オッドタクシーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
柿花を取り戻すために、小戸川はドブを連れて埠頭の倉庫を目指す。
銃弾、カーチェイス、バイオレンス。
沸騰する暴力を尻目に、小戸川は静かに友を連れて日常に帰る。
何かが終わり、何かが始まっていく夕焼け。
悪党も善人も、まだ眠らない。
そんな感じの第二章完結、オッドタクシー第9話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
柿花の美人局、樺沢の承認欲求狂想曲にケリが付き、身体的暴力も社会的生存力も図抜けてるドブはしぶとく生き延びる。
何かが終わったようで、闇から飛び出した銃弾、田中の凶器、小戸川の秘密…物語はまだまだ続く。
やっぱサスペンスの起伏と出し入れが巧い作品で、『柿花くんが死んじゃうよ~』とハラハラさせられた物語が落ち着くなり、小戸川の過去というネタがしっかり投下された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
そのくせ駆け足な感じはなく、渋く苦く甘い、複雑な味わいを馥郁と愉しむことが出来る、良い決着だった。
今回のエピソードは、柿花と樺沢の付き物が落ちる話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
二人共大金を払い、メンツを潰され、自分の情けなさを噛み締めながら舞台から降りていく。
小戸川とドブは主役として、まだ物語を終えるわけには行かない。
ネットの刃でドブを刺せればと、用意した樺沢へのメール/エールは不発に終わる。
カーチェイスに狂気の銃弾、ヌッと突き出されるスタン警棒にヤクザ・グラップリング。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
前半は暴力満載で、赤黒く進んでいく。
このアニメの画風で、ちゃんとアクションにハラハラ出来るのはすげーな、と感じるが、やっぱ狂獣・田中の大暴走は怖かった。
ブルブルする小戸川に思わず共感。
縦断付きつけられて『こえーよ!』と震える小戸川の描写が、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
あのたるんだアザラシが紛れもなく、ハードボイルドなヒーロであることを、ここまで見てきた僕らはすっかり知っている。
今回も大門弟に樺沢にドブ、柿花を助け大望を叶えるために、様々に手札を準備して挑んでいる。
結局大門弟は管轄の壁と兄への愛情に、樺沢はペラい正義感の裏にある承認欲求と自己愛と弱さに、ドブは怪物めいた生存適正にそれぞれ阻まれて、埠頭での逮捕とはならなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
だが、小戸川はそれで諦めない。タフに状況を飲み込んで、次の一手へと自分と世界を動かしていく。
そんな小戸川も、銃弾は恐い。ためらうことなくワンボックスをぶつけてくる、田中の理由なき狂気は恐い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
当たり前だ。
そういう等身大の人間が、出来る限りの知恵と気合を絞り出して挑むからこそ、彼の物語には特別な手応えが宿る。
小戸川、頑張れ。
気付くと、そう思わされている。
アーバンサスペンスとしての切れ味と同じくらい、小戸川を主役としたホコリまみれのヒロイズムが力強く描けていることが、このアニメの強さなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
それはヤクザの暴力を背中に置き去りにして、ボロボロのダチに肩を貸し、日常へ返っていく姿に凝縮されている。
小戸川が大バカモノの柿花に、一言も説教臭いこと言わず、『お前はずっとバカだったし、俺はお前の側にずっといたよ』と、寄木細工のエピソードを取り出して笑わせてやるのが、本当に偉いと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
殴られて、なじられて、ションベンすら自分の意志では出来なくて。
柿花はイヤってほど、分を知った。
ならダチとしてやることは正しさを突きつけるのではなく、策謀を巡らして彼を助け出し、包帯を巻いて日常に戻してやることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
このタフな優しさが、小戸川を気にかけ走り回る剛力と通じている所が、僕は凄く好きだ。
ゴリラとセイウチ、医者とタクシードライバー。
全然違くて、よく似てる二人。
未練がましく、クシャミしながらエンゲージリングを探す柿花の物語は、一段落を迎えた。ボロッカスにはされたが、とにかく生きて返ってきてよかった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
