アイドリッシュセブン Third BEAT! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
了が仕組んだ濁流は、十重二十重にアイドルたちを押し流していく。
紡と楽、龍之介とすみれの間に蔓延する恋の噂は、憶測を交えて千里を走る。
軽佻浮薄な人気商売の、腐ったハラワタの中で浮くか、沈むか。
世間の空気は重く、淀んでいた。
そんな感じの芸能界ドロドロ絵巻、爆弾まみれのアニナナ3rd第12話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
半笑いで繰り出される泥まみれの噂と、その裏にあるどす黒い意思。
了の敵意がアイドルたちの行方を阻み、非常にスカっとしない展開である。
決定的に何かが起こるわけではない、半煮えのグズグズ感がまたなぁ…。
真摯にファンに向き合っていれば、思いは通じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そんな綺麗な理想論に尻を向けるように、了に踊らされた世論はジクジクと、アイドルたちを煮込んでいく。
この腐臭もまた、彼らが身を置く世界の真実…少なくともその一つ、という話であろうか。
ナギの過去、楽への噂、龍之介を狙う陰謀。
同時多発的に連鎖爆発するのが、負荷が大きくてイイカンジだ。つまり最悪ってことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
前者二つは了が仕込んだ感じだけど、ナギに関しては加入前から伏せていた札が表になりかけてる感じだな。
別の水源から流れ込んでる泥なんで、対応も別になってくる…のかなぁ?
というわけで、出だしからコソコソヒソヒソ、マジ感じ悪い空気でお話はスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ここで爆発させるために、楽と紡にいい感じの雰囲気積んできたとすると、性格の悪い話運びで感心しちゃうネ。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/OSqqEFJBXY
楽が気のいいニーチャンであり、見守りたくなる二人であるのは、既に僕らも見てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
だからこそ他人に土足で上がり込んで欲しくない、アイドル・八乙女楽の商売に関わらないプライベートとして扱って欲しい気持ちを、口さがない噂、無神経な踏み込みは荒らしてくる。
下衆の歩み寄りも笑顔で跳ね返して、お仕事に繋げようとするタフさが、好ましくも痛ましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
お仕事以上恋人未満な微妙な距離感を、大事にできない連中は結構世間に満ちてて、噂の震源はそういうドブとの付き合い方が上手い、ということだ。
最後に正義が勝つとしても、それまでは不正義が高笑い…か。
すみれ周辺に漂ってる虚偽の気配、紡の周りに匂う下卑た無責任。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
了の謀略は生理的に無理な部分を突っついてきて、同時にこの下卑た感覚、美学のないダーティさは…少なくとも世間の一部には、大層受けが良かろうな、と思う。
綺麗に飾られているからこそ、泥に塗れた姿を”真実”と思いたくなる。
『ああ、アイツラも同じ人間だったんだな』と溜飲を下げる、下向きの引力を背中に受けて、了は綺麗なガワにヒビを入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
その行動理念が、本当の所何に支えられているのか。
判らないまま、外堀だけが泥で埋まっていく。
利一本と見るには、執念が濃すぎる気はするなぁ…。
一方ナギはアキバで出逢ったストーカーと、知らない言葉でコソコソ話し、他人に荷物を預けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
いきなりライフラインをぶっ千切って、中枢に打撃を食らわすやり口。
ストーカーというか、テロリスト…あるいはそれを防ぐ側の匂いがする
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/PyvwXUzYvA
どうやらナギは、謎の国家ノースメイアの王族らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
その立場には事務所レベルでは不安なセキュリティが必要で、敬・不敬を問える封建的関係性が未だ健在、と。
そういや、棗くんが留学してたといってたのもそこか…。
いやはや、なんともきな臭いね。
千葉サロンの一件を乗り越えた大和は過去を回想しつつ、ナギの過去に踏み込み荷物を背負うそうぶりを見せるけど、当人は戯けた仕草で跳ね除ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
アニメに夢中な剽軽者と見せかけて、分厚い知性と社会経験を感じさせる道化師が、何を抱えているのか。
ここもハラが見えないまま、なんかヤバそうな気配だけが蓄積していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
おつきの人が言ってた『タイムリミット』も、ナギが伏せてる実家関係の爆弾なんだろうなぁ…。
ノースメイア絡みの不穏さは、了がばらまいてる悪意の種子とは多分別問題なんだけど、屋台骨が揺れてるタイミングで浮上してきた
ナギは道化の仮面で本音と過去を上手く隠しつつ、アイナナが沈みそうなときにしっかり支え、道を間違えそうなら正してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そんなキャラが、こうも負荷の高いタイミングで地金を見せてくると、『大丈夫なのか…?』と不安にもなる。
容赦のない、良い追い込み方だなぁ、と思う。
一方龍之介を包囲する流言の檻は、どんどん取り返しのつかない方に転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
すみれ陣営の立ち回りがなかなか素早くて、きっちり絵を描いてから導火線に火をつけた感じが強い。
90度回転した、ひどく不穏な画角。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/Dlj27SCNp7
それが、今のTRIGGERが座っている場所である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ワケのわかんないままに巻き込まれて、確信なく対応しなきゃいけない、腰の浮いた状況。
ここで念入りに強調してくるってことは、やっぱ”運動部”はミスリードかな…。
でも、ならばなぜ?
