メイドインアビス 烈日の黄金郷を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
成れ果て村はいいところ、過去と未来が混ざり合う。
機械の子供は姫と出会い、昔をなかなか思い出せない。
獣の子供は燃やしたはずの、思い出生きてこちらを見つめる。
人の子供は迷った先で、怖い目見たり出会ったり。
成れ果て村はいいところ。
…本当に?
そんな感じの旅の仲間は気づけばバラバラ! それぞれやべーのと出会ってどうなっちゃうの!! という、烈日第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
原作を再構成し、”ガンジャ”が成れ果て村が生まれる前の冒険を刻み込んだおかげで、ファプタと三賢つー重要人物に、見覚えがある感じで出会える展開になってた。面白いなー。
それは途中式のない証明のようなもので、端緒と結果だけがあって経過がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
ふせられた中間点にこそ、人間を人でなしに鳴れは手させてしまう悪徳と、ギラついた欲望、おぞましい秘密があるはずなのだが、それはまだまだ伏せ札だ。
そんなモノ暴かなくても、運命は転がる。
むしろ運命の途中式を汗と涙と糞便に塗れながら、必死に回収していくのがこのお話とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
気づけばパーティーが分断され、一個人としてヤバい相手、危険な運命に向き合わなきゃいけない孤独な状況。
ここで何を選び求めるかが、チームにまとまっていては見えない、魂の地金を暴いていく。
レグは成れ果ての姫と”初めて”出会い、しかし空白の記憶は確かに疼く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
ファプタの中のレグと、レグ自身が認識する空白の自分は重ならず、奇妙なすれ違いと濃厚な接触が、二人を押し流していく。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/qletO4W7JY
匂い、温もり、手触り、味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
過食性の性欲がほの暗く燃えながら、他人との距離を測り親しみを味わうレグのスタイルは、ファプタも共有である。
二人は勢いよくぶつかり、もつれ合いながら抱き合い、お互いの存在を五感で確かめ合う。
確かに、君がそこにいる。
その実感は、白紙の記憶の中で確かだ。
ファプタは獣のごとく強引に、時に血を流すやり方でレグを知ろうとし、攫って押し倒して舌で味わう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
レグがリコに回収され、犬の生を付けられて失われた、文明から遠く離れた奈落の直線主義。
それは異文化であると同時に、もしかしたら過去の彼のやり口だったかもしれない。
レグが目覚めた時、影の中ファプタが積んでいた石が何なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
どのような文化表彰に包まれ、どんな願いを込めて、ファプタは彼女なり抽象を操作する。
荒々しいコミュニケーション、時折交じる異郷の言葉はすれ違いを生むが、そこには解り会えるかもしれない期待感と、今はわからない断絶が同居する。
散々舐めたり抱いたり殴ったり、一次的接触を繰り返して結局、レグはファプタの元を去る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
その時レグは光の中、高くて人の世界に近い方に立ち、ファプタは暗い穴蔵の底、アビスの子供としての揺り籠に己を置く。
ぶっ飛ばされた途中経過の中、離れてしまった距離と立場。消え失せた思い出。
しかしレグは元々、ファプタがいる穴蔵にこそ自分を沈めてきた存在であり、根源的な問題は旅の仲間ではなく、成れ果ての姫にこそ共有されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
遺物である自分とヒトであるリコの、時の刻みのズレ。
異質な存在が解りあえるという、甘っちょろい期待をファプタのすぼまった瞳孔は厳しく問う。
ファプタは丸くて大きな…人間的な瞳と、猛禽類のように狭く絞られた怪物の眼を、行き来する存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
幕越し自分を睨みつける、百万の欲望に嫌悪を顕にする時、彼女の瞳はレグを抱いていたときのものから、大きく変わっている。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/8hvjAPiTfI
おぼろげな記憶の中、あるいは奇妙で暴力的な睦み合いの最中見せていた、大きく潤んだ瞳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
それはレグにだけ向けられるものであって、村の連中をにらみつけるときや、レグに拒絶されたときには大きく色を変える。
目は心の窓。
そんな慣用句もあるが、この第6層では他人を受け入れる入り口というより…
感情と願望を放出する出口として、強く機能している感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
心の奥底にある欲望を吸い上げ、体と魂の形を買い替えてしまう、この成れ果ての世界。
瞳から放出され、他人に突き刺さるギラついた視線には、覆いのない人間のむき出しが良く宿る。
その矢のように強いモノが、どこからくるのか。
それは未だ、覆い隠された謎である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
対象を変え主体を変え、数多の視線と欲望と感情を切り取っていくことで、過程を描かぬまま現状が良く焼き付いていく。
もう存在しないはずの”ミーティ”の名を、聴いた時のナナチの眼。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/17i8MlBBTC
暗がりに連れ込まれ、暴力と情欲の入り混じった窃視にまとわりつかれる時の、リコの開かれた瞳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
