憂国のモリアーティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
救国の騎士、ホワイトリーに預けられたスキャンダルの爆弾を、恐喝王は嘲笑って飲み込む。
善なる者の落ちる瞬間こそ、我が愉悦。
そううそぶく蛇の舌が惨劇を生み、理想を砕く。
悪を以て悪を制す”モリアーティ”は惨劇を前に、終わりの始まりを奏でた…。
そんな感じの、毒蛇紳士ミルヴァートン大暴れ! 絶対悪やりたい放題の第20話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
まー上手く行かないだろうな、と思っていたが、主役の悪しき鏡がどんだけエグいか示すためにも、凄惨な潰され方しちゃったね、ホワイトリーさん…。
家族を愛し、それ故に憎悪に流された英雄に死を望むのならば、こちらも相応の対価を。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
不平等是正の機運を殺さないために、”犯罪卿”はついに表舞台に立ち、不在なる伝説から顔のある実在へと立場を変えた。
怪物は姿がないからこそ不死であるなら、これで”モリアーティ”は殺せる。
少なくとも、その一歩目は踏まされた形である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ミルヴァートンはウィリアムが悪なる善として動いているのをもう読んでいるので、この展開はヤツ好みの英雄転落悲劇であろうし、そこまで計算して血まみれの奈落を作った…のかなぁ?
読み合いにどんだけ強いのか、イマイチ判別しきれない感じもある。
ウィリアムが殺しに騙し、何でもありの血泥道に進んでいったのは、善が脆いことを知っていたからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
望むべきは正しいことだけしていたいが、しかしこの現世でそれは果たせないと、天才の頭脳は告げる。
無力な正しさと、邪悪な強さの天秤で後者を選んだ結果”犯罪卿”は生まれた。
ホワイトリーさんがハメられてしまったのは、脅すべきでない相手を脅したからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
手に掴んだ悪の使い方が下手だった結果、脅迫の網に囚われる結果に終わり、ヤツの書いた画図通り人殺しに落ちてしまった。
そのトリガーが”家族”であることが、モリアーティの共感を呼んでもいよう。
名前通り真っ白な建前に、ホワイトリーさんは一度体重を預けかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
家族を殺されてなお、殺人者を赦し理想を追う未来はしかし、真っ赤な衝動に押し流されて潰れる。
赤く染まった顔は、彼が付けていた善良の仮面が剥がれた、人間本来の顔なのか。
あるいは、黒い喜悦を弄ぶ悪鬼が汚いハネを飛ばした結果、本来ま白いものが汚れたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
それを判別する手段は、もはやない。
一度手を汚せば、後は落ちるだけ…という諦観に、白日堂々の殺人という”悪”を以て抵抗するのが、”モリアーティ”の二の手である。
ここまで失策なく盤面を支配していた犯罪卿であるが、ミルヴァートンには頭蓋粉砕マンとナイフ舐めマンを上手く配置され、完全にしてやられてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
みすみす凶行を見逃す形になり、打てる手は己の姿を晒して、殺人のショックで真実を覆い隠す…守ることだけ。かなりの失点である。
そんだけミルヴァートンが上手く図案を書き、悪なる悪として”モリアーティ”に対峙するだけの実力がある、ということなのであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
こういう相手が出てくると、終わりが始まった感じが強いねぇ…まー、ウィリアムにとっては初手から自滅は計算のうち、つうか望む所なのかもしんないけど。
既に司法にも行政にも手先は潜り込ませているので、救国の英雄としてホワイトリーを殺し、自分を市民社会最悪の敵として売り出すプランは、上手く運ぶだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
可能ならば、綺麗な理想のまま貫いて欲しかった夢を守るために、ウィリアムは衆目に姿を晒し。地獄への一歩目を踏み出す。
そこに兄弟も仲間も同席しないのが、彼が見据えてる”終わり”の布石かなー、とも思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ホワイトリーの悪を、彼自身の死と己の破滅で覆い隠したように。
犯罪卿計画も、自分自身の死体で覆い隠して、家族を守る腹づもりなんじゃねーかな、とは思う。
終わりの始まりたるこの事件の形式は、”モリアーティ”最後の事件を予兆し、ホームズの終わりもまた、こういう決着になるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
これは先を見なければわからない。
そして終わりに至る前に、純粋な愉悦でもって悪を弄ぶミルヴァートンは、排除しなければ話にならんだろう。
今まで犯罪卿の悪名を高め、社会的影響力を高めてきた犯罪劇場が、ウィリアム自身の破滅を近づける凶器として機能する…せざるを得ないのは、因果を感じさせ面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
それは不本意な一手であり、同時に覚悟の一打でもある気がする。…あって欲しい、がより正確な言い回しかなぁ。
ホワイトリーの破滅を、ウィリアムはどんな気持ちで見つめたのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
暴力的犯罪革命を救国唯一の手段と選んだ彼が、平和で真っ当で優しい方法を夢見なかったことがないとは、僕は思わない。
善が勝つお伽噺で救えるなら、そうであって欲しい。
そう願って悪なる種子を手渡して、何もかも壊れた。
そこに痛みと後悔が滲むから、ウィリアムは己を危うくし、主義にも反する今回の決着をあえて、選んだのだと、僕は思いたがっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
第4話で彼は、犯罪計画の対価と受け取った命を、罪に塗れながら生きる方向に導いた。
しかし今回は、嘘と死に汚すことでしか決着させられない。
そうさせるほどに、ミルヴァートンという彼の歪んだ鏡は強大で邪悪だ、という話なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ウィリアムという青年が、善を望みつつその脆さ故に悪を選ぶしかなかったねじれを抱えていて、それをこれからの局面で試されること、魂が示されることを、僕は望んでいる。
そこに至る前に、物語はホームズへと主役を一旦移す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
四つの署名。
相棒ワトソンと名探偵の関係性が、ロマンスによって大きく変化する事件をこのパスティーシュがどう描くか。
その物語が、どす黒い存在感を示した脅迫王とどう繋がっていくか。気になるところだ。
赤と白に塗り分けられたホワイトリーの顔は、”トゥーフェイス”ハービー・デントへのオマージュであり、同時にウィリアムの鏡でもあるように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
善を望みつつ悪を為すものの、二つの顔。
抱えた理想の脆さを嘘で覆いながら、血みどろの道に進んでいく物語は、一つ盤面を変えた。
さて次回、楽しみだ
追記 これで一味から、完璧な犯罪機械が人間に落ちるのが許せないやつが出てくるとネトネトしてて大変好みだが、アイツラ結構物分りがいいんでそういうことはしないかも。人間として、生き続ける道をルイスあたりが望む展開かなぁ…。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ウィリアムは内心を吐露しない完璧な機械として駆動し、”醜聞”でその駆動律を顕にして終局に一歩近づいた。
ミルヴァートンにしてやれる今回は、眠る姿を見せたのと同じように、彼が間違え傷つく”人間”なのだと見せる、もう一つの変化なのだろう。
無辜の怪物のまま、”モリアーティ”は終われない
無謬の天使が眠り過つ”人間”でしかないと知っていくのは少し残念であり、大いに安心もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
多分彼はずっとそういう存在で、しかし理想のため選び取った悪に軋みながら、完璧な仮面を付け続けたのだ。
せめてその強がりが、望むまま世界をより善く変える終わりを、彼が好きな僕は願っている。