白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
企画展のアイデア出しを求められたくくるは、ウミウシ展示に向けて奔走する。
飼育難易度の高いウミウシを、どう展示可能な状況に持っていくか。
顧客・従業員・生物の狭間で迷走するくくるの背に、のしかかる重圧。
果たして展示は成功するのか!?
そんな感じの企画担当海咲野くくる、地獄の修行時代第二弾、アクアトープ第15話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
”ウミウシ展示”という具体性のあるお仕事を巡って、色んな部署と正しさの間でヒーヒー言わされるくくる。
その苦労と手応えが、グッと前に張り出してくるようなエピソードとなった。
ウミウシ展示は、資金も施設も整ったティンガーラだからこそ出来ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
つまり第2クールだからこそ展開できる物語で、そういう意味でも手応えがあった。
生き物大好きなくくるが採取と飼育の現場に踏み込んでいくことで、取り戻される輝き。
諏訪副館長とギャーギャー言い合いつつ、企画に足を置くからこそ見えてくるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
色んな人の助けで企画を成功に近づいていく過程で、くくるからちょっと遠い場所の人間模様も見えてきて、見てる側の視界が広がるエピソードだったと思う。
あとウミウシくんが可愛くて、大変良かったです。
というわけで、相変わらず部下の顔を見ねー冷血上司の無茶振りから、物語は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
諏訪さんは大きなヴィジョンを持って、営業と企画…顧客に直接接する部門こそがティンガーラのバイタルパートだと、信じているのだろうけど。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/4Y1aq6m58o
何しろそれを説明も共有しないので、仕事を振られるくくるとしては、訳のわかんないまま反発が貯まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
ここで毒抜きと橋渡しをやってくれるのが風花で、頭に血が上ったくくるが思い至らない良さを思い出し、笑顔を取り戻させてくれる。
ホント、一人だったら潰れてたな…。
今回くくるは部署をまたいで走り回り、生物、従業員、顧客…”水族館”に関わる多様な価値観全部とぶつかり合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
そこには、後に島袋さんが述べるように答えはない。
何を優先し、何を大事に”仕事”を進めていくのか。
自分の大事なものと向き合いながら、選び責任を背負っていくしか無い。
諏訪さんも信念があって営業最優先の生き様を選び取っているんだろうが、その途中経過、仕事の先にあるヴィジョンを他者と共有する努力を置き去りに、キーボードを叩き続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
ビジネスの中にある人間、人間がいてこそのビジネス。
おじいが多分一番に見ていたものを、置き去りにしてるように見える。
ここを切り崩して、諏訪さんの内側に入っていくのが第2クールのくくる、最大のミッションになるだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
第1クールで描かれたように、くくるもまだまだ未熟であり、だからこそ周囲の助けが大事になる。
…でもそのサポーターも人間、当然未熟な部分もあるのよね。
今回くくるの奮戦に絡める形で、櫂くんが飼育部でちょっとずつ地歩を固めていく様子、自分の得意技を見つけていく様子も描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
冒頭段階では特に言うこともなかったバックヤードツアーの喋りは、Cパートで回収されることになる。
彼の強みは、くくるや比嘉くん、島袋さんのような生物愛ではない。
幼馴染が好きで好きで、進路をそっちに寄せてまで傍にいようとする想いが、彼の武器となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
過剰な仕事量、上司のフォロー欠如と、厳しい状況に置かれたくくるがそれでも潰れず邁進できるのは、彼や風花のサポートあってのことだ。
自分もペンギンの面倒見つつ、遠くのオフィスを見上げて気にかける。
サラリと描写される風花のくくるLOVEが、重力強すぎて時折怖い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
でもこんぐらい強く感情を傾けて、くくるを守り支えてるから、困難を超えて己を作りあげるビルドゥングス・ロマンの背骨も、太く支えられてる感じか。
それにしたって好き過ぎて怖いがなッ!!(最高)
諏訪の冷淡な態度にもめげず、くくるは即座に山盛りアイデアを出し、ウミウシ展示へと突き進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
思いのこもった手作りの企画書、トンチキな同僚のヘンテコアドバイス。
なかなか上手く行かない恋路と、麦わら帽子の満点笑顔。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/oNJpjRkION
仕事にエンジンかかって加速していく様子は、具体的で色んな事が起きてて、面白い手応えがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
食性に伴う飼育の難しさとか、研究と展示が繋がってる水族館の特性とか、分解能の細やかな描写がさらっと展開すると、やっぱりいい感じだな…。
何でも魚で例える比嘉くんの、トンチキながら同僚思いの歩み寄りとか、くくる以外の人間関係もちょこちょこ進展してきてて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
櫂くんの仕事と恋がサブラインになることで、エピソードに立体感でてたのは良いな、と思う。
まぁ成就までは、かなり時間かかりそうだけどね…頑張れ!
