Dr.STONE STONE WARSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
ほむらとの情報戦を制し、無事ホットラインを作り上げた科学王国。
しかしクロム達には凄腕のスナイパーが、大樹にはニッキーの監視が張り付き、苦境は続く。
地獄行き確定の大嘘、最初の犠牲者を取り込むべく、千空が差し出したものとは…!?
そんな感じの、時を超える詩の物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
原作でも非常に力強いエピソードなのだが、アニメで歌が付き演出が補強されたことで、さらに心に迫る仕上がるとなった。
ゲス顔で『地獄行きだぜー!』とか盛り上がってたボーイたちが、最初の犠牲者にやるのがコレ。
どう転がっても善良にしかなれねぇ、千空と仲間たちの血の色が良く見えるエピソードだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
表向き死人である千空からの電話が、体を張って信頼を得る大樹を通して、荒んでいたニッキーの心を揺さぶる。
もう失われたと思いこんでいた、生きる意味を過去から受け取る。
サブタイトルのダブルミーニングがよく刺さる、ホンマにええ話やった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
千空が科学技術で復活させたいのは、やっぱ人間がより善く人間として、誰かを害したり強制したりしないでいい世界なんだなー、って感じ。
物質的な豊かさは、そんな綺麗事を手放さないためのマージンとして見てる、つーか。
というわけで、今回の攻略対象ニッキーさんは最初から、大樹と杠をジロジロ睨めつけながら登場する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
同じ焚き火で炙った肉を食いつつも、大樹達は司帝国の一員とは認められていない。
まぁ、当然といえば当然。
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死者である司から大樹に流せる情報は限られていて、全てを伝えるわけにはいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
しかし強い絆が二人を結び、『言わずともアイツなら…』という信頼が、言葉少なく男たちを結びつける。
ペラペラ嘘とハッタリぶん回しているようで、結局はこういうところである。
大樹は溢れるパワーを、誰かを傷つけるために一切使えないという、かなり面白い造形をした少年である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
あらゆる状況で完全防御、自衛しかしないで耐え続ける。
剛力の持ち主なのに武器を一切握らない彼がいることで、千空の非殺主義にも一本筋金が入る。マジで殴られてばっかだからな大樹…。
大樹はバカだが分をわきまえたバカで、頭が切れる…以上に、倫理観を信頼できる親友の考えを全面的に受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
ただし、目指すところはしっかり確認もする。
一番血が流れないやり方で、司帝国を倒す。
それさえ確認できれば、仔細は問わない。二人の絆はとにかく太い。
千空は伝えられた情報から、ゲン達の苦境を察する。ここも千空の明晰さだけじゃなく、先行した連中への信頼が見える感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
アイツラは、よっぽどの事情がなければ、そういうハンパはしない。なら”よっぽど”が置きたのだ。
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凄腕の狙撃手に釘付けにされた状況を、脱するための囮作戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
迷うことなく煙幕に飛び込んだクロムとマグマの、思いを汲んで本拠へ戻るゲンの眼差し。
今回特に”眼”の作画がいいが、舌先三寸のペテン野郎がする顔じゃないんだよなぁ…偽悪マンの多いアニメだ。
千空の人格的・技術的完成度が高いので、未熟な状態から一個ずつ自分を作っていく主人公力というのは、クロムが背負う形になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
一人の科学使いとして、発展途上の青年として。
危険を承知で矢風に身を晒すクロムの覚悟、科学アイテムを荒削りに使う仕草が、なかなかにアツくて良い。
千空のようなチート知識があるわけでなし、ただただ不思議大好きな変わり者の少年であるクロムは、変化と成長の手応えが良く見えるキャラだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
クールで蓮っ葉な千空には背負えない所を、上手く担当してくれる、汗臭いもうひとりの主役。
主役多いんだけどさ、このお話。共同体の物語だからな…。
そんな主役の一人が、自分を送り出した仲間の想いを背負って無事帰還。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
動き出す極悪作戦のターゲットは、頑なな意思を拳に込めるニッキー。
それと直接触れ合う大樹は、血を流そうとも屈することはない。
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死せるリリアナを仲立ちにした、生きる人達の交渉が目立つエピソードだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
ここのニッキーと大樹の掛け合いが、僕は凄く好きなのだ。
言葉少なく、親友の言葉をただ信じた大樹はその思いを瞳に宿し、ニッキーに届ける。
届くと信じているから、殴られても耐えることが出来る。
それは千空だけじゃなく、殴ってくる相手とすらも対話ができると考えるからこそ、出来る事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
そういうふうに底抜けに、人間を信じてるバカが間近にいたから、千空も高い知性を捻くれさせることなく、科学の可能性を信じる青年になったのかもしれない。
ニッキーもまた、怪物めいたタフネスを見せる大樹が”耐えて”いることを感じ取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
痛みがないわけではなく、それに崩れない信念を拳越し受け取って、話を聞く姿勢を見せる。
そういう柔軟性…人の証たる共感能力がある人間は、暴力で世界を縛ろうとする司帝国とは、存外相性が悪い。
大樹がこじ開けた扉に、滑り込む悪魔の計画。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
ゲンちゃんがスルスル~っとリリアナに化ける描写は、アニメ特有で妙に面白い。そんな…声まで変わって!
チョロく転がせると思ってた相手がリリアナ超ガチ勢で、さー困ったぞ詐欺師集団!!
