ダンス・ダンス・ダンスールを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
”生川”でレッスンに励む潤平と璃央は、たった1つのスカラシップに挑む心を疑われ、勝負を挑まれる。
流鶯の圧倒的な飛翔でわだかまりは溶け、少年たちは爽やかに笑いあい、一つの夢を目指す。
…そんな眩さだけが、夢の全て化。
一度きりの、夏が深まっていく。
そんな感じのバレエと青春が眩い星海図、友達いっぱい第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
真っ直ぐだからこそぶつかって、わだかまりなく夢を追って、複雑な心境も滲ませつつ爽やかに繋がっていく少年たちの友情絵巻…ま、眩しすぎるッ!
若きピュアネスを大量補充し、ジジイの肌も潤うってもんよ。
あの時は会心の出来だった”白鳥の湖”だが、新たな学び舎で考え直してみれば、見えるのは自分のエゴと未熟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
潤平がバレエを学んでいく歩みは、思い上がりという名前の確信を打ち砕き、広がった裾野に新たに夢を立てる、終わりなき工程である。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/T6u0ZDmkSg
中村先生は生徒をよく見ていて、的確に新たな課題と指導を与えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
洋舞祭では心の赴くまま置き去りにしてしまった、千鶴さんの基礎指導が回り回って、潤平の心にしみてる描写が面白い。
拍子、姿勢、身体への意識。
幼年期に既にそれが染み付いている仲間を見ていると、至らなさが心を焼く。
ここで開脚の角度…それを生み出す美しさへの資質と鍛錬の差を、サラッと残酷に見せてるのもエグいなぁ、と思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
流鶯がなぜ一番なのか。
答えはピルエット対決以前に出ていて、先生や観客はそれをこそ見るのだが、当事者にはなかなか譲れないものがある。
だからこそ、恥に身悶えもする。
ライバルの出来る部分をしっかり見据え、自分の出来ない部分をしみじみ噛みしめるのは、中学生には難しいことだと思うけど、潤平はやる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
その素直さがあるから、中村先生の指導にも熱心に応え、己を改め高く跳ぶことに余念がない。
『バレエが好きだ』という信念が支える、揺るがない背骨。
身体だけでなく精神も、体幹が強い少年である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
この安定した自己は新しい友達を作るのにも役立ち、寿くんの意識の高さをサラッと褒めて、素直に友情が育まれる。
身体も技術も、バレエ向きじゃないと半ば見限られてる、家柄だけの坊っちゃん。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/c8vB3VpyB8
そう思われていたとしても、寿くんも『バレエが好き』で、だから基礎を意識して丁寧に自分の踊りを作っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
潤平はそれを見落とさないし、ちゃんと褒める。
この率直な社交能力の高さが、”生川”本公演のシートを潤平と流鶯に連れてくるわけだが、そこで見える景色は前と違う。
ただ『バレエが好き』だけだったあの時とは、身体に染み込んだ苦労の量が違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
あそこまで美しく舞うには、どれだけの努力があるのか。
美の理想をただ観るのではなく、自分の心身を用いて実際表現しなければいけない立場になると、”学芸会”に込められた奇跡も、身にしみて解ってくる。
身体的実践を通じて、バレエを見る目が変化し、開花していくここの描写は、凄く好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
『何事かに打ち込み、学んでいくのは、そういうことだろうな』と思わされる。
教えを貪欲に消化し、伸びていくダンサーの身の丈が、以前は見えなかったものを教えてくれる。
そうして心に湧き上がってくるものに、潤平も流鶯も素直だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
思わず立ち上がり、声を出してしまうほど心が震える。
周りの目なんて気にしない熱い感性の滾りは、超絶ビビリの繊細ボーイにも燃えている。
ここら辺の熱量、正反対に見える潤平と流鶯でそっくりである。
”生川”の舞台に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
眩しく見える夢は何の前触れもなく、テキトーに湧き上がってきて、潤平はその感触に当惑する。
中学生の心ってそういう軽やかさがあると思うし、この後”生川”に楯突く流れに一旦動くのも、心の弱腰というより年頃由来かなぁ、という感じがある。
愛していた人がいきなり死んで、大好きだったものを諦める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
そんな理不尽に満ちた人生に翻弄され、変化していく気持ちに流され、移り変わっていくステージ。
そこで出会えたものから素直に教えを受け取り、自分を先に進めていく一個一個が、丁寧に削り出される物語は、やはり好きだ。
というわけで潤平の人生潮流、一つの荒波に向き合う瞬間が来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
テキトーに話を合わせてトラブル回避しても良さそうな所で、素直に自分の因縁を語る。
師と仰いだ人のために、ホントのことは隠せない。
潤平は一本気である。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/grvxqJsPsy
だから衝突も起きるし、実力不足の今を認めても、精一杯踊りきろうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
情熱溢れる洋舞歳を経て、今の潤平が差し出したのは正しいカウントと姿勢を強く意識した、基礎に忠実な”バレエ”である。
感性だけでは越えられないものがあると、認めたからこその正しさ重視。
揺れず、曲がらず、はみ出さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
たったそれだけがどれだけ難しくて、蔑ろに出来ないかを意識しているからこそ、客に受ける派手さではなく、地道な基礎をやり抜く。
二話前に答えだと思えたものを超えて、今の潤平があるわけだ。
でもそれは、あの激しい感情を否定することにはならない。
より強く、より深く見ているものに己の思いを突き刺すためには、正しく踊る必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
消えてしまいたいほどの恥ずかしさの中で、自分の思い上がりを真っ直ぐ見つめたからこそ、潤平はもっと自分らしく、揺るがぬ信念を正しく表現したいと願う。
