アサルトリリィ BOUQUETを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
激戦をくぐり抜けた一柳隊の前に、漂流した少女。
梨璃は無垢な瞳に献身的に寄り添い、夢結は妹の帰還を穏やかに待つ。
微かな嫉心をスパイスに流れる、平穏な日常。
その裏側で、踊る謎と謀略。
平和な学舎は乙女の楽園か、人外の巣窟か。
そんな感じのアサリBOUQUET第三章、開幕の”十人目”である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
この話は平穏-変化-闘争の三話を基本構造とし、これを繰り返すことで進んでいる。
普通のアニメよりもかなり速いペースで要素を消化して、何をするかが楽しみであったが…今回の描写でいくつか、腑に落ちた感じがある。
梨璃に結梨という”妹/身内”を背負わせることで、その人格を揺らすこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
人型ヒュージか人造リリィか、どっちにしてもろくでもない結梨を焦点にして、世界観とリリィの存在を彫り込むこと。
結梨を間に置くことで、夢結様と梨璃の関係に変化を生み出すこと。
ここら辺が、第三章の軸かな、と思う。
夢結様のトラウマ解消、リリィが背負う死と哀しみの克服は話全体を貫通する、大きなテーマだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
一見美鈴-夢結-梨璃ラインに繋がらない結梨、彼女が生み出す無垢な平穏が、そこにどう関わってくるか。
そこも含めて、なかなか面白い新要素投入だと思った。結梨ちゃん可愛いし。
というわけで新章開幕、異物は常に海からやって来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
露骨ろくでもないお船沈没から、繭の発見、チャームとの共鳴、全裸美少女の発見と、事態は一気に流れていく。
繭を破るキッカケが、梨璃のチャームなのはやっぱり面白い。
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大事な戦技教本を置き去りにしてしまう梨璃は、ここまでも武器を手放し誰かを抱きしめる描写が多かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
闘うことを宿命づけられたリリィの中で、武器を手放せる資質。
それが彼女の主人公たる由縁だと思っているが、今回も梨璃のチャームは何も切り裂かない。
第1話の再演のように、縁を契るのだ。
この出会いが仕組まれたものなのか、ただの偶然なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
視聴者が俯瞰で感じる不穏さを、一柳隊の愉快な面々は気にしない。
ドタバタと騒がしいながら、彼女たちは朗らかに日々を過ごし、誰かを思い慈しむ。
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そこには微かなすれ違いと摩擦があり、乙女達はそれすら、タフに乗りこなしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
梨璃が結梨ちゃん付きっきりになるので、夢結様の隣を楓様が押さえ続ける構図が、個人的には凄く良かった。
かなり勝ち目のない恋敵の隣にいながら、楓様は焦らない。敗勢すら笑って楽しむ、若武者の気質がある。
個人的な衝動を大事にしつつ、全体を見て時に道化も演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
お人形のように綺麗で不器用な夢結様の隣に置くことで、楓様の聡明は強く縁取られていた。
焦がれた相手の想い人、複雑な感情はありつつも、それを肯定しエレガントに戯れる余裕。やっぱ好きだぜ、”J”…ッ!
