白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
アイドルの夢破れた宮沢風花は、誘われるように沖縄にいた。
流れ着いた小さな水族館で、風花を包む海の幻影。
閉館の危機にある水族館を救うべく、奮闘を続ける海咲野くるるとの出会いは、彼女を何処へ連れて行くのか!?
そんな感じのPAお仕事アニメ第四段、今度はアクアリウムだっ! なお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
…なんだが、かなり独特な滑り出しとなった。
物語のペースと雰囲気がいかにも篠原監督的というか、ゆったりとしてファンタジック。
バリッバリのキャリア物語を想像していると、ある意味肩透かしを食らうかもしれない。
沖縄を舞台に展開するこの物語、色んな要素が想起され、その化学反応に期待も高まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
第1話である今回、提示されたのは舞台となる沖縄、海の動物達の愛くるしい姿がメインであり、ドラマの基本エンジンに為るだろう少女たちの邂逅、水族館という仕事への踏み込みは、次回以降へと保留である。
多分今の時代の深夜アニメスタンダードなら、出会いを通り越してもう少し先…お仕事の良いところ、大変なところの端緒くらいは視聴者に見せると思うが、その前段階で第一話は終わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
このスロー…とも思えるペースは、監督の過去作である”色づく世界の明日から”…あるいは”RGB”にも通じる。
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
×”RGB” ○”RDG”
僕は”色づく”がとても好きで、どっしり腰を落として青春と魔法に向き合う語り口を楽しんだが、あの美しき長崎と色合いの違う沖縄で、果たしてどんな風な物語が展開されるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
楽しみでもあり、正直少し不安でもある。まぁ沖縄にもキジムナーいるからな…。
どっかと腰を落として何を描いたかというと、風花のふんわり居場所がないキャラクター、彼女を魅了する沖縄と、二度目の物語を駆動させていくくるるである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
美術は大変いい感じに冴えていて、相変わらず濁りのない光が眩しい。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第1話より引用) pic.twitter.com/1C0Seea6CL
ガラスの靴を東京に置き去りに、ポスターに誘われるまま泥臭い田舎に背中を向け、向かう沖縄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
そこが人間世界の垢から離れた別天地として描かれるのか、歴史と息吹に満ちた生活の場所と為るのか。
ここら辺の塩梅は、実在の土地を扱えばこそ難しい部分でもある。
生臭い田舎感とどう向き合い、そこでこそ咲く花の色を描いてきたのもPAお仕事シリーズであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
”サクラクエスト”で見せた、どんよりと泥っぽく、しかし嘘のない手触りとはまた別の色合いを、この沖縄の景色は豊かに宿している。
神様に愛された特別な場所でのバカンスが、疲れた風花を癒やす。
90年代のトレンディドラマみてぇなフワッと感で沖縄に流れ着く導入からは、そういう聖域感を覚えなくもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
しかしそれは、沖縄という”土地”に必ずある土着の個別性、水族館の”仕事””に必ず存在する労苦と尊さを、お客さんとして遠ざけてしまうことに繋がりかねない。
無論風花は、お客さん以外の何者でもない立場で沖縄に来たのだから、彼女の瞳に映る世界はまさに別天地であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
この美しい景色に、くるるとの出会い、水族館の仕事はどんな手触りを足していくのか。
これは、今後掘っていくポイントである。
そして、そのヒントも既に出ているように思う。
風花は母からのメッセージを切り捨て、くるるは原付の電源を入れて前に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
その指先は、アクアマリンのマニキュアとそっけない素肌。
水に触れ合う仕事を既に頑張っているくるるは、己を装い世界を閉じるより、突き進むことに忙しい。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第1話より引用) pic.twitter.com/lCiNY9XmWT
控えめな優しさ故に、アイドルとして花を咲かせる前に舞台に背を向けた風花にはないものを、くるるは既に持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
二つの”スイッチ”に触れる二人の指先の連続は、そんな状況を上手く切り取っているように感じた。
