のんのんびより のんすとっぷ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
美しい雪の中での別れを経て、時は巡っていく。
花芽がほころぶように、子供たちの背丈は伸び、心が育っていく。
過ぎゆく時の愛おしさをグラスに満たして、飲んだ、飲んで、流れる涙。
そして、また春が来る。新しい春、懐かしい春。
そんな感じの最終回一個前! お前ら哭け! 私も泣く!! 喜びの涙酒エピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
同じ時を繰り返し、出口がないからこその安心感を大事にしてきたこのアニメであるが、三期は育ち巣立っていく子供たちを、そんな日々に丁寧に入れ込み進んできた。
冬の終わりに、春が巻き戻る特殊性。
それがある意味抑え込んできたものが、雪解けの水のように流れ出すときが近づいて生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
このみちゃんとあかねちゃんで、”卒業”の景色を一足先に描いたり。
れんちょんにしおりちゃんという妹分を与え、夏の別れの先にある景色、すっくと伸びた背筋を見せたり。
終わり、続くものを見据えてきた
これまで子供らの日常、人間の微笑ましい浅ましさに交えて書いてきた時の流れ、終わりあればこその始まりを、今回は大人…かつて子供であり、大人になった存在から見据えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
グデングデンに酒を飲み、緩んだたがから思いが漏れる。
自分の身の丈も伸びればこそ、解る育ちのありがたさ。
自分で眠ることすらままならなかった幼子が、眠れぬ身を伸ばしてずり落ちた布団をかけ、身を案じてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
そんな変化に寂しさではなく、喜びを感じて流れる涙。
ラスト3分。どっしりカメラを構える作品の強みが、最高に咲き誇っていた。
というわけで、桜ほころぶ春、しおりちゃんにお姉さんぶらんと意気軒昂なれんちょんと、そんな宮内れんげさんが好きすぎる駄菓子屋からスタートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
美しい四季、勁き子供、優しい大人。好きなものしか入ってねぇスタートで、完全に”お子様ランチ”
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のっちのっちと左右に揺れながら、子供らしい不確かな、しかし何よりも力強い足取りで未来の方へ駆けていくれんちょん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
前回、去りゆくほのかちゃんと遊びに行った時は過去の方向…トンネルの奥に走っていったのと、面白い対比の演出だと思う。
どちらに進むにしても、駄菓子屋はそれを見守る。
駄菓子屋はれんちょんにべったり張り付きはしないが、常にその変化を見守り、気持ちに寄り添う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
大事な兆しを見落としていないか、常時問いかけながら、小さな存在に向き合っている。
その過剰な力み、忽せにしない真摯さが非常に良い。愛子をナメない大人、信頼しかねぇ…。
若かりし日の慢心を、実体験交えつつ伝えるお姉さんの姿に、思わず俺もキモい笑顔であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
しおりちゃんの言葉遣いがスゲーざっくりしてて、唐突に話の焦点が切り替わるところ、やっぱ未就学児童をよく観察してて良いんだよな…。
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標準より心身の発育が速いれんちょんは、移り変わりの早いしおりちゃんの世界にしっかり目線を合わせ、自分が差し出せるものを必死に探りながら向き合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
このスタンスが完全に駄菓子屋と同じで、”継承”という感じがする。善良さ、真摯さは伝染すんだよなぁ…。
しおりちゃんと離れて少し寂しい時間を、どっしり切り取った上で、家で待つ友のありがたさをじんわり染みさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
ギャグシーンではシュールな”間”を生んでいた、作品独自の呼吸。それはこういうペーソスを切り取る上でも、大きな仕事をする。
しおりちゃんの前では”姉”だったれんちょんは、年上のお姉ちゃんに囲まれて力を抜き、みんなの”妹”になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
その両方の顔が、たぶん本当だ。アイデンティティは取り巻く環境、周囲の人々によって、自由に形を変えうる。
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中当て上手くなって、しおりちゃんに教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
そんな決意を素直に口にできる、年上の友達の優しき微笑み。
三期はれんちょんの幼さが色濃く描写され、それ故そこからはみ出す成長も鮮明なのだが、これを受けて年上世代の慈しみが溢れかえってるのが、あまりにありがたい。
優しくて強い…優しい自分、強い自分になろうと毎日懸命に生きているれんちょんが、みんな好きだから見守り微笑み、一緒に遊ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
それは春の兆しにほころぶ花々と同じく、美しさと命の輝きに満ちている。
叙情のドラマがしみじみ染み込むカンバスとして、強い美術を使いこなしているのは流石。
見守られるだけだった子供が、今度は見守る側になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
伸びた背丈の中にはまだ頑是ない幼子が眠っていて、その純粋さが大人の強さを支える。
時の移ろいが何かを変えたとしても、変わらない麗しさ。変わるからこその喜び。
最終コーナーを回り、作品のコアが浮き彫りにされていく。
『これからお前ら、エモで殺す!』と予告せんばかりの、美しい夕景。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
そっから展開する、ダメ大人鬼飲みグデングデン祭り。作中最強のツッコミであるひか姉も添えて、大人世代の号泣祭りだ!
