NOMAD メガロボクス２を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
思い出にもう一度灯りを灯そうとするジョーに、手を貸すかつての子供たち。
BESの軍事転用を目論む佐久間と、揺れるゆき子とマック。
全てを破壊する嵐の後にも、朝日は昇り人は生きる。
だがだからこそ、重い枷が人を縛る。
ハチドリのように、自由に飛べたなら。
そんな感じのNOMAD第三章開幕、切なさ炸裂乱れ打ちな第9話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
な、なんとも言えねぇ…。
これは出来が微妙だとか、何を描きたいかはっきりしないとかそういうことではなく、描いているものがあまりに複雑で、一言で言い表しきれないからだ。
正しい答えは、多分みんなに見えている。
でも色んな枷が邪魔をして、そこにたどり着くのが難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
ジョーはカーサで学んだこと、手に入れた答えを寡黙に実行し、もう一度灯火を求めている。
サチオはそんなジョーと自分を許せないまま、エンジニアの夢から遠ざかり、ジョーの代わりになろうとしている。
リュウはベットから起き上がれないまま、自分を嫌いにならないために不屈の炎を燃やす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
勇利も、アブハチも、アラガキも、懸命に生きる子供たちに自分の夢を重ねながら、ままならない道を歩いている。
そして、佐久間とゆき子とマック。BESを巡る夢と欲の、答えの出ない絡み合い。
理想と責任の狭間で揺れるゆき子と、奇跡の代償に苦しむマックを、共に佐久間の舌が縛り付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
もう一度、夢を。
そう嘯く言葉が全てウソで、何もかも狂った欲に踊っているのか。
それとも微かながら、真心の光があるのか。
読みきれないのが、なんとももどかしい。
社会の上層と下層で、メガロボクスを仲立ちにしながら混ざり合う人間の業。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
全てを許して手を取り合い、正しい未来に進めたらどんなに良いだろうか。
でも、なかなかそうは行かない。
でも、全てが無駄なわけでもない。
希望の灯火と、絶望の闇が揺れながら混じり合う世界で、運命は静かに進んでいく。
寡黙に進むジョーの歩みを見て、ボンジリとサンタは構えを解いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
トタンや木材を継ぎ接ぎして、ぶっ壊れちまった信頼を治す三人の上には、青空が広がっている。
しかしそこに、サチオとオイチョの姿はない。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/SDY1HnHJb0
弟子として、自分の人生を継承してくれるオイチョを見るアブハチの視線が、非常に優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
ジョーが逃げ出した後、彼女の人生と傷を背負ったのはこのオッサンである。
共に過ごした時間、無言で共有される想いはとても重たい。だからこそ、微笑んで見守りたくもなる。
ジョーは生来不器用な質だし、暴走の果てにカーサで学んだのは、綺麗な言葉で思いを伝えることではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
ただ黙々と、為すべきことに向かって手を動かし、壊れたものを治す。
たとえ死が全てを奪ったと思えても、何もかも諦めるには早すぎる。
そういう信念を、ジョーはハチドリの戦士から学んだ。
ぶっ壊れた信頼を手作業で治す、果てのない旅路。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
長い道のりを前に焦ることも、諦めることもしないジョーを間近で感じて…なによりも、リュウとのスパーで見せた往年の輝きを見て、二人は過去を蘇らせる奇跡に手を貸した。
だが、オイチョはまだ決心がつかない。それも、一つの答えだ。
真っ直ぐに見つめ合いたいからこそ、痛みと思いが邪魔をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
情念が熱く燃えるジョーたちの関係に比べ、佐久間を取り巻く空間は冷たい。
彼はあくまで窓の外、向き合うべき相手の外側に視線を向け続け、空言をこねくり回す。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/WNofMtsB8d
兵士の自発的協力、平和維持活動に限定された応用。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
BESを戦場に担ぎ出す算段を付けている間は、虚勢の街に目線を向けているのに、白都撤退の意思をゆき子が示すと始めて、両手をついて哀れな声を出す。
やはり”利”しか、この男を前のめりにさせない。
そう思わせる描写だ。
それでも何処か一欠片、僕が彼を信じたく思っているのは、BESで奇跡が起きたのは事実だからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
全身不随のマックがもう一度立ち上がり、我が子にファイターとしての姿を見せれた。
それが人々に…何よりマック当人に与えた夢は、けして嘘ではない。善良で、大したことだ。
そんな奇跡の仕掛け人が、空言を弄し利だけを追い求める蛇だとは、思いたくない気持ちがあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
求めればこそ素直にはなれず、差し出された手を跳ね除けて傷つく。
そんな番外地の人々を見ているからこそ、同じ血が佐久間にも流れていて欲しいと、甘く願ってしまう。
だが、世の中には血も涙もねぇ外道ってのもいるもんで、結構な確率で佐久間は”それ”であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
