ワンダーエッグプライオリティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
エッグを巡るアイの冒険に、急遽割り込んできたメッシュの少女。
元ジュニアアイドル、陽気で元気な川合リカ。
甘さの奥に毒を残す彼女が、死闘に挑む理由はなにか。
二の腕の傷、失われた約束。
見えるものだけが、人の全てではない。
そんな感じのワンエグ第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
正直なことをいうと、この話も出てくる女の子達も好きになりたくないな、と思いながら見ている。
子供なり必死に生きて、なかなか上手く優しく出来ぬまま後悔に埋もれ、それを取り返すべく必死に、強い自分を奮い立たせながら戦ってる子たちを。
それぞれ様々にキャラクターがあり、命を賭す理由と真剣さがあり、屈折しつつも純粋な彼女たちを見ていると、まぁ半自動的に好きになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
しかし彼女たちは既に死んでいるか、動かない死を取り戻すために死地に挑んでいる。
喪失はいつでも、近い場所にある。油断はできない。
だから勝手に前のめり、自分の一部を投影しながら見るのなんて止めて、悪趣味と残虐をシュワシュワ混ぜ合わせたサイダーを喉に流し込んでいれば良いのだが…なかなかそうはさせてくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
一個一個の言葉、身体性のある振る舞い、決意を込めたアクションが目を奪い、防壁を押しのけて心に刺さる。
今回初登場となったリカちゃんも、あっという間にスルリと心に滑り込み、僕は好きになってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
だからこー…石化は一時的な状態異常ってことで、アイちゃん必殺の主人公アタックでどうにか戻ってきませんかね…。
これで一週間待つのか…久しぶりの感覚だな。
ワンエグ、面白いから皆見てね。
さてお話は、リカちゃんの勝利から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
クールでドライでスタイリッシュ、大人びた3人目の戦士は自分の願いが詰まった少女像に、ブスだのデブだのひどい言葉をかける。
手汗ベトベトとなじる指先はしかし、漏れ出る愛しさに満ちているようにも見える。
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リカちゃんは見た目と中身がなかなか繋がらない、分かりやすい外装の鎧で真実の自分を護っている少女である…と、後々わかってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
武器がカッターな理由、百合の園に漂う死臭の意味、悪口の奥に秘めた決意。
それはなかなか見えてこないが、確かにある。
この硬い殻はアイの引きこもりとおそらく同根で、現れ方は少し違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
愛するものと上手く繋がれないまま、喪失の根源になってしまった(と思いこんでいる)若い魂は、表層は様々に彩られていても中身は似通っている。
柔らかい卵が、実を結ばないままフルフルと揺れている。
それが成熟を迎える前に割れ…あるいは有形無形の暴力によって割られてエッグの少女になることは、ここまでの二話で証明済みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
彼女たちは自分の後悔を取り戻すために戦うが、同時に既に死んだ少女達の心残りを引き受け、現世に持ち帰る弔いの巫女でもある。
リカちゃんはそのスタートから、名もなき少女のために戦い、勝つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
距離を探るようでいて身を翻し、不躾に踏み込んでは突き放す。
そういう対応の奥に在るものは、最初から見せられている。
散々なじった後に『知らなかった…』は通用しない。アリバイ作りの巧いアニメだ…。
そんな少女と主人公は、どう出会うのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
腹を抑えてうずくまるリカを、アイは無視できない。見て見ぬ振りが死を呼ぶことを、エッグの戦いの中で、あるいは自分の経験から既に識っている子は、おせっかいで優しい。
それは多分、魂を裂くような後悔の裏側だ。
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ケロリと激痛から立ち上がり、初対面の相手にズカズカ踏み込み五百円借りる(多分返さない)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
後に明かされるリカの来歴を思うと、ファーストコンタクトで見せた諸要素がぴちりと、納得を生んでいく。
痛みを他人に見せない。適当な距離を測り、傷つかない間合いをキープする。
握手も商売道具で、お金は借りるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
そんな昔の”リカらしさ”に引きずられつつも、彼女はアイドル時代のピンクな服装ではなく、パンキッシュでサバサバした服装と態度を身にまとっている。
ちえみの死が砕いた”らしさ”を変えて、新しい自分になる。そういう決意が、メッシュからは滲む。
のだが、過去は長く自意識に影を伸ばし、人は簡単には変われない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
