ぼっち・ざ・ろっく! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
次なるステージに向けて、店長審査を乗り越えろ!! という、珍獣観察少なめ、ガチのバンド力多めでお送りするぼざろ第5話。
ワンプラのアクションディレクター、川上雄介のコンテ演出が小気味いテンポで青春をかき混ぜ、アップダウンありつつ爽やかな読後感だった。
『やっぱClover works梅原P班の始点として、ワンプラのスタッフワーク結構大事だな…』などと呪いに浸りつつ、お話のトーンは全体的に真面目で重め。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
時折奇人の奇行で換気が行われるが、結束バンド全体の現状、各員の”今”が丁寧に積み重ねられていく。
この重たい空気を、最後に”ダム”で抜く構成は神
キャラが省略作画になるくらいの位置にカメラを据えて、遠近法と画角でテンポを作りつつ転がっていく、ぼっち達の青春。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ひとり主観のモノローグが濃い目な今回、傍目から見た彼女たちがどんなか…客観性を画作りで補ってるのは面白い。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/oF3qoOpQZ2
彼女たちの立ち姿は美麗な背景の中でどこか微かに寂しげで、自分たちがどんな物語に位置しているのか、確信を持てない感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
バンドをダシにし、女の子たちのキャイキャイで現実に麻酔をかけるのか。
重くて苦い創作活動に飲み込まれながら、必死に足掻くど根性ストーリーなのか。
情景に滲むリアリズムとデフォルメは、作品全体の立ち位置を透かして不思議に心地いい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
自分たちが、どんなお話を作っているのか。
そんな批評眼が宿ってる感じがあって、このやや醒めた距離感は好きだ。
下北沢という場所、日本語ロックというジャンルに宿る透明感と、確かな屈折。
それを感じる。
紫陽花色づく梅雨の頃、ぼっちマイマイはゴミ箱の殻に閉じこもり、バイト地獄(ヘル)を回避するべく悶えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ぼっち、間違いなくイカれた限界人間なんだけども、何かと家族を大事にする描写が入るのは好感度荒稼ぎポイント。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/QOoN4fLA2T
唐突に投げ込まれる”闇金ウシジマくん”パロにビビりつつ、結束バンドは自分たちの初音を、わざわざゴミ箱の上で確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
それはぼっちが閉じ込められてる殻に、その真実を知らない(ぼっちが上手く伝えられない)仲間が近づいている証明のようにも思える。
ゴミを入れるものだから、遠ざけてしまおう
色々噛み合わない部分、通じ合わない部分もあるが、しかしそういう判断を”結束”バンドはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
アガってブルって上手く引けない穴埋めギタリストの、個性…というにはあまりにヤバすぎる人格全体を受け入れた上で、なんとか前に進もうとしている。
その気楽な優しさは、なかなか得難いと思う。
相変わらずのヤバLOVEを誇る喜多の奇行なんかで空気を抜きつつ、カメラは段々とシリアスな青春へと近寄っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
本当の夢に向かって立ち上がる虹夢を、自意識を見すぎて動けないはずのぼっちは一瞬、しかし確かに見ている。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/LA45LZC7Ic
『お前ら出さねぇ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
そう告げる姉の言葉に、虹夏ちゃんが握りしめた手のひらに宿る感情は、どんな奇行も全肯定、余裕満載のきらら菩薩には無縁のものだ。
バンドを作って、ステージに立って、バイトをしてアルバムを作って…。
その先にあるものを見据えているから、思わず障壁に力もこもる。
そういう譲れない衝動が見れて、僕は嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
奇行ぶん回す限界人間コメディが破綻しないよう、全てを受け流し受け入れ場を整える以外の役割…という言葉でまとめるには、あまりに方向性がなく役にも立たないもの。
願い、祈り、欲望。
ロックンロールを燃やすための、唯一の燃料。
そういうギト付いた、人間にあって当然のものを彼女も握りしめているのだと、この拳…にすらなりきらない小さな力みは良く語っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ここで力強く拳を握って、堂々NOと告げられない柔らかさが虹夏ちゃんの強みであり、ぼっちをすくい上げたものであり、多分一つの弱さだ。
自分を認め甘やかしてくれる、家以外の唯一の居場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
その生暖かさに甘えつつ、ぼっちはバンドリーダーが見据えているものを、ちゃんと気にしている。
結束バンドでギャーギャー騒ぐ日々は、そういう視力を自意識蝸牛人間に、既に与えてはいるのだ。
この目線は喜多ちゃんにも共通で、ぼっちを先生としてギターに励む彼女は、無邪気に自撮りしてるばかりではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
(隙あらばセルフィーキメる、喜多ちゃんの現代的陽キャっぷりが随所で切り取られているのも、今回優れたキャラ表現だった)
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/WzmSuvhCSf
彼女はぼっち本来の音を既に聴いているし、クソヤバ人間がどう音楽と向き合って、どんな音作れるかを間近に知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
