メイドインアビス 烈日の黄金郷を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
盗まれたプルシュカを追って、成れ果て村へとたどり着いたリコ達。
村の住人マジャカジャに導かれて、”価値”のやり取りを厳しいルールで管理する実態を知る。
獲得、交換、賠償。
地上の金銭とは異なる、奈落の謎めいた貨幣は、命に直接紐づいている。
そんな感じの、地獄のゆるキャラグランプリ開催! 成れ果て村いいとこ一度はおいで!! なお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
ファンシーな絵面と、なんか歓迎されてる風味な味わいにガードを下げてたら、謎生物がプルシュカをぶっ壊しズタズタに引き裂かれるという、非常にアビスな展開を見せた。
お金を払えば欲しい物を手に入れられ、罪を贖える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
一見我らの人間社会に似た感覚を受ける成れ果て村のバザーだが、その取り立ては自動化されたシステムに助力/監視されて底が知れず、ルールの徹底と罰の執行はつくづく苛烈である。
命には価値がある。
だからそれを壊すと、体を引き裂いて払う。
財産刑と身体型が一体になった”精算”は、コミュニケーション可能な隣人に見えて、成れ果てどもが異質な存在であることを強調してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
人間の形をしてなお、人であることにしがみつくなら通じ合えない…理解ってはいけないボンボルドとは、また違った変質と異様さ。
危機を乗り越えねぐらを手に入れ、一見落ち着いたように見えて、まだまだ解らぬことは多すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
一寸先は闇…あるいは眩すぎて目を開けていられない光に満ちた、この第六層。
今回明かされた成れ果て村のルールは、未だ本気の牙を剥いてもいない。あんだけゴアな事あったのにねぇ…。
プルシュカ誘拐犯にして、リコ達を村に導いた成れ果ての姫、ファプタとの出会いで引いたこのお話が、どんな展開に繋がっていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
最後に描かれた”ガンジャ”と第六層の出会いが、今の黄金郷にどんな意味を響かせているか。
ギラギラと謎が輝いていて、悍ましくも魅力的だ。
一応話が通じる相手を見つけ、ノイズはありつつ村のルールを探る一行。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
アースカラーの村はエキゾチックな魅力に満ち、異形の住人もよくよく見れば可愛く見えてくる。
が、まぁここアビス深部だからね…そら一皮むけなロクでもないよね。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第3話から引用) pic.twitter.com/Dm4yO2QYOq
市場への歩み、マジャカジャとの対話を通じて見えてくるのは、この村に”価値”を図り流通させるシステムがあること、それが生命と暴力に一切の禁忌を持っていないこと、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
強い命に高値をつけるが、そこに付随する感情とか尊厳、身体損壊のエグさなどを、ためらう気配が何もない。
その身体貨幣主義が、なかなか死なない存在に成れ果てたからなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
それとも欲望と身体が直結した存在ゆえの、異質な倫理がなせる業か。
知らぬ間に実体化する”価値”を運用してるシステムと合わせて、パッと見僕らの経済に近しく見えるものは、けして見た目通りではない。
欲望が生物の形を取っている成れ果てが、それを暴走させて共倒れになるのを避け、村が村の形を保つためには、相互の欲望を交流させるメディアが必要だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
誰かが欲しいと思うものを与えることで、自分の欲望を満たすためのトークンを手に入れる。
これを成立させのに必要なのは、ヌルい信頼などではない
『他人の価値を、対価なしに侵さない』という原則を破ったものに対する、呵責なき刑罰。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
メイニャを”壊した”村人は、隠していた財産を奪われ、足りない分は体を引き裂いて購うことになる。
その引き金になったのは、命の価値を叫ぶリコの声だ
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第3話から引用) pic.twitter.com/gZ6Mm5MAeM
生きること、安全を脅かされないこと、自分の体をそのままに保つこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
人間であるリコは…まぁちったぁぶっ壊れてもいるけど…人が人であるための価値を未だに残していて、おもちゃでも扱うようにメイニャを殺しかけた相手に、怒りを顕にする。
それは、不当な簒奪なのだと。
普通の人間社会なら警察が来て、拘束し裁判し刑に服させるところだが、この深淵ではそんな悠長なことはしねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
村を駆動させているルールに反したものは、エグい略奪を、己の身体含む持ち物に食らう。
謎めいて圧倒的な力は、叛逆も抵抗も許さない。
この過酷さで、成れ果て村は成立している。
体の在り方は欲望次第でどうとでも変わってしまうこの村では、身体的な生命保全よりも、魂の有り様こそが大事なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
気まずい形で多額の賠償金を手に入れ、当座の活動を保証されたリコ達は、”人の子である”という一点において、既に相当な価値を手に入れている。文無しではないのだ。
それが人間性の尊重と欠片も結びついていないことは、罪を犯した村人だけでなく、価値ある存在のはずのリコすら引き裂くことに躊躇いがない態度から、良く解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
話が通じるように見えて、相当にイカレてる。
そういう村の雰囲気を示すのに、市場の惨劇は良いイベントだった。
同時にイカレてる相手だろうと話をしなきゃいけないのが、異郷の探検家というもので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
ウンコ舞い散る路上に寝転び、ボディランゲージで意思を伝えて、寝床と食事をなんとか確保。
気まずい金だって、明日を拓くためには使わにゃ損だ。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第3話から引用) pic.twitter.com/EfHzO2mrvO
一本線が切れてるからこそ、臆せず踏み出して道を拓ける探窟家気質。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
リコのコミュニケーション能力は、時に身のこなしや特別な知覚よりも、大きな仕事を果たす。
その原動力になっているのは、グツグツ煮立った未知への渇望である。
知りたいという心は、何より強く怖い。
皆さんもあのシーカーキャンプで、イヤってほど思い知らされたどす黒いマグマが、リコの血管にも流れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
そのせいで羽虫も気にせず謎料理食って、ブリブリひり出すハメになるのは、まぁ可愛げ…なのかな?
