ヒーラー・ガールを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
憧れのヒーラーへの第一歩、試験合格を目指し学びに勤しむかな。
そんな彼女に挑戦状を突きつけてきたソニアは、C級資格を持ち、師匠の理彩をライバル視していた。
裏方志向なしのぶの助けもあり、縁を深めた三人の前に、突如苦しむ妊婦が…!?
そんな感じの音声医療青春群像劇、新キャラ登場の第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
1話で『だいたいこういう話』と理解らせたあとに、驚愕の阿部美佐緒一人原画。
思わぬ一撃で楽しませてくれる作品だが、やはり作品の腰がしっかりしていて、物語の基本が精妙だ。
そこに、よく構築されたファンタジーが乗っかる感じね。
今回は診療所の三人が掃除をする様子をスケッチしながら、ヒーラーがこの世界でどういう風に制度化されてるか、視聴者に教える所からスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
『歌で人を癒やす』というふんわりした主題を地面に付けるべく、行政手続きとか何勉強するのかとか、地道な部分をしっかり作り込んであるのは大変良い。
ヒーリングはあくまで医療行為であり、厳格な職業倫理と精妙な知識、経験と技術に支えられたシビアな業務である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
これが”歌”っていう芸術領域と絡んで、転調取れるか取れないかで人の命が決まるところに、ファンタジーとしての面白さがあると思う。
三人娘ののんべんだらりとした掛け合い、かわされる視線と仕草が柔らかくも面白いわけだが、その芯には医療従事者としての生真面目さが既にあり、掃除の手は休むことがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
もっとゆるっとしそうな題材と雰囲気なんだが、〆るべき所をキッチリ〆ている…が、過剰にガチガチにもならないバランス。
10代の少女らしい朗らかなおしゃべりから、医学・薬学・音声医学の知識がヒーラーには必要で、あくまでエビデンスに立脚した”科学”として、この世界でのヒーリングは存在していることが解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
実はいわゆる説明シーンなんだけど、そう感じさせない会話の妙、キャラが生きてる活力が、楽しく食わせる。
立ち上がって主の眠りを守る錦之助とか、憧れの師匠に抱かれて赤くなる玲美ちゃんとか、気づけば笑わされていたからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
こういうやり取りの中にしっかり体温があって、見習いが掃除したりおしゃべりしたりする繰り返しの中、ちょっとずつ夢に進んでる実感が手に取れるのは、大変いいことだ。
まぁ玲美ちゃんの淡い憧れは、『大人の寝相を知ってる大人』という圧倒的現実(リアル)の前に、木端微塵に粉砕されるかもしれんがね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
どういうことだよ…一体どういうことなんだよあのCパートの爆弾投下はッ!
入江監督…俺たちに”謎”を仕掛けてきてるな。
物語の流れを不自然に止めることなく、スマートにキャラやら世界やらを飲ませる技量はやっぱり高くて、教え子たちが『なんとなく』で把握してた転調の悩みを、師匠はしっかり言語化し、乗り越えるためのメソッドをかなに提示できている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
後の実践含め、理彩の格が高まる回でもある。
そのための噛ませ犬に、新キャラのソニアちゃんがなってないのも良い話運びで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
デコ光らせつつキャンキャン噛みつく、典型的海外ルールの天才児キャラ…かと思いきや、相棒のしのぶちゃんへの心くばり、患者を前にした時の落ち着きがある、立派な子だった。
最初わんわん喚いて『あ、あんま気持ちのいい子じゃないのかな? しのぶちゃんパシってるし…』と予断を作っておいて、「仕事に裏も表もないでしょ」で『おッ?』ってなって、説明強要が実は…と暴かれ、あっという間に好きになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
大変に上手い転がし方である。
不良と捨て猫の喩えもあるように、一回反感を作ってからそれを崩したほうが、最初から良い子ちゃんとして出てくるより、見てる側にフックするかんね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
プライドだけ高くて他人を大事にできない…と思えるよう一面を描いておいて、その裏まで一話の内に回り込むよう、話を転がすのは見事。
音療楽譜士を目指すしのぶちゃんを前に出すことで、この世界でのヒーリングが”裏方”を必要とする奥行ある仕事だと解るし、ソニアちゃんが夢の影になる部分を、しっかり尊重できる人格の持ち主だということも解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
一見歪なようでいて、心で繋がる二人の絆もスッと飲み込める。
そして医療従事者の正念場、実際の患者との対峙シーンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
C級ヒーラーと見習いの差が、ややワタつくかなと患者に不安を与えないよう飲み込むソニアの対比で、なかなか上手く描かれていた。
前回から描かれている、資格を得ることで出来ることが広がっていく様子も、この実地で生きてくる。
