”母の日”は女親だけに感謝する日ではないッ!
猫屋敷サーガも一段落、プリキュアの秘密を知ったまゆちゃんに自分たちがどういう仕事をしているのか、バックヤードの管理人との交流を深めてもらおうという、わんぷり第15話である。
久々に話しのトーンが変わって新鮮だし、メェメェとニコガーデンにフォーカスしたお話も見たかったしで、なかなかいいタイミングで気持ちの良い脇道に逸れたな……という感じのお話。
生真面目野郎がワリを食う話の作りは、下がった対象年齢ゆえかメェメェというキャラの性格ゆえか、判断がちょっと難しいところもあるが、人間サイドの生真面目担当・悟くんがキメて欲しいところにビシッとキメてくれて、爽やかな後味で終わってもくれた。
つーかキラリンアニマルどもは、親身に世話を焼いてくれる口うるさい大人をナメすぎ。
お話としては非常にゆったりした、いつも以上にわんぷりなテンポのお話で、絶滅動物すら自由に野をかけまくる旅行カバンの中の楽土を、メェメェの職場見学などしながら探検する感じ。
日々プリキュアとして頑張っていることが、どういう結果を生み出しているのか。
自分の目でヒーロー活動の生家を確認する意味でも、程よいファンタジーに満ちた不思議の国を旅する話としても、いい感じにワクワクするお話だったと思う。
楽園の管理人であるメェメェが相当額に汗水しながら頑張っていることが伝わり、人間サイドに顔出さない苦労人の奮戦を見れたのは、やっぱ良かった。
ここらへんはコミカルなテイストを残しつつ、ガルガルとのバトルの決定打をメェメェが担当して、エピソードの主役に相応しい活躍をしっかり見せたのと合わせて、彼のことを好きになれる良い描写だったと思う。
あくまでトホホな笑える苦労人ポジションで通したのは、毎回活躍するわけには行かないサブキャラの立ち位置と納得するとして、そういう頑張りと空回りをしっかり悟くんが見逃さず、敬意と感謝を形にしてくれたのが良かった。
キラリンアニマルどもも、自分たちをガルガルの呪いから解き放ってくれたプリキュアに感謝を示す良い子ではあって、メェメェ持ち前の生真面目とすれ違う結果になっただけ……つうには、クソガキ感がはみ出してて逆に可愛げあったけども。
現世の動物枠はこむぎとユキで埋まっている関係上、マスコットを画面に置かないわんぷりにおいて、あの幼い好き勝手絶頂はなんか懐かしいものが蘇ってきた感じがあったなぁ……。
猫以外に友達がいない内気な少女の変遷としても、街に隠された秘密の戦いを全く知らないところから始まった現代伝奇としても、今回で猫屋敷まゆの話が一段落ついた感じはある。
心配するユキを置き去りに、新しい友達と不思議の国へと歩き出し、危なっかしい手つきで見知らぬ事に挑戦している彼女の”今”が眩しく見えるのは、ここまで15話ガッチリ話数使って、気弱少女の一歩ずつをちゃんと見てきた結果だと思う。
喋るモフモフとワンダーランドを駆け回り、色々頑張っているまゆちゃんはとても健やかで楽しそうに見えて、そうなる手助けを色んな人がしてきたから”今”があるのだなぁと、なんだか凄く感慨深かった。
しっかし何かとやる気を空回りさせ、いらん事しまくるヤベー奴でもあって、後出しであんだけユキが心配している理由が視聴者にも開示されていくの、こっから続いていく猫屋敷サーが後半にも、効いてきそうな描写だったな……。
僕はまゆちゃんを主役に据えた、現代伝奇としての”わんだふるぷりきゅあ!”が結構好きで。
獣をベースにした怪物が暴れまわる非日常を、全く知らない存在として始まり、美しすぎる雪色の少女戦士に魂を奪われ、ビビったり踏み込んだりしながら遂に友達の秘密を知った後の、変貌した猫屋敷まゆの日常。
それがキラキラとワクワクに満ちた楽しいものだと、今回楽しく描いたのは凄く好きだ。
いろはちゃんは異世界適応能力が高めだったのでスルリと受け入れたものを、まゆちゃんは結構戸惑いつつもワタワタ頑張って向き合っていて、その態度がとても”今”の彼女……彼女の”今”っぽくて、とても眩しかった。
こうして変化していく内気少女の世界と歩調を合わせ、欠点も多い普通の女の子が友達を増やし新しい経験をして、どんどん自分を育んでいく様子を見れるのは、やっぱ一年アニメの醍醐味かと思う。
とくにわんぷりはここら辺、メチャクチャじっくり時間作ってコトコト煮込んで独自の食感なので、ある意味猫屋敷まゆは一番わんぷりっぽいキャラだなーって感じだ。
というわけで、新しい仲間を加えたプリキュアチームの楽しい一日を、弾むように描くエピソードでした。
明らかに男性としてのアイデンティティをもってるメェメェに、ありがとうを伝えるお話が”母の日”にやってるの、偶然かもしれないけどプリキュアが何を見据えて話作ってるのか感じられて、凄く好きだ。
ここ最近感じられなかったファンタジックな味付けも濃く、大変に楽しめました。
次回も楽しみ!