小林さんちのメイドラゴンS を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
ごくごく普通のサラリーマン、小林の周囲には、奇妙なドラゴンたちが集う。
人の形を手に入れ、牙を収めてメイド服。
混沌の暴竜イルルも来訪し、果たしてトールの新しい物語に待つのは愛か、闘いか?
かくして、運命の扉が開くッ!
そんな感じのシリアスは…ちょっとだけどしっかりある、メイドラゴン二期第1話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
二年九ヶ月ぶりの、京都アニメーションTVアニメの新作である。
心地よいテンポ、緻密な動きと作画、チャーミングなキャラクター、粒立ちを感じる撮影、場面転換とレイアウトの呼吸。
いつもの…僕の大好きな京都アニメーションが24分元気に、懐かしく、そして新しく踊ってくれていて、大変良かったです。見たいもん見れたなー…本当にありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
本当に様々なことがあり、長く時間も開いて、しかしそれをフィルムには感じさせず、可愛くハラハラと、ただただ楽しい。
いつもの京アニ、いつも以上のメイドラゴンと京都アニメーションを見せることが最高の帰還の挨拶であり、制作集団としての存在証明であると、静かに突き立てるようなスタートとなりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
この力みのなさと漲る矜持、実際に差し出されたフィルムの輝きが、僕はとても嬉しい。
シリーズ監督以外にも、絵コンテ(おそらくAパート)として武本さんの名前が残っていることからして、企画自体は相当前から動いていたのだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
実際に僕らの目に触れるずっと前から、アニメという花には努力が注がれ、ようやく咲く。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/nTg9kefR4g
そんな当たり前で大事なことを、こういう形で知ることに大きな喜びと、否定し得ない哀しさがありますが、しかし確かにスタッフクレジットに…モニターの中で確かに活きるトール達の息遣いに、確かに残されたものの手触りを、1ファンの勝手な感慨ながら、懐う事が出来ました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
京都アニメーションのファンであり、あの事件に大きな衝撃を受けた人間として、どうやったって湿っぽく、重たくなるしか無い作品になります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
しかし(強い言葉をあえて使いますが)思い出の墓碑銘ではなく、アニメ制作会社が当たり前に生き続け、生まれる一つの作品として、この第1話を作りきったこと
この朗らかで、いろんな面白さが贅沢に詰まっていて、肩の力を抜いて楽しませてくれる第一話の出来それ自体が、製作者たちが何処かへ進んでいく強い意志を、静かに証明してくれたように感じます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
スゲー面白くて、とてもありがたかったです。1クール見れるの、本当に嬉しい。
というわけで、モロに”二期"として始まる第1話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
ストーリー振り返りはおろか、キャラの紹介はすらテロップ一個で済ます超絶テンポ重視の、ハイテンションな入りとなった。
作画も芝居も展開も全体的にBPMが速くて、それに乗っかっているうちに作品の空気を思い出し、だんだん楽しくなってくる。
説明ではなく描写で掴む、それだけの作画と演出の腕力があると確信する、結構大胆な作りのAパートだと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
この前のめりなツッコミ加減が、しかしいかにも”メイドラゴン”で、あっという間に四年前の心持ちが戻ってきた。
重心移動を過剰に切り取り、それに揺れる髪や布が常時繊細に動く。
舌がしびれるほどの京アニ作画が随所で暴れる、チョロゴンと人間の楽しい日々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
そこにはノスタルジー以上の気持ちよさが確かにあり、見ていてとても幸せな感じを受ける。
過剰な乳揺れに象徴される、オタク記号のプラスティックな舌触りを確かに残しつつも、なんか”生きてる”質感。
研ぎ澄まされた生活感がある小林宅の美術も、常時喋り倒す掛け合いの強さにも、なんつーかこう…一期から積み上げてきたからこその靭やかさがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
無論ファンの贔屓目も入るが、やっぱ異種が互いを尊重し、敬愛しながら一緒に暮らしてる当たり前の空気が贅沢に据えて、嬉しいしありがたいのよ。
トールの小林さんLOVEが相変わらずの大暴走で、全てをなぎ倒すパワーに満ちていたのも大変良い。俺はいつでも、誰かのことが好きすぎてアタマのおかしいヤツが好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
そのエンジンを初手からフルスロットルにして、説明で足を止めずに走り切る選択は、僕には正解だった。早くて気持ち良い。
お話の起動と最高速が共に早いので、展開は圧縮され元気に転がり家を出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
二期最初の物語が、トールもカンナも社会の成因として、色々愛されているのだと判るエピソードなのはありがたかった。
