SPY×FAMILYを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
栄光あるイーデン校、その誉れの証”星”。
オペレーション<梟>成功の鍵獲得に立ちふさがる、巨魁なる怪童・ビル。
その豪腕から放たれる魔球に立ち向かうべく、ダミアンとアーニャはそれぞれ特訓に励む。
運命のドッチボール大作戦が、今幕を開けようとしていた。
という感じでは特にない、かわいいかわいい一年生の生態をたっぷり堪能、極めてありがたい第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
自動が見てる世界の力んだスケール感、やり過ぎな創造力と意気込みが、主役だけでなく敵にまで溢れていて、大変良かった。
とても優れた、児童ファンタジーだったと思う。
『子供らが生きてる世界、そこに渦を巻く創造力に作品を通じて潜る』という視点は、名作童話”おしいれのぼうけん”などにも通じる、生き生きした楽しさがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
名門校で親の威光を背負い、星を競い合う大人びた存在に見えて、みんな年相応にヤンチャで、見えているものより大きな世界に住んでいる。
そこでギャーギャー言い合ったり、親の期待に答えたかったり、友達と一緒にいると楽しかったり、色んなことが起きて色んな感情が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
生きてるだけで遊園地にいるような、けして戻らない時代。
夢と現実の境目が薄く、その混沌に異常を感じないまま、心の底から楽しめる季節。
噂に踊らされ思い込みに突っ走って、一瞬一瞬が大事件で、それすらも凄い速度で過ぎ去っていく頃合い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
アーニャたちが身を置くそんな世界に、どんな音楽が鳴り響いてどんな色が宿っているか、良く教えてくれる回だった。
それはあらゆる子供に開かれていて、皆がそこで泣いて笑う。
なのでアーニャだけでなく、ダミアンやビルくんの描写も色濃く、彼らが感じる楽しさや寂しさを丁寧に編み上げてくれたのが、僕には良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
フォージャー家が嘘の中育み、アーニャが幸福に受け取っているものは、それぞれの家、それぞれの子供にもちゃんと手渡されてるのだと。
でもその光と影は何もかもが同じではなく、しっかり個別の顔があるのだと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
そして子供らを楽しく描く本編中には出てこないけど、ロイドさんの任務を考えると、この幼気な幸福が凄く脆くて、簡単に崩れてしまうからこそ大事なものなのだと。
感じ入ることが出来る、良いエピソードだった。
つーわけで今日も今日とて騒がしい、イーデン校一年三組。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
嫌味な敵役だったはずのダミアンさま周辺がゴリッゴリに彫り込まれ、『俺…このボーイを好きになっちまうよ!』と、嬉しい悲鳴をあげる回でもある。
ただのクズは…こんな陰りのある表情しないッ!
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/sKrCiC12m6
そしてこんな、ヤンキー漫画の睨み合いみたいな空気も出さないッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
『ジャンプっていうかマガジンじゃん…』と、偏見ブッパで楽しく見守る言い合いだが、向こうにアーニャが立ってくれること、隣に悪友が並んでくれることは、家名という重荷を背負うダミアンにとって、幸福なことだと思う。
父の愛情を求めて感じられないダミアンさまだが、学友には恵まれ孤独ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
一緒にバカやってくれる仲間、『大嫌いだ!』と思い込みつつ大切な異性の友人は、彼が暮らす世界を明るく灯してくれる。
ここら辺、ははと仲良く特訓できるアーニャと対照的ね。
学校も家も楽しい人と、学校は楽しい人。
愛される証として”星”を求めるダミアンさまが描かれることで、ターゲットであるデズモンドにも自分の”家”があって家族を持っていることが見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
それはフォージャー家のように嘘で囲われていないが、そこにある温もりからは遠い。
血が繋がることが、暖かさの条件ではない。