あと書類仕事で鬱屈してたくくるが、海に飛び出しツナギで武装し、一番好きなこと好きなだけやってる時の輝きが眩しく、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
やっぱこの子のエンジンは『海と動物が好き!』なんだな。
だから無給餌展示にも理由なく反対するし、島袋さんとも心が通じる。
まず生きてる動物を見据えるアニミズムは、経済活動重点な島袋さんには一番遠いもので、確かな説得力がある真理でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
水族館に関わる人や動物、全部が本当で、どれも置き去りには出来ない。
しかし効率的に経済する以上、優先順位を付け、決断の責任を果たさなければいけない。
くくるが今回、疑問の入り口に立った問題は水族館で働く人、全てに共通する難問だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
諏訪さんも凝り固まった自分の答えを崩して、他人の顔を見なきゃいけない立場…なんだが、とにかく壁が分厚くてなぁ…。
がまがまの顛末を見ると、彼の営業至上主義もまた、真理の一部は突いとるのよな。難しいね。
とまれくくるは、自分の見つけた答えを信じて猛ダッシュ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
ウミウシの食性も、飼育部との折衝も、バックヤードツアーで顧客に与える満足も、全部ド新人が頑張ります!
…周囲はもうちょい、サポートしたげなさいッ!
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/nwvLgGN0Hu
今くくるが間を取り持ってる、各要素との折衝って多分、もうちょい上のレイヤーで俯瞰的に見守りながら調整しなきゃいけない事で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
そのためにはより良いコミュニケーション、円滑な意思疎通が絶対不可欠なんだけども、個性の強いメンツはよれば触れば衝突ばかり、がまがま閥への風当たりも強い…と。
トラウマ抜けきんない空也さんのヤバ対応、半歩間違えると性差別になるのがマジ厄介だよな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
家族的ながまがまだと、事情を察して手心加えてくれるものが、効率化されたティンガーラだと『いや、個人的偏見でしょそれ。仕事に持ち込むなや…』ともなるのは、大変難しい。
ここら辺、物理的に間に立ってる風花が潤滑油になって、雪解けしてくところかなー、という印象だけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
かつて手をついばまれた経験値と、笑顔で五寸釘ぶっ刺してくる知夢への牽制が入り混じった『手早くやるのがコツでーす』は、なかなか好きなタイプの笑い。
風花、結構イイ性格よね…。
現状くくるにフォーカスして話が進んでいるので、彼女に理不尽に色んな重荷が背負わされているようにも見えるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
彼女にビシバシ仕事を回してる諏訪さんが、一体どんなタスクとミッションを背負ってるか描かれる時が、一つの分水嶺かなー、と思ったりもする。
水族館という場、それ自体を世話し生き残らせる経済飼育員だけに、見えている景色。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
それをくくるが覗き込むには、まだまだ地力が足らないから、現状こういう書き方にもなってる印象。
部署間、従業員間の連携が良くなって、仕事にもなれて面白さが見えて…諏訪さんの荷物が見えるのは、その後かなぁ。
塩コーヒーで幼馴染を労い、ストレス発散に振るわれる拳を掴んでしまう櫂くんの純情は、やはり見てると肌が潤う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
つーか幼年期から当たり前にあったからこそ、風花に比べ支えられてる特別感がないくくる、かなり”罪”な感じするよね…。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/n6WZyt0OIl
既に出来上がっていて、小さく変化していく関係性もあれば。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
新たにぶつかり、生まれていく距離感もある。
