からかい上手の高木さん3 を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
遂にTV版最終回! ということで、ホワイトデー決戦を”からかい上手の高木さん”不在で描く回。
恋の当てこすりがすごい勢いで飛び交った打撃系甘酢っぱラブコメの決着は、自分に向けられていた暗号を主人公が解き、それに相応しい自分へと駆け出すことで終わった。
ここまで幼い西片と成熟した高木さんの間にある勾配は、特定の方向に固定されて動かず…というか、その一定方向の勾配が物語を永遠に生成し固定していたわけだが、西片は誰かを好きになる自分に今回、気づいてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
顔に水をバシャバシャかけながら保とうとした、からかい勝負に勝つ自分ではなく…
幾度も投げかけられ、ずっと気づけなかった”好き”にしっかり報いられる自分に、逃げずに駆け出すことにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
その一歩はつまり子供時代からの巣立ちであり、永遠に続くと思われていた”からかい”が別の形へと変化する羽ばたきだ。
ずっと土俵に乗ってなかった、ガチンコLOVEで対等やりあう…とも言える
クリスマスに託された手編みのマフラーを、勇気の出るお守りのように強く握って走り出した解き、確実に何かが変わり終わってしまう少しの寂しさと、これまで正当に受け止めきれてこなかった思いに正しく向き合う存在へと少年が変化していく喜びが入り混じった、複雑な感慨を覚えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
西片は真っ直ぐに高木さんの瞳を見つめて、思いを伝えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
『好き』という言葉にはならずとも、必死に駆け出して逢いたかった熱は確かに届き、言葉を超えたつながりが、新たに二人に芽生えていく。
それがどんな花を咲かすかは、確定した未来で既に描かれていて、これから進んでいく新たな物語でもある
とにもかくにも、西片は高木さんがこれまで発してきたメッセージを受け取り、からかい勝負に勝ちたい自分ではなく、勝負と言葉を超えた所にある真心を大事にできる自分へと、己を進めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
男になったし、大人になったし、望ましく健やかに、尊敬できる立派な人間になった。
永遠に続く幼年期へのノスタルジーを大事に進んできた物語が、その主人公を”大人”にしてしまえば様相は変わるしかなく、これからも続いていくからかい勝負は今までのような、無垢で幸福な一方通行足り得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
西片は恋を受け取るセンサーを自分の中に確立し、高木さんからの暗号を誠実に聞くだろう。
その変化していく日々を、やがて来る劇場版で見ることにもなるだろうが、ともあれ恋の色合いを強く描いて進んできた第三期の最終回に相応しいエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
人生の大事な問題をけして間違えない少年は、遂にその核心を真っ直ぐに見据え、彼だけの…彼らだけの答えを掌に掴んだのだ。
おめでとう。
”からかい上手の高木さん”の最終回が、高木さんの不在で進んでいくのはなかなかスゲーな、と思うが、それを強調する意味でも物語は甘やかな下校時間から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
『西片気づけ…打撃(あた)ってるぞ!』と、三期幾度も吠えたほのめかし。
3.14決戦にて、遂に西片も恋の拳を真っ直ぐ伸ばすことになる。
今回も高木ちゃんは大変可愛いが、それは西片の視界を通した高木ちゃんであり、自覚していない恋心に色づいて、少女の微笑みは眩しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
いまだ蕾の桜に、運命的に恋が花開く瞬間を待つ風情が宿り素晴らしい。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第12話より引用) pic.twitter.com/1f9hQYIQtj
暖かな夕暮れが世界を包むこのスタートは、後に嵐と曇り空に覆われる世界が、ずっとどんな色合いだったかを描いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
不安と向き合う時間をくぐり抜けても、この温もりが壊れて消えるわけではない。
それはずっとそこにあり、これからもあり続けるだろう。
ただ、その形は日々変化していく。
否応なく変わっていく自分たちに高木さんが震えている様子も、三期は色濃く切り取ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
”からかい”が”いじわる”になってしまう事に怯え、無垢なる西片に向き合えない自分に震え、永遠にからかい勝負を続けていくようであり、秘めた思いがすべてを変える瞬間を待ち望んでいるようでもあり…。
バカでガキな西片のシンプルさとはちょっと違った、大人びた少女の複雑な感情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
その全てを包み込む幸福な、二人だけの距離感を冒頭ちゃんと描いて、『いつもの”高木さん”』を味あわせてからその不在に切り込んでいくのは、面白い描き方だな、と思う。
浜口に引っ張り込まれた告白が心に引っかかって、西片は高木さんの言葉をちゃんと聞けていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
この気もそぞろな状態から、自分の心と少女の思いにピントを合わせ、高木さんのことなら何でも覚えている”いつもの西片”に戻るまでのエピソード…とも言えるだろう。
西片をLOVEの土俵に引っ張り込んだ浜口自身は、いつものごとヘタれて、土壇場で逃げてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
そらー北条さんもガッカリであるが、その失望で全てが終わるわけでもない。
