虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ランジュ帰国の報を受け、ミアは最高の曲で繋ぎ止めようと意気込む。
家名の重責、消えない傷。
届かないと知っても手を伸ばす、その理由は何か。
諦めていたはずの思いが、誰かに押されて羽ばたく時に、きっと青春が聞こえるだろう。
という感じの、”L”名物空港押し問答ッ! 掌と空と境界線の物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
まさかまさかの新メンバー二枚抜きとなったが、キャラクターの核心をズバズバ抜いていく重みのある話運びで、今まで積み上げたものを一気に崩していくカタルシスが、強く押し寄せてきた。
まぁ…ランジュちゃんが笑えて良かった…
各話数で話の中軸をしっかりやりつつ、端っこで丁寧に描写してきた色んな交流が、ドミノ倒しのように一つの絵を為していく様は、総決算の気持ちよさが確かにあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
これはミアとランジュだけでなく、ミアの気持ちを至近距離で受け止めた、璃奈ちゃんの描写からも感じる要素である。
一期第6話で他の誰でもない己を愛さんに受け止めて貰えたことが、ダンボールから璃奈ちゃんを出し、メチャクチャグイグイ来る積極性を与えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
そんな愛さんにも、二期第4話で示されたような陰りがあり、誰かに受け止めて貰って初めて、一歩を進み出せる時が在る。
色んな人が支え合って、進む私達の空
”虹”を重要なフェティッシュとする作品が、そのキャンバスとなる空にどんな絵を描きたいのか、助け合いの連鎖で良く解るエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
多様性の象徴でもあるレインボーカラーは、衝突なく混ざり合いたいと願いつつ、その魂の色が融和を許してくれない、ランジュもその内に加え隣り合う。
第2回SIFで同好会が見せた”みんな”のパフォーマンスが、自分にはけして届かない憧れの空に飾られていると、夢を諦めかけたランジュ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
しかし彼女も自分のスタイルを貫く中で、様々な人に触れ合い、良い影響を与えてきた。
それに報いたいという、素朴で善良な気持ち。
それを届けるためには、ランジュのためと嘯きつつ、その実己の過去を乗り越えるために彼女を利用していたエゴに、ミアは向き合う必要があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
諦めていたけど、光に手を伸ばし歌いたい。
璃奈の掌に家名を預け、”ただのミア”として作り上げた歌は、歌い手を夢見る少女のデビューを彩り…
同じように空を諦めかけたランジュに、帰るべき場所を教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
色んなことが起きているのだが、ここまで埋めた布石をフル活用して、盤上この一手の真心大連鎖を、しっかり編み上げてきました。
…こういう形で、侑ちゃんがテストで悩んでた”和音”が生まれるの、好きな回収だなhttps://t.co/rdTnStljJE
というわけで、いつにも増してキャラクターを隔てるもの、高く遠いものに伸びる視線と掌の描写が、印象的な今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
名門孤高の天才児として、画面の端に一人身を寄せて来たミアの生き方は、すっかりズブズブである。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/iWQEdAZ7aL
途中参加のド素人とナメられた所から始まり、万感の”NEO SKY, NEO MAP!”、あるいは決意の”TOKIMEKI Runners”と、曲の仕上がりでも自分を認めさせてきた侑ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
表現者であり職業作曲家でもあるミアちゃんと、他メンバーには出来ない繋がりがあるのは、見ていて嬉しい。
侑ちゃんとの間合いはこのように、脆い防壁ズブズブにされて最早ゼロ距離なわけだが、ビジネスパートナーだったはずのランジュとの間には、分厚い壁がそびえ立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
垂直方向に画面を分割する縦の境界線が、越え得ない心の壁を強調するとしたら、夕焼けに伸ばした諦められない憧れを示す。
元々空の描き方が綺麗な作品であったが、サブタイトルと楽曲に刻まれた”空と星”を際立たせるように、今回は特別美しく多彩だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
朝日、曇り空、夕焼け、そして満天の夜空。
虹を描くキャンバスには、その下を走る少女たちの肖像と同じように、色んな顔がある。
だから面白いのだ。
だから幼馴染の感情もまた、かなり複雑な陰影で描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
自分の中に秘していた夢を、別の人に預け、飛び立たせてしまった後ろめたさ。
それを吐き出すように頭を下げる栞子には、罪悪感の清算以上の想いが、おそらくある。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/RLFPQ8R6Gx
運命の流れは同好会を巣立ちのパートナーとして選び、ランジュはそこに並び立たなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
眩い輝きの裏でランジュが見せていた瞳は、逆光になって栞子には見えないはずだ。
ランジュが必死に隠そうとする痛みへ、栞子は感受性と想像力…優しさを望遠レンズにし、ちゃんと見るhttps://t.co/J3uuJjNeUu