そうやって自分の中にあるものと、周囲が観測しているもののズレを気にかけて、目を向ける視力が確かにある。
見えているからといって、ズレを埋めれるとも限らないけど…
しかし最終目的地も見えずただただ頑張って、気づけば埋まるものでもなかろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
虹夏ちゃんに導かれる形で、シコシコ練習を重ねる結束バンドの、長い影が伸びた陰気な肖像画。
最高に良い。
”やってる”感じがする。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/ieGK9M1Hka
この出口なき鬱屈は、具体的な目標を段階踏んでメンバーに与えられないリーダーから生まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
虹夏ちゃんは明るい。
その眩しさは細かい所にこだわれない鷹揚さから生まれていて、シコシコ技量を上げていく修練の日々に道筋を示す時、その長所は皆を迷わせてしまう。
これまでヤバ人間どものバランサーとして、作品世界を成り立たせていた虹夏ちゃんの影が、こういう形で彫り込まれていくのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
仲良くバンドをやって、楽しく演奏して、その結果何になりたいのか。
何を生み出して、誰に届けたいのか。
それを、結束バンドのリーダーは示せていない。
それが虹夏ちゃん自身にも見えていないのか、はたまた見えているけど『まだ秘密ッ!』なのかは、今後ぼっちの人生修業に重ねて描かれるところだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
このお話が面白くて優しいのは、虹夏ちゃんが押し付ける先の見えない懸命の努力が、少なくとも今回の壁には”答え”だと描いてることだ。
とにもかくにも一生懸命頑張って、必死に弾いていれば、それは伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
無邪気とも無責任とも取れる熱血青春主義は、想像より遥かにシスコンだった店長にはクリティカルだ。
そもそも厳しい試練自体が、妹のバンドを高く飛ばしてやりたい姉心から生まれた、優しい嘘だったりもする。
釈迦の手のひらに乗っかって、虹夏ちゃんと彼女のバンドはとにかくシコシコ練習を重ね、音楽に向き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
それは思いの外孤独で厳しい時間で、重苦しく暗い…ってことを、しっかり伝える絵が多かったのは今回、凄く良かったと思う。
コイツラは、ロックンロールをやる。
その手触りがあった。
悩みの中、ここまでぼっちの小さな歩みの一里塚として描かれてきた街灯には、虫が集ってノイズが乗る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
今まで通りの進み方じゃ、ちょっと乗り越えられないシリアスな重たさ。
いいよいいよで流してても、解決にはならない問題の核。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/2saGIaBPUq
そこに向き合う時、陰の少女と光の女の視線は、徹底して交わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
二つの自販機が生み出す鮮烈な光と影は、ひとりと虹夏を鮮明に塗り分け、お互いの顔が良く見えない会話を上手く刻んでいく。
結局、虹夏の夢がどこにあるのか。
情けなくて欲深い自分をさらけ出せないひとりに、その顔は見えない。
しかし…自分を受け入れ居場所をくれた少女にも、人間に当たり前の陰影が確かにあって、何かを求めて自分に手を伸ばしたのだという事は、ちゃんと聞き取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
同じものを聞き取ろうとして、虹夏ちゃんは『なぜ、お前はロックをやるのか』という、キャラと物語の中核に刺さる問を投げる。
同じ夢を本気で追うなら、ここで『モテたいからっす!』とドブゲロ根性を他人にさらけ出すトコからスタートではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
しかしそういう本音に塗れつつ、外形を糊塗して雁字搦めなのがぼっちのぼっちたる所以。
素直になるには強い必要があり、この珍獣は弱い。
弱いからこそ、強くならねばならない。
その幾歩目として、あまりにチャーミングな秘密と共に去っていく女の子を追えず、影と光の只中で立ち尽くす現状は、とても鮮明だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ぼっちがただ陰一色で塗られていないように、虹夏も(今まで包まれていたような)白々しさから抜けて、影を背負う。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/IBeZkUrnbk
光と影は入り交じらないまま、確かに二人を照らしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
この交錯から続いていく物語は、コッチが想定してたより重苦しく生臭くて…ロックンロールを選ばなきゃ突破できないような、個別の痛みに満ちているのかもしれない。
そう思えるシーンで、とても良かった。
かくして、運命のステージが始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
演奏の作画、長谷川育美の歌唱力も素晴らしいが、全体に漂う空気…ライブを通じて変化していくその感情表現が圧倒的だ。
ここまではバイトのバックヤードに身を潜め、他人の音楽を遠くで聞いてた物語。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/WTBQ4CwLJg
自分たちは歌えるんだと証明するべく座った場所に、いつも明るいリーダーの表情は硬い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
否応なく音楽が鳴り出して、イントロが終わりボーカルが強い音を腹から絞り出して、ペットボトルが揺れる。
店長の心に刺さる一発を、結束バンドが確かに出せていると解らせる、良いフェティッシュの使い方だ。
