アサルトリリィ BOUQUET 第10話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
一柳結梨は死んだ。
独断専行の咎を受け、梨璃は暗闇に閉じこもる。
そんな彼女たちに餞せんと、仲間たちは岸辺を探る。
戦のための力を、失われた四葉のために使う
死の影から這い出した梨璃の瞳に、写るものとは…。
さようなら、私のアドニス。
そんな感じの、”喪”の回であり、レアスキル解説回であり、最後の三拍子のために黒い呪いを刻む回でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
血から咲く花は多くて、薊に風信子、水仙に雛菊と、みな死者が花に転じた逸話を持つ。
赤い花一華もまたそうで、アドニスの流した血から咲き乱れるそうだ。
花言葉は”はかない夢””君を愛す””希望”といったところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
それをサブタイトルとするこのエピソードは、重苦しい喪の気配にはあまり包まれておらず、風通しはいい。
ギャグシーンもあるし、暗がりから出た梨璃を包む希望は明るい。涙とともに顕になった心は、未来へと伸びていく。
それを禊と、結梨の物語はひとまず集結し、長く長く伸びる美鈴様の影に話の焦点が映っていきそうである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
梨璃がその身に負う無垢なる正しさを思えば、例えば夢結様のように延々引きずるよりも、心の大事な小箱に悲しみを埋めて、前に進むほうが彼女らしく…彼女を主役とする物語らしいのかもしれない
結局僕がこのアニメを見る焦点は、結梨ちゃんに集約されてしまってる感じもあるので、この禊の後でも梨璃が彼女を思うのかが、まず気になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
無力を知り、悲しみを知り、それを受け入れ思いを差し出してくれる友を知って、梨璃は大人になっていく…のか?
アネモネは、変化の呼び水たるの供犠の花か。
剣に刻まれた呪い故か、はたまた別の理由か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
晴れたように見えて再び顔を出した亡霊に、囚われてる夢結様と対比し、三度引っ張り上げるために梨璃は大人になっていくのか。
この話数で描かれたものがどう活きるかは、既に放送されている残り二話を見なければ、やはりよく判らない。
梨璃が薄暗い闇にとらわれていて欲しいわけではなく、楓様の高潔な思いやりがちゃんと届いて彼女が泣けたのは、とてもいいことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
生者は置き去りにされたまま、どうあれ生きていってしまう。その道程が冷たく凍ったものだと、あまり良くないことは既に夢結様が示した。
そこにカウンターを当て、刃で未来を切り開く梨璃の行く道としては、しっかり泣いて虚無を吐き出した隙間に、結梨ちゃんの骸を埋めてあげる…そこから未来に向き続ける花を咲かすのが、おそらくいいのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そういえば向日葵も、太陽に焦がれたクリュティエの遺骸が転じたな、などと思いつつ。
朗らかに正しい方向を向き直した妹と、真逆の闇に囚われる姉。夢結様の見ているものを、梨璃はやはり見れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
この断絶を残り二話どう活かし、どう話をまとめるか。
それとは全く関係なく、結梨ちゃんの喪失が無垢なる梨璃の心にただれた傷跡を残し、そこからジクジクと血が流れて欲しい、と。
僕は心のどこかで願っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
彼女が死ぬために生まれてきた、物語の歯車ではない証明を、まだまだ積んで欲しいと思っている。
別にそれは、作品が叶える必要のない勝手な願いだ。歪んで正しくないが、まぁそう思ってしまうのだからしょうがない。
この殯で終わりにして、欲しくはないのだ。正直。
それは僕の身勝手な実感として、お話は葬礼から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
モノトーンの墓に封じられた、一人のリリィ。
見せしめとして闇に閉じ込められた梨璃は、弔いの列に並ぶことも許されない。
あくまで、リリィの自由は学院の中でのこと。
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その外側には、超常の力を持った怪物を鎖に縛り付けようとする存在が、沢山いる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そして怪物の側も、そんなふうに社会と折り合う必要を感じてもいる。百合ヶ丘のリリィたちは、自分から自由な檻に入った魔獣と言えるのかもしれない。
ならば、軛を外せば罰もある。
見せしめと言うよりけじめ、か。
そんな孤独に一人寄り添う特権は、やはり”姉”にある。むっっっっちゃエヴァで見たぞこの構図ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