色んな意味で、タフな少女ではある。
心の奥底の欲望が成れ果ての形を決めるのなら、リコはいつか好奇心の怪物になるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
強い願望だけが過酷なアビスを踏破させるが、しかしそれは体も心もその色に染め上げて、なにか大事なものを見落とさせていく。
その魔力に魅入られ飲み込んだ、かの黎明卿。
あるいは旅を諦め欲望それ自体となった、村の成れ果て達。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
リコの旅に寄り添う存在は、常に彼女の有り得る可能性、歪んだ鏡として、深淵に眠る怪物を暗く照らす。
こういうどす黒いリビドーに潜るのも、アビス探検のもう一つの側面なんだろうな。
ある意味、心の旅路というか…。
それでは彼女たちをこの悍ましくも美しい村に導いた、成れ果ての姫はどんな欲望と過去を秘めているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
レグとファプタの運命的な出会いに重なるように、人の子が始めてこの黄金郷に足を踏み入れた時の物語が展開される。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第3話から引用) pic.twitter.com/9jwaMWooxz
ファプタと現地民の少女を、重ねるように演出する筆先が、静かに示すものは未だ伏せ札だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
ただ異質な存在と出会った緊張から、少しは対話できそうな安心、それがぶち壊しにされる圧倒的暴力…という流れは、今回リコたちが見知った村の景色と、何処か似ている。
役者を変え、時を越えて幾度も演じられる、欲望と業の地獄絵図。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
アビスの過酷な環境は、人が人であることに高値をつける。
かけがえないはずの命はあっけなく吹き飛び、死ぬより酷いことが冒険者達に降り注いで、どんどん人でなしが生まれていく。
ここは、そういう場所である。
ガンジャの眼前に広がる第六層には、成れ果ての村はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
旅人が探究を諦め、変質することで”成れ果て”ることは既に書かれているから、彼らが魂を奈落に捧げて村が出来たことは、なんとなく推察できる。
では彼らは何を捨て、何を得たのか。
それが、今後描かれるガンジャの旅から見えてくるだろう。
メイニャという”価値”を損壊されて(その命が”価値”なのだという価値観を、リコが撤回しなかったことで)、活動に必要な富を得た過程を思い出せば、村の成り立ちが血みどろの暴力と、魂を削り変える残酷に塗れていることも、予感は出来るだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
まー、ロクでもないよな…。
人間を死体や怪物に”変える”アビスを舞台とした、この冒険譚。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
変わること、変わらないことは大きなテーマだと思うし、それを描く筆には容赦と躊躇いがない。
深く深く掘れると思ったのなら、血みどろのグロテスクだろうが、地獄めいたインモラルだろうが、余裕で踏み込む物語。
石から楽器へ、奪われ変容しつつあるプルシュカの末路もまた、ヤな予感でギッシリである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
一見『優しい鍛冶屋さんに拾われて、友の魂を宿したアイテムが真の姿を!』みたいに見えるけど、絶対ただの”加工”じゃ終わらないだろ…。
リコが己の白笛に抱く”欲望”は、とんでもなく強いしな。
何を投げ捨て支払ってでも、その手に掴みたいと思える輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
呪いの黄金は、常に悲劇を対価と求めるモノだ。
ひとまず落ち着いた滞在は、その奥に数多の謎と不穏を抱えている。
さて憤怒の姫と出会って、運命はどう転がるか。
次回も楽しみである。
しかし虚空から現れる価値貨幣、個人に紐づいた精算システムは電子マネー的とも似ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月21日
アナログの極みである成れ果て村にこういう、近未来的想像力を混ぜ込んで魅力的な世界を作り上げる手腕は、優れたSFとしての力強さを感じる。
価値主義を乱したものへの刑罰も、即決苛烈で良いディストピアだ!