逃げなかった西片と高木さんの”からかい”が続くように、二人の関係も『またね』である。
木村の何気ない一言から、図書館の暗号を思い出し真意に気づいていく展開もそうだが、西片は高木さんだけを見ているように見えて、級友たちからの働きかけをきっかけに、今回の飛翔へとたどり着いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
そこも、中学二年生のありふれて特別な日々を、大事にかいたアニメらしくて良かった。
特別な思いを伝える相手じゃなくても、学校という場所で出会い、共に日々を過ごして解り合う人達がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
高木さんの不在故にその大きさを西片を思い出す今回、けして目立つことはないがそんな人々の存在感が、確かにあったのが良かった。
不発に終わった西片クエストを、三人娘が思い切り楽しみ、製作者の預かり知らぬ所で受け止めていてくれたのも、そんな横幅の広い視線の一つかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
ずっと西片と高木さんだけの間で共有され、楽しまれ、大事にされてきた”ゲーム”。
それがとても楽しいもので、大好きじゃなきゃ注ぎ込まない沢山の工夫と労力に満ちて、思いが伝わる暖かなものだと大きな声で言ってくれたのは、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
それは二人だけの狭い価値ではなく、体験すれば誰もが夢中になる、素敵で面白いゲームなのだ。
恋の当事者ではない三人娘に、そういう客観的なジャッジを担当させたことで、西片と高木さんが積み重ね育んできた日々がどんなものだったか、最後に鮮明になった感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
『こんだけ頑張るって、西片高木さん好きすぎだろ…』という俺の感覚は、間違ってなかった…。
というわけで二人を引き裂く嵐を追いかけるように、少年はこれまで幾度も発せられていた暗号に気づき、思い切り駆け出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
この表情を西片当人にはけして見せない所に、高木ちゃんのズルさと健気があるわけだが…
(画像は”からかい上手の高木さん3”第12話より引用) pic.twitter.com/l3Pj5Qe4E5
そんな秘密を踏み越えるべく駆け出した少年は、思いの詰まったプレゼントと、思いを託されたマフラーを力強く握りしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
掌のアップが良く聞いた演出だが、小豆島の日常感が良く宿ったバス停から、闘いに赴く少年を見守るようなヒキのカットも、また良い。
気づいてしまってからの演出はややドラマチックが過ぎる感じもあるが、同時に幼年期の終わりと恋の始まりはこんくらいベタ足で殴って欲しい感じもあり、何より今まで積み上げてきた二人の思い、二人の歴史に嘘のない、熱と重さのある演出で良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
『西片くんの愛は特別で、楽しくて、本当に凄いことだよ!』と、三人娘が保証してくれてる事も知らず、西片は駆ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
先の見えない曇り空に晴れ間が見えて、紫と黄色が入り混じった色彩が、複雑で美しい。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第12話から引用) pic.twitter.com/CDvsY8JW0c
携帯電話のレンズ越しにキミを見つけて、立ち止まって進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
天使の梯子のように日差しが降り注いで、灰色の世界に色がついて、西片は二回、何故必死に走ったかを言葉にする。
それは『好き』という言葉ではないが、それよりも強く真っ直ぐに、少年が見つけたものに形を与えている。
会いたかったから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
恋とか好きとか、まだ良くわからないままの幼い自分に嘘がない、胸の奥から湧き上がってくる解答。
今までずっと投げかけられて、気づけなかったものに自分が差し出せる、真っ直ぐで率直な気持ち。
会えずに寂しかったから、会いたかった。
恋をし告白に打って出る自分が遠いとしても、高木さんに会いたくて会えない自分は、西片にとってリアルだったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
そういう言葉を差し出すことが、今までずっと隣りにいた…いたいと思えた相手と自分への誠実さだと、西片は考えたから、『好き』ではなく『会いたかった』なのだろう。
ここで未だ幼い自分も、高木さんを求める己も偽らず、沢山の「好き」を”からかい”の中に隠して届けてくれた少女に相応しくなるよう、人生の正解を引き寄せられるのが、僕がずっと好きな西片少年であり、とても嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
彼は今回の疾駆で、男となり大人になった。
何かが終わり、何かが変わった。
しかし人にとって本当に大切で、真実喜ばしいことは何も変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
この決断が新たなはじまりの足場となり、二人はもっと楽しく日々を過ごし、もっと喜ばしい人間へと自分たちを育てていくだろう。
かくして、サクラサク。
(画像は”からかい上手の高木さん3”第12話より引用) pic.twitter.com/N97O2z03Fh
バレンタイン・デイには少し照れを残し、まっすぐは掴めなかったプレゼントを、西片少年がガッチリと掴んでいる所とか、少しひしゃげた真心を宇宙最高の贈り物と、手袋のない両手でしっかり包み込んでいる所とか、何もかもが”兆し”に満ちていて最高。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
