リコリス・リコイルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
騒がしく過ぎていく、リコリコの日常。
その裏で男たちの運命が錯綜する。
この穏やかな狂騒の、裏側でうごめくものの意味は、これから訪れる嵐の中で見えてくるのか? …という回。
箸休め的でもあり、意味深でもあり、色々新発見もあり。
すっかり愛着が湧いたメンバー勢揃い、銃弾の飛び交わない穏やかな日常を描きつつ、それぞれの現在を手早くスケッチしていく感じで進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
多人数を短い手番で取り回しつつ、各キャラいい感じにコクが出ているのは、やっぱ切り取り方が良いんだろうな、と思わされる。
例えばリコリスに訪れたフキは捌けた態度で、DAとして必要な情報を回収しサラッと去っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
それはミカの前でカッコつけたい乙女心でもあり、しかし千束(とミズキ)ほどには付き合いが深くないので、彼の性指向については知らない。
相互理解からちょっと遠い憧れが、少女の恋を成り立たせている。
シンジへのディープな感情と合わせて、フキの恋は実らないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
なにより彼女はリコリスであり、真島を中心にテロルの気配が荒れ狂うこの東京で、生き延びられる保証もない。
それはリコリスならば皆同じで、恋する日常は危ういバランスの上で成り立っている。
今回のエピソードは冒頭、お互いの正体に視線を光らす千束と真島…アランの子供達の人生が、隣接しつつも交わらないエピソードだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
ダイレクトな接触はないが、運命は互いに強く惹かれ合い、欺瞞に満ちた東京を舞台に炸裂する気配を漂わせている。
もしかしたら、これが最後の日常かも。そう思わされる
千束はリコリコの女達となんともかしましく、コミカルに楽しくミカを追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
この女四人、すっかり打ち解けた空気がチャーミングで、誰も欠けてほしくないなぁ…と思わされる。
全体的な描画が洒脱かつ軽妙なので、ついつい忘れがちになるが、彼女たちは皆殺しの巷に身を置く。いつ死んでもおかしくない
そのロクでもなさを端々に残しつつ、各キャラクター、人と人が触れ合う描写には生き生きした可愛げがあって、皆好きになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
この愛着が、守りたい千束と壊したい真島…あらンに見出された二人の天才がぶつかる時、どう揺すぶられ壊されるのか。
上手いサスペンスの高め方だろう。
ミカとシンジのネットリした関係が予告で終わらず、本編でも一度終わり、しかし終わりきっていない恋なのだと描かれたのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
愛にはいろんな形がある。
それは性指向だけでなく、天才への愛ゆえに千束が守りたいものを炎にくべようとする、シンジの狂愛にも通じる言葉だ。
”禁断”を意味するバーの中で、ミカとシンジは酸いも甘いも噛み分け、味がしなくなった腐れ縁をそれでもまだしゃぶり続けている、大人も大人な関係を見せている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
ドレスで装いハッキングで整え、形だけそこに踏み入る資格を得た千束は、しかし憧れの人に出会って、一瞬で子供に戻ってしまう。
時が教えてくれるものが骨の髄まで染みて、でも愛する人を打つ覚悟なんて結晶化してないミカ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
電波塔の惨劇を経て、DAを離れ自分の意志で歩くことにして、でもまだまだ幼さを残す千束。
先生と生徒、大人と子供に分かれつつ、彼らはチャーミングな迷いを残している。
二人と運命で惹かれているシンジには、迷いが透けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
”東京観光”で千束の現状を確認し、彼女が身を置く居場所は才能の揺り籠たり得ないと確信した彼は、千束の幼い純情も、ミカの甘やかな未練も跳ね除ける。
その鉄面皮の奥に、果たして情はあるのか。
あっても面白く、なくても楽しかろう。
ハイテンションに騒ぎ、大人を装って背伸びする千束が上手く描かれていたからこそ、シンジと出逢ってしまって無防備な子供に戻る千束は、とても印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
何もかも見えてしまうという才能が、彼女に連れてきた出会い。
それは、無敵の軍神から鎧を剥ぐ。
そんな脆さが、彼女が手を取り愛を与えたたきなにも適応されるのか…シンジと交わした言葉は意味深である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
『期待しているよ』とは、千束がヌルい日常主義を捨て去り、殺しの才覚を迷わず発露させるための薪として、無惨に死ぬことへの声援なのか。
彼が望む未来は、どんな形をしているのか。
ここらへんは真島との繋がりにも関わってきそうで、今後が楽しみなポイントだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
千束と同じく、ふくろうの祝福を受けた天才であることが分かった真島であるけど、彼がこだわる均衡はひどく危うく凶暴であることが、屋上での携帯バランスゲーム、警察所襲撃からも見て取れる。
