東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
カナエシステムの導入、迫る東京編入、グラフィティ戦争。
加熱する街の中で、シュウタはパンを捏ねていた。
父不在の代打として引き受けた、フードバンクの仕事。
カルネアデスの鳥が思い出を上書きする中、悩めるヒーローは答えを探し、日常を彷徨う…。
そんな感じの新章開幕、ややオフビートなシュウタ回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
一見ヒロイックなドラマに関わりない日常スケッチに見えて、作品の答えをバカバカ告げる回であり、シュウタ等身大のふらつきが、なかなかいい感じに描けていた。
ここで見つけたものを、どうデカい話に接続していくか。
今後はそこの手腕が取られると思うが、ランにもコウキにも頼らぬまま自分なり、フラフラして掴んだちっぽけな答えの書き方は、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
考えるのが苦手な彼が、目の前のちっぽけな課題に駆けずり回るなか見つけたものは、デカいものを見据える仲間のヴィジョンと、どう繋がっていくのか
良いエピソードだっただけに、今後の繋げ方、活かし方が大事かな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
シュウタが今回体現した、当たり前の生活、当たり前の青春の中の小さな答えの手触りは、予言監視社会とか断絶の時代とか、デカくて遠いネタを描く時、グッと身近に寄せてくれる足場になる…と、俺好みだが、さてはて。
お話は常時、シュウタの一人称で進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
カナエシステムの残酷な真実も、ダチがテロリストになる悲劇も経験してない平和で平凡な青年は、加熱する24区を感じつつも、そこで自分が何を果たすべきか見えないままだ。
世の大半の人がそんな感じ、ぼんやりと生きているのだと思う。
コウキは妹の遺骸に区の未来をおっ立てる決断をしてしまったし、ランちゃんはクナイの犠牲を背負ってもう退けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
とっとと自分たちの道を限定し、自分というリソースの使い道を確信している仲間達。
混沌と秩序、自由と責任、私と公の中間地点で、シュウタは迷い続けている。
パン屋もヒーローも、両方やる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
疲労困憊の果てに死にかけて、アスミと語らった原点を思い出して見つけた、贅沢な答え。
選べないことは選ばないことに、選ばないことは療法を選ぶことに、それぞれ繋がっていく…のだろう。
諦めない、狭めない、切り捨てない。
シュウタが地べたに足を付けて、一番難しい道に進んでいく未来を、第二章開幕のエピソードは予見しているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
資産、人材、時間。
あらゆるリソースは現実的に限定されていて、それをどう分配し幸福を最大化するかという難問は、パン屋見習いと自警団気取り、両方やって疲れ果てる青年も同じだ
シュウタは死にかけて過去を思い出し、父の助けもあって難問の答えを掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
その卑近で日常的な実感が、今後展開するだろうデカいネタ…一足先に、賢い仲間たちが見据え道を選んでしまった道に、おそらく繋がっている。
パンがどーの、グラフィティがどーの。
そんなちっぽけな話問題じゃない! …と切り捨てられそうな高みに、シュウタはどう自分だけの実感を連れて行くのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
芸術テロリストとして体制に反逆し、抑圧に正しく抗議し続けてるDoRedの首魁や、清濁併せ呑んで未来予測システムの中枢を背負う公器に、どう自分が感じた答えを納得させるか。
そこのヒントとして、今回ヒロインSとの交流が結構描かれていたんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
ダイレクトに思いを伝える経路は現状塞がっているが、縁自体は切れていない。
きなこちゃんと黒葛川さとの接触は、シュウタがランとコウキ…彼らが体現するものに接触する、大事な手がかりだ。
同時に『俺頭ワリぃけど、人生の答えは感覚でわかるぜ!』的な素朴なアプローチだけでは、この話が扱うテーマは説得力を得られないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
否応なく有限であるリソースをどう割り振り、何を諦め何に拘るのか。
有史以来、ずーっと答えが出ていない、現在進行系で血が流れる難問である。
終わりがないから実効もないグラフィティ戦争を、追いかけて”だけ”いれば。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
あるいは恵まれない人たちにパンを分け合えて”だけ”いれば。
何も諦めないヒーローになれるかと言えば、それは戦争の渦中にいるランちゃん自身が、正しく否定している。