じゃあダミアンさまが不幸かと言われれば、そんな事もまた無いってのが、今回のドタバタから見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
表情を陰らせる重荷はあっても、ダミアンさまには皆と日々を楽しむ心が残っていて、取り巻きとも相当に良い友情を育んでる。
エミール&ユーインが、マジいい子なの最高なんだよなぁ…。
一方アーニャは人間大の猛獣に教えを受け、決戦のバトルフィールドを前に気合十分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
豊富な作画リソースが存分に暴れる特訓シーンも良かったが、星をつかむ手のひらが準備したはちまきに繋がり、そこから試合開始へと場面が写っていく場面が、白眉の演出。
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/g3dYbMJMdD
モチーフがシームレスに繋がり、時間を飛び越えてテンポ良く決戦が始まっていく一繋がりの流れは、絵を動かす”アニメ”という表現だからこそ可能な連続性があって、見ていてとても気持ちが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
二足歩行の猛獣のような”はは”に教えを受け、その常識外れっぷりに興奮しつつ、アーニャは戦場に立つ
ワクワクと戦装束を準備する気合の入り方も微笑ましく、たかがクラス対抗ドッチボールに力む姿が可笑しくもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
アーニャが今身を置いている季節を過ぎ去ってしまったオッサンとしては、その本気はやり過ぎに見える。
しかし当事者にとって、それは”大作戦”だ
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/ph1IaAOzo4
一瞬一瞬を全力で生きている児童特有の”力み”は面白いし、同時に外野から面白がるだけで終わらない、血の通った尊さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
どんだけバカなガキに見えようとも、アーニャもダミアンもビルくんも本気の本気で、必死に勝ちたいと思っている。
その熱量を、演出と作画の強さが無言で支え、伝えてくる回だ
安元ボイスも激渋な怪童、ビルくん六歳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
主役たちの願いを邪魔する”敵”なはずだが、今回彼はとてもチャーミングに描かれる。
ダディを尊敬し、アーニャと同じく星をつかむ決意を込めて、しっかり特訓して”大作戦”に挑む。
尊敬できるライバルで、かわいい子だ。
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/Ua6EhsrvgH
キャスティングからして『お前小学生じゃないだろッ!』というツッコミ待ちの、立ってるだけでギャグキャラなんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
彼にもまた彼自身の大事な家があって、クールな戦闘機械のように見えて大事な人がいて、上手くいかないと泣いちゃう幼さもある。
怪童なれど、ただの六歳のガキである。
そこが大事なんよな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
『その肉体と熱意を、ドッジ以外に活用しろよ!』と、つまんねー大人はツッコむだろうけど、ビルくんはドッジが楽しいからドッジで勝ちたいのだ。
それは人生の一大事で、簡単には譲れない本気の勝負だ。
可愛いアーニャだけが、そこに挑み勝つ資格を持つわけじゃない
安元さんがビルくんの”六歳”な部分を、結構大事に演じてくれたことも活きて、彼が持ってる豊かな世界、それを大事にしたい作品の視線が、良く見える回になったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
闘いが終わった後、四組の仲間がビルくん励ましてるの、マジのホントに好きで。
あっちの組も、楽しいクラスなんだろうな…と思えた
主役が主役であるがゆえに恵まれ楽しい場所にいるわけではなく、子供が子供だから…一が人だから、当然追求するべき幸せが、それぞれにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
今回のエピソードはそういう世界観が横幅広く弾けていて、それこそが<黄昏>が嘘まみれで守りたいモノなんだと思う。
そしてダミアンさまも、イマジネーション溢れる児童特有のスケールで、決死の特訓を経て”大作戦”に挑んでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
ジャングルジムは切り立つ岩場、迫るタイヤはデスボール。
…なんでナメック星やねん! 集英社繋がりかッ!!
