BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
己の為すべきことを見定めた百は、禁断の薔薇園へと歩を進める。
あり得るはずもない、確かな暖かさと痛みの籠もる記憶。
美緒のバディとして駆け抜けた日々に、確かにあった絆に手を伸ばす百と、闇の聖母は静かに対峙する。
その唇が、紡ぐ真実とは…。
そんな感じの、お姉ちゃん真実衝撃の開陳回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
そろそろ1クール目も終盤戦ってことで、心の傷を巡る少女戦争つう物語の形が、変容を始めるエピソードとなった。
いやー…言われてみりゃ納得なんだが、全然頭になかったな、ループ構造。
百ちゃんのあやふやな記憶も、お姉ちゃんの変節も納得がいく”二周目”設定の開示。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
…だけで終わらず、後輩を見守りつつも自分の大事な思いに向き合い、バディの手をしっかり握る百ちゃんの頼もしさが良く見えるエピソードでした。
百ちゃんがしっかりしてるので、お姉ちゃんも存分に人間味を揺らせる。
結果として今まで見せてた闇の聖母ッ面の奥にある、妹大事の人情家が全然死んでいないことも判ってきて、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
逆にいうと、仁菜ちゃんはそういう弱さを引っ張り出せなかったわけで、そらーバディとしては脆さを抱えるよな。救ってもらうだけの関係じゃ、やっぱアンバランスなのだ。
今回は演出キレッキレで、表のセリフを補強し時に裏切る描画と詩情が、随所で冴えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
『私は揺れてない!』と吠える仁菜ちゃんを、照らす炎の揺らぎ。
『強くても、傷ついていないわけじゃない』と呟く美緒の、傷だらけの掌。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第9話より引用) pic.twitter.com/f6eJbSY7eG
思いを告げ、告げられ、受け止めて武器を収める百の歩み寄り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
今の自分達を造るに至った、もう一つの世界を語る時に震える水面の月。
言葉で語られているものを、静物へのクローズアップがしっかり補強して、陰影を付ける筆使いが大変元気だった。
この物語の繊細な口当たりは、作品独特の強みだと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
性の匂いを感じさせない淡白で素朴なキャラデザも、ナイーブな少女心理を上手く反射し、作風に似合ったものだと思うようになった。
最初違和感だったものが肌に馴染んでくるのは、やっぱ物語の地力が強いからだろうなぁ…。
理不尽で残酷な世界に適応しきれず、しかし檻に自分を守り続けてもいられない、不安定な季節。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
思春期の少女たちの想いが、フラグメントとして結晶化し、世界を揺るがすこの物語。
言葉や態度として現れるものの奥に、非常に複雑なうねりが秘められていて、それがキャラやドラマを駆動させる多重構造。
炎や月、剣といった象徴を的確に活かすことで、その繊細な複雑さをしっかり作品に宿していく演出指針が、非常にいい感じだと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
心という壊れ物、青春というフラジャイルを触る手付きが、適切に神経質なんよね。
そこが僕は凄く好き。やっぱ、少女小説的と感じる。
お話としては侠気人間百ちゃんオンステージで、甦る記憶に、確かにあったはずの関係に向き合う気概をバリバリと放出し、お姉ちゃんも絆されていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
この前向きでタフな姿勢が、揺れる陽桜莉を思う瑠夏の献身に当てられて生まれてるのが、僕は凄く好き。
百ちゃんは学校抜けてハンパな場所にくすぶってたわけだが、リフレクターとして、先輩として闘うことを決めて以来、あらゆる局面でケジメを大事にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
終わってない学生時代にケリ付けるべく制服も着たし、後輩を守るっていう約束は疎かにしない。
でもツッパった自分を守るために、嘘の鎧で身を固めたりはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
言うべきことは、自分の弱さや動揺含めて全部伝えた上で、果たすべきだと思ったケジメに飛び込んでいく。
今彼女が見定めているのは、”リセット”を超えて疼く過去の記憶と、そこに確信が持てない自分である。