あと授業一緒に行きたいのに袖にされる梅様が、メラリと熱かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
姉が死んだ一年分の虚無を異常な勤行で埋めた夢結様に、人間らしい表情を取り戻したのは梅様じゃないんだよなぁ…かなり忸怩たる思いを、にっこり笑顔の奥に隠してると思う。
そんな熱をよそに、想い人は妹の忘れ物を撫でる。
”近接戦闘応用編”という、厳しい題名が似合わない平穏。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
無垢なる魂に、駆け足で寄り添う妹。
夢結様はそれに少し取り残されながら、静かに生を謳歌する。姉の喪に服していた時には、得られなかった穏やかさ。
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それをもたらしてくれた妹が、邂逅っちまった女に夢中ってんで、内心穏やかでもないんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
しかし”そんなこと”にヤキモキ出来る、人間らしい環境を学園は提供してくれる。
ヒュージを殺す人間兵器、異能に存在を揺らす新人類。
それだけではない幸福を、この箱を用意したものは見据えている。
『ぜ、ぜ、ゼーレ出たぁ!』って、思わずモニタの前で声出しちゃったけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
リリィをめぐる政治はかなり厄介らしく、学園長は外部とバチバチやり合う。ヒュージにずたずたにされた世界で、なおシビリアン・コントロールが問題なのね…。
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学び舎の外に置けば、リリィは人間扱いされない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
第一世代リリィとして、温室の外の厳しい風を知るだろう学園長は、兵器であり少女でもある存在に人らしい生活を与えたいと願う。
しかしそんな甘っちょろい浪漫を、世間の実利は認めてくれない。世界を動かしうる力を、可能なら懐に入れる。
核均衡めいた政治と軍事と謀略が、華やかな学園の外では渦巻いている。それもまた、リリィの現実なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
この荒波を遠ざけるべく、少女が健やかに人として育てるよう走り回ってる学園長は、立派な教育者だな、と思う。
いやまぁ、私兵を囲ってる可能性もゼロじゃないが…それは穿ち過ぎかな。
学内政治のトップである生徒会長や、技術・学術方の頂点である百由様は学園長の隣で、壁の向こうの現実を見てるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
一柳隊を始めとする一般リリィは、学園長が構築した楽園の中で、平和な夢を見続けてる状態とも言えるか。
覚ますか、守るか。今後の運び方が気になるポイントだ。
青春の夢が覚める起爆点になりそうな出会いを、梨璃はまだ疑わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
袖を掴む手を振り払わず、誠実に仲間と語り合い、想いをつなげていく。
姉妹の間に流れる強い感情を、横目で見てる”J”が面白すぎる…。
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この厳しい世界で、せめて手の届く範囲でも守りたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
梨璃の想いはレギオン全員が共有できる、普遍の倫理だ。
そこに『助けたい相手を助けれる…羨ましいぞ!』とぶっ込んでくる梅様。
どんだけ一年間、手をこまねいていただけなのが悔しいの…いや、身を焼くほどにキツかったとは思うが。
梨璃は『大事な人との絆=自分のすべて』だと敷衍して、結梨の欠落を補おうとする。彼女の幸福な世界観では、その等式が成り立つのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
だが、ヒュージにしても人造生命にしても、縁なく生まれるものがこの世界にはある。それはとても身近に、無垢な少女の顔をしている。
そういう存在もまた、縁を結びうるということを、すっかり一柳隊に馴染んだ鶴紗が教えてもくれるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
抱えた設定が美味しすぎるから、やっぱ個別に彫り込んで欲しいキャラではある。
このアニメ、そういうキャラばっかりだけども。伊達や酔狂で”五年”やってねぇよなぁ…。
微笑んで妹を送り出した夢結様の、無自覚に震える足。『足が喋るアニメ』は、紅茶を媒介に新たな境地へ…ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
『負けとの付き合い方なら慣れてますわ!』と言わんばかりの楓様が、哀しくも愛おしい。鶴紗、もっとツッコんで良いぞ。
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夢結様も姉慣れ・妹慣れしていない上に夢結依存のケが強い。ので、この程度のお可愛い嫉妬ですんでいるのは行幸かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
姉を喪った虚無を埋め、暴走する絶望に死を賭して向き合ってくれたんだから、人格の根っこを依存するのは当然ではあるか。結梨の登場は、そのあり方を試しもする。
梨璃は他人の存在を自分を支える柱にしつつ、そうやって作り上げられた”わたし”をしっかり自立させている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