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/1EnII5Xijj
そんなツッコミもしたくなる、いい塩梅の描写である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
現実にあるものを遥かに越えて、ダミアン達の世界が大きく広がっている様子は、アーニャが読み取った”ちち”の秘密を、夢のスパイ物語として面白がる動きに似ている。
児童にとって、世界はそういうモノとして立ち上がっているのだ。
こういう創造力があるから、ダミアンさまもお辛い家庭環境に潰されず、ガミガミ言い合ったり楽しく遊んだりする心の柔軟性を保っていられる…とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
そしてこの妄想を共有して、一緒にバカやってくれるダチがいるから、彼の世界は灰色にはならない。
世界を楽しく弾ませる、イマジネーションという特効薬…あるいは武器。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
それをアーニャの特権にせず、子供たちみんなに解放してくれているのが、僕は嬉しいし、正しいことだとも思う。
目の前に冷厳に広がる”現実”なるものの、冷たい感触を上書きして、人に耐えられる形に変える力。
エミールは情感たっぷりに『仲間を庇っての死』を演じるが、東西冷戦が実際の戦争に変わったら、これは幼い冗談ではなく、面白くもない現実として再演されるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
ロイドさんはその変遷を実際に体験したから、世界を嘘で守る<黄昏>になったのだ。
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/CCzXDsdiMU
無論子供らはそんな残酷を知りもせず/知る必要もなく/知らせないために大人たちが頑張って、一瞬一瞬を楽しく生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
大げさな決意とエフェクトに塗れた、妄想と空想の特別な世界。
普段フォージャー家で演じられてる、優しく愛しい”嘘”とはまた違った、万人の楽しみ。
それをモニタ越しに見つめながら、楽しく笑ってる僕らもまた、アーニャたちほど力強くはないけども、何かを想像し、目の前にあるものを現実以上に書き換えれる力でもって、この物語を受け取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
主役たるアーニャからダミアンやビルくんに伸びている幅広さは、視聴者たる僕らにも届く。
そういう回かなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
無論想像だけで世界が出来ているはずもなく、俯瞰で見れば”星”もかかってない、ただの体育の授業なんだけど。
そっちの現実感を要所で差し込んで、笑いを生みつつバランス取ってる、ヘンリー先生の存在はデカいなぁ…。
戦友ことごとく斃れ、アーニャはついに母直伝の必殺技を解き放つ。”おてて”呼び可愛いねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
『ぜってーここで大逆転だろ!』という、問答無用の説得力に満ちた一発は、地面に弾んであっけなく負ける。
まぁ、子供の空想ってそういうモンでもあるよね…。
(画像は”SPY×FAMILY”第10話から引用) pic.twitter.com/vMdgR1h2mO
でもヨルさんが体得した圧倒的なリアルを、特訓通じてアーニャが継承してた場合、必殺ショットはマジの”必殺”になって、かわいいビルくんが気まずい姿に変貌してただろうから、これでいいのだ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
今回の特訓シーン、ヨルさんが細身に宿した規格外の”暴”が良く軋んでいて、大変良かった。美しき獣…!
結局これはただの体育で、”星”という報酬はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
そんな無駄ごとに超本気になって、それぞれの空想で世界を塗り替えて、一生懸命準備し暴れまくった子らは、みんな眩しい。
そこには創造力の輝き、一瞬一瞬を無自覚なまま全力で走る尊さが、己を誇らぬまま楽しく踊っていた。
このエピソードを『すげぇ良いこと書いてて、マジ好みだなぁ…』と受け取るのも、僕個人の創造力であり妄想だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
同時にそう受け取らせてもらえるありがたさ、そうさせるだけの力強さが作品にあるから、こんな勝手な感想が湧き出しもするだろう。
ドッジボールは球を避けるだけでなく、受け取り返す球技
”大作戦”に挑む本気が通じ合って、アーニャとダミアンの関係が自然とちょっと良くなったように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
想像も空想も人それぞれの形を保ったまま、受け取られて響き合って、球が返ってくる。
それはとても幸せなことだなぁ、と思う。
個人的にはめちゃくちゃデカいネタを、それに相応しい手付きで扱ってるシリアスなエピソードなんだけども、そんな勝手な力みを外して見ても、健気で必死で可愛らしい、とても楽しいお話なのがやっぱ凄いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
アーニャとダミアンが、これで即座に通じ合う…ってワケじゃないのが、また好きなの
なんてことない日々を、特別な色で塗り上げながら走り抜けていく中で、段々と積み重なっていくもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
それはとても眩しくて、思いの外脆い。
それを知るからこそ<黄昏>は家族を作り、平和を守る。
ほぼ出番がないロイドさんのことを、色々識れる話でもあったな、個人的には。
こういう主役と作品の根っこに繋がってる”善さ”を、ゲラゲラ笑いつつ見てる側に染み込ませ、しみじみと味わえるエピソードがあるのは、作品に奥行きと重さが出て、とてもいいなぁ、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月12日
そして次回も、アーニャの大冒険続行!
彼女の笑顔を見ると、呼吸がチョット楽になるんだ…楽しみッ!