ほんっっっとカンナちゃん可愛いな…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/Ue1w6fc1Kr
トールはトンチキな性格とこだわりをぶん回すが、メイド達に好かれ退職時にはすがられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
望んだメイドとしての評価は当然得られないが、しかしコック長として確かに認められ、小林宅の外にある社会にも、居場所を得ている。
自分を特別に抱きとめてくれる、家族の懐の中。
その外に広がるノンキな世界にも、破壊と混沌のドラゴンの居場所はあり、彼女はそこで笑うのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
アップテンポで脳天気な、小林さんちのいつもの光景をたっぷり味あわせてくれつつ、トールにとって”小林さん以外”が…”小林さん以外”にとってトールが、どんな存在かを確かに描写していく。
そのことが、Bパートで問われていく竜の在り方に、上手く刺さる構成と言えるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
イルルとのバトルで生まれる葛藤は、抽象的な倫理をめぐる苦悩ではなく、オムライスの味が確かにする、実態のある悩みなのだ。
この確かな手触りを、しっかり視野に入れてる所が好き。
声高に愛を叫ぶわけじゃないんだが、どっしり人間性に腰を下ろし、人間に交わろうと努力を続けるトールやカンナを、靭やかに見守ってる小林さんの姿も、忙しい日常の中にしっかり描かれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
やっぱこの人の人徳が、浮ついた設定に重心を与えてる感じは強いよなー。良い主人公。
というわけでBパートは、危険なストレンジャーが日常を脅かし、バトルバトルの幕開けである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
長い尻尾の絡ませ方、邪気の宿る瞳と牙。
イルルをモンスターとして描き、それに引っ張られてトールも竜の顔をより強くしていく。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/eNpg6PoNRO
空は抜けるような青…とは程遠く、晴れているのに暗くて重い、やや黄色がかった独特の色彩である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
”綺麗”の定形を半歩越えて、エピソードに必要な情感をしっかり宿しつ仕上げる京アニ美術が随所で暴れて、高空の闘いは大変に見応えがある。
やっぱ良いわぁ…京アニの背景。
人間としての顔が濃く出たAパートに対し、竜としての表情を問うBパートは、ごん太尻尾が非常に目立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
人型の彼女が、人ではありえない証明としての異物であり、文句なしのチャームポイントでもある”それ”は、生物器官として強い存在感を有している。やっぱ可愛いよね、トールのごん太しっぽ。
街を背負って闘うバトルは、トールに深い傷を刻み込む。彼女の瞳は蛇に戻り、破壊と守護のジレンマに苛まれて動けなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
小林さんがエルマをチョロく操縦して、バリアを張ることで葛藤は解消され、彼女は力を適切に使えるように為る…
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/ubDNjGkBps
わけだが、小林さんの介入(それ自体が、信じることしか出来ない弱さに対する、彼女なりの突破だ)だけが良い結末を連れてきたわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
力を使い、目の前の暴竜と同じだった過去に戻れば、Aパートで描かれたような触れ合いを自分の手で壊すことになる。
だからトールは迷うし、傷つきもする。その留保こそが、彼女が小林さんと暮らす中で手に入れた、大事な宝物だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
『そういやクール病原作だったな…』と思わされる剥き出しのデカ乳は、エロいより先に傷だらけで痛ましい。
魔力を放出した残滓はメイド服を引き剥がし、天使の羽のように蒸気を漂わせる。
怪物でしか無い自分、怪物だった過去を前に立ちすくむトールに、小林さんはしっかり向き合って境目を越える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
楽しい異種間コメディとして、笑って過ごせる時間へとトールを先導していく。
後ろにいるドラゴンを、一瞬だけ瞳で追う作画の細かさが大変良い。さりげないが、とても気にしている。
色んな意味で暴走気味なトールを、只人ながら卓越した倫理を持つ小林さんがリードし、先行する構図。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
これは作品の基本構造であり、しかし絶対でもない。
信じることしか出来ない、弱い自分には受け止めきれない大きなものを前に、小林さんだって迷う。
そこを超えていけるのは、トールが側にいると確認すればこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
自分が足を止めたら、今度は追い抜いて背中を見せ、あるいは並び合って支えてくれる存在。
トールと自分をそんな関係性に置けばこそ、小林さんは正しい答えを決断し、実行することが出来る。OLチョロゴン餌付けしたりなッ!