ここで妹の悲しみを嗅ごうとする夢結様が、嗅覚で世界を判断してた妹の影を追ってる感じがして、個人的に嬉しかった。
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悲しみに寄せた顔が見つけた、四つ葉のクローバーの不在。花言葉は”幸運””私のものになって””復讐”あたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
それを一人で抱え込ませないよう、恋敵のぶつかり稽古を道化と演じてレギオンの共有事項にしてしまうあたり、楓様は高潔である。
クローバーを白詰草というのは、西洋から輸入されたガラス器が壊れぬよう間に詰めた白い草だからだそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
レギオン全員で梨璃のために、過去を取り戻さんと異能をまとめて髪留めを探すのは、彼女が今囚われる黒い死の悲しみと、自分たちがいる現世の緩衝材とするためかもしれない。
そんな誠意がこもるにしては軽い空気で、探索は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
リリィにとって戦友の死がどんな意味を持つのか、楽園の檻に閉じこもる中でどういう生死の文化が培われたかは、この話からは(あるいはここまでの話からは)正直あまり判別がつかない。
それは当たり前にあるものなのか、忘れて学生やってるのか。
軽やかに転がるコメディタッチの合間で、陰鬱な陰りを百由様と共有するミリアムに、その片鱗が見えたりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
楓様が指摘したとおり、表に出さないだけの重荷を皆抱えたまま、外面作って”ごきげんよう”してる…事が、彼女たちを戦闘機械にしない足場、ということか。
あるいはその重荷を共有できる繋がりを、様々に用意することで堪えているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
戦いのための異能を終盤たるこの話数で、髪留め探索のために使うズレ方の裏に、少女兵器達が人間らしくあるためのあがきが、見えてくる気もする。
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楓様は梨璃の髪を飾っていた幼さが、結梨と一緒に黒く焼け焦げたことを知ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
しかしそれを突きつけるのは梨璃にも、自分にも、レギオンの仲間にも…恋敵たる夢結様にも残酷過ぎて、見つけた真実をポッケに入れてしまう。つくづく、優しい人である。
髪まくらで二水とくつろぐミリアムも、重荷を抱え込みきれず、百由様に甘える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
ここのやや湿った陰りは、いかにも萌キャラっぽく過剰な陽性に振る舞う彼女たちの表情を照らして、非常に良い。
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『百由さまおるか~!』と元気に慕っていた人が、どれだけ結梨が人であるか証明するために駆けずり回っていたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
ミリアムはよく知っている。知っているからこそ辛いし、のじゃのじゃ吠えていれば都合よく状況が動くほどヌルい世界じゃないことを、思い知らされ自分も辛い。
そんな重荷を支え預かり、また預けることで少女たちは死を咀嚼していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そういう場所から遠ざけられる特権は、マギに侵されたこの新世界にはないわけだ。
それをどうにか乗りこなして、陽気なマッドサイエンティストと銀髪ののじゃのじゃ少女を、二人共やっとるのだ。
シュッツエンゲルという制度は、死地を約束された少女がそれでも人間であるための、結構実効的な機構なのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
余人に預けがたい理不尽を、それでも受け入れてくれる相手が制度化していることは、兵器やるには情緒がありすぎる少女たちには、結構救いなのかもしれない。
無論祝福は呪いに簡単に変わり、梨璃は自分の”妹”との果たせなかった約束に、闇の中苛まれる。あの…凄い辛いですハイ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そんな彼女を闇の中から引っ張り出すために、レギオンは雨の中駆けずり回り、楓様は慣れない工作に手を染める。
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一柳結梨を学院の姉妹と受け入れた者たちが、束ねた力。それで見つかった幸運は、楓の作った嘘だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
幼さは焼け焦がれ、死人は帰ってこない。現実は残酷に、少女たちの祈りを跳ね除ける。
そんな生々しさに、嘘を以て抗う。
