オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
小戸川、41才男性。偏屈で人間嫌いなタクシードライバー。
体温の低い日常が、法定速度で流れていくような彼の周囲には、バズを求める大学生、女子高生の失踪、悪徳警官と凶漢…奇妙な事件が寄り集まる。
シニカルで都会的な空気の中、物語は未だ発火せず。だが…
そんな感じの、タイトル通りOddな物語が幕を開ける第一話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
センスのいい会話劇そのままでは画面が退屈になりそうな所に、理由のない獣人化が上手く刺さって、日常に潜む不穏なサスペンスがグッと視線を掴む。
シニカルでポップ、低体温ながら不穏当。面白い味付け、面白いセンスの滑り出し。
芸人さんを脇に多数配置し、職業声優も”いつもの”感じであんま演技をしない、実写気味なディレクション。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
しかし風景は極めてアニメ的にデフォルメされていて、児童番組的である。
そしてそんな筆致が切り取る人間模様はひどく冷笑的で、ザラついた知性と殺意が微かに、事件の気配を宿して停滞している
作品を構成する要素が軒並みOdd…上手く組を作らないあぶれ者の感覚に彩られながら、奇妙にハマってオリジナルな面白さを出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
何もかもが噛み合わないはずなのに、絶妙に組み合って何かが起きそうな、そんな第一話だった。
端的に言って、大変面白い。期待の持てるスタートとなった。
今回描かれるのは主人公、小戸川のありきたりな一日である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
何事にも冷笑的で、他人を拒みつつも口を閉じず、毒舌というには他人に刺すつもりのない思いつきが、ピシピシ小気味よく流れていく。
物語として力むところの少ない自然体の雰囲気を、花江夏樹が好演している。芸達者だなぁ…。
奇妙な客に振り回され、あるいは振り回し返し、悪徳警官に目をつけられながらも、なんとか日々をやり過ごす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
自分を心配してくれる主治医兼親友がいて、病んだり世をすねたりするほど孤独ではなく、立ち居振る舞いには奇妙な知性が良く滲む。
ヘンテコだけど、そこまで悪くない日々。
しかしその周囲には、時折どす黒い影が滲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
冒頭、沈められていく死体。
幾度も顔を出す女子高生失踪のニュース。
自室に潜む謎の影と、クソ警官のクソ絡み。
最後に載せたナースも、酷く冷笑的な顔を叩きつけてくる。
病院では微笑ましかった『ジェネレーションギャップ、いらねぇんだよ』の凄み。
この明暗がどういう背景で発生しているかは、まだまだ分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
しかしただただありきたりの日常を可愛く擬獣化し、児童アニメ調に包んだにしては鋭い苦味と不穏な気配が、上手くチラ見せされている。
いろいろ考えて奥を覗き込みたくなる、サスペンスフルな情報出しと、狙って醸し出す違和感。
その対比が、アニメ全体を上手く調律するバランス感覚と噛み合って、いい味を出していると感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
尖った要素が目立つけども、全体的な印象としてはバラバラではなく、”オッドタクシー”という一作品として上手くまとまっている視聴感に、しっかりたどり着く。
これはセンスと腕、両方いい証拠だろう。
僕自身Oddなモノを、たいへん好む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
だから、あんまアニメっぽくない発話、語調、会話のネタがコントのように、ドキュメンタリーのようにスルスル繋がっていくテンポが、新奇ながらしっくりも来て、大変面白かった。
音声だけ聞いてると滅茶苦茶実写っぽいのに、絵面は滅茶滅茶アニメ。面白い。
”バズ”を巡る一幕もそうだが、全体的にアーバンで今風の空気を作品に取り込もうとしている感じがあって、洒脱な音楽の使い方もそれを後押ししていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
PUNPEE、VaVa、OMSBって、また面白いメンバー連れてきたね…彼らのもってる”味”が、奇妙な素材に巧く連続性を持たせてる感じもある。
さりげなく、分かりやすく埋め込まれた謎は、今後様々に結びつき、明かされていく構成なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
街の風景として描かれていたアイドルも、まーたなんかロクでもない雰囲気出してて、小戸川のタクシーにノリそうな気配ムンムンである。生臭い話になりそうだなぁ…(期待)
Oddは全き偶数になりきれない、何かが欠けている様子を表す言葉だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
人間嫌いの小戸川に、何が欠けているのか。
当たり前で平和に見える世界の奥に、何が欠落しているのか。
この奇妙に捻じくれて、それでいて酷く自然な作品世界が何を言わんとしているのか。
それを今後描いていくと、静かに誠実に告げてくる構成も良かった。やっぱ出題が明瞭じゃないと、種明かしもピンとは来ねぇからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
しかし日常描写と乾いたユーモアが”おまけ”ってわけではなく、その手触りもしっかり仕上げ、作品の魅力としてまとめ上げてきたのは大変良い。
これからも小戸川のタクシーには奇妙な乗客が乗り込み、不思議な一幕を演じていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
それはタクシーという移動する箱では収まらず、街にひしめく不穏さと化学反応しながら、新たな物語に結びついていく。
その不思議で面白い網目を、今回見せたシニカルなセンス、アーバンな雰囲気で魅せれたら…
これは、中々に面白くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月7日
そういう予感のある、非常に達者な第一話だった。
日常コメディとサスペンスを交互に繰り返しながら、接続がギクシャクせずスルッと話を飲み込めたのは、大変にありがたい。
この両輪が奇妙なタクシーを、どう走らせていくのか。次回も楽しみだ。