短いエピソードを繋げる基本形態の中に、季節を超えて届く変化の種が確かにあって、それが芽吹いて何かが動き出すの、1クールの物語として確かな充実感があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
三話ごと一本繋ぎの勝負回、あるいは”いつもの”を巧妙にずらした変奏。
シリーズ構成に、やはり妙のあるアニメだったと思う。
そしてこの最終話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
ずっと一方通行に殴られるだけだった恋の打撃戦に、”気づいて”しまった西片が遂に向き合い、自分なり今差し出せる最高の真心を届けんと、全力の疾走を果した。
ベタで、力強く、ここまで描いてきたものに嘘のない最終話であった。
かくして、高木さん三期は終わりである。
大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
終わらない永遠がそれでも終わる一瞬にだけ宿る、火花のような眩しさ。
それを全面に押し出して過剰に生真面目に力むでなく、変わってしまう怖さや寂しさにしっかり向き合いつつ、微笑ましく力強い青春を、色んな形で積み上げていく。
そういう三期だったと思います。
僕はラブ・コメディというよりジュブナイルとしてこのお話を見てきたので、変わっていってしまう自分と世界への高木さんの不安とか、幼さを振りちぎる事に抵抗し、”からかい”を維持して高木さんとつながろうとする西片のあがきとか、きめ細かく描いてくれてよかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
恋とゲーム…あるいは恋というゲームを通じて真心を通じ合わせる二人の児童が、巡る季節積み重なる時の中で何を学び、何に怯え、何に向き合うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
それを凄く優しく見守りながら、彼らの青春が力強くうねる瞬間を見逃さず、とても豊かに描いてくれました。
ノスタルジーと郷土性のある小豆島の美術も大変良く、豊かな自然と美しい風景の仲、流れ行く季節を楽しむことも出来ました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
美術力で殴りつける最近の流行りとはちょっと違うけど、このじんわりと染み込むような良い情景をタップリ食わせてくれたのは、本当にありがたい。
メインエンジンとなる二人の親しさを濃厚に描きつつ、彼らを取り巻く色んな人達との縁、それぞれの表情を大事に拾い上げてくれたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
その総決算とも言える第6話は、クラスの皆で作り上げた奇跡がキラキラと輝いていて、とても眩しかった。
第9話では西片と高木さん、二人きりの世界が濃厚に展開され、溢れんばかりのロマンティックと真心を堪能できました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
やっぱ二人の人格こそが話の軸なわけで、ずーっと”そこ”描き続けてきたのは偉いし強いなー、と思うわけ。
三期は一人間、一少女としての高木さんが”からかい”の外側で何に怯え、何を求めているかを、色濃く描いていたと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
物語が続く限り”からかい”に勝ち続け、弱さや震えを見せられない立場にある存在が、やはり当たり前の思春期を過ごすただの人間でしかないこと。
三期の語り口は、そういう事実に真摯に向き合い、エピソードを優しく積み上げてきたと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
恋の暗号を幾度も送り、気づいて欲しいけど終わって欲しくない難しさに悩み、”からかい”が”いじわる”になってしまう怖さに苦しむ。
そんな高木さんは、”からかい”を終える決意があったからこそ彫り込めた
僕は終りがあるからこそ物語は面白いと考えているから、永遠を志向するこのお話がそれでも”終わり”を見つめたことに、大きな価値を見出してしまうのだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
でもそんな風に、ただの子供でしかない高木さんに表情を書こうと踏み込んだ事は、凄く意味と価値のあることだと思う。
好きという気持ちと、それ故の怖さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
ずっと高木さんが気づかれぬまま差し伸べてきた手に、西片が真っ直ぐ向き合って追いつくエピソードを最終話に持ってきて、西片もまた永遠の少年ではなく、変化し成長する一人間として描いてきたのも、とても良かったです。
無論西片も高木さんも、終わりのない物語に取り込まれた無機質な記号などではなく、心の機微にしっかり耳を傾け、人の思いをけして裏切らない立派な人として、ずっと描かれてきて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
だからこそ僕は彼らが好きになって、その恋と成長が何処に飛び立つか、見守りたい気持ちにもなって。
ずっと続いて欲しいと思いながら、それが変わり終わっていくことへの期待を抱え、羽ばたく瞬間を怯えながら待ち望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
高木さんと西片を取り囲んでいた思春期の、柔らかな震えと同じ心境を、三期を見守る僕もまた、抱くことが出来た。
それは、とてもありがたいシンクロだなと思います。
『好き』という、何かを決定的に変えて終わらせてしまう魔法の言葉を、未成熟な自分お腹に見いだせなかった西片は、高木さんには差し出しませんでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
”からかい”は続き、西片は『高木さんに勝てる自分』になかなか追いつけないまま、時は留まることなく進んでいくでしょう。
甘酸っぱくも切ない青春の息吹は、映画館で再び眩く輝くと思いますが、それは先のお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月26日
今はとても素敵なお話を紡ぎ、そこに生きる二人を大好きにしてくれて、大人と子供の間で震えている彼らにちゃんと嘘なく報いてくれたこのアニメに、心からありがとうと言いたいです。
とても良かった。お疲れ様!