リコリスを犠牲にして保たれている、腐敗し停滞した東京の”平和”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
それが真実ではなくアンバランスだから、テロルでぶっ壊して真実を暴く。
コミカルな話運びの中で、リコリスである歪みがしっかり描かれているから、真島の凶暴には一分の理が透ける。
しかし彼の行業はあくまで野放図かつ凶悪で、進んだあとには血と瓦礫だけが残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
それはもう一人の天才にして、電波塔事件での因縁も深い千束が守りたいと思う日常を、迷わず引き裂いていく。
嘘でも穏やかな平和と、それが踏みつけにしてる残酷な真実。
前者を守りたいと思うよう、リコリコの日々はチャーミングに輝いているが、しかし真島が見つめる暗い闇にも、人情の灯火はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
ヒーヒーわめきつつも仕事頑張る、ロボ太との関係構築は見ごたえがあり、この人でなし共を思わず応援したくなる魅力がある。
キてるなぁ真ロボ…。
真島がロボ太を身内と認めていく歩みは、千束がリコリスを家と見立て、その庇護下に入ったたきなやクルミを姉妹と、仲良く過ごす歩みの逆打ちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
優しき守護者にも、凶暴な獣にもねぐらがあり、血の繋がらない家族がいて、それぞれの充実と信念がある。
そんな風に、魂がつくづく活きている存在がぶつかり合うからこそ、お話は面白くなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
時に騒がしく、時に純情に描かれた、千束が守りたいもの。
これを描く今回、たきながあくまで(超魅力的な)助演にとどまって、千束の守護範囲がとても広いのだと教えてきたのは、とても良い。
たきなとの青春、先生やミズキとの日々、シンジへの感謝と憧れ、常連客との楽しい時間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
彼女には守りたいものが沢山あって、DAに戻っても、殺しの才能に従っても、それは護りきれない。
だが世界は、彼女に”殺せ”と囁く。
その急先鋒として、因縁が描かれ真島の存在感が強くなったのは良い。
”目がいい”という千束の強みは、ジャンケン勝負にしても今回の潜入騒動にしても、彼女の弱さや幼さに繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
認識よりも早く襲い来る運命が、テロリストの爽やかな殺意に乗っかって迫った時、千束は危機に陥るだろう。
その時、彼女に救われたたきなは何を返すのか。
愛か、命か、それ以上のものか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
血みどろの挑戦状、それを叩きつけた怪物の奇妙な人間味が、今後の展開への期待と覚悟を固めてくれるような、良い幕間でした。
さー、こっからの後半戦、相当ロクでもないぞッ!
次回が楽しみです。俺はリコリコのロクでもないところが好きなので…。
追記 ヘテロにしろゲイにしろ、特定の性傾向はエンタメの薪ではないし、そうあってはいけないわけで、今回のミカとシンジの描き方は(分厚い唇に漂うセクシー含め)とても良かった。他人のセクシャリティを貪るな。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
ミカがゲイであると描かれたことが、作劇上どういう効き方をするかちょっと考えたけど、創作上でも現実でも、人一人の性自認・性傾向(及び、それに紐づいた自己認識)は、”楽しいお話”に活きようが活きなかろうが、『ただそれとしてそこにある』でよかろう、と思った。
狂騒の一部として賑やかに”そう”であることを語られはしたが、リコリコの娘たちがミカを向かい入れる姿勢に変化はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
ミカの複雑怪奇な恋情は、男女のそれと同じく(また男と男であるがゆえの特異性を孕みつつ)転がっていく。
そのサラッとした姿勢が、俺は結構良いなと感じた。
『愛の形は人それぞれ』であると書いたことが、たきなと千束の関係性にどう影響するかは…そもそもあの二人の間にあるものが、性愛に係わるのか不定形なままだしな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
それはDAの子供として、情緒が育たぬまま殺しばっか上手くなっちゃったたきなの、歪な発育とも係わる。
パンツを見せておっぱいを触る意味を、あの子全く解ってないでしょ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
そういう子を千束が恋愛の対象にするかとか、そもそも千束の性傾向が分かんないとか、あの二人を繋ぐものに一個だけラベル貼る意味の無さとか、色々絡み合った上で、『何かが描かれるまでは不明』つう対応になる。
もし恋とテロルが踊る青春の中で、たきなと千束が隣りにいる人を恋人と求めるのなら、”それはそれ”でとても良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
でも同時に、それが友情なり親愛なり、ラベルの付かない彼女たちだけの絆であったとしても、その意味は減じないと思う。
そういう風に、このお話は人と人が出会うこと、触れ合うことを描けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月14日
色んな可能性がありうる魅力的な未完成が、選びうる未来を照らすライトとして、ミカとシンジのネットリした明暗があるのは、良いことだなぁと感じる。
絶対悲恋に終わるよー先生の愛…。