イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

”宇崎ちゃんは遊びたい!ω”:第1話『宇崎ちゃんはやっぱり遊びたい!』感想

 乳はだけはデカいが情緒は中学生のまんまなナオンと、顔だけは怖いが善良な先輩が織りなすもどかし系大学生ラブコメ、まさかの二期である。
 二期第1話というより”第13話”という感じの、リセット感のないシームレスな繋がりで始まる今回は、”宇崎ちゃん”がどんなお話かのおさらいというか、宇崎定食を出して久々お店に立ち寄ったお客さんを安心させるというか……とにかく期待を裏切らず、予想をはみ出さない、いい塩梅のスタートとなった。
 スタッフの大きな入れ替えもなく、これまでの積み重ねをリセットするわけでもなく、既に身体の方は性に目覚めとるわりに社会的立場を永遠の足踏みに止めようとするもどかしい二人を、前に押し出す力とオタク臭い停滞力の間でどっちに転がすか、そういう意味でももどかしい作りである。

 先輩と宇崎は二年三ヶ月のブランクがなかったかのように、いつも通りの距離感でキャッキャし続け、こちらの眼尻もでんでろに落ちる。
 宇崎がウゼーのは先輩の前だけで、つまりあの過剰なちょっかいは相手を選び抜いた”甘え”であることを、宇崎と先輩以外の全員が理解している状態で、当人が理解していない……というか理解しているからこそ大人になる恐怖で足踏みしている、奇妙にねじれたモラトリアム。
 この現状を観察するのがかなり面白く、艶笑要素を油っこく盛り込みつつも、作品としては変則型ジュブナイルとして楽しんでいる感じがある。

 この楽しみ方をしていると、モノの分かった成熟を一足先に果たしている榊は大変頼もしく、好感も持てる。
 二人の内面を当人よりよく理解し、押し付けがましくない範囲で外堀を埋め、積極的に親友が恋を形にできるようおせっかいを焼く姿は、”善人”以外の何物でもない。
 これは当初その役割を背負うはずだった亜美が、クソオタクむき出しの他者コンテンツ化願望ぶん回しのヤバいモンスターとして暴走しだし、作品の良心を榊に頼るしかない状況になった結果とも言える。ライブ感があって、大変よろしい。
 生身の友人を性的なコスプレの衣紋かけと勘違いしてるヤバ感は凄いが、このヤバさを主役二人が既に認識してて、結構ドン引き気味に対応してくれているのは、感覚がズレずに助かる。
 宇崎”ザ・セックスモンスター”月が乱入かました時は全身の毛穴が開き、狂気の宴が開始(はじ)まっちまうかと身構えたが、流石に初手から怪物暴れて全部終わりとはならなかった。安心安心……安心?

 二人の関係が前進する大型ハプニングなんかも置きず、仲良くケンカしつつ既にマジLOVEな現状を、小気味よくスケッチするスタートとなった。
 この現在地からこの二人がどう転がっていくか、オタクが夢見た桃源郷状態をどんだけ切り崩して、二人を己の成熟した身体に相応しい責任と意思と尊厳を持つ”大人”にするか。
 個人的には、やっぱりここが二期の眼目である。
 大学生主役のエロコメということで、純情な恋が素直に性行為に繋がり、その結果生じる責任に向き合う潔さとも連結している構図は、実は結構気に入っている。
 大学生だからこそのダラーっとしたモラトリアム感(現状の厳しさを鑑みると、この描写もある種のファンタジーであろうけど)とか、でも何かが終わる瞬間が切々と近づいてる感じとか、プラスティックなオタク味にちょいちょい、天然由来の成分が入ってる所が好みだが、それをどんだけ生かして、優しい停滞を切り崩していくか。
 それをチェックする意味でも、一話丁寧に”今”を見せてくれたのは良かった。次回も楽しみ。