島袋さんと水生生物バカどうし、本音を叩きつけ合う飼育水槽前の語らいは、作品のコアテーマにも隣接していて、とても良かった。
誰かが分かり合っていく様子は、やっぱ見てて嬉しい。
生物の幸福だけを考えれば、水族館には意味など無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
それでも生物を捉え、閉じ込め、育み、見せる意味はどこにあるのか。
彼女の問いかけは、無邪気な”好き”で突き進むくくる(と、彼女を主役にする物語)に、とても大事なものを突きつける。
諏訪さんも第13話で告げていた、水族館の存在意義。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
展示、研究、保護、レクリエーション。
そのどれもが大事で、しかし何処か重点を選ばなければ、理想は形になっていかない。
島袋さんは啓蒙の入口として、諏訪さんは理想を成し遂げるためのビジネスとして、ティンガーラを見ている。
そういうデカいヴィジョンを、現状のくくるは持ち得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
『視野が狭すぎる!』と言われる”生き物が好き!”は、しかし生き物を扱う”仕事”の根っこに置かなければ、とても危うい事態を引き起こす大事な思いだ。
島袋さんも、それが判るからがまがまの新参にコード越し、手を差し伸べる気になるのだろう
島袋さんの大きすぎる視界と、くくるの狭すぎる目線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
それがぶつかり合うものではないと分かり合って、展示は各部署の意見を折衝した成功へと落ち着いていく。
どうしても、餌を食べないウミウシは展示できない。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/3Xp7ghzG2d
そうくくるが食い下がる時、諏訪さんはキーボードを叩いてはいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
相変わらずPCに映る数字だけを見て、飼育部が向き合う命の意味を見据えてはいないけども、プランクトンの譲れぬ意志が少し、動かぬ壁を動かした…のか。
それは未だ解らぬが、飼育部の実力者とは確かに、通じ合うものがあった。
解らぬこと、通じ合えぬことばかりと思えた新しい”仕事”に、小さな変化を感じつつ、くくるのウミウシ展示は盛況に終わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
具体的に何が難しく、どこが問題なのか。
それを越えていく工夫と努力が、何を生み出すか。
具体的な描写が、確かな手応えを伝えるエピソードでした。
Cパートで櫂くんなりの強みと、その周辺の人間模様などもスケッチしつつ、ティンガーラの毎日は過ぎていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
比嘉くんがトンチキ善良なのはありがたいが、空也さんのクセの強さ…それを是正する気の無さはまー、今後の火種になりそうね。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第15話より引用) pic.twitter.com/3oUlOW6qxK
命の重さと真摯に向き合い、”好き”で繋がるくくると島袋さんを書いた後に、そのくくるが”好き”って気持ちを仕事に生かした櫂くんに繋げる運び、何度もいうけど群像劇に立体感が出て好きだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
色んな人がぶつかり、分かりあい、支え合いながら、進んでいく”仕事”。
そこでくくる達は何に悩み、何を掴むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
諏訪さんが見てるものって、おそらくおじいががまがまと一緒に心中したものであり、第1クールではくくるに片鱗しか見せなかったモノなんだよな…。
無理難題をこなしつつ、営業部で頑張る中でくくるも、かつて見えなかった景色を理解していくのか。
諏訪さんの数字至上主義が何処から来て、なぜ目の前の命や人間を無視しているとも、取れる振る舞いをしてるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月15日
今回スケッチされた人間模様が転がる中で、そこら辺も今後、彫り込まれてくるでしょう。
新天地でくくるがどういう”仕事”をしてるか、手応えのある回でした。
次回も楽しみですね。