美緒と共に戦った記憶は、”リセット”が果たされたこの世界では嘘である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
しかしあまりに強く繋がった思いは百ちゃんに強く宿り、存在を主張する。
嘘だと否定しても良さそうなもんだが、百ちゃんはその訴えにマジで向き合い、確信を持てない自分を情けなく感じる。
それは美緒が背負った宿命、一人だけ抱える記憶に寄り添おうと、片手を伸ばす行為である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
かつて美緒が笑顔の仮面で涙を隠そうとした妹に果たしたことであり、今瑠夏が泣いてるバディに寄り添っているのと同じだ。
形だけをなぞるわけではなく、時に歪で独特の歩み寄り。貴方の側にいたい、という思い
その衝動が、キャラによって、場面によって様々独自に描かれているのが、この作品のとてもいいところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
詩のネトついた執着も、仁菜ちゃんの焦りも、みな誰かを強く求め、しかし上手くいかない難しさから生まれている。
皆完璧を求め、しかし何かが欠けているから、誰かに埋めてもらいたい。
これはリフレクターが守り、あるいは奪うフラグメントを生み出す心でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
リフレクターは超常の力を持っているが、犠牲者達の欠落と無縁ではなく、むしろ作中誰よりも傷だらけで歪だからこそ、剣を持つ特権を有するのだ。
そして、その表れはそれぞれに違う。
爽やかな真っ直ぐさとして発現した百ちゃんの優しさに、美緒は決意の仮面を少し緩めて、思いを告げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
全てを捨てて、世界を救う決断をしたはずだった。
かつての縁が解けたとしても、愛する家族と離れたとしても、超えねばならぬ破滅がある。
だから、静かなる聖母の顔を作った。
消えたはずの縁を思い出し、そこにあるべき熱を取り戻そうと自分を見てくれる百ちゃんに、お姉ちゃんは相当揺らいでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
しかし広げられた両腕に身を預けてしまえば、救世の戦いは終わってしまう。
愛すればこそ、失われた未来を取り戻したい。
だから、愛に飛び込めない。
何考えてるかさーっぱり解かんなかったおすまし顔の奥に、烈火の如き情念と決意が渦巻いてるのが判ってきて、めっちゃお姉ちゃん好きになってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
これに加えて、陽桜莉に見せた分厚い”情”まで備えて、それ全部殺して救世主稼業だからな…ハードボイルドな女だぜ。
百ちゃんは強い情念を肩に滲ませ、美緒はその掌にそっと、思いを重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
寄り添ってくれて、ありがとう。
静かに告げる指先はしかし、スッと隔てられ距離を造る。
その温もりに溺れたら、また全てを失ってしまうから。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第9話より引用) pic.twitter.com/CAtMhmMyTQ
お姉ちゃんはあくまで、世界を守る転輪の戦士でいなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
傷んだ掌を誰にも見せず、伸ばされた手を跳ね除けて、為すべきことを果たさねばいけない。
しかし、そうして強さを演じているものが、優しさを持たないわけではない。
むしろ優しいからこそ、全てを置き去りに強くなることを選んだ
そのはずなのに、心は揺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
押し寄せ、こみ上げる感情の激浪を遠ざけるように離した手だったが、仁菜の襲撃に際しては、それから百を守るためにこそ使われる。
守りたいと思えばこそ、遠くに跳ね除けるしかない。
陽桜莉との向き合い方にも通じる、お姉ちゃんのスタイルであろう。
先週あたりから、手首から先を使った繊細な表現力が高まってるブルリフR。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
百ちゃんと美緒の絡まる思い、複雑な関係性が仕草にしっかり宿っていて、たいへん力強かった。
非言語のやり取りをしっかり編み上げて、奥行き深く作品世界を仕上げようとする野心が、描写に噛み合ってきたね…。
心の不調は刃に出る。決意は新しい力を連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