しかし、小戸川と剛力の物語はまだまだ続く。
大家さんから知らされた、複雑な過去。行方をくらましたダチを追う役は、今度はゴリラが担当だ。
小戸川の仕事場に縛られて、ここまで物語は東京という檻に狭く踊ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
それが剛力の調査に乗っかって、秩父にまで広く伸びる。時間軸的にも、小戸川の過去へと深く切り込んでいく形になる。
人間が生きる窮屈さ、ままならなさにずっと向き合ってきた物語が、広く開放されていく予感。
それがしっかりあって、手応えのあるヒキだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
柿花くん危機一髪のハラハラが落ち着いて、すぐさまこのミステリーが駆動しだすの、よく計算された構成だなぁ、と思う。
じわじわ温めてきたネタでもあるので、後半を引っ張るエンジンとしては申し分ない。楽しみだ。
悪に抗う者たちの物語はこんな感じで続くが、悪党もしぶとく今回では終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
求めていたバズを手に入れ、しかしその重圧に荒れ狂う樺沢は小戸川のメールに釣られ埠頭に赴く。
しかし暴力も覚悟もなくドブと対峙した結果、秒でメコメコにされて、奇妙なカウンセリングまでしてもらう。
ちょっかい出してきた素人さんに、キッチリ代価絞ってケリつけるあたり、ドブは関口を圧倒する暴力だけでなく、闇の社会人としての生存能力も高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
全てを奪われたのに、樺沢は妙に幸せそうでもあり…ここら辺、カップル尻目に一人、沈む夕日を見る柿花にも似てるな。
緊迫の超暴力がフッと、ヤクザと承認欲求モンスターの面白漫才で抜けていく構成も良かったと思う。なんであんな事になってんだ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
『バズりたい』という意識の裏にある、承認欲求…のさらに底、自己愛と裏腹の自己嫌悪。
それを焼き尽くす薪は、いいねの数でもオンラインサロンからアガる金でもない。
『顔の見えるメンターを持て』ってのは、散々悪事ぶっこいて上納金を親分に上げてる、ドブ自身の生存戦略なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
絶対に信頼できる柱を一つ持つからこそ、ドブは揺れない。
タフに、しぶとく生き延びる。電子世界に膨れ上がった怪物の空気を抜き、ちゃっかり銭を巻き上げている。
大門弟も(まだ)動かないし、小戸川の望むドブ掃除はまだまだ先になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ヤノも現場には出なかったしなぁ。
怪物 VS 怪物で、ドブと潰し合ってくれるといいんだが、鉢合わせになったら潰し合うとわかってるからこの二人、極力ダイレクトな接触は避けてんだよな。賢い奴らだ…。
『ぶっ殺す!』と息巻いてたヤクザに説教され、金奪われて『ありがとうございます!』となっちゃう樺沢が、今回の栄枯盛衰でなにか学んで変わるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
未練を川底に探して、ウロウロ彷徨う柿花も夢から醒めたのか。
それも、まだ終わらない物語の中で描かれるかもしれない。
美人局業務が失敗したことで山本さんとミステリーキッスも揺れるだろうし、ホモサピエンスの漫才も道半ば、小戸川の謎は深まるばかり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
まだまだ、物語は続いていく。
そして、今回一つの決着がついた。山盛りサブプロットを積んでる群像劇、こういうケリを細かく、気持ちよくつけるのは大事だろう。
ドブが揺れない芯は、彼自身の生き汚さと組長への忠誠にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
じゃあ、ドブに利用されつつ牙を研ぐ小戸川の芯は、どこにあるのだろうか?
剛力の言うとおり、組織全体の壊滅を狙うなんて、素人の域を超えてる。それでも、小戸川は白川さんの犠牲を無視できない。
剛力を探偵役に、彼の中の傷と正義が今後、深く掘り下げられていくのでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月31日
ドブを闇討ちした射手の正体もあるし、まだまだ解かんねー事沢山あるなー…マジ面白いッ!
終盤戦に向けて加速していく物語が、何を見せてくれるか。次週も楽しみです。