…ひか姉、まだ子供でもあるんだけどな。
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メッコメコだったくせに、れんちょんが顔出すとキリッと顔を引き締め、膝を曲げて優しく強く慈しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
惚れ込んだ子の前でええかっこしたい駄菓子屋の、浅ましい…というにはあまりに微笑ましい人間味。こういうの編み上げるの、ホントこの作品の強さだと思う。
好きだからこそ、より良い自分を見せたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
そんな強がりがより良い自分を連れてくることは、お姉さんになったれんちょんの振る舞いを見ていればよく判る。
すっくと背中を伸ばし自分を飾ることが、偽りではなく真実を連れてくる、人生の面白さ。
そういうのが、今回良く見える。
初めてあった時からずっと、れんちょん好きすぎだった駄菓子屋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
見てる俺らも『知ってる』と、思わず言ってしまう思い入れは、長い長い歴史を持っている。
今回描いているものを思うと、回想シーンの未だ幼い子供らが、非常に複雑な色彩を帯びてくる。
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子供が赤ん坊で、お姉さんたちがまだ子供であった時代。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
幼さにも勾配があり、子供は赤ん坊の面倒をしっかり見て、言葉を知らぬものと心を通わせるために、必死で辞書を作る。
それは訂正が必要な手作りの、世界で一番価値のある辞書だ。
れんげはこれが好き、あれが嫌い。
楓の思い込みはこのみちゃんの乱入でどんどん書き換えられていって、しかし揺るがぬものもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
このみちゃんはれんちょんを笑わせることが出来ても、泣き止ませ安らかに眠らせることは出来ない。
身を預け、心地よい揺らぎをくれる信頼。
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それを間近で感じたら、まぁれんキチにもなるわな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
泣きれんちょんから眠りれんちょんへ、駄菓子屋必勝の”あやし”がキマってベビーが眠るまでをどっしり見せるのも、またこの作品特有の焦らぬ運びである。
こういう所をスローでやれるの、マジで強い。小岩井さんのベビー声も良い。
一回サゲて笑いを取って、グッと上げてお話を収める二拍子は、この作品の得意技であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
得意満面で差し出したルーチンをビンタで跳ね除けられ、しかし安らぐのは楓の腕の中だけという運びは、笑いも情感もしっかり生み出していて、大変良かった。
そんな日々も遠くに過ぎて、れんげはより幼い子を思い、顔を引き締めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
かつてを知る子供も、新たに加わった仲間も、皆流れるときの中でより善く、より強く変化していく。
マジいい話なんだが、こまぐるみの”圧”がスゲェ…。
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ダメ大人二人のグダグダ感情を受け止め、飲めぬながらも酒席に並ぶひか姉も、また時を背に受けて前に進んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
あくまでシニカルな態度を崩さず、感動一本で行くより話を引き締めてくれてる彼女だが、そのツッコミ自体が成長を語る。
この構図、相当面白いよね…。
泣き崩れるかと思いきや、まーたれんちょんに良い顔しだす駄菓子屋の、大人ゆえの感慨。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
それを、一穂が引き継ぐ。
楓よりも年が上な彼女は、一匹狼な彼女が周囲に馴染めない姿を知っている。
駄菓子屋もまた、生まれた時から”いい大人”ではない。
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そんな妹分が、色んな人生のよろめきを経て強く、優しい視点を手に入れたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
酒を飲んで、普段張ってる気遣いをほぐし、子供たちの成長を素直に寿ぐ瞬間を掴む”大人”になったこと。
自分もまた、そこに並び合って進んでいること。
これは泣く。間違いなく泣く。
アルコールで大脳新皮質が麻痺し、出てくる本音が感謝と感慨な所に、この二人…が身を置く作品の善良さがよく出てると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
『酔っ払って褒め言葉しかいわねぇ成人、マジ何食ったらなれるんだ…』って感じだ。
妹を見守るかず姉を、三期濃い目に描いてきたんで、ここの号泣は納得である。
アルコールで感情ダダびたしになったダメ大人に、『はよ寝ろ!』と言えるひかげも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
彼女も感動に流れていってしまうと、どうにも甘すぎる気配で締りがなかったと思うが、あくまでツッコミ担当、シニカルに回す姿勢を崩さないことで、最後の一発が綺麗に入る。
BGMが止まった時に、『あ、殺される…』とは思ったが、約三分の長尺で”全て”を見せるラストカット、本当にお見事でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
赤ん坊時代から見守り、今もちょっと甘えん坊に一緒に寝たがるれんちょん。そんな彼女が、無防備にあいた布団を正す。
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圧倒的な光を背負って、差し伸べられる手。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
その小ささと大きさを布団越しに感じて、楓は泣く。俺も泣く。
その感慨が心に染み入るように、非常にどっしり時間を使って、光と闇の粒子一粒、衣擦れの一音逃さぬよう、作中の現実を切り取っていく。
ここの運びは、のんのんアニメの真骨頂だと思う。
のんびり田舎のスローライフがただの題目ではなく、人のあり方を根っこから規定する大事なものだと示すためには、そこで流れる時間を実寸大で届ける必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
焦りなく、時が流れるままにじっくり魅せることでしか、伝わらないものが確かにある。
そういうモノを大事に大事に、積み重なってきた時。生み出してきた変化。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
それが春に巣立つ瞬間が、遂にやってきます。
多分とても良くて、笑えて、楽しい終わりになると思います。
何かが終わることが、何かの始まりであると信じられるような、最終回になるでしょう。
僕は非常に楽しみです。