外面を装い、抜け目なく言葉を操る軽薄さが、ただただ寡黙に歩いているジョーの再生と対比されてるのも、『もしかして…』という想いを挫くのに、良い材料だ。
どー考えても、倒すべき主役のシャドウだもの
佐久間の人品を見切るのも、リュウの奮戦にタオルの投げるのも、まだ早い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
燃え尽きた自分が夢を託した愛弟子の、あまりに健気な生き様に切ない思いを抱く勇利が、じっとりと切ない。
このアニメ、オジサンの描写が良いんだよなやっぱ…。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/Dec80EYx6c
もうリングから降りたジョーは、ガラス窓の向こう側…佐久間が目を向けようとしない、痛みと体温に満ちた人間の世界で、リュウの隣に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
散々迷ってジョーがたどり着いた、『自分を信じ抜く』という答えを、起き上がれもしねぇ元チャンプはしっかり掴んでいる。ま、眩しすぎる…。
光に半分、闇に半分体重を預けるサチオに、エンジニアへの道を差し出してくるアラガキも、傷だらけで闘う若人にしっかり、体重のこもった拳を預けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
必死に生きていると判るからこそ、切なくもなり、隣に立ち、一緒に戦ってやりたくなる。
そんな、輝く時代を少し過ぎた者たちの視線が熱い。
リュウはメガロボクスの頂点に立ち、サチオは恵まれない体格で地下を這いずっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
てっぺんとどん底、それぞれ立場は違えど、若獅子達の志は本物だ。
ただ、リュウの思いと才能はただ真っ直ぐにメガロボクスに向かうのに対し、サチオのそれは代理行為だ。
本当に譲れないのは、俺の夢を見させた誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
何もかもがダメになっても、もしかしたら奇跡を起こしてくれるかもしれないアイツの代わりに、俺がリングに立たなきゃいけない。
ねじれ切って見えなくなった出口を探して、グローブで塞がっちまった両手に、未来への切符は重すぎる。
それを知りつつ、アラガキは幾度もサチオに未来を差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
それはアブハチが、オイチョを引き取り技を伝えたのと同じ思いだ。
車椅子のユーリが、リュウに夢を託してもう一度メガロボクスに戻ってきたのと同じだ。
あるいはチーフが、”ギアレス”ジョーに見た夢と同じかもしれない。
その視線は優しくて、でも身を裂くほどに切ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
それを追い求めれば傷つくと知りながら、前に進む自分を止められない。
そのままならなさが、憎しみや絶望からだけ生まれるならどれだけ楽だろうか。
だが灯火の記憶が、かつての絆こそが、差し出された手を素直に掴ませてくれない。
リュウの不屈と颯爽が、どうにも出口を見つけられねぇ番外地の連中、マジで気に病みまくってる勇利を見守る俺の、一筋の救いとなってくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
他の連中がバキバキ折れて間違えまくる中で、リュウはマージで正しく闘い続けてんもな。
でもあの子、一晩中泣いた上で不屈だからね…マジ偉い。
雨中の墓地で、ジョーとサチオは再び出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
かつての初めての再会と同じように殴り倒され、でももう血みどろにはならない。
ただただ花を供え、突き刺さる言葉に一つだけ、思いを託す。
もう一度、明かりを灯したい。それだけなんだ。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/3NMqnPUKEb
自分の弱さと罪を認める言葉も、愚直に過去を取り戻そうとする歩みも、嘘じゃないことをサチオは知っているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
自分の拳を傷つけるような、自棄っぱちの感情に殴り倒されれれば、輝いてた時代が戻ってくるわけじゃないことを、ジョーも知っている。
だから、もう血みどろの殴り合いにはならない
かつて贋作の拳に飾った花を、ジョーが雨に濡れながら供える意味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
それを噛み締めても、見捨てられた傷が、消えろと叫んだ痛みが、自分を前に進めてはくれない。
そんな痛ましい影を、アラガキは窓越ししっかり見ている。せ、せつねーマジでッ！
サチオとジョーの和解はこの物語最大のクライマックスだろうから、なかなか動き出さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
しかし第2章の始まりだった第5話よりも、関係は前に進んでいるように思う。
あの時はズタボロに負けた地下ボクシングで、サチオは大穴を勝ち取った。
自分もジョーも血みどろにする拳が、今回は挨拶程度だ。
そしてそんな二人を、じっと見守り手伝ってくれる人もいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
傘もささず濡れるばかりの二人だが、しかし確かに分厚い雲の上に、青空は広がっているように思う。
このジリジリ感がもどかしく、また面白い。マージで人間の心、望んだどおりには転がっちゃくれねぇぜ…。
マックも優しい灯火の中で、何よりも大事なものを抱きながら嵐の夜を超える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
絶望に閉ざされた旅人に、どうしても歌うことしか出来ないハチドリの歌が届くお伽噺。
