MARS REDを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
”零”の面々は天満屋に身を寄せつつ、子供たちと日常を送っていた。
もはや取り戻せない朝日に揺らぎ、それでも空を飛ぶ夢を見る。
一方帝国ホテルでは、葵の頼みを聞いてデフロットが久々に、死を演じていた。
そして、瓦礫の中から立ち上がる笑顔を、踏みにじらんと鬼が嘲笑う。
そんな感じの、鬼たちの地獄極楽巡り、MARS RED第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
壊滅した帝都で、しぶとく生きる”零”残党と天満屋一行。
物憂い余生を照らす光を、葵ちゃんから受け取るデフロット。
話が明るい方向に行くかな~、と思った所で、最悪の舞台を仕込むルーファス。
そして乱入する、復讐の鬼。
ノンキなようで劇的で、全てが終わったかに見えて、人は逞しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
なかなか一筋縄でいかないこの作品らしさが、よく出たエピソードとなった。
”零”とデフロット、二つの話が同時並列する形だが、温度差がスゲーまま接点見えないの、なかなか凄いよな。どう繋げるんだろうか…。
さておき、現し世の悪鬼が吸血鬼をすりつぶす、この世の地獄から物語は開始する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
不死者らしい倦怠に塞いでいたデフロットは、葵ちゃんが企画した帝国ホテルロビーでのオルフェウスに駆り出され、生きる力を取り戻していく。
ホント、無垢なる少女によって救われてるなぁ…。
結末を変えることを条件に、デフロットはオルフェウスを演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
変えた結末がが愛する人が死んだ後も浮世を生き続けたギリシャ神話原典なのか、愛の神が介入して二人共助かるグルックのオペラなのか、ちょっと気になるところだが。
どちらにしてもここでは死なないオルフェウスを、デフロットは殺す。
彼が演劇に求めるのは死の追体験であり、演劇というもう一つの現実は、彼に体験できない夢を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
死なないということは、生きていないということ。
この逆説を、長い時を生きてきた彼はよく知っているのだろう。
だから、舞台上で死ぬことで生きようとした。
葵ちゃんはそんな事情も知らず、震災に傷ついた人に少しでも笑顔を取り戻そうとして、衣装を探し役者を集める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
本当にいい子で、だからこそ的にかけたルーファス手前許さんぞ感が凄いことになっとるが。
薊が故郷の花だから、手紙に添えたんかなぁアイツ…。
陽光差し込む舞台装置めいた、月島牢獄にデフロットを引き込んで、ルーファスは嘲笑う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
『俺は世界で一番、誇り高き吸血鬼が嫌いだ』
悪意を滴らせる時、横浜のS級や中島の前で見せてる道化めいた口調は、なりを潜める。
(画像は"MARS RED"第10話より引用) pic.twitter.com/O5AfhgQD71
デフロットが擬死によって生を実感するように、ルーファスは嘲弄を求めて生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
見下げ果てたクズだが、そんな風に生きている実感が何処か歪んでしまうのが、不死人の宿命なのかも知れない。
まー”零”の連中は、明るくノンキに『良いお巡りさん』してるけどな…。
子供吸血鬼との頑是ないやり取りに、思わず頬も緩む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
もう朝日も見れず、大人になれないとはいえ彼らは生きている。
墓穴から這い出した第二の生に希望を見出すか、絶望に沈むか。
それは吸血鬼各々が選び取らなければいけない、人生の難問だ。
スレた態度を作ってる割に、ニンの良さがマスクから滲んじゃうスワさんと、大人になる夢を捨てきれない彩芽ちゃんの掛け合いが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
人として死ぬ夢を舞台にぶつけるデフロットと、人として成熟する未来を始祖の血に望む彩芽ちゃん。
幼形の吸血鬼たちは、真逆に見えて何処かよく似ている。
組織は壊滅、未来は見えず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
結構絶望的な状況でも、持ち前の明るさと狂気で前向きに進むタケウチも、この状況ではありがたい。
彼が作る翼は、S級吸血鬼を組み込んで初めて機能する舞台装置だ。どこか、灯篭流しの夫婦再会を演出した、秀太郎の振る舞いにも似ている。
デフロットとルーファスが永世者の業にドロドロ沈み込んでいくので、”零”と天満屋が維持する朗らかな人間性が、一筋の希望にも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
山上さんが生前、血を吐くように吠えていた『人間でありたい』という意思を、同僚たちは巧く継いでいるように思う。
常人には駆動させられない竹細工の翼に、子供たちは鳥を夢見、大人と子供の中間にいる(い続ける)彩芽ちゃんは『夜を飛ぶ鳥はいない』と告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
眩しく天を見上げる子供らの言葉が、今まさに焼かれようとするデフロットに重なっていく。
(画像は"MARS RED"第10話より引用) pic.twitter.com/ckYhfCR5He
陽光に翼を焼かれた英雄といえばイカロスで、吸血鬼が人並みに生きようとするのも、かの若人と同じ高望みなのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
しかしタケウチは科学を信じ、不老の理を乗り越えようとする。
たとえ百年かかっても、時間だけは山ほどある。
その狂った不敵が、今は頼もしい。
翔ぶこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
天下の大道を堂々進むこと。
老いること。
死ぬこと。
不自由な立場に追い込まれても、否だからこそ、吸血鬼は醒めない夢を見る。高いところを見上げ続けて、渇望に身を焦がす。
そして血を吸われていない中島も、不滅の軍隊という悪夢に酔っている。
輝かしき光に身を染める乙女と、闇に隠れるしかない鬼。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
葵ちゃんとデフロットの立場を鮮明に演出する舞台に、赤い瞳の復讐鬼が立つ。
前田さんが正気を失っているのは、背負ったものが重すぎるからか。鏖殺が、彼の望みなのか。
(画像は"MARS RED"第10話より引用) pic.twitter.com/e4GcCxHQfI
葵ちゃんに死亡ランプがピカピカ灯り始めて、マジでブルブル震えた所で次回に続く、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
いい人だろうと、かなり容赦なく殺すからなこのアニメ…山上さんで知ってるよ!
でも葵ちゃんは、無垢なる善性を煮詰めたような子なので絶対死んでほしくない。
…だからこそ、か。
”零”残党がノンキしている裏で、彼らの隊長は戦友と許嫁に死なれ、親と慕った人に裏切られ、正気も喪ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
前田さんがこのまま、意思なき復讐の刃に堕ちてしまうと、刃を収めて陽光に消えていった岬の遺志も汚してしまうので、正気を取り戻して欲しいところだが、さて。
ここで秀太郎達が駆けつけないと、分裂した話が合流できない感じだが、さてどう取り回すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月8日
竹細工のイカロスの翼は、復習と死別の悲劇を飛び越えて、笑える結末にたどり着けるのか。
そろそろ、最終局面の歯車が回りだしそうです。
次回も楽しみですね。