安達としまむら を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
寒さで少し離れた距離を埋めるべく、安達の恋は熱く燃え上がり、しまむらはその熱量に瞳を冷やす。
特別な誰かを、求める高揚。特別な誰かとして、求められる恐怖。
それを”友情”で包んで、すれ違いが師走を駆けていく。
サンタを信じてなくても、クリスマスは来るのだ。
そんな感じの冬季決戦目前! 寒気が恋を熱く燃え上がらせる!! …では終わらない複雑怪奇青春絵巻、クリスマス前の第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
元々A/Bパートで主観担当を入れ替え、安達としまむらが見ている世界、求めるものの違いを強調する話ではあるけど。
今回は特に、強くすれ違いが強調された。
Aパート全体を支配する安達の主観は、コミカルですらある強い情欲に彩られ、視野が狭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
一直線に恋に向かって突っ走り、それがバレそうになると照れて体温が上がる。
好きだからこそ真っ直ぐ見れず、好きだからこそ側にいたい。そんなジレンマは、可笑しくも微笑ましい。
一方しまむら主観のBパートは、安達の奇妙な行動の奥にある、しまむらだけを特別に思う愛情に近接しつつも、それから距離を取っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
抱え込んだものを吐き出せる、大事な空気穴。
そうやって安定した関係が崩れ、心乱されるのに耐えられない未来を、簡単に予見できてしまう冷たさ。
安達が恋を持ち出してきたら、スッと身を躱して関係を終わらせてしまう冷徹な自分を、しまむらは客観的に把握している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
そうならないよう、告白としか思えない一言を友情と人寂しさにパッケージして、なんとか飲み込みクリスマスに挑む。
ああ、楽になった。
恋がすれ違った感想はそれである。
安達の幼さと狭い視野とか、相手が同性だとか、それとは別の場所に、しまむらと恋で繋がる困難はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
人間関係の海底で息を潜め、周りを見て泳ぐ能力を高めたしまむらは、誰かに特別に求められ、求める関係に慣れていない。
それは面倒で、怖くて、厄介で、可能なら遠ざけたい距離感だ。
しかしそれをこそ、性欲と愛情と友情と母性渇望の入り混じったしまむらコンプレックスに支配された安達は求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
お互いの存在の根っこに深く突き刺さった、特別さの欲求と拒絶。
ふわふわ仲良し百合JKに見えて、二人の断絶は深い。まぁ、人間同士だからね…。
それが運命のクリスマス決戦でどう変わるのか、次回が見ものであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
いい感じに手を繋げているように見えて、その実やっぱり離れている彼女たちの”今”を描くことで、来週生まれるだろう化学変化もより、強く際立つだろう。
そこも引っくるめて、とても良いエピソードであった。
というわけで、開幕から安達がヤバいッ!(いつもどおり)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
スノハレみてーなクリスマス妄想に溺れかけ、気軽に誘えず身悶えし、無意識に想い人を刻む。
完全にしまむらが好きすぎて頭がおかしい人だ。俺、何かが好きすぎて頭がおかしい人大好き。
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安達の幼い視界に、どうでもいいけど付き合わなきゃいけない他人(あるいは社会)というものはほぼ存在しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
いるのは自分の閉じて乾いた世界に踏み込んで、潤いをくれた特別な存在…と、彼女をもっと浴びたい自分である。
一対一の濃厚な関係は、安達を狂わせ加速させていく。
安達の見ている世界は、顔のない他者で満ちている。特別な繋がりがないからこそ、どうでもいい怪物の顔はしかし、想い人においては特別だと分かりかけたからこそ、安達に付与されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
ここに、巨大な断絶が存在している。
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安達はバカな上に恋に狂ってるので、しまむらが何を見ているかを気に留めない。自分が顔のない怪物になってしまう可能性を、視野に入れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
しかし安達が黒塗りにしているモブは、しまむらにとっては面倒くさかろうが付き合わなければいけない他者であり、一応の顔をつけて向き合う対象だ。
そんなしまむらにとって、安達が自分を特別に求めること、それで世界と関係を再構築することが、気のおける友達を顔のない怪物に変えるトリガーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
安達の暴走は、知らぬ間に地雷原を突っ走りかねない危険な歩みなのだ。
が、そんなことに気付けるほど、恋は賢くないッ!