それは”適性”に呪われて舞台裏に身を隠していた時も、栞子に確かにあった資質だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
それを全面に出して、離れていた幼馴染にグイと近づける強さに変えたのは、あの時解き放たれた夢の後押しだと思う。
”スクールアイドル”に真っ直ぐ向き合うことで、三船栞子はより、三船栞子らしくなっていく。
その真っ直ぐさは今のランジュにあまりに辛く、余裕のない必死さで彼女は逃げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
それはいつでも強くあろうとしてきた鐘嵐珠には不似合いな仕草で、だからこそずっと、抱え込んできた弱さなのだと解る。
ミアの憤怒も、栞子の共感も、跳ね除けて諦めようとする時、ランジュは余裕なく震えている。
この夕焼けの情景は、細やかな表情の変化、仕草に宿る体重の乗せ方が秀逸で、少女たちの繊細な心理がよく伝わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
触れ合いたいと願いつつ、温もりに怯え宿命に目を伏せる。
距離を詰めて手を取りたいのに、断絶を埋める一歩が踏み出せない。
そんな、青春のアンビバレントが良く視える。
これなら自分を伝え、ランジュを繋ぎ止められると差し出した、ミア・テイラー渾身の曲。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
これを『わたしの曲じゃない』と跳ね除ける場面で、空はとても複雑な色をしている。
光が完全に消えたわけではなく、”それ”があるから影が濃い
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/b7jdB9YMnW
そういう場所で、ランジュはかつて侑にそうしたように、厳しく強くて優しい言葉を差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ここでミアが仕上げたのは、(彼女が考える)テイラー家に相応しい、求められるものからはみ出さない曲だったのだと思う。
そこには完璧な様式と、完璧になりきれない未練が宿ったのではないか。
真実歌いたいモノは自分の奥にあるのに、それをランジュを利用する形で世に問おうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
プロに徹しているようで、その実後悔と野心が滲むエゴの濃い楽曲を、ランジュの感性は『自分のための曲』とは思えなかった。
冷たい『貴方のため』を謳いつつ、その実『歌えない僕の歌』でしかない曲。
これまではそれで戦えたが、栞子を他人に救われ、自分が入れない”みんな”が成し遂げうるものに敗北を感じた今は、もう手に取れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ここで自分の思いを告げることも、分断を越えて歩み寄ることも出来ないのが、鐘嵐珠の業であり、強さなのだと思う。
それは真っ直ぐで寂しい道で、才能に溢れつつ屈折もしてるミアちゃんも、似た歩みを続けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
プロとしての利害だけでなく、強く寂しい存在としての共鳴も、二人を繋いでいたのだと思う。
だからこそ、跳ね除けられて荒れる。
その拒絶に反射するのは、見たくなかった自分のエゴだ。
ここでミアの至近距離に踏み込むのが、感情表現義肢であるボードを付けない、素顔のままの天王寺璃奈である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
伸びてきた手を激情のままに跳ね除け、それに臆せず踏み込む。
隣り合い、抱きしめ、伝える。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/Jf1duPV9MD
怯えた子猫のようなミアの拒絶は、かつてダンボールの中で自分が闘った感情であり…同時にミアだけの尊い苦しさであることを、璃奈はよく理解している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
自分は他人と違う存在で、それでも手を差し出してくれる人がいるから、上手く行かなくて諦め苛立った夢に、向き合って変わっていける。
職業作曲家として、テイラーの娘として”しなければいけない”事ではなく、心の奥底に消えない”したい”事をこそ、一緒に掴もう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
宮下愛がかつて自分にしてくれたことを、自分なり変奏し、今目の前にいるミア個人に届くよう置き換えながら、璃奈は抱きしめてもらう側から、抱きしめる側へと踏み出す。
差し出した手に一切迷いはなく、変わらぬ表情には眩い気高さが宿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
その輝きは最初から璃奈ちゃんに宿っていたわけではなく、散々迷って苦しんで、ダンボールの奥の暗闇にも自閉した末に、手に入れた強さだ。
それが曇り空に光を宿して、ミアに手を伸ばさせる。
ランジュと同じ仕草をすることで、ミアはランジュに歌わせようとしていた曲が、自分の曲でしか無い事実に接近していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
それは身勝手なエゴを他人に背負わせるズルい行動であると同時に、一度は背を向けた相手が自分と同じ震えと憧れを、伸ばした手に宿していたのだと、理解する行為でもある。
ミアがこのように、見て見ぬふりをしていたエゴイズムと憧憬に向き合えたのは、璃奈と一緒にバーガーを食べ、心に踏み込まれ、バッグで作った障壁を回り込んで自分の側に来てもらえたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
璃奈がそう出来るのは、あの時ダンボールごと”ただの璃奈”を抱きしめてくれた人がいるからだ。
そして愛さんが誰かを受け止められるほど明るく強いのは、美里に憧れ伸ばした手で、色んな人を抱きしめようと決意した瞬間あってこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