諦めることが出来ない、メガロボクスから離れられない、一人のノマドの物語。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/kTvpEW05Jw
ツギハギの番外地がぶっ壊れるその時、オイチョはパーカーを外し、真っ直ぐにジョーの背中を見た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
不器用に。壊れたものを繋ぎ止めようとする行いを認めた。
…オイチョがアブハチに学んで、”修理工”っていう生き方を選んだことを考えると、このロープは重いなぁ…。
激しい雨風を凌ぐシェルターとなった新・番外地で、かつての子供たちは灯火を囲み、ここにいない仲間を思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
なぜ、メガロボクスにこだわるのか。
なぜ、本当の望みを跳ね除けるのか。
夢を見てしまえば、もう忘れることは出来ない。
戻ってこないとしても、もう一度の奇跡を願って、己を捧げてしまう
サチオの捻じくれた心の内を、仲間たちはよく判っている。判っているからこそ、外野が強引に手を引くわけにはいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
代用品の奇跡を手放し、本当に掴むべきものを抱きしめる決断は、サチオ当人にしか出来ない。
あるいは、夢を見させた奇跡のボクサーにしか。
サチオが魂を焼かれた勇姿は、マックにも届いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
あまりにも鮮烈な、初代メガロマニア決勝の激闘。それが一度、ボクサーとしてのマックに引導を渡した。
チーフが闘い続けた輝きが、マックには第二の人生を選ばせた。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/NqY7eeNb7U
自分は、あんな風に輝けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
誰かに夢を与える、本物じゃない。
そう肩を落とすマックに、佐久間は現実を思い出させる。
奇跡の復活を遂げ、サクセスストーリーの真ん中に立つマックこそ、あのときの”ギアレス”ジョーと同じく、夢を見させる存在なのだと。
その言葉が、マックの思いに目を開いた仕草が、自分の欲を覆い隠す偽装だと、僕はやっぱり思いたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
軽薄に踊るその仕草に何処か、嘘偽りのない真心が欠片だけあって、生み出した奇跡にも微かに真実が宿っているのだと、思いたがっている。
どーなのかなぁホント…。
仮に佐久間の働きかけが打算からしかでてないとすると、まーマックが報われなさすぎてさぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
マックがリュウを、脳チップの下僕になってぶっ壊しちゃったのを気に病んでるのが本当に可哀想なんだよな…。
でも豪邸掴んだサクセスは、チップで非才をブーストされたからこそ掴めたわけで。
一期ではあくまで泥臭い”ギアレス”の対比物だった技術の粋、融合型ギア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
それがメガロボクス技術の軍事利用と、人間の脳にメスを入れる是非に食い込み、サイバーパンク的倫理問題としてここで立ち上がってくるのは、なかなか面白い料理の仕方である。
しかもその被検体が、本物のジョー・マニアだ。
あの決勝戦が、どんだけ沢山の人の魂を焼いたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
その残滓が哀しい離別を生みもしたけど、同時に希望の灯火を、眩しい夢を色んな人に手渡したと描けるのも、”二期”だからこそだと思う。
激烈すぎる一瞬は、燃え尽きてなお祝福と呪いを生む。その後始末で、このお話は満杯である。
かつてのジョーは拳一つで夢を掴んだからこそ、”死”という絶対的な…絶対的だと思える敗北に立ち向かえなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
だがカーサで贋作の幻影を消し、思い出の灯火に手を伸ばした時、彼は知ったのだろう。
死んでもなお、死なないものが在る。
負けてもなお、消えない価値がある。
その信念が、嵐に吹かれ何度拒絶されても、ジョーを立ち上がらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
だがその戦場は、ド派手にライトアップされた復帰戦なのか。
彼自身が、トンカチ握って信頼を取り戻す小さな…だからこそ本物のリングに、体重を預けているのに。
（画像は"NOMAD メガロボクス２"第9話より引用） pic.twitter.com/zYZ7bhUNvG
嵐が吹き抜けて、陽はまた昇る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
かつて番外地が流された時、無力な子供でしかなかった連中の背丈が伸び、あるいは過去を取り戻す決意を固めて駆けつけて、ツギハギの家が守られた輝きは、あまりに眩しい。
そこに飛び込んできた、センセーショナルな一報が、どんな嵐を呼び起こすのか。
これも佐久間得意の、形を整えた空吹きの一打なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
薄暗い絶望と断絶が支配する街に、微かに朝日が差し込む中で、新しい風が灯火を揺らそうとしていた。
いやー…なんとも言えねぇ！
だけど、オイチョが戻ってきてくれて、アラガキがマジ熱くサチオを見守ってくれてるのは良いと思うよ！！
やっぱ第4話までのカーサの物語が、NOMAD全体の見取り図になってんだなー、って感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月1日
荒廃と休息、対話と発見、決意と奮闘。
そして、奇跡と対価。
マージでジョーにも、他の誰にも死んで欲しくねぇんだが…一体どうなっちまうのか。
”NOMAD メガロボクス2”、次回も楽しみであります。