あるいは”精算”されてなお、大切なメイニャとその保護者を守るべく、通じぬ言葉ではなく瞳と涙で、思いを伝えようとするマアアさん。
皆、目は口ほどに物を言う。
食ったりクソしたり、兎にも角にも生きてる人間の諸相にフェティシズムが強い本作だけども、裏路地で展開され、見つめられ消費される性と暴力のオルギア(幸運にも、その予感で終わるのだけども)も、通り一遍のエロティシズムでは終わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
そこには、無数の目線がある。
ここの住人がただの生殖で欲望を発散させず、千切って殺して残骸をなぶって、なお飽き足らない欲望の申し子であることは、マアアさんの凄惨な聖餐が一種の娯楽として扱われてもいたことから、良くわかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
当人のヒロイックな飛び蹴りがなければ、リコがどうなっていたのか。
ギト付いた視線が容易に暴力と蹂躙をはらみ、野に満ちたのとはまた別の危険が村に眠っていることを、闇に満ちた瞳は良く教えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
リコに襲いかかった視線と、ファプタを安全圏から玩弄し、背を向けて逃げられた視線が、重なって描かれているのは面白いところだ。
『視る』という一方的で理性的で遠い行為を、リコの行動主義は拒絶する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
手を繋ぎ、共に食べ、先に進む。
活力と息吹に満ちた前進こそが彼女の持ち味で、仲間とはぐれても…はぐれたからこそ元気だ。
その歩みは、希望にだけ通じてはいない。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/VaKjv2mRxY
生きる糧を求め、リーダーが授けてくれた知恵を使い、下痢からくる脱水症状で死ぬのを避けるべく、ガツガツ食べるリコ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
ある種の生き汚さが頼もしく眩しいが、そんな歩みが彼女と”三賢”ワズキャンを出会わせる。
成れ果てた彼の、欲望を示す器官は仮面に隠れて見えない。
あるいは、もうない。
リコの瞳はキョトンと無防備に、かつてやべーヤツであり今は更にやべーだろう相手との邂逅を、無防備に反射している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
そこに、裏路地で彼女を包囲した視線のギラツキはない。
リコの欲望はまだ、成れ果ててはいないのだ。
その純粋さが、かつての”ガンジャ”を…まだ人間であった思い出を微かに照らす
リコの旅路と並走して描かれた、過去の冒険。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
それは終わり今があるわけだが、では何が一体どうなって、こんな事に成り果てているのか。
蛇体の”三賢”に成り果てたベラフの瞳も、恋影に隠されて良く見えない。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/TD2fDS5X3i
深い闇にいざなわれ、怪物の長い体に包囲されて立ち現れる、運命との再会。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
火葬にしたはずのミーティが、なぜ生きているのか。
深淵が生き死にすら弄ぶ、地母神の胎盤であることは幾度も描かれてきたが、この再生にどんな欲望と価値が宿るのか。
まー、ロクでもねぇのは間違いない。
洞窟のライティングがドラマティックに、ある種の神性を帯びて二人の再会を演出しているのが、なかなかエグいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
それは確かに美しく、尊い。
だが黄金の輝きにこそ欲望は宿り、眩い光こそが影を濃くする。
それが隣り合い入り交じる瞬間も、確かにおぞましいほど美しいのだ。
子どもたちがそれぞれの邂逅を果たす中、闇の深い場所で瞳を顕にして、見つめ合う何かと何か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
ここまで示された物語で、確かに冒険者の一人として描かれた誰かに似ていて…しかし、なぜこうなっているかは分からない人。
(画像は"メイドインアビス 烈日の黄金郷"第4話から引用) pic.twitter.com/ECS1RAdIJo
逸脱を取り立てる黒い泥は、精算執行時には見せなかった瞳を宿して、そのオレンジの光が女の瞳孔に反射する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
そこには交流があり、真心があり、不自由と理不尽が微かに匂っている。
闇の深奥は湿って暖かく、沢山の秘密を孕んだまま、暴かれる日を待っている。
成れ果てたワズキャンとベラフが、共に眼を書かれない形で登場したのに対し、闇の落し子を撫でる女は人の形を保ち、心を瞳に素直に照らし、僕らに見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
そのように演出して、”ガンジャ”が旅の果て行き着いた有り様を描くことに、どんな意図と意味が込められているのか。
物語は続く。
”眼”に注目しながらエピソードを読んでみたが、そこに宿るものがキャラクターとドラマ、6層の特異性と渦を巻く過去を上手く結晶化させていて、とても面白く感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
眼と眼で通じ合い、あるいは身勝手な欲望で相手を突き刺す。
そんな多様な意味器官としての眼球を、率直に描かれるもの、隠されるもの
色んな連中の業と因縁が渦を巻き、切り離されていた過去と現在が交錯し始めた、成れ果て村の冒険。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月29日
まーとりあえず、ミーティー復活劇の種明かし…かな。
やっぱり君は可愛いねぇ…だからヒドいことすんな!!(絶対ヒドいことされます)
邂逅が導く物語、次回も楽しみです。