たとえその眩さが、人を傷つけることがあっても。
そこから生まれた行いは、弱く震える同志を抱きとめ得る。
そんな連鎖が、エピソードの内外に聞こえる回である
かくして劃然と己の為すべきことを悟ったミアは、色んな人に見守られつつ、己が歌うための曲を編み上げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
要求レベルが高い彼女が、侑ちゃんをパートナーとして隣に置いていることに、作曲家としての成長が見えるわな。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/SlH2bndOky
マンションを訪れた時、ミアちゃんが何を見たのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
大切に飾られた夢の真ん中にある、スクールアイドルとしての鐘嵐珠を置き去りにして、遠くへ去ろうとしているのが見えたから、ミアちゃんはあんなに怒ったんじゃないかなぁ、と思う。
それは…やっぱり寂しすぎるよ。
自分を異国に引き寄せた、溢れるほどの”大好き”をそのまま置き去りにしなければ、ランジュはスクールアイドルを諦められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
捨てるにはあまりに美しく、抱きしめるにはあまりに痛い夢。
けして届かないからこそ手を伸ばした空は、目を背けてもそこに在る。
それが自分を照らす鏡のように思えたから、ミアちゃんはあんなに怒って、何が自分を突き動かしてるのか分からないまま、必死に曲を作ったんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
その情熱がどこに行き着くべきか、導いてくれる掌を掴めたのなら、歌は星に届く…のか?
決戦の舞台は、東京国際空港である。
決別を受け取った栞子が髪を乱して走る作画に、言葉にならない情熱がよく宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ここで踵を返して同好会に”戻る”のが、夢を解き放って栞子が手に入れた居場所を語っていて、好きな描き方である。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/nGpZU0awSt
ランジュを夢に繋ぎ止める舞台が空港になったのは、無論無印一期最終回からの文脈もあろうが、そこが空に通じ、星が見える場所だからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
自由に飛び立っていく翼、眩く手が届かない星がよく見えるほど、自分を縛り付けるもの、縛られている自分もよく見える。
それは自分とは違う他人の肖像であると同時に、同じ思いを抱えて手を伸ばす同志でもあると解らされたからこそ、ミアは仲間に足止めを託して、自分が今歌うべき歌を作り上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
夕日に手が届かないと、寂しく伸ばしたあの時の掌が、今星を掴もうと藻掻く己の腕と同じなのだと、どうしても伝えたいのだ
この熱は家名にふさわしい自分であろうと、エゴを抑え込んで職人に徹してきたミアちゃんには無かったものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
あるいは眩さに押し潰された幼い日以来、必死に殺してきたものかもしれない。
ここら辺は、姉への愛ゆえに憧れと笑顔を殺してきた、栞子の過去と重なる部分でもある。
三期の物語は眩く強い憧れが、どれだけ容赦なくイカルスの翼を焼くのかを、静かに語っているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
元々閉じ込めてきた”大好き”を自分らしい色で開放する物語であり、(スクールアイドルではない美里さん含め)影に沈み光を見上げる姿は、一期から共通でもあるけど。
強く頑なで、他人と触れ合うことで生まれる変化を必要としないように思える少女たちが皆、実は痛みに夢を殺し、それでも諦めきれぬまま星に手を伸ばしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
その瞬きがそれぞれ個別で、でも孤独ではないと描くのが、二期の中心核だったのかなぁ、などと思う。
ミアが突き上げた拳は、あくまで彼女自身のものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ランジュの才能にエゴを乗せ、星を代わりに掴んでもらうズルさを打ち砕くからこそ、その歌は風を巻き起こし、瞳を開かせる。
私だけの夢は、私が叶えなきゃいけない。
でもそれは、私だけでは叶わない。
そんな、人間存在の不思議な矛盾。
そこに届くように、ミアちゃんは自分の歌を歌う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ここでネコ耳かぁ…そっかそっかぁ。
可愛さ過剰投与による殺人疑惑で、サンライズを告訴するか悩みつつ、全編英語の”stars we chase”は高みへ登っていく。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/Xe1u2ldQRK
鳥かご、青い鳥、解放への鍵。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
過去の自分との対峙と救済も合わせて、栞子のデビューを飾った”EMOTION”と重なるモチーフが多く、少女たちが何に囚われ、何を追って飛び立つのかが、より鮮明になっていく。https://t.co/81MeiGO3lF
”Eutopia”では鍵がかかったまま、あるいは水に魚を捕らえたままだった檻は、”アイドル”に為ることを選んだ少女たちのデビュー・ステージでは解き放たれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
解き放つために、ステージに立った…とも言える。
どこにもない理想郷を実現するために、虚勢で飾った回り道。
