平家物語を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
鹿ヶ谷の陰謀に義父が連座し、重盛は平家棟梁としての影響力を失いつつあった。
夢枕に父の野望の報いを見つめ、その生命は惨き現世と過去の怨念に食いつぶされていく。
冷たき水が栄華の果てを教える中、今日も一輪、夏椿が散る。
全て儚き現し世に、それでも繋がるものはあるのか。
そんな感じのグッバイ・マイ・ダディ、大黒柱がぺっきり折れる平家滅亡RTA第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月3日
新都福原の未来に、脂ぎった『面白かろう?』を投げる清盛よりも早く、作中最も頼れる武士であり人物だった重盛は死んでいく。
それは法王と平家を繋いでいた微かな糸が、遂に絶える行く末に繋がっている。
びわはただ見ることしか出来ない己を嘆くが、しせる父から継承したその瞳が、死してなおそこにある死者の存在を、より強く際立たせていくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
おっとうからは物語を語る口を、重盛からは死者を偲ぶ瞳を継承し、見ることも語ることも出来る永遠の少女は、何を答えとするのか。
それは白髪盲目の平家座頭として、嫋々と”平家物語”を歌い上げる…あるいは重盛末期の段のみはかき鳴らし謡わない姿から、既に感じ取ることも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
このアニメが今まさに選び取っている『”平家物語”を語る』という行為が、悩めるびわの決着なのだと、びわよりも更に何も出来ない僕らの目は見つめる
徳子は入内の目的…皇家に平家直属の御子を打ち込み、その影響力を盤石にする狙いを果たす、お産の一大事に苦しんでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
その瞳の色は兄と同じく、死者の怨念を見据える異能の色に染まっている。
医術不確かなこの時代、お産はまことに命がけであった。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/QRsa9EQ6So
半歩間違えば赤子とともに儚くなりかねない、生と死の際。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
これを切り取る画面は静かなモノトーンとなり、これまで華やかに生き生きと画面を彩っていた花々も、墨でふすまに彩られた写しとなっていく。
命が生まれる喜ぶべき瞬間なのに、序盤を黒白鯨幕の色合いが制して、いかさま重たい。
重盛は命を賭して法王に忠義を尽くしたが、考の相手である父・清盛の(武家らしく、また男らしい)怒りは収まらず、彼の権力基盤はズタズタにされていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
そらー、今様唸るくらいしか気晴らしもねーって話である。
期待の怪物と対等に楽しむには、人の世の理も、殺した相手の痛みも、見えすぎる男。
人倫と栄華、朝廷と平家。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
人の手にはどうにもならない大きなうねりの中で板挟みとなり、その身を引き裂かれる辛さは、重盛を重たく蝕んでいく。
あるいはせめてもの償いと”家”に引き入れたびわの異能が、その孤独を癒やす救いだったのかもしれないが、彼女は時代から切り離された観測者。
年老いず、装束も着替えず、徳子が苛まれている婚礼の苦しさ家の重荷を、背負いたくても背負えない立場にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
幼き時代と何も変わらぬノンキさで、兄貴の愛人に懸想する資盛に、ビンタ一発でようやく、撫子の花が画面に色を…命を取り戻す。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/ieoC4izF9T
ふつふつと煮えたぎる死と破滅の予感を、強く反射したモノトーンの画面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
これを跳ね返す切っ掛けが”恋”なのは、いかさま王朝文学の香気がして好きであるけども、しかし永遠に幼きびわは誰かに恋することも、その結果として子を宿すことも、政治の駒として栄達の双六に利用されることもない。
徳子が先に進み母となった人生双六に、永遠に童形のままなびわは寄り添えない…とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
しかし童なれども…なればこそ、人の温もりは分かるし、それが失われる辛さも知っている。
おっとうは死に、徳子は水に飲まれる運命にあり、兄弟もまた儚くなっていく現実を、びわはよく見、よく感じていく。
世阿弥”俊寛”、近松”平家女護島”、あるいは倉田・菊池・芥川の”俊寛”に題を取られた、鬼界ヶ島の無残。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