オッドアイをネタに傷つけられたアイが、それを髪で覆い隠してしまうように、リカもまた誰かの偶像として、愛を吸い上げ金に変えていた時代から簡単には抜け出せない。
軽くて、賢くて、調子がいい。
そんな自分に一番戸惑い、もしかしたら嫌悪しているのは多分、リカ自身なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
とはいえ強烈な出会いにアイは戸惑い、新しく出来た友達に相談する。仲良しかわいー!(発作)
ねいると通話してる時の、構えない笑顔が凄く良い。一生そんな風に笑っててくれ…(叶わぬ願い)。
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一度もねいると共闘してないのに、LINEはするわお見舞いは行くわ、アイちゃんが友情力バキバキ上げてるのが嬉しく、また怖い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
積み上げたものが簡単に崩れる作品なので、大事に護ってもらいたいなと思えるものが描かれても、素直に体重を預けられないんだよな。
でもその友情は嘘じゃないからマジ…。
冷蔵庫のフルーツタッパーを、お見舞いに持っていく常識はずれが、しかしアイちゃんらしくて良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
お友達と美味しいもん食べたいもんね…どんどん持ってきな…。
そこに座り込み待ち構える、よく知らねぇ女。ズケズケと踏み込み、指を伸ばす。
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ぷにぷにと柔らかい脂肪の感触に、リカちゃんが何を思い出すかを識っていると、それが距離感のわからない暴走ではないと判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
失われたものを取り戻さんと、必死に戦う同志であると見込んだからこそ、後を付け待ち構え、同じタッパのフルーツに指を伸ばす。
クールな態度で世界を突き放しているリカちゃんが、アイにどれだけ期待を寄せ甘えているか、この段階では見えにくい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
多分世の大人びた子供たちが、おしなべてそうであるように。
そういうものに気付けねぇ大人ばっかりで、本当に申し訳ないです…。スイマセン。
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
△大人ばっかり → ○俺達ばっかり
アイちゃんもねいるもそういう機微と上手く付き合えることではなく、特にねいるは不機嫌メラメラである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
それが新しく出来た友達との時間を、邪魔されたから生まれる炎なのか。
自分のスタイルと噛み合わない苛立ちなのか。
まだねいるの物語は始まらないので、読みきれない。
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ホントねいるがキレっぱなしなの面白いんだよなー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
アイちゃんからエッグを受け取る時の手付きには、確かな信頼が匂うのだが、リカ相手にはビシビシピリピリ、警戒バリバリ。
しかし、同じタッパのフルーツは食う仲なのだ。
指の表現が豊かにエロティックな作品なので、顔以外を見るのが楽しい。
媚態はジュニアアイドルという職業を持つリカの、第二の天性になってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
私的空間を侵食する革靴のヤダ味が相変わらず凄いが、顔が整ったインベーダーにアイが殻を固くする中で、リカは調子よく間合いを詰める。
その接近が、多分彼女の殻だ。
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さっき遭ったばっかの”お友達”に大喜びするママも、小糸ちゃんと(私より)繋がっていた先生も大嫌い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
顔を向けないくらいしか反抗の手立てがないアイちゃんと、大人が求める外面の良さを貼り付けたリカ。
対極(に見える)な二人は、私的領域を共有していく。リカは踏み込み、アイは追い出さない。
アイちゃんは社会を殻の外に追い出して引きこもりつつ、同じ痛みを抱えた同志は亜音速で懐に抱え込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
かなり特殊な選択性をもった膜で、自分を取り巻く存在を選び取っている子だと言える。
あけすけに何もかも上手く受け入れてるように見えるリカも、その実内側に入れるものは相当選んでいる。
例えば母親、例えば思い出、例えば後悔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
リカは自分を縛り付ける呪いを、軽く悪し様に言うことでプライドを保っているように見える。
お前らが大したものと思わない、醜いと嘲るだろうものに私が、魂を預けていることなど誰にも教えない。
ツンデレと言うにはあまりに決死な、その在り方
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それを崩してでも、リカはアイに何かを感じて、だから家に上がり込みフルーツに手を伸ばした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