第1話のステージをそう評する事も出来ようが、そこに嘘しか無いならば、ミアちゃんはこんなに素敵な幻を、ランジュに差し出そうとは思わなかっただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
孤独な宿命に縛られた星が、それでも見せられた暖かな光。
自分にはそれしか出来ないと、痛みから学んで思い込み、それでも貫いた一つのスタイル
そこに心揺さぶる真実があったからこそ、ミアちゃんは自分の野心をランジュに託し、一緒に勝とうとした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
僕はそう思う。
それは身勝手で、お互いを利用して、優しくも甘くもない…とても優しい共犯だった。
真実にたどり着くには捻くれすぎていて、でも必要な回り道だった。
僕はそう思いたい。
一足先に、自分だけの星に手を伸ばすと決めたミアの歌に、ランジュは揺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
他人の気持ちはわからない。
たった一人、高みに立って与えることしか出来ない。
そう自分を見限り、それでも眩く見えたものに伸ばした手は、孤独ではない
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/N1ekOwT2ze
負けて無価値になったと思い込んだ、あのマンションに置き去りにしかけた”スクールアイドル”鐘嵐珠のパフォーマンスは、冷たく他人を遠ざけるだけでなく、心に波紋を巻き起こす強いものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
”みんな”の耳に痛い正しさを、遠い場所から叩きつけるランジュのあり方。
ランジュ自身に見えずとも、彼女を取り巻く人達はそれに影響を受け、その生き方に後押しされて星に近づいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
そういう隣り合い方で、”みんな”でいることも出来るのだと、同好会一の共同体主義者であるエマが裏書きするのは、良い展開だと思う。
ランジュの救いだけでなく、同好会全体に取って。
ランジュの孤独は、それが周囲に影響を及ぼし、善い結果を導いたから肯定されるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
そうならざるをえない業も含め、ランジュがランジュであるからこそ、孤独でありながら遠い星に手を伸ばす道が、前に伸びるのだろうか?
その答えはこの夜を越えた先にある新しいステージで、多分見える。
”しおラン”の実在を力強く証明しつつ、かくして星を求めた掌は重なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
らしからぬ弱さと本音に乱れていた少女が、幼馴染との抱擁を経て、涙を隠さぬまま”いつも通り”の勝ち気な表情を作っているのが、大変に偉い。これを見たかった…
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/Ht285KzMFU
俺たちが浮かべたい最高の笑顔を、主人公として正しく形にしてくれる侑ちゃんへの信頼を更に強めつつ、ランジュの到着から始まった物語は一つの終わりにたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
それは新たな始まりであり、星を追う終わらない旅の、大事な一幕なのだろう。
はー…ランジュちゃんが笑えて、本当に良かったよ。
こんだけいろいろ盛り込みつつ、寮での新しいスタートまで尺に入れる構成自体が、先週歩夢がステージで観客に告げていた終わることで始まる豊かさを、日常レベルで裏打ちしてるなー、って感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
物語は、まだまだ続く。
(画像は"虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期"第9話から引用) pic.twitter.com/Hm3TWZo5sc
次回は”L”の10話といえば! な仲良し合宿で、鎧を外した鐘嵐珠全開の”童”が見れるのか見れないのか、震えを止めることは出来ない…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
かつて ↓ って書いた人間なので、待ちに待ったものが押し寄せてくる予感にどう対処したら良いか、一週間で”姿勢”整えねぇと…。https://t.co/xPEcIeHlQk
それにしたって各話数描いたもの、築き上げたものが精妙に繋がって必然に至る、ビリヤードのスーパーショットみたいな趣がある回で、やっぱスゲーなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
ミアちゃんがはんぺんLOVEだったのは、彼女自身が怯える子猫ちゃんだったから…という回収の仕方とか、相当に好きよ。
”みんな”に為りたくて為れないランジュの業は、共同体を内破させる異物であると同時に、より良い変化をもたらす触媒でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
これをどう活かし、”スクールアイドル”らしい表現にまとめていくのかが、アイドル青春物語として、共同体論として、結構大事なところかな、と思う。
なんつーかな…人間に憧れつつも、けして”人間”には為り得ない美しき怪物の趣がランジュにはあって、その震えと立ち方が俺は好きなのね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
待ち望んだ”みんな”に居場所を得たとしても、その美しくて醜いものを拭い去って、ランジュを”人間”にはしてほしくないな、と思う。
Toxicを持った、一己の鐘嵐珠
それが得た新たな形は、ソロではなくユニットとして描かれるのかもな…などと思いつつ、次回の最高仲良し時間を待つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月30日
肩の力が抜けたタイミングこそ、中須の見せ場という期待感…ッ!
