ゆるキャン△ SEASON2 を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
冬休みも終わり、活動再開となった野クル。
校庭にタープ(一部人力)を立てつつも、心は次のキャンプに彷徨い出す。
そのために必要なのは…お金! 勤労に流した汗で、掴む夢のガジェット!
その欲望すらも、青春の焚き木。
そこに一滴、入り交じるのは…。
そんな感じの、マネーとアイテムと人情のゆるキャンアニメ、二期第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
身の丈にあったハンディな描写、漂う清潔感が持ち味のこの作品。
『あれが欲しい!』というガッツいた感情も、またうまーくパッケージして上品に整えてしまう上手さがある。
女子高生の勤労事情と、ようやく掴んだ夢のガジェット。だんだん豊かになっていくキャンプ事情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
適度な手触りから泥臭さと生臭さを抜いて、麗しき現実的ファンタジーとしてお出しする手腕は、何もキャンプサイトという非日常だけで踊るわけではない。
街の中でも、丁寧に夢を描く。
そんな筆が、崩し顔多めのコミカルな描画の中、たしかに活きるエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
ありふれているはずの景色や感情を、上手く屈折させて新たな美しさとともに描き直す”再生の面白さ”みたいなもんが、相当元気な作品なのだと思う。
身近なはずなのに新しい、不思議な感覚…日常系の基本にして究極。
今回のお話はキャンプとキャンプの間のケであり、しかしその輝きはハレの日と遜色が無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
楽しかった冬休みを思い返しながら、賑やかに立てるタープは、忘れ物をしても面白い。
今日も野クルは冬の風に負けず、仲良し元気だ。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/CvdeDBngUA
イカす美術に染みる情感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
強い演出で魅せるキャンプ回とはまた違った、”抜き”の面白さが元気な回といえる。
こういう狭間を丁寧に繋ぐからこそ、ハレの日に何が開放され、達成され、共有されるかも分かりやすい。
同時に、そんな狭間の時間それ自体がとびきり楽しかったりもする。
次はアレが欲しい、コレが欲しいと、ワクワク話し合う時間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
そのために汗水たらす労働もまた、目標があるなら楽しめる。
ガジェットはただのモノで終わらず、皆で過ごす時間を明るく、笑いに満ちたものにするためのもの。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/ZgoImyCoKc
犬のためにテントを買うのも、また良し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
お土産はお世話になってる顧問に、日々の感謝を伝えるためのメディア。
ここではマルクスが見た労働と疎外、貨幣経済の非人間化は遠ざけられ、モノとカネとヒトは非常に幸福な繋がり方を果たしている。
ここら辺の濁りない多幸感は、良いファンタジーだなぁ。
携帯電話にばかり注目していたけども、モノ全般に広く信頼があるというか、それを求める欲望含めて、肯定的に見ている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
オシャレにやりたい。可愛いモノに包まれたい。
そういう願望を起点にキャンプやったって、別にいいじゃないか。
そういうポップな消費意識、ガジェットへの愛着と肯定が背景にあって、汗の匂いが薫香と漂う、軽やかな筆致が成り立っているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
まぁむくつけきをのこがヴァーヴァー言いながら山登るのは、”神々の山嶺”か”K”、”アルプス伝説”くらいで良いもんな…それも好きだよ俺は。
ポジティブ&ポップな視線は消費者だけでなく、売る側にもしっかり根付いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
まるでトランペットを欲しがるハーレムの少年のように、ランプに瞳輝かせるなでしこを、カリブーの店員さん達は微笑ましく見守る。
互いに名も知らねども、銭金だけで繋がるでなし。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/TZBx7JqgFV
ここで弾んだ心が、なでしこの足取りを加速させて、思いは新たなキャンプ、新たなメニューに飛躍する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
のだが、すとん、とペースが落ちて、なでしこは静かに己を鑑みる。
心に染み入った、あの時のりんちゃんの言葉。
私もソロキャン、やってみたいかも。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/mYBKpjFmLp
キャンプに夢中な少女の心が、どんな風に動くのかを活写した見事なシーケンスである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
喜ばしく加速した心がふと落ち着いて、BGMが消え、身延駅の静かな情景にぽつんと、なでしこがある。
夜が静かに近寄ってきて、頭の中の熱気が晴れてきて、掴むべき答えが形をなしてくる。
その辺りで左上にカットインしてくる電灯の明かりが、”答え”を掴む意識の流れとしっかりリンクし絶妙な演出であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