音楽はひとりのモノローグと絡み合いながら、変質の瞬間に向けて力を溜めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
自意識過剰な珍妙軟体獣としてのたくりつつ、それでも自分を受け止めてくれたこのバンド、この音楽。
そこで何をしたいか、見つけた時に強い詩が生まれる。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/n6ECG76ZkL
ぼっちが決意とともに奏でた真の自分を、下むいて責務を果たすことに必死なド素人は聞き取れず、経験値が高い先輩は顔上げて見つけれるのは、細やかな表現だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
下向きっぱなしの喜多ちゃんの、明るくはねぇ必死さが、俺はとても好きである。
大変だよね、ド素人にギターボーカル…。
『今、ここ、私達』という決意を込めたぼっちの演奏は、下を向いて弾いてた仲間の顔を上げさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ここでリョウが観客席に背中を向けて、虹夏との閉じた距離感に没頭してしまうのも、彼女のキャラクターを示していて良い。
そこが、変人…ながら譲れぬ憧れを持ち続けてる、我らがベーシストの現在地だ
仲間の顔すら見れてなかった状態から、ぼっちの音を聞いて少しは先に進んだ…と見るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
それでもまだまだ、バンドと自意識に閉じた音楽しか演れてない…と取るか。
実はそこは、あんま大事ではないと思う。
ここはあくまでテスト。
しかも合格は最初から決まっている、未来のためのデコボコな滑走路だ
どこに向かって飛ぶかなんてデカい話より、今どういう姿勢で個人とバンドが弾いているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
それを描くのが大事なタイミングで、それはしっかり示せたと思う。
”結束バンド”という御大層な名前を付けつつ、それぞれ地金も晒しきれず、見据える場所もバラバラで、マトモにケンカも出来やしない。
でも確かにシコシコ練習しまくって、自分たちなりの曲を作って、嘘のない後ろ向きな詩を引ききれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
ライブだからこそ生まれる変化を肌で感じとって、顔を上げて仲間の顔を見る事もできた。
そこから何かが始まっていくし、変わっても行くのだろう。
だから、これでいい。
これがいいのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
妹は真逆に、言葉が足らなすぎることで相手に踏み込めない店長の査定は、大体そんな感じ。
『まるできららアニメだぁ…』みたいなキラキラ達成感を、”ダム”でダイナシにしてくるのは最高の緩急。
いやー、良い最悪よ。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/zAjE0JxGCN
つーか口ピさんが店長を見る視線、手玉に取る指先に湿度と熱が宿りすぎてて、『まさか…”ある”のかッ!?』って体温上がっちゃった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
店長は一番優しい位置から結束バンドに”現実”叩きつける立場なんで、何かとあたりが強くなりがちなのを、上手く和らげてくれてるキャラね。
ぼっちの黒部ダム大放水は、奇人観察アニメの本分を思い出させてくれる大変良い演出だったが、思わずゲロ吐くほどロックとステージ、バンドに本気な証だと思うと、綺麗なゲロだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
鼻からうどん垂らしながらマンモス西が吐き出すのと同じ、どぶ板のリアルがそこにはあるッ!(間違いなく過言)
喜多ちゃんが聞き逃し、リョウと虹夏がうっすら感じ取っているひとりの実力を、店長は正確に見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
そこへの歩み寄り方が不器用なのは…まぁしょうがねぇ。
この人もまた、凸凹な人格を摩擦多めに他人とすり合わせるしかない、ロックな人種なのだ
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第5話より引用) pic.twitter.com/NJM9sCOOIF
シリアスな重たさがパンパンに張り詰め、青春ロケット一段目を切り離した今回、最後にぼっちのヤベーところをアバンギャルドな演出でアバレさせて、空気抜いて笑って終わるのは大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
今までのイカれたアップテンポ、奇行で笑う心地よい遠さが嘘だったわけでは、もちろん無く…
そのワイワイガヤガヤ楽しい空気も青春の1ページにして、結束バンドの愉快な日々は転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
チケットノルマは解決されていないし、店長の親心は届いていないが、転がっていってしまうのだ。
そこに、今回鳴り響いた強い音がどんな和音を奏でていくのか。
…もしかしたら、不協和音かもしれないが
そんな感じの、パワフルな勝負回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
賑やかな大暴走の奥で確かに鳴っていた、ロックと青春への本腰な姿勢が前に出てきた、
ナイーブな表現力が色んな場所で跳ねて、お話の核を適切に届けてくれた感じがあります。
このステージで聞こえた音、見えなかったもの。
それがどう活きるか…次回も楽しみ
ヨタ
しかしぼざろ本気勢は、今後各地のダムを放水タイミング見計らって聖地巡礼することになるのか……。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
変なきららアニメ!(きららアニメは大概変)
ロックに本気すぎて演奏終えたあとにゲロ吐く後藤ひとり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月5日
格闘に本気すぎて姫川努の笑みに脱糞した丹波文七。
だいたい一緒。
ぼざろ世界の観客も、ドン引きしつつ『でも、本気(リアル)だからこそああなってんじゃないか?』くらいのリアクションで逆に評価上がる。