イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 22/05/05 ストリテラ『は? 恋とかしてませんし!?』

昨日はストリテラを遊びました。ルールブック付属の、明るいラブコメシナリオ……の、はずだった……(ホラー映画第二作目の予告編)

シナリオタイトル:は? 恋とかしてませんし!? システム:ストリテラ

千本松さん:琴引彩生:17才女性:規律の番人 小さな体を大きくいからせ、今日も学園の規律を守る風紀副委員長。『いい子でいてくれさえすれば良い』という父の言葉が呪いとなり、複雑な内面を抱えるも、明るく頼りがいの在る仮面を守り続けている。
中野さん:窓井曜:16才男性:まじめな秀才 生真面目すぎて周囲から浮いたトラウマから、高校時代はおどけた陽キャを演じている生真面目な青年。窓から見る少女の影に恋するも、そこに踏み込む勇気が出ないナイーブな俊英。
シェンツさん:根黒雷蔵:17才男性:オタク 奇人の巣窟映画研にすくい、ひがみ根性をこじらせて光を妬む日々を送るクソナード。中学時代は熱血野球少年だったが、肘と一緒に心を壊し、折れ曲がったまま出口を見つけれないでいる臆病者。
コバヤシ:琴引くぐい:15才女性:部活のエース 若き天才ピアニストであり、死別した父母に再開できる奇跡の瞬間を求めて、機械のように演奏技術を高め続ける少女。情緒面での発育が遅く、自分の気持ちも他人の心もよく分からない。

こんな感じの面々が、明るいラブコメ……から”コメ”を抜いた青春底なし沼に飛び込んでいきました。いやー……面白かったッ!
ストリテラはフリーハンドでシナリオを編んでいく側面が強い分、最初に出されたキャラクターがシナリオ全体に大きく影響してしまう傾向が強いと思います。
今回僕が最初にキャラ提出したのですが、死別要素と成長停滞モリモリ、重たく暗い匂いプンプンでスタートした結果、空気を読んだ後続メンバーが軒並み”陰”のモノとして数珠繋ぎしていって、その結果恋をライトに楽しむ感じではなくなりました。
青春の影の部分が繕った表面に長く伸びていて、それを忘れようと馬鹿騒ぎをしてみても、あるいはその陰に飲み込まれてみても、息苦しい閉塞感と答えの無さが追いかけてきて、しっとりと重たい。
それはそれでマジ楽しかったがだけども、デフォルトのシーン設定やキーワードチョイスはそっち方面の遊び方にあんま対応していないので、現場で色々頭を捻り、困ったら他人に頼ったりしつつ、ウンウン唸りつつ皆で遊びました。
色々難しくて困った部分はあったのですが、しかしそれがストレスになってつまらないということはなく、むしろ皆で一つの物語を編み上げようと頑張る楽しさを堪能できたと思います。
ここら辺は相互の意思疎通、同意形成を最重要視してシステムがサポートしてくれる、ストリテラだからこその濃厚な体験だったかなー、という感じ。
あとメンツが皆巧くて他人をしっかり信じる人だったので、困ってることをちゃんと言語化して、お互いしっかりアイデアを手渡し先に進むよう、皆で工夫しながらシナリオを進行させていけた。

ブコメの”陽”の部分を一人で担いつつ、青春の残酷を丁寧に舗装していく彩生に助けられ、表面上巧く繕っていた姉妹関係が同じ人に恋したことでひび割れ、しかしその傷こそが誠実に生き何かを選ぶ道に繋がってるのだと納得しての、義姉妹同一相手へのW告白。
この真摯な重たさを、一生全てを保留にしていたかった軟弱なキャラクターに引っ張られたシェンツ先生が受け止めそこね、「た、頼む……! 返事を先送りして連載を続けさせてくれッ! 鈍感系主人公の気持ちが今よくわかったッ……!!」と超身悶えを始めたのが、めちゃくちゃ面白かったです。
「同じ人を好きになった曜が逃げようとした扉の向こうにいて、決断を迫ればもう逃げ場ねーんじゃねぇかな……メインチャプターで『いい先輩』ッ面しちゃってたし」ということで、無事自分なりの答えと向き合い誰かを傷つける痛みに耐え、青年たちは涙と愛しさを抱えて、ちょっと大人になったのでした。
本当に俺は、幼いロボット人間が人間の証明に出会う物語が好きだな……。

ピアノ演奏をシナリオに盛り込んだ結果、全体的に透明感と痛みのある青春群像劇になったのは、結構良かったと思います。
ストリテラはデータレスの物語超重視型なので、戦闘をクライマックスに置かないシナリオも全く問題なく遊べて、決断と決着のカタルシスがしっかりあるのは強いところだなー、と思います。
こんだけ太く”恋”をテーマにTRPG遊んだのも始めての体験だったので、微かな気恥ずかしさもありつつ、くぐいの凍った心を溶かしたものがどんな温度と質感なのか、ちゃんと向き合ってやれたのは面白かったです。
他のシステムだとなかなか触りにくい部分に、ダイレクトに負荷軽く挑めるのはストリテラの強みだなー、と思った。

というわけで、大変楽しいセッションとなりました。同卓していただいた方、ありがとうございました。