銀河の果てからご町内まで、楽しければ何でもあり!
禁じ手なしのやりたい放題系ラブコメ、いつもよりカオスマシマシな令和うる星第19話である。
全容が描かれないのを良いことに、どんどん徒歩で行ける異世界として異様な施設が増えていく面堂邸と、後にラブコメ定番となる変則飲酒回で、ゴリッゴリに押し込んできた。
キャラの追加も落ち着いて、どんどんタガが外れて騒がしくなっていく物語の魅力的な野放図を、原液で味わうようなエピソードだったな……。
楽しいけど疲れる、疲れるけど楽しい。
”うる星やつら”だなぁ……。
というわけで第1エピソードは面堂終太郎の奇妙な愛情を描く、極寒から密林まで何でもござれ、暴力特異点と化した面堂亭が舞台である。
『冷静で嫌味なライバル』という初期属性が剥がれていくにつれ、クラスには馴染み金持ち要素は暴走を始める、そんな面堂終太郎の現在地として、今回描かれる2つのエピソードはなかなか良かったと思う。
時折異様な育成環境を反映してぶっ飛んだことをするけども、基本的にはノリよく一般高校生のおバカに付き合い、あたるとも良い呼吸の漫才楽しんでいる姿を見ると、なんか妙にホッコリする。
タコをペットにし、あまつさえ常温だと巨大化ぶっこむ生態もするっとスルーして大惨事。
天然ボケで周囲を引っ掻き回すだけで終わらず、最後はギュウギュウに絞られてギャフンと終わるのは、この話らしいバランスだよなー、と思う。
賑やかさにブレーキかけないために色んな最低が暴れるモンドな味が濃いんだけども、制裁も容赦なく平等なので、妙にスカッと見れてしまう……というか。
そこら辺のバランス感覚が極限まで行くのが、躊躇いなく幼児に擬似飲酒敢行な第2エピソード。
タイトルからして全力で”酔っ払い”なので、宇宙人の特異体質ってぇのは文字通り建付けた言い訳でしかないのだが、こういうメチャクチャなのが見たいんだからしょうがなかろう。
酔ってるテンちゃんは可愛いしなッ!
酔ったラムがダーリン専用無差別暴力装置になるところは、『まぁそうだよね……』って納得が強く、むしろ既定路線って感じもある。
今見るとホント病んでるよなぁ、あの国民的ヒロイン……鬼娘なんだから愛が深くて歪なのは当然で、そこが良いんだけどさ。
話は宇宙人二人で収まらず、風紀紊乱を危険視した教師の強権やら、それに反発する生徒との勝負とか、可愛いジョーカー錯乱坊のリアル酒瓶投入とか、梅干しで暴力のタガが外れた友引高校は、一切ブレーキを踏まず混沌の色を増していくのだった。
ここで裸踊りに剥かれようとしてる面堂くんが、すーっかり庶民のおバカ時空に馴染んだ顔をしていて、やっぱり不思議とほっこりする。
ライバルといえども仲良く楽しく、ワーワー騒ぎながら一緒に奇妙な祭りに興じている感じが、底抜けのカオスを安心して見られる足場なのかもね。
このオチがつかない永遠の狂騒が、ヤリすぎ感を強めていった先にどんなトコまでたどり着くのか。
この騒々しさ以外の音色を、どんなエピソードを選びどう描くかで、令和新たに奏でていくか。
次回の”うる星やつら”も、大変楽しみです。