トロピカル〜ジュ! プリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
魔女に囚われ、誘惑を受けるローラ。
救出に向かったプリキュアは、チョンギーレ達の妨害を受ける。
知略と武力の限りを尽くし、己の道を切り開くローラの心に、燃える思い出沸き立つ闘志。
与えられるままに進んできた物語が、今新たな息吹と力を手に入れる時!
そんな感じのラメール爆誕、トロプリ第17話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
…む、難しいッッ!
筋立て自体はオーソドックスな新戦士加入回であり、助けを待たずに自力でピンチを切り抜けるローラの逞しさ、ラメールの立ち居に薫る”華”の表現、ともに大変良かった。
元々そういう気質じゃねぇし、くるるんを囮に自力で状況を作り、エルダちゃんをハメて檻を抜け出すローラの力強さは、大変彼女らしかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
浄化も自前でできるしステゴロ強いし、もうラメール一人いればいいな!(追加戦士加入直後に、よく出てくる感想。たいてい初回補正が切れて撤回する)
魔女と女王様、善悪二名の”母”が、ローラに戦う意味を問うのも解りやすい構造であったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
何かに庇護され、あるいは誘惑されて道を進んでいた少女は、その道の果てに自分の意志で自分の物語を選ぶことになる。
誰かが差し出す答えを跳ね除け、自分の答えを掴むことで、ローラの幼年期は終わる。
『何をしたいか』を尋ねた女王様のように、魔女も洗脳や脅迫が面倒くさいのか、ローラが自発的にで堕ちてくるのを待つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
部下もそうであるが、今回の敵役は強い意志を持つ絶対悪というよりは、普通に善行サボってる対話可能な敵対者、という色合いが強い。
これがいい意味での切迫感のなさを生んで、トロプリ特有の朗らかで明るい雰囲気を生んでもいるわけだが、この特色が今後どう生きるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
やる気エネルギー溜め込んでどんな世界作りたいか含め、そろそろ敵さんの事情も煮込んでくる頃合いかなぁ…追加戦士ノルマも終えたしなッ!
かくしてローラは未来を掴み取り、キュアラメールへと変身するわけだが…まずその光の部分から。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
仕草の端々に”華”があり、唸るほどに可愛かったのは大変良かった。
なんでか知らんが、ローラにときめくと凄く”負けた”気持ちになるの…。
いい加減俺は、性悪人魚に夢中な自分を認めたほうが良いね。
ローラは高い目的意識とプライド、誘惑に屈せず自力で未来を掴む実力を併せ持った、結構”大人”なキャラだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
そんな彼女がプリキュアになった時、可愛さよりも綺麗さ、背筋を伸ばして凛と立つ美々しさに力点が置かれているのは、特色を生かした演出で良いと思う。今後もハンサムでいてくれ…。
んで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
ローラの足は変身限定ではなく、”人間”時にも反映される形になったわけだが。
ここがなー…マジで難しい。
人魚であることと切り離せない不自由な尾びれを、”変形/切断”することで人間に交じるこの選択から、視聴者はどういう印象を、作者のどういう意図を見るべきか。
『ガキ向けの販促番組なんだから、脊髄反射で無難で売れるチョイスしただけだよ』つー、作者をナメた異見は脳内でまず殺しておく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
その上で、ローラの尾びれとその消失が孕んでしまうメッセージに、作者は意識的であったのかも問わない。そんな他人の考え、俺には原理的に解んない。
だから言えるのは、僕が人魚のローラをどう受け止めてきて、”人間”になったローラの書き方から何を受け取ったか、だけなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
だからそれを書く。今まで結構書いてきたが。
人間の足を手に入れることは、フィジカルな変化だけではない。
あれだけ悩まされた社会的疎外も、変化とともに超越される
寮に自分の居場所を手に入れ、転入手続きも手に入り、万事オッケー問題なし。明日はきっといい日になる!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
それは喜ばしい。ローラがポッドの向こうから、どれだけ熱く重たい視線で”社会”を見つめてきたか、このお話はずっとしっかり描いてきたからだ。
フィジカルなハンディキャップも、人間が作り上げた社会への適応も、多数派に混じって浮き上がらない外見も、ローラの奮戦と決意を寿ぐように付いてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
それは希望と力に満ちた”変身”で、シンプルに良かったな、と思う自分がまずいる。僕はローラが好きなので、彼女が喜んでいるのは嬉しい。
しかし同時に、人魚のローラがあまりに魅力的に描かれた結果、その尾びれにはただ切り捨てるべき欠落以上の意味が、宿ってしまった感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
僕は人魚でしかない不自由な自分を、ローラに誇っていて欲しかったし、そのナチュラルなフィジカルのままに、社会に位置を占め望みを叶えて欲しかった。
これは彼女の尾びれに、自分に通じる何かを勝手に見ていた僕の、勝手な妄想だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
ローラもこんな、重くて気持ち悪いものを寄せられても困ると思う。
でもここまでのローラの描き方は、そういう願いを自然引き寄せてしまう靭やかさがあったと、僕は思う。
そしてそれは、僕だけが感じたことではないんじゃないかなと、SNS越しに人々を観測していると思いもするのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
ローラの尾びれが人間のスタンダードに”変化”するのではなく、ローラが人魚のまま、あおぞら市が変わればいい。
足が不自由で、社会的に異物で、”人間”ではない彼女を受け止められる場所に
それは(悲しいかな)モニタの向こうの世界でも実現できていない難しいファンタジーで、そんな楽土として作品世界を書かない選択の結果、ローラが尾びれで堂々、あの街を這いずる未来は選ばれなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
より柔軟で強靭な世界への変化は、トロプリが扱うにはヘヴィでシリアスに過ぎる題材かもしれない