回り込んで距離を詰め、思い出を共有しようとしてあ跳ね除けられて、スルリと身をかわして湯船に沈む。
その不思議なステップの奥に、滲む青春の血色。自分と同じもの。
そういうものを感じ取るセンスが分厚いから、アイちゃんはムカつく女相手にコップを倒してしまったこと、繋がりが上手く行かなかったことに妙な自責を感じもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
他人の痛みがわかる。
言葉にすると陳腐な資質が、アイちゃんには強く宿っている。
そういう子が、親友を救えなかった傷の深さ。
アイちゃんは枕営業の意味も知らない、ピュアな子供である。かわいーー!!(発作)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
ねいるがその花園に踏み込むか、ちょっと戸惑って撤退するのが面白い。
お前…かなりアイちゃん好きだな…あと”マジ”とか使うのね。
メッセージアプリを活かしたここの呼吸は、友情の息吹があって良い。
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アイちゃんはリカの踏み込みを”怖くない”と言い切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
『お前も顔で友達選んでたじゃん』と、初対面で投げるには危険すぎる暴投も、反発しつつ自分に引き寄せて考えている。
殻にこもって自分を守る繊細さと、相手の本質を見て受け入れる強さが同居した、不思議な子供である。
多分この両立とは様々な子供にありふれていて、このバランスを崩して青春から落ちて割れたり、あるいはどっちかに傾けて生き延びたり、あるいは奇跡のように両立させて大人になったりするのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
共感を鈍麻させ、他人を食って生き延びる怪物の犠牲者達が、孵らぬ卵には閉じ込められ続けている。
それを受け止め開放できる子たちが、皆様々な形の殻を立てて自分を守りつつ、その奥に柔らかな感性を残しているのは、まぁ納得である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
死なず、殺されず、より善く己を打ち立てられる場所にたどり着いてほしいと祈っているが、作品が提供する舞台は厳しい。
卵は、おそらく割れるだろう。ハー…。
アイちゃんが友情に浸る裏で、リカは鎧を少し外し、湯に融けていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
刻まれた傷、呪いと約束。
調子の良い明るい子供が、長袖の奥に隠しているものがじわりと、赤い色合いを見せてくる。
眩しすぎて(今は)見えない場所に、アイはそれでも隣り合う。
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ここでリカちゃんの武器が『カッター』である意味にぶっ刺されて、”ウッ”ってなっちゃったんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
侮り思い込むほど、それを裏切る真実で殴りつけられた時の火力は上がる。
それを不意打ちにせずしっかり突き刺すためには、真実のカケラをさり気なく混ぜておくのが大事なんだなぁ…。
表に出ているもの、鎧で隠しているものの奥を見る能力が、アイちゃんは高い。傷ついた子供たちの物語で、主役を張るには大事な力だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
だがその視線はあくまで子供のそれで、例えばセックスにまつわる事象はさっぱり見えていない。
境界線の奥に、何が蠢いていたのか。
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小糸ちゃんの抱擁と視線に、どんな赤黒さが混じっていたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
親友だと思っていた子と、何を共有できていなかったのか。
そんな真実(あるいは、面白くもない事実)をアイちゃんは、まだまだ知らない。
枕営業の意味を知ってる、大人びた友達に色々教えてもらえる日は、はたして来るのか。
知ったとしても、思い出は既に墓の中、後悔先に立たずではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
物語が動き出す前に、既に重たく少女たちを縛り付けている死の不可逆性を、どう扱ってどう戦うかは、この話を視続ける上で結構大事なポイントかな、と思う。
奇跡は起こるのか、それとも時は巻き戻らないのか。
奇跡が起こるとして、それはどのレイヤーでなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
現実を書き換えるのか、生者の認識の上でか。
泡沫の夢か、確かな手触りのあるものか。
夢と現実の間を揺らぎ、致死性の戦いに身を投げる物語は、その境目をあやふやなままに進む。
肌を重ねて、同じ床で見る夢に食われていく。
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リカの夢は、その秘めたる重さ故にアイちゃんを引っ張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
『友達をバカにして、金づるにするような子には自分の思いは負けない』と、アイちゃんは一瞬反発する。
しかし事実、目の前に広がるのはリカの世界だ。花に埋もれた、遠い死者たちの国。