その問いかけには、なかなか答えが見えない。
さっすがに今までの大惨事から学習したのか、百に向けられた疑念を明瞭な言葉で否定しにかかる千サンは、なかなか頼もしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
しかし正しく毅然と対応して、誠実さで納得してもらえる近い距離感だけが、アイドルのコンバットレンジではない。
世間に流通するイメージ、嘘に噂に流言飛語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そういうモノでお商売しているのも、彼らの事実だろう。
例えばセンター交代で動揺し、三月がブスブスぶっ刺された、制御不能な世間の目。
これを意図的に操って、場を争うとしてる奴がゲーム盤に立っている。
火のない所に水煙を立てるべく、口コミ含めた各種メディアも動員しているだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そういう長い手での勝負に、心が綺麗なアイドルたちはなかなか適応しきれていない。
かつて一織が警戒してた、事務所の頭越しな付き合いが現実に、スキャンダル爆弾として炸裂した形だ。
これを乗り切るには美学ではなく、団結と統制が大事かと思うが、アイドルちゃん達は人のいい分断行動で対応しようとする。し、死亡フラグ…!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
過去の再現映像かと思いきや、ナギが第四の壁超えて提言してくるのは、良い演出ね。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/vpjPlr2NF9
ここ王族として社交と政治の修羅場を超えてきただろうナギの意識と、未成年で年下は皆弟扱いの龍之介の認識が正面衝突してて、なかなか面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
壮五とパーティー会場で話した時も、自分が体験してきた”幸福な家庭”から外れる発想力、薄かったなぁ…。
保護対象に見られてるナギからすると、了の謀略に絡め取られかけてる龍之介のほうがダダアマ隙だらけで、遠ざけられる義理はないんだよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
でも過去を明らかにして、ただのガキじゃないと証明してないナギに、龍之介がすがる道理もまたない。
ここの溝が埋まるより早く、地雷が全部ふっ飛ばしそうだ…
…いや違うのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
能力がどう、大人顔負けの修羅場経験がどうって話じゃなくて、”未成年”の三文字だけで無条件に、龍之介にとっては巻き込んじゃいけない、護らなきゃいけない存在なんだろうな。
ここは自分を兄貴であり大人であると自認して、背筋を伸ばしている男の譲れぬ矜持か。
年齢固定の教条主義ってわけじゃなくて、自分を突き動かす原理として『子供を守る』ってイズムで動くようにしてんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
この弱者重点の立ち回りを、すみれに突っつかれた形なのが世知辛いよなぁ…。
善意に漬け込む形なんだが、すみれの焦った立ち回り見てると、彼女が弱者なのも嘘じゃないっぽく
龍之介にとって未成年を守る”兄”であることは、何より大事な家族の思い出、それを背負う自己像と密着した、譲れないプライドなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ナギの助力は、龍之介が龍之介であるための要石を揺るがしてしまう。だから、素直に受け止めきれない。
ここら辺のこじれ方、三期冒序盤の大和に似てんなぁ、と思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そこを超えた男が、言い争いからちょっと離れた場所に位置して、全体を俯瞰でコントロールできる”お兄さん”の立場に戻ってるのは、なかなか興味深い。
でも個別突貫は、どう考えても悪手だろー。
デカい舞台に立っていても、アイドルちゃん達もまだまだ青年で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
か弱い存在に思えるすみれが、悪意で他人をハメる悪党だって認識を、あんま持ちたくないのかなぁ、と思う。
女性にジェントルであることが、職業倫理として大事、てのもあるか。女の顔平気で踏むアイドル、ヤだもんな…。
しかし実際、すみれの指し手が早すぎ的確スギナ以上、彼女の懐…その裏で糸引いてるやつに手ツッコまなきゃ、突破口は見えてこないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
手を差し伸べるべき弱者を演じて、ナイフを突き刺してくるような輩…そうするように、後ろからけしかけるような奴らに、アイドルはどう向き合うのか。
善意に善意で返す世界に住む青年たちが想像するより、状況は泥に汚れて危険だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
この危なっかしい歩みでもって、致命的な罠にハマったあとで大逆転するのか。
それともその前に、一手を打つのか。
第2クールへのヒキ方に注目したい。
まー片脚くらい吹っ飛ぶだろうなッ!
