機動戦士ガンダム 水星の魔女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
PROLOGUEに続き、遂に本編開始の新ガンダム。
蓋を開けてみると決闘ですべてが決まる異常学園モノに、巨大軍需企業の鍔迫り合い、水星から来た呪われし子どもと運命のエンゲージと、俺の好きな要素盛りだくさんじゃん! という仕上がり。
僕は幾原邦彦に呪われたイクニチルドレンなので、『実質ウテナガンダムじゃん!』とか叫ぶわけだが、んなこたー当然ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
水星の魔女は水星の魔女であり、自分の辞書にある言葉で目の前の新しいものを全部翻訳しようとすると、個別の手触りを当然取り逃すことになる。
なので、決闘ルールが色んなモノを支配する奇っ怪な学園と、ガンダムが出会った異色な(しかし妙に肌に馴染む)作品として、ちゃんとその顔を見ようと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
PROLOGUEで示された地球/宇宙対立構造、国際組織によるガンダム狩りは(一旦?)鳴りを潜めて、名前もエリーから変わったスレッタ。
開幕五秒でガンダムに乗り、人命救助から物語をスタートさせる彼女は、ド田舎からの転入生として学園のルールを知らず、おどおどビビってばかりである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
しかし物語が”バカ御曹司”と額に書いてあるヘイトアーツの達人、グエル先輩の登場で加熱しだすと、グッと主人公らしい熱が前に出てくる。
父権主義、性差別、階級差別、地域差別、他人の思い出踏みにじり罪、美味しそうなトマト大事にしない罪。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
アメリカの法廷だったら併合罪で1200年は食らいそうな『こいつムカつくしぶっ飛ばしちゃってよ!』の権化、グエル先輩。
こんだけ主役の力量を見せ、運命に巻き込む足場に適したキャラいないよ…
視聴者のイラつきを見事に煽り、羽根舞い散る運命のエンゲージの舞台まで、ゴテゴテ趣味悪い専用機で整えてくれる、第一話の立役者に乗せられる形でスレッタは義のために立ち誇りのために闘う熱い地金と、学生レベルを超えた操縦技術を顕にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
オールレンジ攻撃でダルマにして、一刀で首を跳ねる。
弱者をいたぶるナメた決闘バトルが事前に書かれていただけに、スレッタのシンプルで強烈な戦人っぷりは、スカッと心地よい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
これはクソみたいな抑圧からの脱出を望み、お人好しなド田舎小娘に邪魔/救助されたミオリネお嬢様を助ける善行でもあるので、さらに好感度は上がる。
呪われた出生と悪魔めいた愛機をもった、闘争の申し子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
結果的にはスレッタに助けられるが、ミオリネお嬢様はあくまで地力で状況を変えようともがき、力が足りない。
クソみたいな婚約者も、クズみたいな家の束縛も、ゴミめいた運命も、自分の力で跳ね返したくて暴れ、でも動いてくれない。
ここで特別な力を持つ主人公が、運命に選ばれた王子様よろしく助ける流れなわけだが、ミオリネお嬢様はお姫様役で収まる器ではなく、アタリは強いし自我は強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
おとぎ話に定められた役割と、演者の性別もキャラクター性も心地よく捻れていて、今後の展開が楽しみになる。
スレッタの圧倒的な強さが、四歳にして無垢なる殺戮者、呪われしGUND技術の申し子という烙印ゆえだということを、PROLOGUEを見た僕は知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
学園の外に広がり、軍事企業を特権階級に押し上げているだろう、ロクでもない対立。
しばらく学園ドラマをやる中で、対岸の火事になるだろう”現実”
その血で産湯を使い、殺戮の権化を家族と育ってきたスレッタは、学園のお坊ちゃんお嬢ちゃんとは異質な存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
そして”現実”が(PROLOGUEで見たように)矛盾と対立に満ちたものならば、決闘ごっこで全てが動く学園こそが異質であり、スレッタは”正常”ということになる。
奇人変人がぞろぞろ顔を見せたこのスタートから、おどおどスレッタが背負う血の匂いをどう活かし、どうお嬢様に感染させていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
運命のエンゲージを果たした赤と白の二人は、どう交わっていくのか。
なかなか気になるスタートである。カラーリングがまず良いよな、あの二人…。
作品世界のいけすかねぇ部分、全部煮固めたような濃さを誇るグエル先輩も、今後煮込んだらいい出汁出そうだし、御三家とその子どもたちもロクでもない香りプンプンだし、『これからコレでやってくぞ!』というカマしは、大変綺麗に成功したと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
いやー、マジで先が気になる。
母の残してくれた土の匂いを大事にしてるお嬢様と、母の言うことを素直に導きとするスレッタ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
ガンダムらしく、”家族”は捻れた鎖として二人の少女を取り巻いている。
顔を見せないスレッタの父は、超ろくでもない陰謀の渦中で爆殺しかかり、スレッタの決闘は期せずして、その危機を救う。
OPでの人命救助に続き、レンブランの一族を二ド助けた戦争の申し子は、今後も人助けが得意なヒーローでいられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
それとも呪われしGUND技術が本領を発揮し、まーた地獄のバースデーケーキが学園に燃え盛るのか。
PROLOGUEの残酷無惨が、見る者を安心させない時限爆弾、いい具合に仕込んでいる。
しばらくはトンチキMS決闘学園を舞台に、楽しいスクール☠デイズが展開されるのだろうが、PROLOGUEで示された社会情勢、MS技術を巡る暴力的倫理、あるいは今回描かれた企業内闘争といった”社会”は、狂った楽園と切り離されてるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
いつ、どんな風に”現実”が染み出すか。
ここへの不安と期待が開始時点から元気なのは、PROLOGUE仕事してんなぁ…って感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
あんな呪われた誕生会が起こる世界で、こんな狂った決闘学園が一生続くわけないんだよなぁ…。
破綻の予兆を孕みつつ、闘争の楽園での日々が動き出す。
白き花嫁と赤き花婿の戦いは、どこへ向かうのか。
スレッタはおどおどモードと軍人モードのギャップが心地よく、お嬢様もヒロイン立ち位置ながら一人間としての尊厳と意思を強く持っていて、W主人公を初手で好きになれたのは、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
キャラ立ってるのは偉いし強いよなー…デザインも美術も良くて、情報の圧縮率もGoodだ。
MS決闘学園のオモシロさでフックしつつ、その外に広がる”現実”にも小気味よく目配せしてて、既に立体感ある世界が見えてるのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年10月2日
焦りなく充実した話運びで、見せるべきもの、僕らが見たいものをしっかり届けてくれる。
色んな転がし方出来るスタートから、どう魅せるか。第二話が楽しみです。