対して夢結様は悲惨な過去で自我をズタズタにされ、リリィの誇りと姉恋しさ、妹への愛着でギリギリ立ってる状態だと思う。支えがないと、パタンと倒れる危うさがある。
妹が姉に、自分が母にもなっていく状況が、そんな夢結様をどう変化させていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
そんな自己実現の物語にも興味は尽きないが、同時にリリィはひどく怜悧な現実の中にも置かれている。
やっぱ、ミリアムの『百由様おるか~』は良い…。
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ひどく無邪気に、無防備にイノセントな漂流者を受け入れた梨璃ほど、一柳隊のメンバーは呑気ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
過去を探り、影響を見定める視線を結梨に向け…しかし、謎は深い。
ヒュージとチャームとリリィ、新世界の三竦みを睨む百由様の側に、ミリアムがいるのは面白い配置。裏設定を流しやすいのね。
ここまでの六話は思春期ど真ん中の少女模様にフォーカスして進んできたけど、結梨が投入されて世界が残酷に広がった感じもある。社会的存在として、リリィを描く画角が増えた印象。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
この拡大と変化…新人類、あるいは兵器としてのリリィを描くために、このアニメは”速い”のかなぁ、と思ったりする。
自分の足で進む力、社会に存在するための名前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
白紙の少女は、梨璃の支えで”人”になっていく。
それを穏やかに見守り、”姉”は静かに待つ。紅茶を揺らしながら。
置き去りにされたカップが、夢結様の寂しさと嫉妬、梨璃への信頼を反射して良い
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動く梨璃と同じくらい、待つ夢結様をしっかり切り取ってるのが、今回独特で面白いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
それは美鈴様の喪失を超えた彼女が、どれだけ”人”に戻ってきているか、静かに切り取っている。
リハビリテーションを頑張っているのは、結梨だけではないのだろう。その両方に、梨璃は寄り添っている。
久々に体重を預けてくる妹に、姉の余裕を見せつける夢結様。内心燃え盛ってるのにクールを装う、その”姉”っぷり…イエスだね!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
真後ろで超イチャコラされて、楓様まーじ立場ねぇよな。
二人きりの時間も、色んな人の乱入ですぐ終わんだけどさ…
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制服を着た結梨ちゃんを間にはさみ、展開する疑似姉妹・疑似親子の情景。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
それは檻の中でしか演じられない幻であり、少女が少女たりうる大事な嘘。
学園長は、こういうものを守りたいんだと思う。
俺も守護りたいよ…”J”の追い詰められ方を…。
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いつか結梨の真実なり、学園の外に渦巻く嵐なりがこの花園に届いて、少女たちの嘘を暴くだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
だが”真実”なるものの残酷がどれだけ強力でも、賑やかに穏やかに踊る平穏な日々は、嘘ではない。
むしろこの麗しい幻こそ、リリィを人の側に留める。
そんなことを思わされる、和やか一柳隊劇場だった。
ホントレギオンが一生わちゃわちゃ仲良くしてる姿最高に良いし、そこに結梨ちゃんが加わって、猫缶差し出されてモチャモチャスコーン食ってる姿も銀河一なんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
それが簡単に壊れる残酷さも、このお話かなりの時間使って睨みつけているので、体重預けきれないのよな…。
この平穏が一時の夢、誰かが守る楽園の檻だと、囲われた少女たちは気づかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
結梨ちゃんが同じ制服を着た喜びは、複雑な政治的駆け引きの一部でもある。
窓の外に広がる暗黒が、一体どんな牙を剥くのか。未来は、見た目ほど明るくはない。
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そんな感じの、無垢なる爆弾投下回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
結梨ちゃんが無邪気で可愛く、それを支える梨璃が健気で、信じて待つ夢結様も尊い。
”学生”としての彼女たちが麗しいほどに、リリィを取り巻く世界の厳しさ、人間性のありかが厳しく問われていく。
温度差の激しいエピソードだったと思います。
現状、一柳隊を取り巻く優しい夢は、ガラスの向こうの闇を知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
しかしグランギニョール社への調査依頼、学籍を与えたことで動き出す諜報戦と、不穏な要素は満載です。ゼーレ出たしな!
リリィたちが当たり前に…そして必死に紡ぐ、人間性のブーケ。
それは自分たちの起源に向き合い、残酷な現実に試されてこそ、真実咲き誇る花なのかもしれません。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月19日
導入は優しく無垢に始まりましたが、さてこの第三章、どう転がっていくか。なかなか、次が楽しみであります。
それと並走して、キャラエピもやってね…特に梅様と鶴紗!