しかし児童向け作品が、未来に漕ぎ出す子供に”こうあって欲しい”夢を描き託す側面を持つ以上、そのくらいの大望と挑戦はやって欲しかった気持ちが、僕には強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
優しくなく、ズルズル這いずる異形を仲間と認められない狭い世界は、僕の隣にあるだけで十分だから、あえての夢を見たかった。
あえて断言するけど、人魚のローラにハンディキャップを背負った人の影が宿ってしまい、今回彼女が”人間”になることでその尾びれごと、現実への反射が切り捨てられてしまった側面はかなり強くあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
不思議な魔法で、喪われた歩行能力が生えてはこない人たち。
その欠落を含め”己”として、様々に困難がある世界を這いずり、立ち、進む必要がある人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
世界に数多…そして僕の身近にも当然いて、僕自身も不完全な人間である以上”そう”である、現実世界の人魚たち。
ローラにその影を重ねるのは、過剰な読み。でもそれだけの強さが、ローラとこの話にはあった。
だから全き”人間”にならずとも、欠落を変質させずとも、持ち前のその足で、人魚だからこそ持てる美しさで、僕はローラに進んで欲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
そう出来るように、物語と世界があって欲しかった。
今回の”足”の書き方は、そういう身勝手な祈りを、半分押しのけた感じがしたのだ。…勝手だね。
”半分”と書いたのは、この先”人間”のローラがどう描かれていくか、喪われ/奪われたように見える人魚の尾びれがどう描かれるかは、全く分からないからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
一切顧みられることなく、『”人間”になれてよかったね!』で終わるかも知れないし、何処かでローラが人魚でもあることに触れるかも知れない。
それは分からない。触ってくれると嬉しいが、さてはて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
それを確認するためには物語の終わりまで見守らなければいけないので、現状どうにも判断はできない。ここが、幾度か言った”難しさ”の根っこである。
正直、今回ローラの尾びれを切り落としたものは、凄く怖い刃だと思う。
両足揃って、最初から陸に生まれて、社会的な連続性を持つ存在だけが”人間”で、そのフレームに収まらない限り社会の成員となることは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
そういう悍ましく、夢のないメッセージをともすれば、(おそらく意図せず)出してしまいかねないチョイスに成り得ると思っている。
そうではないと、サマーにレインボーカラー、ラメールに赤と青のグラデーションを象徴色として差し入れたこの作品は言うだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
過度の読み、思い込み、身勝手な押しつけだ、と。
その通り。だが同時に、ローラの”変身”とその後の描き方如何によって、この視線は妥当性を得てしまうと思う。
プリキュアがその当初から大切に描き、また子供たちに届け育んできた多様性の称揚が、”人間”にローラが変じた…人魚であった彼女の尾びれが、声の代わりに人間社会へのパスポートとして掠奪されたと取られかねない今回、結構危うい場所にぶら下がったんじゃないかなと、僕は危惧している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
そんな過剰な思い込みを跳ね除けるような、公平で適切な描写でもって今後のラメールとローラを包んであげてほしいなと、僕は思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
同時に、『人魚でい続けて欲しい』というのが僕の勝手な願いでしかなく、ローラ自身は『人間になりたい』と思っていた事実を、ちゃんと覚えておこう。
作中で展開する少女たちの物語にとって、画面の外からこうしてギャーギャー抜かすオッサンの寝言は、余計な差し出し口なのだろう。メインターゲットでもなんでもねぇし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
でもなー…そう言うところを突っついてくれる作品と思えたから、俺はトロプリが好きになったんよ。
やっぱ”尾びれ”という、身体性を強く帯びてしまうフェティッシュがローラの変身に結実したのが、難しさを強くしてる感じするな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
それは否定し得ず、どのような形であれ”私”の一部となり、また社会や技術の変化によって、以前あったままの形から多彩に変化しうるものでもある。
”メイク”をテーマの一つと選んで、プライドの補強材としてそれを描くのならば、身体が持つ社会性、精神性を見過ごさないのは表現として当然であるし、そんな視線が消失したローラの尾びれにどう向くかは、今回だけで終わる問題ではけしてないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
なのでまぁ、華やかで誇らしくも、難しい回になったなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
『アイツら全くわかってない、俺の見てるヴィジョンが絶対正しい!』と猛れればある意味楽なんだろうけど、そうなるほどトロプリにもプリキュアにも敬意ないわけじゃないんだよな…受け取る自分含め、落ち着いて向き合いたい感じ。
『まー気にすんなよ、そういうもんだ』と肩叩いてくる自分もいるが、その気楽さに感謝しつつ、勝手に背負い込んだ難しさをまだ抱えて、今後のお話を見ることにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
これは厄介な荷物だが、僕だけの荷物だ。
そしてもしかしたら、トロプリも一緒に抱えてくれるかも知れない。
そうなったら嬉しいなと思いながら、次週を待つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
色々グダグダ言ったけど、ローラがいる学園生活、トピ部のワチャワチャはマジで楽しみなんよ…あの子がずっと望んでいた輝きに、ビタビタに浸って欲しいよホント。
…ローラを性悪のクソアマのまま、いい子にせずその魅力と変化を描いてきた筆致と、尾びれを差し出して”人間”になった今回の変質が、チグハグ噛み合ってない感じが引っかかるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月20日
あるがまま望みは掴めるのか、規範の求める変質は必要経費なのか。答えは、やっぱこの先の物語にしかない。