NOMAD メガロボクス2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
よう、野良犬。
今更巣に帰ってきて何のつもりだ?
牙剥いて戦って親殺して、みんな見捨てて逃げ出して、居場所が残ってるとでも思ったか?
どっか遠い場所で、消えた夢でも拾ってきたか?
終わってねぇって唸ってもよ、もう終わってんだ。
墓穴掘っても、何も出ねぇぜ。
そんな感じの地獄の第二章開幕! 腹パン(精神)も顔パン(物理)も唸り倒す、あまりに厳しい贖罪の物語第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
『カーサ編で希望は補充したか? んじゃ、もう一回殴るからよ…』と言わんばかりのぶん殴りに、ボッコボコにされつつ気持ちよかった。
そうだよなぁ…こんぐらい殴るよなぁ…。
カーサ編があまりにいい出来だったのでうっかり思い違いしてたが、故郷に住む人々はジョーの苦悩も再起も当然知りゃしねぇし、大事なことに背中向けたのは事実だし、いまさら謝られても『もう終わったことです』とは、言いたくもなろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
逃げ出した過去、償えぬ罪、のしかかる拳と十字架。
ベコベコに殴り倒されてなお、ジョーは泥に塗れた夢の残骸を掘り返し、あしたへ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
チーフの魂を背負っちまった以上、どれだけ重たくても膝を折るわけには行かない。
己を責めれば楽になれる時間は、光の中で南部贋作の”死”と握手した時に、もう終わってしまっている。
立ち直り、やり直そうともがくことそれ自体が新たな苦しみを引き寄せるとしても、前に進むことしか許されていない、安らぎなきNOMAD。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
ジョーの闘いはここから新たに始まり、”家”で受け取ったものを嘘にしないためにも、動かせないほど重い過去と殴り合わなければいけない。
し、しんどすぎる…。
置き去りにした過去にベッコベコにされて、カーサ編が無駄だったかのようにも感じるけども、しかしジョーがあんだけ殴られて立ち上がるのはやっぱ、あそこで隣に寄り添ってくれた人達、差し出してくれた思いあってのことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
拳を握る以外の闘いは、殴られるよりも遥かに辛い。
あくまで愛する家族を救うためにリングに上がろうとしたジョーが、果たして間違っていたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
過ちと死は、けして取り戻せないものなのか。
そういうところ含めて、全力で問いただしていく姿勢を感じ直す、第二章の幕開けとなった。
マジ辛い…だが、見届けるしかねぇぜ…。
というわけで、即落ち二コマみてーな過去と現在の対比からお話は始まる。辛ぇーッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
何もかもが上手くいくと、皆で信じて笑っていたあの時代は遠くに過ぎて、目の前に在るのは廃墟だけ。
希望は崩れ、我が家にはもう誰もいない。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/ULHxaL9T3g
あの希望に満ちたエンディングからこの大惨事、第1話にも感じたある種の”裏切り”が、逃げ場のない人生のリングの結末だったことが、今回描かれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
血の汗流して練習して、強敵を殴り飛ばせば掴めるサクセス。
全てを燃やし尽くす闘いの先に待ってる、揺るがない幸福の形。
それを殴りつけるように、死病は南部贋作を、彼の”家”を蝕んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
殴っても勝てない、不屈の闘志と希望をもつほどに軋んでいく死の宿命から、かつて逃げ出した男が向き合う夢の残骸。
かつてここに、笑顔があった。
いまは、もう何もない。
出だしから、あまりにも辛い。何もかも辛い。
どの面下げて故郷に戻ってきたジョーに、オイチョは視線を合わせない。虻蜂が押し付けるハンコに、抑えた怒りが滲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
見捨てて五年、男の子と見間違えるワンパクはすっかり、少女の顔になった。触れるほどに痛む思い出から、目を背ける知恵も付けた。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/mff7Amg1vk
『全て終わったこと』と後ろ足で砂をかけて、目線を合わせないことでしか対応できない、あまりにも辛い傷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
冷たい態度はジョー自身に突き刺さり、過去の過ちを教える。
…否、挑んだこと、諦めなかったことは諦めだったのか? 闘い続けろと、オッチャンだって言ってたじゃないか?
答えはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
闘い、守れず、逃げ出し立ち上がったものも、見捨てられ、傷つき、それでも人生に踏み出したものも、何かを間違い、何かにしがみついている。
あまりにも複雑な人生の問題集は、過酷な現実を突きつけながらページを捲っていく。
取り敢えず、コレが故郷のご挨拶である。
地のように赤い夕日の中で、ジョーは全てが奪われた残骸に崩れ落ち、夢の躯をその手に抱く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
迫りくる家族の死に、何をするのが正解なのか。
戦って戦わせて、諦めず足掻くことか。
全てを優しく受け入れ、終わりの日まで側にいることか。
答えはない。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/p3z2tHI2sk
サチヨが握りしめたタオルを、死病と闘う贋作に投げてやるのが、セコンドとしての優しさなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
答えはない。
オッチャンの前では流せない涙が、軒先にしとしとと降り注ぐ。
ジョーはそれを受け止めきれない。
殴って、倒して、噛み付いて。
今まで正しかったものでは、闘いきれない宿命の強敵。
それと向き合いきれなかったことが、ジョーの罪なのか。愛ゆえの弱さは、果たして罪なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
答えはない。
苦笑いしながら、ジョーの共闘宣言を受け止めてくれた贋作の手を、ジョーはあの闇の中でもう一度握った。
その決意が、果たして幸福を連れてくるのか。
『んなわけぇねだろ…』と、狂拳が唸りを上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
武器で不意打ちするあたり、サチオの憤怒が尋常ではないことがよく伝わる。
子供の頃は涙に濡れていた拳が、今は返り血と傷に汚れていく。ワンワン泣きゃ何かが変わる時代は、とっくに終わっちまった。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/QN8isRUUGv
サチオのボクシングはウェイトシフトが巧くなく、ジョーは余裕を持ってそれを交わしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
しかしフードが上がり、青年となった”弟”を目にすると、されるがまま殴られ続ける。
『曲りなりとも栄光のチャンプを、ここまでボコボコにするゥ!?』という容赦の無さであるが、コレがNOMADだ。
ジョーの素拳もナックルの部分が擦り切れていて、サチオと同じく血が出るほど殴りつけた痂が、消えない烙印になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
錆びた鉄骨が十字のように、眠るジョーにのしかかる構図。
皆の拳に、後悔と罪が、その重さを殴りつけることしか出来ない弱さが宿っている。
ようやく向き合えた贋作の墓に、花を添えてもアラガキは褒めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
足掻いて、負けて、見捨てて、逃げたクズ。
置き去りにされた子供たちを、”兄貴”に代わりに引き受けた大人たちにとって、ジョーは許せる存在ではない。
見捨てられた子供に、当然。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/MqVkhTpVzS
前に重心が掛かりすぎて、拳に振り回されているサチオのメガロボクスは、彼の中からオッチャンの教えが失われていることを、如実に教えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
影から身を乗り出してその未熟を指摘しても、傷だらけのサチオは当然受け入れない。
その頑なさは、信頼と裏切りのアマルガム。世界で一番硬く、悲しい宝石
ジョーの内心は、自虐と罪悪感に苛まれ薬に溺れた旅路、そこからカーサで果たした復活でもって、ある程度以上癒やされているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
だがそこに、サチオも番外地の仲間もいなかった。
逃げ出し、遠ざけ、放置し続けたのはジョー自身だ。傷ついた子供たちに、生き方を教えたのはジョーじゃない。
五年という時間の重さを思うと、街の連中の頑なな拒絶に『まぁまぁ』と言う元気はなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
ジョーも苦しんだが、彼らもまた苦しんだ。
己を赦し、故郷に帰り弱さに向き合う道に進むには、あまりに色んなものが失われすぎた。
その痛みを、赦し受け入れろと、外野が言えるもんじゃない。
『立つんだ!』の声に導かれて、諦めず戦って掴んだチャンピオンベルト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
そのネームバリューに賭けて、一瞬の奇跡を掴もうとする足掻きが、ジョーを死の床から遠ざける。
あるいは、足掻くことで逃げているのか。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/LQDZf8X24b
ジョーの差し出す希望に、ちびっこ組が無邪気に微笑み、年長組が怪訝な顔をするのが、スゲー悲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