治療の描写がファンタジックなイメージで描かれるとしても、その運用はシビアであり、妊娠に関する医療知識、緊急事態に怯えない度胸、患者の容態を判断する冷静さを常に求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
かなは”医”を志すものとしてしっかり事態に向き合おうとするが、未だ見習い、足りないものが沢山ある。
自負に恥じない実力を持ったソニアは、その不安を自分に引き寄せて、妊婦と胎児の不安を低減し、早産の危険を遠ざけるよう全力を尽くす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
前回もそうだったが、日常パートのポップで楽しい空気が、現場に出くわすと一気に締まり、切実な空気が生まれるメリハリが良い。
でもそれは、命がかかった医療現場だけが”本当”ってわけじゃなく、掃除して悩んで新しい友達が出来ていく当たり前の日々の中、自分を作り上げていくことと確かに繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
穏やかな日々の中、堅実に積み重なっている志と努力こそが、いざという時に生きるのだ。
結果として見習いとC級は事態に対応しきれず、師匠に助け舟を出してもらう形になるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
万全とはいえない武器を構えて、目の前の命二つをどう助けるか、即席タッグでちゃんと戦いに行った二人の姿は、とても立派だった。
そこで立ち向かえるだけの足腰は、かなもソニアも持っているのだ。
でも足りないものがあるから、勉強を重ね自分を鍛えて、夢に向かって進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
憧れに近づいていくステップを一個ずつ丁寧に描き、それに届かない現状も、届こうとする志の眩さも、しっかりカメラに納める。
この抜け目ない確かさが、作品の大きな魅力かと思う。
ひよっこと師匠の差は、歌によって生まれるイメージの違いで表現されるわけだが、ここら辺はホビーアニメや女児向けアイドルアニメの文法を、ちょっと感じたりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
凄みがシンプルに伝わらないので、奔放なイメージを活用して印象的に描く、
オーロラライジングとか、スペシャルアピールの系譜かな。
ともすれば視聴者置いてけぼりになりそうな表現だが、声優さん達が軒並み歌うまオバケであり、特に高垣彩陽の喉が持つ説得力は、師匠の”格”を見事に支えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
弟子達がワタつく現場で、堂々歌いきり不安を取り除く経験値の書き方は、少女たちに足らないものを何より鮮明にする。
音声医療は施設や道具を必要としない所が、多分一番の強みであり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
今回のような突発性と緊急性の高い現場でこそ生きるんだろうなー、と思う。
初動を制したあとは、病院に搬送して治療する描写が徹底されてるのも、そういう担当領域の表現っぽいよね。
『とにもかくにも、それはそこに在る』という大嘘をつく以上、作中世界に自分が生み出したファンタジーがどんなリアルとして存在しているかを描くのは、作者の仕事であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
そこら辺、仮想医療技術として細かいところまで詰めて、丁寧に描写を重ねている所は、異世界構築の技法としても興味深い。
この丁寧さは人格描写にも生きてて、ひよっこ共が至らぬながら誠実に患者に向き合い、それでも足りない部分を師匠が補う書き方は、両方好きになれる良いものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
何かを踏み台にして凄み書くより、出来ること出来ないことを的確にかき分けた上で、志を大事に見せてくれたほうが俺は好き。
なので、プライドの牙でじゃれてくるソニアちゃんを、導くべき若人の一人と余裕と経緯を持って抱きしめる師匠の書き方も、また好きなのだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
夢に向かって突っ走る青春グラフィティに、こういう完成度の”大人”がいてくれると、ビッと作品が締まるよなぁ…。
というわけで、大変良い新キャラの紹介であり、主役たちの現在地のスケッチであり、音声医療の現場レポートであり、目指すべき夢の高みの活写でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
かなり色んなことをやってるんだが、消化不良感がないのはやっぱり芝居の付け方が自然で巧いのと、穏やかな力みのなさだなぁ…。
アニメとしての根っこが強いので、音声医療が確かにある異世界の面白さが、初見時感じる違和感をぐいと押しのけて、こっちに迫っても来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
トンチキな発想を実力で食わせて、このお話だけのオリジナリティとして味あわせてくれるのは、とても豊かな視聴体験だろう。
この緻密な筆が世界観構築、ドラマの展開、キャラクターの描写と、色んなところに及んでる状態を最後まで維持できるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
そんなところに注目しつつ、可愛いライバルが加わって更に面白くなって、大変いい感じです。
賑やかに、朗らかに、生真面目に。
見習い達の夢が何処に進むか、次回も楽しみです。