安産祈願の美名にかこつけて、晴らしても晴れぬ怨念を陰謀の首魁に叩きつける、清盛の憤怒が見える場面である。
平氏一門に楯突くものは、みなこの末路。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/OhQ6RVGJg2
びわを置き去りに妻を娶り子を為し…”おっとう”となった維盛は俊寛の無残が、簡単に自分たちに跳ね返ってくる未来を、どこかで見据えているのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
屋敷には春の日差しと、かつて彼が包まれていた暖かな家族の温もりが宿るが、半歩進めば未来がどうなるかは、誰にもわからない。
ざぶざぶと袈裟を涙の大波に染める俊寛の未来は、壇ノ浦に砕けていく赤旗の予兆であり、その両方を伝えるのが琵琶の音色である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
子は歳を重ねて親となり、また子をなして育む。
重盛とその子…びわの兄弟達の穏やかな気質は、そんな残酷な未来を突破していくには、あまりに優しすぎる。
重盛ダディを中心に、めっちゃあったけぇファミリーコメディとして”平家”を描いておいて、『でもそれって武士としては弱点だし、ダディみたいな強さも持ってなきゃ”終わり”だよねー!』と、こっから突きつけてくるのホントエグいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
仲良し家族であることは、政治と戦争にはあんま役立たない
んじゃあ何で政治と戦争すんの、と問いただしていくと、此処まで積み重ね継承されてきた家族の温もり、人の交わりをより善く守るためじゃねぇの、という所に行き着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
何もかも虚しくしていくと分かっていても、欲望の列車は止まることを知らないし、運命の大波はそんなちっぽけな願いを洗い流す。
幼く父に甘える六代の末路を思うと、幾度目かのため息も出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
史実だからしゃーないんだが、頑是ない子供が政治の道具と利用され、あるいはその波ひっかぶって死んでいくのは、なかなかに苦しい。
でもまぁ、六代は源平争乱”では”死なんからなぁ…鎌倉に府が立とうが、地獄は地獄なんだよッ!
先読みはさておき、追儺の鳴弦が周囲を固める中、徳子は遂に待望のお子を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
節分にこれを見るのはなかなか趣深いが、『見えぬ』と拒絶したのにやっぱ見ちゃう末路を思うと、早くも袖が濡れる。
いやー…ベイビー安徳見ちゃうと、マジキツいな…。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/XWROBxJtBk
後に重盛親父も、行く末不安な一門の行く末をびわに尋ねるが、彼女の異能を未来を切り開く”力”として濫用する視点は、徳子自身を苛む清盛の野心と、根っこの部分では繋がってる感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
悪鬼の形相で謀反人を苛む苛烈は、ただ己の野心だけでなく、家族を守りたい愛からも生まれているのだろう。
誰かへの愛が誰かへの刃となる無常に巻き込まれたくない…ていうより、もうシンプルにマジキツいから見たくないびわであるが、碧眼に刻まれた宿命は消えてはなくならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
覗き込んで見れば、哀れ極まるその末路。
親子を見守る花は、あくまで襖の死花である。
野に咲く咲く生花ではないのだ。
んじゃあ子供だからと情けをかけて生き延びさせると、一門根絶やしの切っ掛けになったりもするのが、なんとも皮肉であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
平治の乱の始末含めて、どーも清盛には非情に徹しきれない柔らかさがあって、それが仇とも救いともなるのが、なんとも複雑な味わいである。
そんな父の所業を、徳子は哀れなる妹の遺体の前で、静かに糾弾する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
藤原の遺産を乗っ取るための楔として、幼くして嫁ぎ母となり、若くして儚くなった犠牲。
あの怪物の前では、家族といえども皆、このようなもの。
それをのちの国母が言うのは、まぁ重い。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/Nrt26lOBxq
御簾の奥に見える、乱れきった平民の暮らし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
かつてびわもそこにいて、重盛に引き上げられなければそこで死んでただろう場所を、情け深き棟梁は見据えている。