追い込まれ迷いつつ、しかし正しく決断し勝利できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
『馴れ合って弱くなった』という悪罵では、どうにも拾いきれない人の強さに、イルルも(文字通り)目を開いていく。
トールを変えたものを、知ろうとする瞬間に蛇から人へ変化する瞳孔。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/yyUVE7zhAh
あるいはファーストコンタクト時の遠さ(背景の街路樹が縦に置く境界線を、けして越えない断絶のレイアウト)と、電車の中の緊密な間合い(電車の窓枠から、身を乗り出して視線を交わそうとするコミュニケーションへの意思)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
作画のクオリティで、描くべきものをしっかり下支えする腰の強さ。
京アニの好きな所が健在鮮烈で、大変に嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
かなり手順をぶっ飛ばした二期第一話なんだが、”絵”の説得力が分厚く、また的確にぶん回されてもいるので、早い展開を摩擦少なく食えるのよね。
イルルも暴虐な怪獣から、トンチキな可愛いドラゴンだとどんどん理解ってくるし。
トールやカンナに対しそうであったように、小林さんは怯えつつも対手に踏み込み、両手を広げて受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
破壊魔術は使えないが、善い人間関係を構築していくその率直さこそが、最強の魔法である。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第1話より引用) pic.twitter.com/vY6N1No4DP
『そういやクール病原作だったな…』と思い出す不自然な超乳にビンタを入れ、暴力的な性の押し付けを拒否する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
思い返せば、トールも距離感間違えたエロティック・アプローチをぶん回してた。
出会い、反感、対話…もしかしたら融和。
二期第一話は、人間とドラゴンの物語をもう一度、始める作りだ。
弱いからこそ間違えない、人間様の特権として、小林さんの正しさはあるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
伏し目がちに自分を鑑み、トールと共にあった日々から言葉を探して伝える仕草には、大きく構えたところがない。
彼女は、自分が正しいとけして確信しない。だから、相手が間違っていると押し付けもしない。
混沌と秩序のように、二分された対立構造を越えた所に彼女の欲しいものはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
それを一緒に探せるから、ドラゴンとも共に暮らしていけるのだろう。
終電に追い立てられ、怪獣大決戦を前に空も飛べない人間のちっぽけが、その尊厳をより強く照らす。
しかしイルルは信じきれないので、気楽に性転換して状況をかき乱しまーすッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
無茶苦茶するなこのアマ…しかしこれで、異性であった場合も”小林さんちのメイドラゴン”は成立するのか、エロティックに変質していくかが問われるのか。
面白い揺らし方だな…。
Aパートで見たように、一期で培った関係性はとても暖かく、穏やかながら強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
かつてのトールに良く似て、竜種の傲慢と偏見に満ちたイルルが乱入することで、バキバキのバトル作画が唸り、日常は揺れていく。
だからこそ、お互いの違い…それを繋ぐものもよく判る。
”二期”として、今まで何を描いてきて、これから何を問うていくかがよく判る、新キャラ登場となりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
日常コメディ、異能ファンタジー、異種間コミュニケーション。
いろんな面白さのある作品の魅力が、早い展開の中にたっぷり詰まって堪能できる。
どれも面白くて、どれもメイドラゴン。
そういう安心と期待が、豊かに広がるスタートでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
皆可愛くてよかったなぁ…『あ、本筋に絡められねぇや』とばかりに、唐突に差し込まれるルコアのリコーダーダンスとか、ファフ君のネト廃っぷりとか、ありがたいサービスでした。皆仲いいねぇ…。
トンデモねぇ呪いをスナック感覚でぶん投げられましたが、さて小林さんちの日常はどうなるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
トールの情欲は抑えられるのか、可愛いイルルもチョロゴンなのか。
気になるヒキで二話に続いて、大変良いスタートとなりました。
次回も楽しみッ! お帰り京アニッ!!
しかし眼のクローズアップを多用、活用してキャラの個性や感情を喋らせる演出はまさに”京都アニメーション”という感じで、懐かしく力強く嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月7日
瞳の潤みと輝きに、語るべきことを圧縮して伝える得意の技法。何度使ってもしっかり刺さるんだから、強い武器だわ。