ので、Aパートは安達の可愛い独占欲と湧き上がる性欲のカクテルで、ミリミリ画面が埋まっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
かなり面倒くさい性格してる安達が、言いたいことを言い出しやすいように。
その不信をよく見て、投げかける言葉を考えるしまむらが大人だ。
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その気遣いはすなわち、孤独を埋めつつ過剰に距離を近く取らない、臆病で冷たい立ち回りの産物でもあるんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
当然安達は、そういうしまむらの配慮を視野に入れず、過剰に離れてモジモジしたり、いきなりガチ恋距離にぶっ込んだりする。恋のアクセルワークが下手ッ!!
一方、よく判んねーままなんか良い距離感でデコチューとか普通にしてる、日野とながふじ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
もうお母さん、最近の若い子の”普通”がよく分かんないわ…。
天然の仮面で燃え上がる情欲の手綱を握り、日野のドギマギをゼロ距離で楽しむ系女子か、永藤…
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そんな風に型にはめて理解しようとすると、『いや…全てがナチュラルでイノセントなのかもしれん…』と誰かが囁き、スルッと逃げていくのが面白い話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
描写や関係性を『こういうこと!』と断言しきれない、あやふやで豊かな味付けが色んな所にあるのは、この話の好きなポイントである。
こっちがどう転がるかはさておき、寒さで封鎖なった緑の中二階に代わり、冬はしまむらハウスの勉強部屋が二人の楽園である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
もう初手から勉強する気がないしまむらは、安達が突きつけようとしてる恋情の刃に気づいているのか、いないのか。
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安達の『これ実質告白じゃん!』は、気恥ずかしさと情熱の間で揺らぐ自我の悲鳴みたいなもんで、そう叫ぶことの裏には喜びがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
しまむらを好きなこと。特別だと求めること。
それは情欲の主体である安達にとって、関係をより良くする”良いこと”だ。無論、色々ブレーキもかかるけど。
しかし同じ言葉、同じ認識が、しまむらにとっては未来の破綻を意味する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
親友を顔のない怪物に変えてしまう危うい爆弾として、『これって告白…?』は捕らえられる。
接吻に踏み込み、膝を触り、頭をあずける。
体温の伝わる距離感でモゾモゾしつつ、二人の心はかなり致命的にすれ違っている。
まーたモノローグを行動が裏切りつつ、安達はキスをしかけて止め、膝枕の距離感を自分たちの宿り木と思い定める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
これでいい。これがいい。
散々迷った末の微笑ましい結論だが、それがしまむら視点ではどう変わるのか。
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それを書くのがBパートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
情欲の主体が沸騰する体温とともに、都合よく忘れてしまう危うさ。
それを情欲の客体が敏感に感じ取り、危うい所で身を交わす”回答編”とも言える。
重なるようで、見えてるものが大きく異る。文法としては、微妙にサイコ・スリラー。あるいはフーコーっぽくもある。
安達が必死に隠そうとする情欲大暴走を、しまむらの優秀な対人センサーは当然感じ取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
なんかヘンテコな友人に踏み込むべく、顎を乗っけて頭突きを喰らい、屋上で話を聞き出そうとする。
避けれる地雷は、積極的に掘り返して躱す。
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大人なしまむらが安達ベイビーの面倒を見ているようで、そこに打算と保身の色が滲んでいる所が、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
サンタさんの実在をもう信じられない、スレた自分。
擦過傷を避けつつ、海底で窒息するのも御免こうむるしまむらは、”大人”の知恵でもって大事な空気穴の問題を、事前に回避しようとする。
しかし安達を突き動かす制御不能な思いは、そういう賢さを跳ね除けて突き進み、しまむらの賢い働きかけはなかなか噛み合わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
しまむらが気づけば置いてきてしまった幼さを、間近で暴走させる安達の手綱は、早々簡単には握れない。
無垢と成熟のダンスは、なかなか踊るのが難しいのだ。
その踊り方をそれぞれ見つけるのが思春期である、と考えれば、やっぱりこのアニメは”百合”なるジャンルに青春小説が絡み合った、正体不明のキメラなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
まぁ重なるジャンルではあるか…。
割り切れない部分にこそ、作品の生きた息吹を感じもする。作品には個別の顔が、かならずあるのだ。
まだ特別な誰かだけを見て、それ以外の顔を黒く塗りつぶすことが許された、しまむらの幼稚園時代。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