清盛にこの景色は見えないし、政治的利用価値がなくなった娘の遺骸にも、手を合わせはしない。
婚礼と出産を活用(悪用)して縁を繋ぎ、富を集め栄華を極める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
そんな清盛のギトギトした生き様は、数多の恨みを現世に残している。
その行き着く先が滅びだと、政争に倦み疲れた重盛の瞳と見て取り、魂は鬼火を宿す。
熊野権現参りに、速やかな死を願う父の虚しき苛烈を、維盛はまっすぐ見れない。
タイトルに有る”無文の沙汰”は、清盛の葬儀に佩く太刀であり、ここで水に濡れ喪服の味わいを出した資盛の衣でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
モノトーンの死は、今回…そして次回以降も、画面を覆い続ける。
権現に死を望んだ重盛は、その凶兆を”よし”とする。
娑婆の栄華は夢のゆめ、棺に絹は着せられぬ。
生きて死ぬ人の儚さをまっすぐ見つめ、”無文”である自分たちのあり方を生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
第2話で祇王達がたどり着いた後生の祈りは、平家一門を暖かく照らしはしない。
宝刀・小烏丸ごと全ての栄達を脱ぎ捨てるには、”平家”の名前は重すぎる。
だから父は、死を希うのだ。
かくして熊野参りの霊験あらたか、望ましき病床に伏した重盛を、法王が見舞う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
お茶目な今様ウィンクに思わず笑いもこぼれ、遊びをせんと生まれきた人々の慰みが、既に死の色をした重盛の耳にも届く。
ホントこの妖怪ジジイ、憎みきれねぇなぁ…。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/iiPX601zkU
弟妹たちが暖かな”生”の温情に包まれる隣で、死にゆく父に寄り添う維盛は、『人は生まれ、死ぬ』という当たり前の事実を正面から受け止める”おっとう”に育ったのだなぁ、などとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
そういう人間的成長が、別に武家として果たすべき勇猛とか、運命を覆す強さとかに繋がらないのが、無常でもある。
笑いに満ちた宴席に、一門の桎梏も忘れて法王と平家は柱を越えた一座を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
しかしこれはあくまで重盛一家との”私”の繋がりであって、重盛の死を決定機に平家と院とは、のっぴきならぬ対立へと落ち込んでいく。
この笛の音は、あくまで一時の夢。
散る花のように、儚き輝き。
それでも人は笑い、確かにこの瞬間は”面白き”ものだったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
生きて死ぬ定めは、長者だろうが聖者だろうが避け得ない。
そういうシリアスなルールを重く見つめすぎた結果、重盛は物語半ばで死ぬのかもしれない。
…とすれば、清盛の”面白かろう?”は、宿命への反逆なのかもな。
とまれ平家が食いつぶした藤原の氏神である春日権現の刃に、清盛の首が取られる夢が、避け得ぬ未来を重盛に強く刻む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
満月のような栄華に身を置いたはずの一族も儚くなり、その座を奪ったものも都を追われ、首を来られる未来が巡ってくる。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/1OBNa65FAu
その宿命すらも、『面白かろう?』なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
生来面白からぬ重盛には、父はどうあがいても理解らぬ存在なのかもしれない。
その生命は、朝露に濡れる沙羅の花のごとく、落ちる時を待っている。
これを今、必死に盛りを咲いていると見る目線も、間違いではないのだろう。
死は常に、生の中に咲くのだ。
平家の栄華を象徴し、金色に飾られているだろう小烏丸ではなく、殯に佩く無文の太刀をこそ、父は長兄に差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
お前の代に、平家の栄華はない。
そう突きつけるような、武家らしい無骨な遺言である。
同時に己が為し得なかった父との和、運命との和を、子に願う薫りもある。
平治の乱で名を上げ、いざと為れば命を賭して道を正す重盛の”武”を、維盛は継いでいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
どんだけ家庭的な温もりを宿していても、畢竟殺し合いの現場でどれだけ怯まず立てるかを試される、家業の重さ。
二人を分かつ無文の太刀は、そんな重さを刃に宿してもいる。
これを越えて死にゆく父を抱きしめるか、はたまた受け取って”武”を継ぐかできれば、未来もまた変わるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