明るくコミカルに、テンポよく心地よく。
弾み調子で回っていたお話が一瞬スッと冷えて、未来を静かに示す。この緩急が、凄く良い。
なでしこのソロキャンも、必ず素晴らしいだろう
しかし何につけても先立つものは必要…というわけで、なでしこはバイトを探し求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
だがなかなかに機会は訪れず、時計に朝の情景を反射する見せ方が冴え、お姉ちゃんはクールな顔に特大の妹LOVEを炸裂させる。
マジで妹好きすぎるんだよなぁ…(最高)。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/e6bj32s98n
身延駅の電灯の入り方もそうだけど、今回さり気なくもスタイリッシュ、なおかつよく刺さる静物の演出が元気であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
全体的にコミカルなエピソードなんだけども、こういうところでセンスが唸ることで、全体がビッと締まる。黒澤雅之コンテの力なんかなー。
姉妹がお互い思い合ってる感じ、ソロキャンを思った動→静の身延駅と、エビ天丼にワクワクな静→動の身延駅の対比を、反復を活用しながらスパッと差し込んでくる手腕も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
同じ場所、同じ時間が繰り返されるように見えて、様々な色のある日常。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/s3CCavj4eJ
そこで目を向けたモノが少女の青春を駆動させ、清廉な欲望と確かな温もりを生み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
なでしこがハクキンカイロの広告に何を見たかは、EDで明かされるわけだが、姉妹自分の道だけに夢中と思わせておいて、周りにいる人のことを見落とさない。
というわけで、桜さんの妹LOVEが大炸裂し、なでしこは新たなバイトをゲットするのであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
マージで! マジでこのクール顔の奥にどんだけの優しさがあるかをなでしこは心底判っているし、お姉ちゃんもそんな妹の可愛げあればこそズブズブ仲良し姉妹なんだよなぁ…。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/XJRk71m3qV
『メインディッシュの脇にある、ちょっと嬉しい箸休め程度に供給してくれれば満足…』と思っていた各務原姉妹要素が大量供給され、過剰励起する脳髄に嬉しい悲鳴であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
妹が好きすぎる焦熱を隠したまま、冷静に考えると人智を超えたLOVEを叩きつけている姉がマジ好きだからよ…。
パット見分かりにくい姉のLOVEを、なでしこが当然のごとくスッと受け取り、想いを返してるのもまた良いんですよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
血縁家族というフレームに甘えず、そのポジションに居る意味をちゃんと考えて、愛と謝意を形で返そうとする妹…愛されるばかりではないが故に、より愛される…。
各務ヶ原学は難しいので一旦こんくらいにして、なでしこは念願のランタンを無事手に入れ、浮かれすぎてうっかり壊しかけ、なんとか護って店員さんもホット一息。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
かくして幸福なる消費と労働の輪廻は回り、姉は妹のたどり着いた幸福に微笑む。良かったね。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/F5nBCK6M13
ここからEDを背景に、固定カメラでオレンジの暖かい光、更ける夜と明ける朝を見せて、なでしこがお姉ちゃんに返したもので終わる流れは、図抜けたセンスを見せた今回の幕にふさわしい仕上がりだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
冬の寒さに、手をすり合わす桜さんが写るのが巧い。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/cRAhA7VLjS
そこを切り取ることで、何気ない日常のやり取りを聞き落とさず、命金を削って姉の真心に報いんとするなでしこの思いが、強く伝わってくるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
日々は何も変わらないように流れていくが、しかしそこには幾重にも折り重なる温もりの連鎖がある。
寒い朝も、それがあるなら大丈夫。
そんな姉妹の朝を写して、今回のエピソードは終わる。ええ話や…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
キャンプとキャンプの間に何があって、どんな思いが積み重なるのか。
労働と欲望の幸福な共犯を、濁りなく描く中で見えてくる喜び、確かな繋がり。
ハッピーな時間にふと訪れる、真実の瞬間。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/H8JBoCF0Uq
そういうものをセンスよく描ききった、見事なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月29日
作品の特色と視座が、メインテーマであるキャンプをやらないからこそよく滲む回だったかと思います。
カウント整える回で、こういう仕上がりに出来るのマジつええな…。
次回、山中湖キャンプ。楽しみです。