そして楽は、紬との間に誠実な一線を引く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
黒いソファを間に挟んだレイアウトが、二人の断絶を可視化して面白い。
ここでスパッと筋を通せるからこそ、楽兄さんにはその切ない恋、大事にして欲しいと思えんだけどな~。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/hbp2RAJWB1
急に大人の難しい問題に巻き込まれて、陸もアタフタ大変だっただろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
楽が陸部屋に引き入れたのは、紡と二人きりの”密室”にしたくないからで、陸がなんかしてくれるのを期待したわけではないと思う。
誰かに漬けこまれず、向き合う相手を傷つけないための予防策。
”小鳥遊さん”呼びじゃ防壁として足らない所に、土足で踏み込まれたからこその用心と義理立てが、俺様アイドルの素顔なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そういう気持ちのいい純情青年と、仕事にまっすぐチャーミング少女だからこそ、ズケズケと半笑い、土足で踏みまーす!
良いヘイトアーツだな…。
考えてみれば、噂一つが致命傷の不安定な業界、こうなるほうが自然とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
でも一人間として素敵な恋をして欲しいと、思える二人だからこそ見てる側も、微笑みつつ前のめりになった。
そういう期待を綺麗に足払いして、後ろめたい現実感で一発入れるの、上手い劇作だな、と思う。
僕らが見守りたかったものが、下衆のオモチャ、偶像の傷になっちゃった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
『男だったら良かったな…』と言わせてた輩が、悪いに決まってはいるが。
しかしそこに追い込まれてみると、不快感とはまた違う、妙な納得がある。
上手く情緒を掻き立てて、見事に逆ねじに決める運びだ。
(紡ちゃんがプレイヤー・キャラクターでもある以上、ロマンスの気配を追体験できる楽との距離感は心地よいもので、今回湧き上がってくる下衆な噂は、そんな快楽の足場を崩すものでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
一人称のゲーム体験としては結構な冒険だと思うが、同時に三人称的に少し遠ざけて見守る距離も保ってきた)
(僕はゲームをやっていないし、その距離感は人それぞれだと思うけども、小鳥遊紡は”わたし”の分身であり、アイナナ世界に独立する一人のキャラクターでもある、結構複雑なキャラとして立っているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
そんな存在を、薄汚い暴力の犠牲者、スキャンダルの震源として”活用”してくる)
(この語り口に刻み込まれたある種の裏切り、転棟作用はなかなか面白い仕掛けだなぁ、などと、外野席から観戦しながら勝手に思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ワクワクな疑似ロマンス追体験装置としての側面も当然あるだろうジャンルで、ここに地雷仕込むの凄いよねぇ…自分が不勉強なだけで、オーソドックスな手筋なのか?)
(追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ここらへんの『お前らが”ゲーム”を望んだ事自体が、仮想世界の状況を悪くするのだ』という逆流するリアリティの棘は、例えば”UNDERTALE”とか”Far Cry”とか”ドキドキ文芸部”とか
”Spec Ops: The Line”の匂いがして、なかなか僕の好みなのである。)
かくして随所で不穏な陰が、不鮮明な輪郭で蠢く中。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
あいも変わらず赤信号、了さん今日も楽しそうですねぇ…。
不審なストーカーにも温かい味噌汁出した(そしてそれを受けた)アイナナに対し、了は一人シャンパンを飲み干す。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第12話より引用) pic.twitter.com/i1BHfrhHtn
グラスは彼の内面を映す拡大鏡として機能し、獣じみた視線、孤独な闇が強く強調されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
肉にしても、酒にしても、彼は誰かとともに暖かく、何かを腹に収めるということがない。
冷たく、不適切で、自分の能力を誇示する武器としての食事が、常時彼には付きまとう。
このままずーっと、食物本来の味も、それが生み出す暖かな空気も腹に収めないまま、威圧と孤独を食ってくのかなぁと思うと、悲しくもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
食物を、本来あるべき形で食べれない違和感。
これは百ちゃんの喉が詰まった時と、おんなじ演出だと思う。フード理論やね。
というわけで、『冗談だよ!』と安全圏を保ったまま、人間にとって大事なものを踏みつけてくるイヤーな空気で、決定的な瞬間への準備を整える回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
いやー…軽薄で薄汚くて、なんともヤな感じだったなぁ。
そしてだからこその、奇妙に確かな質感みたいのも確かにあった。
今アイドルたちが包囲されかけているものは、確かに世界に存在してて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
だからこそ銀紙を貼っつけた偶像を、泥の中から求めて手を伸ばして、偶像稼業が成り立ってもいるのだろう。
百ちゃんはそれを前提に、奥歯を噛んで舞台に立ち続けていることを、了に宣言した。
では他のアイドルたちは、浮ついた嘘と重すぎる思念が入り混じって人を刺す土壇場を、ちゃんと見据えられているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
ŹOOĻデビューとなるだろう次回、あるいはそれ以降、物語はそういう部分を試してくると思う。
『これまでも沢山ぶん殴ってきたけど、今度は角度と強度を変えて行くぞ!』って感じだな。
とりあえずどん底まで引っ張り込まれて、三ヶ月モヤモヤと待ち続けるハラは固めて、次回を待ちたいと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月20日
アイナナ制作陣は頭が良くて性格が悪いので、絶対キツめのクリフハンガーで引っ張ると思うんだよなぁ…。
問題は爆裂の後に、どんだけこっちの身体が残るかだ。