そこに踊る陽気な双子にも、死の重さは確かにある。
リカちゃんが『ドルヲタの後追い、軽くないよ』と言えるのは、自分がプレイヤーとして同じ領域にいたから…だけではないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
性の匂いをどこかに漂わせながら、愛を札束で証明する残酷な場所に、確かにこもっている熱量。
それが自分も、自分に触れてくれた人も焼いた事実。
それを知っているから、彼女は場違いに明るい死人達にシリアスな目を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
それを引き継ぐ形で、アイちゃんもまた、守るべき卵たちの重さを考え直していく。
この『考え直す』能力が、アイちゃんの人格かなぁ、と思ったりもする。思い込みが強いが、それを翻し世界を刷新するのを厭わない。
小糸ちゃんとちえみちゃんを天秤にかけて、夢はリカの世界に傾いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
ならそこには、彼女が表立って振り回す悪辣以外のものが、確かにあるのかも知れない。
そういう可能性に目を向けて、自分を縛るドグマを剥がせる所が、最強の武器…となるか。
小糸ちゃん関係でも、かさぶた引っ剥がせるかなぁ…。
ミテミヌフリはここでも這い出し、二人の戦士は噛み合わない共闘を始める。双子がはしゃぐようにデザインはキモかわいいが、握った包丁はリアルだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
開けた場所では守りきれないと、逃げ込んだ灯台。
密室、アジール、行き先を示す場所。
一瞬だけ許された、私的な空間。
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そこでアイちゃんは、貴重な時間をリカの心に踏み込むことに使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
悪辣な表層の奥に、確かに感じている血潮…自分が小糸ちゃんを追う切実さと同じものを、預けて欲しいと瞳を向ける。
その生真面目な熱を受け取って、リカが鎧を外す時の呼吸が、僕は好きだ。
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バカみたいに何度も何度も、愛を伝えて金を使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
アイドル稼業の当たり前、金持ちの道楽と思っていたものがその実、とんでもなく危うい行為だった。
止めたいと、喉から滑り出した言葉は凶器の形にしかなってくれない。
リカちゃんは、大人びた鎧の奥に隠した優しさの使い方が、よく解らなかった。
それは微笑ましいすれ違い、青春の一ページなんぞでは終わらず、関係を断ち切ってでも守りたかった相手を殺してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
白い花に包まれた、痩せ細った遺骸。
もう二度と出来ない、別れの握手。
それで終わらないために、少女は奇跡にすがる。
血を流し、戦う。
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空想美少女めいたツインテールから、ピンクを一房パンクスに残しているのは、自分の手を握り続けてくれた少女の夢を、己に刻むためか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
こんなに切実なものを抱えているのに、ひどく悪ぶった態度でしかそれを語らない所に、器用に見える少女の不器用と、反骨のプライドが匂い立つ。
悪い大人の薄汚さに、触れざるを得ない偶像稼業。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
冒頭、女を食い物にする怪物を切ったのも、『自己責任』と突き放すアカについた悪態も、リカが(子供が大抵そうであるように)大人を信じていないことを示している。
嘘と欲にまみれたクソには、絶対に頼らない。本心も見せない。
そんな強がりを支えに立ち続けるリカは、しかし支えてくれる誰かを当然求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
人間で、しかも子供である存在が、意地一つで立てるほど殻の内側の夢も、外側の現実も優しくない。
もう一度温もりを伝え、繋がってくれるかも知れない存在。闘争の同志。
それをリカは、多分初対面からアイに求めた
毎度のことながら聖域は打ち破られ、少女たちは闘争に立ち返る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
血が流れようが、死が迫ろうが退けない意地の一線で、二人は既に死んでいる魂のためにミテミヌフリを殺していく。
その姿に、いつかの自分が重なるのなら。
共に死んでしまいたかったと、裏切られた焦熱が己を焼くなら。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/JNf1tNjPCK
悪夢と分かりつつも、醒めるわけにはいかないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
エッグから少女を孵すこと、そのトラウマに血みどろ向き合うことで、アイちゃんが変わるはずのない過去の一面を見出していくのは、変則的ながら正道のジュブナイルと言える。
誰かの反射の中にしか、掴むべき自己像はないのだ。
例えそれが煙と消える一瞬の夢でも、死者も後悔も取り返せないとしても、それは確かにそこにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