風花は人生の電源を落とし、くるるは入れる。
対極だからこそ惹かれ合う兆しは、ゆったりとした話運びの中で、静かに揺れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
ここら辺の落ち着いた語り口は、題材や見る側の感性と噛み合えば力になるし、ズレると腰の弱い印象を生むだろう。
どちらに出るかは、今後の魅せ方次第か。ただ、綺麗なものを描く筆は大変元気だ。
”お仕事”という生っぽい題材を扱うにしては、超現実的な要素が随所で暴れる作風でもあり、これの扱いも気になるポイントだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
海の花嫁めいた貝殻サークルとか、突然水に飲み込まれるヴィジョンの強さとか、絵面が現代伝奇なのよな…。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第1話より引用) pic.twitter.com/QEFCmRL06D
彼女を運命の水族館に導くのも、謎めいた占い師の預言だし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
あの人、最初はテキトーなコールド・リーディングで受け流そうとしておいて、本腰入れてキッチリ占う二段構えで面白かった。
”オカルト”なるものを触る手付きが、かなり独特なのよね。
僕個人としてはこのフェアリックな筆致は凄く好きで、今後も不思議なことを色々起こして欲しいと思うが、潰れる寸前の水族館というシビアな環境、生き物の命を扱う仕事と、どう噛み合わせていくかは、好みとはまた別の話であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
あ、海の動物さんたちが皆可愛く、生き生きしてるのは最高でした。
何しろ命を扱う仕事なので、そのシビアさにはしっかり目を向けて欲しいし、銭金の重さにも向き合っては欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
かなりフワッとした感触の第1話から、どういう話を転がして作品独自の味わいを見せるのか。
そこをまだ、読み切れていない感触が強い。
しかし夢の楽園というにはちとくたびれた、時代遅れで垢抜けてない感じを巧妙に出してる水族館の美術は、ただただ綺麗なファンタジーだけを書きたい、という意識からは生まれないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
絶妙に、展示がヌケてないんだよな…。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第1話より引用) pic.twitter.com/PVlzOqBPwu
老人と子供ばかりが居座る場所を、どうにか守ろうとするくるるがまず、風花の方に寄り添う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
思い切ってみずに飛び込んだペンギンの軌跡を、追いかけるように今度は風花が踏み込んで、なんか無茶苦茶なことを言い出す。
このお話のガール・ミーツ・ガールは、まずドン引きから。
運命の水面を揺らす第一歩として、フワッと少女がこの水族館に、くるるに何を感じたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
次回はそこらへんを掘り下げる物語になる…のかな?
正直作品の輪郭、目指すべき着地点を測りかねるスタートもなっているので、なかなか格言が出来ない。
しかし…嫌いじゃない。
それは僕が、美しい風景と可愛い動物がアニメで見れると、途端に採点が甘くなる個人的好みも大きいけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
第1話からいろんな動物が見れて、僕は大変嬉しいです。ここは妥協せず、眼福全開で仕上げてくれて有り難い。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第1話より引用) pic.twitter.com/GF377Eswaj
同時にあえてBPMを上げず、ファンタジックなペースで物語を進めること…その中に物語の予兆を静かに埋め込む手付きが、何かを芽生えさせてくれそうな期待を、静かに高めてもいるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
正直この語り口と視座が、どんな物語を結実させるかはさっぱり読めない。
”お仕事”と看板に書いた時予期する…あるいは期待するだろう地に足のついた雰囲気とは、結構遠いスタートだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
その違和感が、はたして独特の魅力となりうるのか。
楽園の動物たちに囲まれて、少女の出会いと青春はどんな足取りで踊るのか。
キラキラと眩しい沖縄の風景は非常に良いが、やっぱ人と人のふれあい、その延長線上にある”仕事”の手触りが、差く品を動かすエンジンに為ると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月9日
さて、それはどんな顔をしているのか。ふわりと綺麗な色合いに、人間の手触りをしっかり宿せるのか。
次回も楽しみである。