急にブルーリフレクションパワー・メイクアップ! キメた百ちゃんにビックリだが、まー仁菜ちゃんが勝てる道理がないわな、このマッチアップ。
前世からの結縁を盾にされると、縋るだけの関係は脆いよなぁ…。
仁菜ちゃんがお姉ちゃんに救われたことも、預ける思いも嘘は欠片もないのだが、それでは救うものを救えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
対等に肩を並べ、たとえ短い時間でも本当の笑顔や涙を受け止め合えた過去すら消えても、それを取り戻そうとあがく。
美緒と百ちゃんは、バランス良く同じところを見ているので強い。
お姉ちゃんは救世の誓いを果たすべく、心を硬めて誰も入れまいとしてるので、このループで出逢った子とは繋がり得ないんだよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
元々超優しい人なので、一度心のダム(©聖川真斗)が決壊すると使命を果たせないと、自分を律しているのだろう。
そして、今の仁菜はその重さを背負いきれない。
『テメーはファッションマゾなんだよ!』と詩をDisってた仁菜ちゃんこそが、ツッパった態度の奥に脆さを抱え、それ故本当に大事な人と繋がれないと、闘いは描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
あ、今回のバトルは間延びした感じがなく、バチバチした切迫感が伝わるいい仕上がりでした。こういう水気切り、マジ大事よね。
百ちゃんは覚醒させた大剣を地面に置き、腹パン一発で百ちゃんを圧倒する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
しかし真実勝つべき闘い…薔薇の垣根を超えて、愛する人に並び合う試みは拒絶されてしまう。
ここで、お姉ちゃんは一切その表情を描かれない。百ちゃんからは見えないからだ
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第9話より引用) pic.twitter.com/WmO8szX4NL
言葉通りに冷たいのか、溢れる思いを堪えているのか。それは、僕らにもわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
しかし垣根の向こうから届く言葉に、指輪は青く反応する。
百ちゃんが背負う大剣と同じ色…思いをなかったコトにするのではなく、傷に向き合う決意の色だ。
…相当に堪えてるなぁ、お姉ちゃん。
リセットされた世界に一人、残酷な結末を変えて挑む美緒。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
バディが取り戻してくれた平穏な可能性に、溺れていたくはないと決意した百。
二人の手は真紅の薔薇に阻まれ繋がることはないが、言葉は自由に風にのって、心に届く。
それでも、その甘さに酔うわけにはいかない。
待ち受ける破滅を予言しながら、お姉ちゃんは薔薇園の向こう側へと去っていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
ここで百ちゃんが自分の思いだけを優先せず、バディの気持ち大事に待ってるところがまた、最高に良いですね…。
こんだけデカ感情と因縁抱えてると、仁菜ちゃんみたくエゴ暴走しそうなもんだが、百ちゃんは自制が聞く。
それをいうなら、妹とバディへのズブズブ加減を必死に隠して、一期ラスボス頑張ってるお姉ちゃんも同じなのだが。年上は大変だー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
ずっとムニャムニャしてた年寄り猫こと、紫乃も本格的に動き出して、さて1クール目も大詰め。
ここに来て、凄く構成に納得しつつある。おせーよ! …とは言うまい。
世界の破滅とループ構造つう大ネタをジリジリ開陳しつつ、フラグメントに宿る少女たちの思いを丁寧に追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
一個一個色と形が違い、しかし共通の繊細さで震えている想いが、世界を壊す危うさと、繋がりうる優しさを交えながら群像を照らす。
皆願いと欲望の発露は異なり、だが同じ舞台に立っている。
異能伝奇ジュブナイル群像劇として、どういう素材をどういう哲学で取り扱っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
1クールじっくりと、少女戦争のスケールで話を回せばこそ、しっかり描けた感じがあるのよね。
この後話がデカくなってても、前半で積み上げた土台に乗っかっるなら、それが浮ついた感じになることはない。
むしろ個人の切実な願いと、世界の命運の巨大さが噛み合うことで、凄く独自の物語体験が生まれてくるかなー、という期待もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月4日
やっぱなー…ブルリフR、マジで面白いわ。
流行りのスタイルじゃないが、確かに”強い”アニメだと思う。次回も楽しみ。