そこに本質はないのだ。
しかし今回シュウタが悩んで掴んだちっぽけな決断こそが、デカい問題を決断(選別ではなく)する時、人間性を失わない足場になることも、また嘘ではないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
巨大過ぎる概念は時に、人をその傀儡に変える。
何のために”自由”を、あるいは”責任”を追うのか…概念の先にある人間が見えなくなる。
賢く気高く、何かを選び何かを諦めなければおとなになれない現実を飲み込んで、自分の道を定めたランとコウキ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
彼らのクレバーさは、理念先行型の空疎な危うさと、いつも隣り合わせである。
現状それぞれの居場所で、血の通った戦いを続けているが…半歩間違えれば、虚妄に堕ちるだろう。
あるいは既に堕ちてしまった存在として、翠堂区長とゼロスがいるんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
明らかランのマッチアップ相手であるゼロスくん、絵に書いたような教祖型アート・テロリストで、ちいと類型化が過ぎるような感じもあるが…まぁそれが、この作品の味ではあるか。
公共のシステムも反動のテロルも、”人間”なるあやふやで常時変化する存在を見失えば、ただの凶器になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
その危うさのブレーキとなり、常時迷い続ける人間らしさを体現するのが、パン屋でありヒーローでもあることを今回肯定した主人公…って構図かなぁ。
ヒーロー願望に吹き上がったクソガキから、一歩ずつ痛みを知り自分だけの道を定めていくシュウタの描き方は、結構好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
ただ彼…と、彼を取り巻き変化ささせる平和で優しい日常が、その外側に渦を巻いてる24区の”答え”足りうる強度があるかは、やっぱまだ疑問が残る。
崇高で尊大な大問題を、賢いエリート様だけの玩具にしておかないための庶民派主人公だとは思うのだが、難しいテーマに踏み込みバラバラに解体しうるだけの物語的腕力が、あと半歩足りないように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
そしてそれは、永遠に続く歩みの途中にある青年が、これから掴み取るものでもあろう。
今回シュウタが悩み掴んだちっぽけな答えが、社会とか倫理とか、滅茶苦茶デカいものにどう拡大され、適応されていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
その過程で考えるのが苦手な青年は、どう自分なりにデカい概念を咀嚼し、自分に引き寄せていくか。
もういない死者ではなく、隣でずっと見てくれてる少女に頼るのか。
そこら辺の運び方が、後半戦の要であり、作品全体の評価を定めるかなぁ…と思う第7話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
シュウタが永遠にアスミの亡霊に囚われ、それをまりがずーっと睨んでる構図は、男三人のすれ違いと同程度…あるいはそれ以上に温度と湿度があって、僕は好き。
『黄金サンライズを極め、シャンチータウンに認められろ!』という、ちょいわかり易すぎるクエスト構造を突破し、ゼロスの元へとたどり着いたシュウタ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
こっから広がる新局面、さてはてどうなることか。
次回も楽しみですね。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
シュウタ軸で描かれた話だけど、細かくランちゃんやコウキの現状も挟んで、道を選んでも人は捨ててない彼らの姿が見れたのは、結構良かったと思う。
ランちゃんは、大局を見据えるクレバーな視線を。
コウキはシステムに組み込まれつつ、黒葛川さんの苦悩を見落とさない優しさを。
それぞれ維持している感じだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
今後シュウタが間を取りもって、彼らの強みが再び繋がっていく展開…だとは思うんだが、対話の起爆剤として何を選ぶか。
選んだテーマの最新性に比べて、ストーリー展開含めた道具立てがやや古びてる感じがあるこのアニメ、そこは正直ちょい不安である。
今回の人工呼吸の描き方とか、『え? 今それ?』感かなり合ったからなー、個人的に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
命の決断を描く作品で、救命行為を触る時あの手付きなの、結構危なっかしいなぁ、と思う。
そういう(あえてこの言葉使うけど)ダサさを、味として生かせるかも、後半さらに大事かなー…。
あと筑紫さんがようやく、CV中村悠一らしいマジ顔をちょい見せていたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月23日
彼が道化を装った秩序の傀儡なのか、真の公僕として覚悟を込めて道を選んだ男なのか、ネタの活かし方と描き方にも注目したい。
この人をカッコよく使い切れると、話全体がビシーッとキマる気がすんだよなー。