でも、思いを巡らせることは出来る。
自分にない感覚を想像し、それが生み出す痛みや喜びに思いを馳せる。そうして生み出された幻影を、尊いものだと信じて踏み出し、手をのばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
わかばはそういう、柔らかで身勝手な開放性と積極性、越境生を常に持っている。
それがあるから、彼は無力な存在から見習い戦士へと、自分を変えてきた。
そんな変化にプライドがあるから、わかばは己の腕を傷つけてヌシの足を掴み、りんの闘争を助ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
…お前、何も出来ねぇわけがねぇじゃねぇかよこんなに傷ついてよッ!!
かくして開いた道は、犠牲を出さない。
皆が少しずつ、癒せるほどに傷ついて、未来を掴む。
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共同体の成員がお互いの断絶を想像力で埋め、リカバー可能な犠牲を継ぎ接ぎにすることで、不可逆なダメージを受けずに可能性を生み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
流行りの言葉でいえば、持続可能な社会の一類型が、壁の中のヌシとの戦いには現れていた気がする。
やっぱ特定の成員にダメージが入りすぎる解決は、不公平だな
旅の仲間は赤い血縁、あるいはそこに緑を継ぎ足す婚礼主義でもって、運命的に固く結ばれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
お互いがお互いの”好き”を、狭い感覚の限界を、秘められた過去をよく知り、それを尊重できる緊密な関係が保たれている。
これは超少人数で構成される社会の、明白な強みだ。
あるいはこのような、原・人間社会的な理想形を話に盛り込むために、広大過ぎる”社会”が瓦解された後の世界を、作品の舞台に選んだのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
家族+αのスケール感を崩さないからこそ、”好き”という人間の原点が抱える強さと難しさ、個人と集団の呼応もスマートに書けてる感じあるな…。
ケムリクサを命の中心に据えたポストヒューマンの巡礼を追うことで、ヒューマニティの真相を照らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
そういう異化作用は、ミニマルで緊密なサイズ”にまで縮めることで、社会集団の在り方を問い直してもいる。
SF的舞台のチョイスがテーマにしっかり絡みついてるのは、ホント強いよね。
しかしどれだけ”好き”でも、それを残酷に奪っていく冷たさも世界の真実で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
あれだけ肩肘張って、好きだった姉達が守りたかったものを引き受け、好きだったから守ってるりんちゃんは、死人と再会できないのよね…。
それは、姉妹の過去を共有しない異物の特権だ。
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知らないからこそ運命と出会う、愚者の特別。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
わかばは主役としてそれに愛されて、死んだはずの姉妹と出会い、ケムリクサの使い方を、世界の真実を学んでいく。
そうして受け取ったものは、亡霊が今尚愛する生者に届けられて、明日へ繋がる道を拓く。
生と死の媒介者としても、わかばが機能しているのだと…そんな彼が介在しないと、死人が置き去りにしたものはりんちゃんに届かないのだと、判る富士山大決戦でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
泣き虫りんちゃんはお姉ちゃんと再開したら、もう決壊しちゃうだろうからな…亡霊とは逢わせらんないよね。相当限界だもん。
深い霧の向こう側、過去の叡智が少し見えたと思ったら、更に謎が増えた旅路。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
壁の向こう側にどんな物語と真実が待っているか、まだまだお話は続きます。
”変わるもの”として主人公・わかばが鮮烈に描かれるほどに、”変われない・変わってはいけないもの”としてのヒロイン・りんちゃんの姿もまた鮮烈。
しかしじわじわと、わかばが発する”毒”はりんちゃんを変え(あるいは無防備な子供に戻し)、姉妹との巡礼はわかばを鍛えています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月16日
遠く隔たれつつ、変わりながら確かに繋がる”人間”の肖像。
このお話が描くものは、クライマックスに近づくにつれより強く輝きを増すでしょう。次回も楽しみです。