だが”おっとう”になっても、穏やかな長子の気風は変わらない。
無邪気な子供時代、それは暖かく嬉しいものだった。
老いぬびわと水に戯れた時、そんな時代へ一瞬、戻りもした。
しかし父を冥府にいざない、一門を水に誘う運命を越えていきたいのなら、必要なのは小烏丸の黄金ではなく、無文の無骨なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
自身殺したからこそ亡霊に苛まれる重盛が見据える現実を前に、維盛はどこにもいけない。
その足踏みこそが、平家の畢竟となっていく。
同時に葬礼に佩く太刀は魔除けでもあり、これより死にゆく父の穢から、堂々一門を守り抜く期待もあったのかな、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
俺が引きずられていった現世の重さ、過去の恨みを切り裂いて、未来を掴み取ってくれ。
そんな遺言も、抜かれぬ鞘の内側から聞こえてくると言ったら、思い入れがすぎるか。
さてかくして時が訪れ、福原に野望を見つめる入道を知り目に、重盛は死の床につく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
これまでは哀切極まる名場面を歌い上げていた白髪の琵琶法師も、小松内大臣臨終の一幕には、声もなくただ撥を弾く。
父を喪いて、もはや言葉もなし。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/PcVA22dzEc
息子の死を告げられた怪物の呆けた表情と合わせ、近親の死がいかさま重いか、よく伝える演出である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
死の床の悶え苦しみ、次第に浅くなっていく呼吸がどっしりと描かれ、人が儚くなる時どんな匂いがするかを、アニメーションが見事に切り取ってくる。
最後の一呼吸の、あの身を裂く切実。
重盛は人格に優れ、世に蔓延る傲慢とも残酷とも無縁な、心を寄せたくなるキャラクターであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
だからこそ、今後物語を満たし平家一門を飲み込んでいく”死”の手触りを、一番強く視聴者に伝えれるキャラクターであろう。
人は、このように死ぬ。
これが、今後山と積み重なっていく。
あるいは清盛も重盛も、一つ一つこんなにも辛いことを積み重ね、命を奪って高御座に立ってきたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
その罪の重さが、重盛を押しつぶしていく。
びわはその臨終を看取る特権を、実子よりも間近に受け取るが、死にゆく人に何が出来るでもない。
見るだけで、何も出来ない。
弾き語るだけで、何も出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
それは今”平家物語”を語る作者が、確かに宿す嘆きであり、それを見守る画面の向こうの僕らが、感じる実感でもあろう。
やはりびわの青い瞳は、未来に生きる僕らを平安の現実につれてくる窓であり、それを宿すから彼女は運命から、時間から守られ続ける。
一曲を弾ききり、物言わぬ躯となった重盛に、びわは号泣しながらすがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
呼びかけに答えぬ”モノ”としての遺骸が、死の床の苦しさを切り取る一瞬前のリアリズムと対比され、優れた表現である。
あれだけ苦しみもがいたものも、もはや何も言ってはくれない。
(画像は”平家物語”第4話から引用) pic.twitter.com/kDKlVRP9uO
父を惨殺される苦しさを、異能の目を持ってしまった辛さを、雪に膝を曲げてともに考えてくれた二人目の父は、命を燃やして去っていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
しかし、灯火は揺らぎつつ消えない。
沙羅の花は地に落ちつつ、バラバラに砕けはしない。
びわは重盛の眼を継ぎ、父なき世界に父を感じながら生き延びていく。
おっとうも、重盛も、そこにいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
それは寄る辺なく乱世に投げ出されていくびわの救いであり、揺らぎつつ消えない灯だ。
同時に、そこに過去の怨嗟を、血に濡れた自分の罪を見ていた重盛が、見えなかった安らぎも映している。
罪なきびわに主を変えることで、重盛の目は別のものを捉えたのだ。
そのように、引き継がれて変わっていくものを今後も追いかけて、物語は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
花は咲くために散るのか、散るために咲くのか。
けして出ない答えを探して、びわの人生は続いていく。
男装の童女として、平家でありながら平家ではない観察者として。
その歩みに、僕も寄り添う。次回も楽しみだ。