砂のように儚いものを握りしめて、立ち上がり刃を振るうことで、若鳥は吠え方を、飛び方を知っていく。
人生の答え…その欠片を掴んだ瞬間が、見事なアクションと重なる。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/YJpEs8vRj2
このひどくアニメ的な”重なり”の気持ちよさを、バッキバキの作画で存分振り回せるのは、このアニメの強いところだなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
美術も音楽もそうだけど、高いクオリティをどのタイミングで使うか、よく考えて差し込んでる感じ。
それがテンポと緩急、心地よいメリハリを生んで、見てて楽しい。
熱く吠えて悟った風味のドヤ顔に、『何いってんだこいつ…』とリカが反応するところが、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
一昔前の漫画みたいに、何もかもが一瞬で繋がり合うわけじゃないけど。
何かデコボコして、ザラザラ噛み合わないときもあるけど。
それでも、心からの叫びを間近で言える、聞ける相手がいるのは良い
まぁ勝利が確定した話じゃないから、リカちゃんは石化するんですけどね…マジか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
縛り付ける触手、毒をがなりたてるサイレン。
性のモチーフをフロイトの悪夢めいて取り込んだ、大人という怪物は子供を喰う。
前回に引き続き、若さへの憎悪が滲むなぁ…。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/BQCUbfJ1KM
蛸の怪物が吠えるように、子供はいつか大人になり、人を喰う怪物に変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
ぷぷぷーっとそれを嘲笑った直後に、吐き出される毒に噛みつかれる。
どれだけ綺麗で嘘のないものを、共有したとしても。
熱い魂を燃やして、突き進んだとしても。
ワンダーランドは残酷に、リアルなルールで駆動する。
『イヤほんと勘弁してくださいよ…都合のいいファンタジーでなんかこう、どうにかしてくださいよッ!』って感じであるが、いやはや本当にどうなるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
この生々しさでぶっ叩いた後に、軽妙なる”Life is サイダー”を流し込んでくる所に、この作品の性格の悪さがよく出ている。何がサイダーだ!
好きになったらスゲー痛いと分かりつつ、アイちゃんは力強くて可愛く、ねいるはおすまし顔の奥で友情を温め、リカちゃんは棘の奥に柔らかい真心を研いでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
好きになるしかないが、これ以上好きになりたくはない。
でも無理だなぁ…話運びと魅せ方が巧すぎるので、コロコロ転がされるしかない。
重たく暗いネタをぶん回すシーンだけでなく、真っ直ぐ人のあり方を吠える場面が真っすぐ強かったり、死地から離れた日常で少女たちが見せる表情が本当に可愛かったり、色んな所が強くてずるいアニメです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
ホントね、今後も軽率に可愛さの発作を起こしていく。皆可愛い死なないで…。
次回も楽しみッ!
追記 世の殆どの人が飲み込む酩酊に、諦めきれなかったからこそ、エッグの少女たちは死闘に踏み込むのだ。
ワンプラ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
オープンエアな場所では殺されるだけと、灯台に立てこる二人。
これも”殻”のモチーフの変奏であり、無防備に外界にさらけ出されている状態から周囲を覆われている状態に移行することで、二人は戦う意味を共有し、態勢を整えていく。
未成熟な子供時代から殻を破り、外界へと成熟していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
そんな方向性だけが果たして”正解”なのかと、閉ざされた場所と開かれた場所を複雑に行ったり来たりするこのアニメは問うてくる。
殻の中に置き去りにした、柔らかなものこそ、真実力を生み出しうるのではないか。
そういう内向きの視線と同時に、外側に荒れ狂う風の強さ、柔らかなままでは生き延びられない厳しさも、様々な形で描いてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
いじめ、引きこもり、パワハラ、リストカット、性、搾取。
露悪の棘に塗れたテーマが切り裂き、顕にする生っぽさ。断絶を越えて己を見つける難しさ。
それがどこにたどり着くかはさっぱり分からないが、殻の中のワンダーランドを絶対視しない怜悧な視線がこの作品に在るのは、良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
僕は甘っちょろいので、いい夢で終わってほしいなと強く願っているが、さてどうなることか。
人生はサイダーではないと、僕は思いたい。
まぁCiderも原義としては”林檎酒”であり、うさを忘れるために大人が飲むものの一種だったりもするわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月27日
夢は甘いか苦いか、致命性か。
美麗な世界に薫るニヒリズムを、必死こいて越えて描いた先に見えてくるものが、あると良いなぁ…などと思っている。さー、どうなるかな。