あの時の、流鶯の舞のように。
ヘラヘラ周りに合わせるのではなく、己の中の真実に背かず、堂々と伝える生き方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
それがあったから、体育館で潤平は泣いた。
『バレエが好きだ』と伝え、もう心を隠さないで”男らしく”生きるのだと決めた。
だから千鶴さんを慕う気持ちの赴くまま、ホントのことを喋ってしまう。
当然、衝突も起きる。
潤平は揺り動く自分と同じくらい、自分を揺り動かしてくれた相手に感じ入り、好きになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
流鶯もその一人で、だからただ正しく踊ることしか出来ない”精一杯”を見せるのは、恥ずかしくもあったと思う。
でも、一回転で踊る。
そこで嘘を付けば、ヘラヘラ笑って合わせてた時代に戻るだけだから。
この無骨な信念は、流鶯にも届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
震える身体を抑え込み、披露するのは正しく、高く、強い舞。
それは圧倒的で、問答無用で、爽やかに確執を吹き飛ばす。
こんだけ凄いモンを前にして、因縁とかそこにこだわってた自分とか、もうどうでもいい。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/WOJM3KIPDe
そう思わせる説得力と力強さが、流鶯の飛翔にはあるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
それはただ、下手くそなくせに自分に意見してくるクズへの反発心から生まれた舞ではない。
不格好に愚直に、一点から動かない舞を自分に届けてくれた、ライバルへの思い。
俺も、この一点を譲らない。
流鶯が潤平をかなり真っ直ぐ見るようになっていること、潤平の思いが一方通行ではなくなってきているのが、最高に善い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
やっぱ魔王と王子として、本気でぶつかりあったあの舞台あればこそ生まれた、歪で真っ直ぐな信頼関係だと思う。
潤平は、流鶯の瞳の中の自分をあんまり買ってないけど。
しかしそれは傲慢で脆弱な王子様の中で、どんどん大きくなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
お前がそこで踊るなら、俺も同じ場所で。
そう思える相手だから、潤平にーちゃんの背中に隠れつつ、”生川”にも付いてきたわけでね…。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/nadZ6qiukm
人生初の家系にビビりつつ、いがみ合っていた少年たちはまるで親友のように、笑いながら夜を駆ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
高く舞おうとする脚を引っ張る、ドス黒い感情は若き風の前に吹き消えて、友情が構築されていく。
…とは限らないと、海咲くんの視線が語っている。
激しく突っかかってきて、流鶯の舞にわだかまりぶっ壊される大和くんのわかり易さが、流鶯の過去を探る海咲くんの暗さを、より鮮やかに教えてもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
寿くんも合わせて、チョロくて気持ちの良い連中なんだが、みんながみんな、そう幼くもない。
じゃあ、成熟した汚さだけがその瞳には宿るのか?
そこは、この星下の戯れの先で待っている物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
たとえ薄暗い心の波に揺らぐとしても、ここで生まれた風と笑い声は、嘘ではない。
そう祈りたくもなる、美しい風景である。
はー…みんな可愛いねぇ…。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第7話から引用) pic.twitter.com/2Ll9d6Fbn0
色んな事情とか因縁とかあっても、”バレエ”という共通言語で心が通じ合って、無邪気に笑い会える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
そういう幼い眩さの影で、流鶯はダンサーとしての過去と未来の重さ、そこに裸足で踏み込んでくる潤平への苛立ちを叫ぶ。
ダンサーに『してくれた』と、虐待まがいの過去を肯定しちゃうのが、なんとも…
その重たい空気をぶち壊してくれるのも、大和先輩のありがたさであるが、無邪気な情景の奥で海咲の瞳は冥い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
勝負を通じて心が通じ、同じ夢を追える友を手に入れ、道は一見明るい。
しかしSクラスへの切符を手に入れられるのは、たった一人。
その重たさも、バレエの現実だ。
流鶯は自分を支え、縛る過去にバシャバシャと水をかけ、無邪気な子供として振る舞う初めての喜びに、知らず満たされていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
鬼盛りラーメンの食べ方も、友達との付き合い方も知らない彼が、潤平に片手を引かれて暗い森から出てきて、ただのガキとして過ごしている姿は、笑った後泣ける。
潤平もそういう功徳を『してやろう』って思い上がりなく、ただただ率直に生きた結果手渡してるわけで、二人が出会ってしまったことは幸と不幸ないまぜの、つくづく運命なのだなぁ、と感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
己を偽らず、怒りも感動も素直に弾けさせるからこそ開ける、込み入って真っ直ぐな道。
それは”バレエ”を愛し、呪われ、愛され、また愛されない全てのダンサーの前に通じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
果たしてどんな足取りで、その麗しき泥濘につま先を入れていくのか。
サマースクールは爽やかな風と破調の予感を孕んで、まだまだ続く。
次回も楽しみですね。
追記 でもこの互い惹かれ合う運命の引力に身を委ねて、素直に抱きしめ合うたぁいかない所がこの作品の難しさであり、人と人が触れ合う面白さであり、このお話の醍醐味とも言えるわな。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
潤平が今自分がするべきと思った、客にウケない正しいバレエを貫けたのは、『流鶯が勝つ』と100%信じていたからだ。
王子が叩きつけた身勝手な『死ねない!』を、圧倒的な技術と華で殺しきってくれた、愛すべき魔王。
その舞は問答無用に、あの時のように観るものの心を打ち抜く。
そう確信すればこそ、潤平はあのステージを前提に更に進んだ”今”を、嘘なく踊ることが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月21日
流鶯もまたその真摯さに報い負けないよう、正しくて高くて強い”今”を、情感を込めて踊りきれた。
やっぱね…この呼応が良いんスわ。
自覚はないが、お互い相当好きだよなー…流鶯と潤平。