後にそれぞれ仕事を持ち、必死に一人生きる道を掴む青年たちは、”死”の意味を知っている。
理不尽に愛する人を奪うものと、向き合う準備を必死で整えようと、彼らのリングで戦っている。
そこでどう闘うべきなのか考えているからこそ、ジョーが拳でこじ開けようとする闘いの希望を、オッチャンの苦しみを長引かせる奇跡を、信じ切ることが出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
それよりも、戦士の拳に花を添えて、盲目の孤独に隣り合ってやる優しさこそが、必要なのではないか。
非常に苦しい立場で、それでも毎日病院に通い詰め、死の床に向かい合うサチオのあり方が、あまりに辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
そのひたむきな献身こそが、おそらくは正しい。
ジョーは拳を振るい、汗を流して自分を追い込むことで逃げていると、涙ながらに訴えるサチオのほうが、大人で正しいのだろう。
ある意味”仕事”に逃げる大人と、人生で本当に大事なものを分かってる子供の構図で、あらゆる人生のリングで同じ光景が広がっているだろうという思いが、ずっしりと重かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
多分同じ戦いに挑んだら、俺もアンタも負ける。間違える。
それくらい、ありふれて厳しいマッチだ。
ここでサチオが見つけていた答えは、ジョーがセコンドに立たなかった結果打ち砕かれ、家族の絆は”終わり”になってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
ジョーはサチオの叫びに目線を合わさず、対戦相手のいないリングでシャドーボクシングを続ける。
影と戯れるだけの、逃走としての闘争。
受け入れるのではなく闘いことしか選べない、戦士としての性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
それがジョーをチャンプに押し上げたからこそ、『戦えばなんとかなる』という希望にすがり、拳を握らないリングに向き合えなかった。
ジョーはその弱さに押しつぶされ、髭を伸ばし薬に頼って、辺境を彷徨っていたのだろう。
『俺たちの家に、勝手に入るなッ!』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
サチオの言葉は、己を血まみれにした拳よりも深く、ジョーに突き刺さっているだろう。
だが、チーフから夢の灯火を手渡されてしまったチャンピオンは、諦めるわけには行かない。
(画像は"NOMAD メガロボクス2"第5話より引用) pic.twitter.com/Tlvob5QkEd
薄ピンクの黎明の中で、鉄骨と残骸が十字に罪を刻む大地を、必死に掘る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
洪水に流された大地から夢の骨を掘り上げ、生き延びたデウカリオンのように荒野に突き立てる。
そこから蘇るものを、消えていない夢のなごりを、必死に追い求めるように。
仕草としては便所の床に転がったクスリを拾ってた頃と同じだが、その眼にドクロの化粧はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
ジョーは蘇った。カーサで受け取ったものは嘘ではない。
だがそれが、裏切られ傷ついた人達を、無条件に癒やすわけではない。
どれだけ拳を握ったって、掴めないものを掴むために、グローブ外して手を汚す
それが出来ていること、打ちのめされて立ち上がったジョーが夜の先にいることが、一つの救いなのかな、と思う新章開幕でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
いやー…全てが辛いッ!
謎めいた過去が輪郭を顕にするほどに、誰も悪くないし誰もが悪かった事実が、重たくのしかかってくる。
何が悪いって、人間が老いて病んで死ぬのが
避け得ぬ生老病死、愛別離苦の苦しみから逃げ出した男に、突きつけられる現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
全ては遅すぎるのか。過去は贖えないのか。弱さは罪なのか。
答えはないからこそ、殴り倒されても立ち上がり、一歩ずつ進んでいくしかない。
ジョー、それでも立つのか?
番外地が洪水に流されたのが、僕は悲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
それは多分、見捨てられた子供たちの涙の雨だ。
ジョーが逃げ出して以来心に溜まった想いが溢れちまって、いちばん大事なものを押し流しちまった。
そこに、ジョーはいない。いないから、サチオが代わりに守ったのだ。
魂の家を失い、それでも立ち続けられるほど強いものは、滅多にいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
ジョーは逃げ出し、亡霊に己を苛ませた。
サチオは荒れ狂う思いを拳に乗せ、かつての”ジャンクドッグ”と同じ道を歩いている。
逃れ得ぬ、抗いえぬ”死”の嵐が吹き荒れ、かつての絆は土に埋もれた。
鎮魂の十字架を跳ね除け、『全部終わりだ』と囁く悪霊を振り払って、男達は再び、光の中に進めるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月6日
答えはない。
だからこそ、物語は続く。とても重たく難しいものを、描こうと必死に、一歩ずつ藻掻いている。
それがとても辛くて、ありえないほどに面白い。
NOMAD メガロボクス2,次回も楽しみ。