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楓様はむき出しの悲惨を闇から出てくる梨璃に届けないために、優しい嘘を積み重ねてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そこに『一番に届けて褒めてもらいますわ!』と、欲望のコーティングを施し自分を低く置く所に、やっぱり気高さを感じてしまう。
野暮な現実クソくらえ。乙女は夢と恋と誇りに生きる。
嘘っぱちのクローバーにはそういう気概が満ちていて、僕は凄く優しいと思う。梅様がそういう心をちゃんと受け取って、褒めてくれるのがありがたい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
梨璃もまた、友が手渡した偽りの希望を、体温の通った本物と抱きしめる。
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焼け焦げた残骸は、動かしようのない現実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
しかしそれが少しでも希望を持つようにリリィは戦うし、必要なら嘘もつく。命令にも違反するし、恋もする。
変質してしまった世界で、人が人であるための嘘。
思えば百合ヶ丘自体が、そういうものを護るための檻なのだろう。
楓様が造り、皆が届けた緑の希望あればこそ、梨璃はようやく泣ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
泣くべき時に泣けないことが、どれだけ影を伸ばすか。それを身を以て知る…というか、現在進行系で当事者である夢結様は、溢れる哀しみをしっかり受け止める。
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楓様の照れ隠しに乗っかって、『”姉”としてのお礼』と言ったのが本心なのか、はたまた意気に感じての返礼なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
夢結様成熟してんだか幼いんだが、この期に及んで見えない部分があって、そこが魅力でもあるね。
しかしこの土壇場では、しっかり”姉”をやる。それが三人、前に進むために必要なのだ。
かくして、梨璃のけじめ、結梨の葬列は終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
物語は魔剣に刻まれた呪いに焦点が移り、『吹っ切れてない』と率直に告げる少女の隣で、生存者は亡霊を見る。
死の理不尽すらも受け止める、よく出来た姉。リリィの鑑。
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そんな彼女が、二度の触れ合いを経てなお不可視の呪いにとらわれていることを示して、物語は次回に続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
あくまで夢結様内面のトラウマ、祓われた亡霊だと思っていた美鈴様がここで顔を出すのは、なかなか面白い逆撃である。何がどーなってんだ…?
持ち主が倒れ伏しても、その怨念が宿ればこそ呪いを生む魔剣のモチーフは、ここまでも幾度も顔を出してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
それを手放し、あるいは道を切り開くツールとして使いこなせる梨璃の資質も、重ねて描かれてきたように思う。
美鈴様の亡霊が古い魔剣を核とするなら、それを超える一手は梨璃が放つ…のか?
出会い、日常、闘争。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
三拍子を三回重ね、通常の物語進行よりも早いBPMで進んできたこの物語は、やはり”四度目の第一拍”であるこの第10話で、大きく転換する。
その前に、結梨ちゃんの死を受け止めようとするリリィを描いたのは、当然であるし大事でもあろう。
楓様の高潔な奮戦、夢結様の”姉”としての振る舞いもあって、梨璃は涙を流し死を嘆けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
そうして正しく喪の儀礼をくぐり抜けて、白詰草は再び咲く。それは焼け焦げた世界に再建する、嘘っぱちで極めて本物の希望なのだろう。
そういうものが、リリィにはあるし、必要なのだろう。
その上で、残り二話の中で傷口が開いてくれたら嬉しいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
テーマ上、物語の展開上正しく立ち回り続けてる梨璃の、赤い赤い魂の血がもっと見たいな、と思う。
悪趣味、悪辣。
なるほどその通り。しかしまぁ、結梨ちゃんが死んでるからね…今回のお話は誠実十分だが、それでも足りん。
こういうもの分かりの悪さを抱えて、僕は残り二話を見るしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
これはこれで、結構貴重な視聴体験だと思うし、そこに嘘つきながら感想書いてもしょうがない。
なのでこう…普段よりカメラの据え位置が、僕のエゴに近い感想になってる。申し訳ないが、まぁしょうがねぇ。
正直な話ここで夢結様がまた惑乱すると、三話と六話のリフレイン感が強くなりすぎてどーかなぁ、てのはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月25日
立ち直ったんじゃないんかーい!(まあ、夢結様だしな…)
そこら辺のギミックをどう魅せるか含め、残り二話どうなるか。楽しみである。