こんだけのピークに物語を持っていきつつ、まだ話数に余裕があんだから、まー凄いもんよね…。
追記 サイボーグ・スクールアイドリズム
虹追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
『他者と触れ合いたいが、どうしても出来ない』というランジュの苦しみは、思い返すと一期の璃奈が動かぬ貌に悩んだそれと似てる。
今回ミア相手に表情が変わるの変わらねーの、一切気にしない成長を見せたことを思えば、ランジュの業も同好会に触れ合う中、良い重心を見つけられるだろう。
僕は璃奈ちゃんボードが一種の義肢であること、生来欠落した感情表現を外部装置で補う一種のサイボーグであること、技術的補助により誰より望んでいた”ツナガリ”を獲得し自己実現に大きく飛躍したことが、凄く好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
Naturalには補えない自己を、社会や技術によって補う形で実現しても良い。
外接された補助具が、幸福を実現する鍵になって良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
サイバーな衣装をまとう天王寺璃奈が、外部との情報交換、感情と意志の制御を重ねる”ツナガリ”を強く求め、その人格の根源においてcyberneticsな存在であることは、個人的に結構ディープな造形だと思う。
二期になって人間がデカくなっても、璃奈ちゃんの素顔は動かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
そんな彼女のNaturalを変化させることより、モニターと紙で造られた第二の貌が自分を補助し、跳ね除けられてなお踏み込む”ツナガリ”への渇望に率直であることに価値を見出しているのが、やっぱサイボーグ的な生き方だなと思う。
ランジュも今後、動かないと諦めかけた孤高のカルマを周囲との触れ合いの中で補助して、望んでいたものに近づいていくのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
残りの話数でどう描くかは分からんけども、可能なら持ち前の毒で周囲を殺してしまう蠍の特質を、完全には消さないでほしいなと思う。
僕はサソリとカエルの小話が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
溺れると解っていてもカエルの背中を刺したサソリは、川を渡らず、カエルの背中に乗らない選択肢も出来たと思う。
それでも乗っかったのは、どうしても川の向を見たかったからか、あるいはカエルの側にいたかったからか。
そんな事をよく考える。
他人を遠ざけるサソリでしかない自分を思い知らされて、それでも眩い星に誘われて海を渡って、結局自分はサソリでしかないのだと俯く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
同好会という大きな、毒に刺されても死なないカエルの背中に乗ったランジュは、もう溺れることなく、刺してしまう自分の業と向き合う道を、幸福に進んでいくだろう
それでもサソリでしか無かった自分と、それに思い悩んだ時間を、”みんな”であることの幸福の中に消し去って欲しくはないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
川を渡ってみたいと、願って挑んだ惨めな強がりは、そうせざるを得なかった彼女の業は、嘘でも無価値でもなかった。
僕はそう思いたいのだ。
同好会という社会的外部装置に接合され、動きようのないNaturalを改変しうるサイボーグになったとしても、鐘嵐珠は業を宿しそれに突き動かされた生身の人間であったことに変わりはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
”みんな”という望ましいパーツに統合/換装されていったとしても、サイボーグである以上生身の部分は残る。
…あるいはテセウスの船のように、10話を分水嶺に”みんな”の一員としての鐘嵐珠が、業を細胞に宿した一匹のサソリに成り代わっていくのかもしれないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
しかし共同体の中野個人を描く物語は、それぞれの欠落と願いを抱え込んだ、サイボーグ達の共演であって欲しいなと、僕は勝手に思っている。