逆に言うと安達の”今”は、しまむらにとって10年以上前なんだな…。
この業界で”昔の女”は120%超火力の地雷なので、この回想後々の火種だと思う。
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それはさておき、キラキラに輝くものに真っ直ぐ突っ走れる引っ込み思案の”○るみちゃん”が、物怖じしない大人びた子供にとっては羨ましかった…のだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
背中に隠れるくせに、欲望を煽る輝きにはまっしぐら。
今は遠いイノセントな季節は、奇妙に高校時代の親友と重なってくる。
安達の恋心はついに早朝自宅訪問という形で大暴走し、しまむらは自宅に上げて受け止める。そういう柔らかな態度を取るから~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
安達の地雷である親子関係に話が入りそうになると、ダル食い即切り上げるしまむらが優しい…と、言って良いものか。
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それは厄介事に踏み込んで、関係がギクシャクするのが面倒くさいエゴから生まれた行動かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
自分が望まない結果を、先回りして躱しているだけなのかも知れない。
自分のためのエゴと、誰かを思う優しさは背中合わせに張り付いていて、簡単には区別できない。
それでも、貴方といるのは嬉しい
そう認識しているからこそ、しまむらは自室に安達を上げて、話を聞き、テンパった親友の相手をしているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
そしてその受容も、自分の寂しさを埋めるため、窒息しそうな世界で息を繋ぐためかもしれない。
誰かのためなのか、私のためなのか。
その境界線を冷静に見れる女と、全く見れない女。
それが危うく接触しそうになって、しまむらの世界は一気に冷える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
恋に発熱した安達には、全く認識できない内心で、しまむらは関係の終わりまで一気に想像を巡らせる。
安達にとってのハッピーエンドは、今のしまむらには破綻である。
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『まるで告白のような』という認識は、しまむらにとっては火の付いた導火線だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
取り下げて、いつもの関係に戻して欲しい。そう思いつつ、自分から言葉にしてしまえば、同じく関係は壊れる。
金魚鉢の中の魚のように、不自由に隣り合いながら泳ぐ、二人の距離感。
恋に吹き上がった安達のコミカルは、しまむらの冷えた世界認識、他者認識が交じることで一気に温度を下げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
笑っている場合ではない状況に、安達は当然気づいていない。
ぐいと踏み込んで、言い訳で鎧って、なんとかクリスマスの予定を作る。
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安達の誘いに薫る、確かな愛情のサイン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
賢いしまむらはそれを感覚(あるいは官能)しているわけだが、母への寂しさ、友達を求める気持ちとコーティングすることで、関係を変えなくて済む結論を飲み込んでいく。怪物に顔を与える。
それは自己防衛であり、親友を傷つけないための優しさでもあろう。
何かをいいたげな安達に歩み寄ったのと同じくらい、安達が本当に言いたいことに勘付きつつ踏み込まないことが、しまむらの優しさ(あるいはズルさ。サンタクロースが来ない成熟)である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
こんだけ厄介に屈折した相手を前に、のんきに尻尾振ってる場合じゃないんだよ! 可愛いなぁ…。
というわけで約束を取り付けた暴走恋娘は、『一緒に登校する』という建前をフルスイングでぶん投げ、興奮のまま部屋から出ていく。お前ほんと勝手だなッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
まぁ、それも私の好きなあの子かな。
そんな風に微笑んで、しまむらは空を幻視する。
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もう掴むことのない、サンタクロースの舞う冬空。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
成熟してしまった…けど、ナイーブな柔らかさが消えてはくれない季節に振り回されつつ、ときに誰かを思い、ときにズルく身を躱す。
そんな彼女に、常時発情の高熱サンタはどんな物をくれるのだろうか?
ズレた二人の、アツい聖夜が始まる…。
という塩梅の決戦前夜でありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
いやー…しまむらマジ面倒くさいなッ!
気配りできる良い子、良く出来た”大人”として、視野狭く暴走する安達の”上”にいると思いきや、思慮深いからこその厄介さを深く、丁寧に彫り込んでくれてとても良かったです。いやー、生きるの難しそうな子だ…。
安達がそういう面倒くささを全然察知しない恋情バカだからこそ、しまむらの空気穴たり得てる感じもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月6日
同時に恋に突っ走る歩みは、地雷原でダンスする超危険行為でもあり。
見た目ほど砂糖菓子でもない、二人の人間模様。
踊る青春は、どんなステップを雪に刻むか。
聖誕祭決戦、楽しみですね!