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暴力的で頑なに見えたニッキーにも、当然心の拠り所はあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
それが崩壊してしまったからこそ、手近にあった司帝国の”暴”に身を寄せたのかもしれない。
文明が崩壊し、全てが過去になった世界。そこで寄る辺もなく、獣として立つしか無い未来。
ニッキーを包んでいた価値観は、携帯越しに飛んでくる懐かしい歌に解され、涙と融けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
同時に希望が見えればこそ疑いも強くなり、ニッキーは厳しく、その正体を問いただす。
無理難題をチート頭脳で切り抜けていくのは、なかなか爽快。
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限られた材料からあやふやな答えを探り出す千空の頭脳と度胸、それを糊塗するゲンの弁舌は、確かに強力な武器だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
しかしそこには心がない。
相手を都合よく騙して、自分たちが信じる”善”の道具として使うのであれば、敵対する司帝国と同じだ。
なので、自分たちが持っている本当を早速差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
それは父が自分を信じ、文明復活を信じて託した記録であり、ニッキーの中に眠っていた記憶を呼び覚ましていく。
自分が人間として、これ以上無いほど生きていると思えた、瞬間の涙を。
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歌にはそういうモノを蘇らせる力がある。今回のエピソードは、音楽の物語としてもとても力強いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
ガサツと周囲に思われていた過去のニッキーが、心の拠り所にしていた音楽。
それをレコードで再生させたことが、今のニッキーを変えていく。…というか、思い出させていく。
自分が大樹を監視し、暴力を奮って頑なに共感しない存在ではなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
誰かの歌を受け取って、心を震わせ涙を流す存在であったことを、リリアンの歌は蘇らせるのだ。
それを復活させるのに、カセキのエンジニア力とか、百夜の思いとか、大樹のタフな信念とか、千空一人じゃ出来ない所が好き。
功利的な装いで始まった、偽りの希望による内応作戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
その初手たるニッキー相手に、千空はかなわない約束ではなく、たった一つの真実を差し出す。
百の歌は蘇らなくても、一つだけの希望は守る。
俺が信じる、科学の力で。
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『騙せ!』と囁くゲンちゃんに、一瞬瞳を閉じて計算を巡らせ、結局偽りのない信念を差し出す千空が、やはり良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
彼もまた、向き合う相手が人間であり、譲れない大事なものを抱えて生きていると信じればこそ、暴力ではなく対話を武器に選んだ。
そこは、再会なった親友と同じだ。
やっぱどんだけ悪ぶっても、千空はあらゆる人間が人間らしく活きる道を諦められない男(ひと)であり、性別や年齢や特性に関わらず、相手が胸の中に抱える生きる柱を蔑ろには出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
多分千空はリリアンの歌には、1ミリも興味がないだろう。崩壊する前の世界で、自発的に聴いたことも無いと思う。
しかしそれを縁に生きてきて、今人として生き直すことを選んだニッキーの思いを、踏みつけにすることはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
自分が信じる科学の力で、約束を守る。希望を蘇らせる。
これがリリアナとニッキーだけでなく、自分と親父にも重なる関係性なのが、僕は凄く好き。
リリアナも百夜もとうの昔に死んでしまって、しかしその思いは様々な形で未来に残った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
いつか。
微かな希望を信じて託す、その小さな声を聞き届け、蘇らせる。思い出させる。
…だけで終わらず、先に進む。同じ希望を求める仲間を、共同体に組み込んでいく。
リリアンのレコードが再生させたのは、単なる歌ではなく、ニッキーの中の『人でありたい』という希望なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
それを届ける時、金メッキの嘘ではなく鋼の信念をこそ、突破口に選ぶ。
千空はまぁ、そういう少年である。だから好きなんよ…。
かくして、監視役をたらしこみ、利害は一致した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
つーかそれって”信頼”なんじゃないですかね…揺らぐことのない魂の共鳴を、マイク越し感じたから動き出すわけで…。
そういう熱のあるものを、あえて”利害”とうそぶくのが、このアニメの作法である
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険しい疑念が宿った監視役が、錆びついた希望を蘇らせて晴れやかに終わるのが、凄く良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
地獄堕ち確定の嘘つき大作戦は、一人の少女の顔をこのように変えるのだ。
原作からずっと思ってっけど、ニッキー芯があってタフで、相当にハンサムよね…好きよ。
大樹や千空と触れ合わなければ、そんなニッキーの輝きも錆びついたままだったわけで、魂を組成させる触媒としても”ケイタイ”は仕事をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
やっぱ声と思いを伝える技術を、決戦兵器として選んだの妙手だよなぁ…ただ戦争に勝つだけでなく、死んだはずの希望をガンガン復活させていく。
思えば石化から蘇った当初から、そんな物語であった気もします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
胸すく科学無双、人と人が繋がる感度を支える柱が太い所が、やっぱ良いですね。
そういう構造が伝わらないとしても、格好良く面白く思えるよう、物語を怠けず仕上げているのも偉い。
楽しけりゃ、言いたいことは染みてくもんだ。
受け継がれ、蘇るものが変えていく世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月31日
信念の弾丸が築き上げた、敵地の橋頭堡。
そこに取り残されたクロムとマグマを、狙い撃つ狙撃手は何を思うか。
技術と情報、暴力と信念が火花を散らすSTONE WARSは、まだまだ続く。
そこに、歌あらんことを。次回も楽しみですね。