イマワノキワ

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空色ユーティリティ:第1話『スペシャルな出会い Special Encounters』感想ツイートまとめ

 空色ユーティリティ 第1話を見る。

 21年に短編が放送されたYostar Pictures初のオリジナル作品が、満を持してのクールアニメ化。
 ぶっちゃけちょっと不安だったが、蓋を開けてみると勘所をしっかり押さえ硬軟取り混ぜた作りで、今後の視聴が楽しみになる作りだった。
 ややスタンダードすぎるきらいもあるが、「特別を求める女の子がゴルフと出会う」という第1話に必要なものを、ちゃんと揃えて挨拶してくれるスタートで、なかなか良かった。
 ゴルフド素人の青波と、気さくな経験者遥お姉さんの2歳差な距離感がかなり良く、ゴルフと一緒に大事な女(ひと)と出会ってしまった運命感が、爽やかで良い。

 石浜真史テイストを濃く感じる、ハイセンスでノリノリなOPでしっかりエンジンをかけて、ダメダメ平凡少女がゴルフに出会うまでの悪戦苦闘と、出会ってから感じた目に見えない”何か”を確かに掴んだ感じを、丁寧にドライヴさせてくれた感じ。
 やや自意識暴走させがちな青波ちゃんは崩し絵も可愛らしく、ベタな自分探し物語から力みを上手く抜いて、程よくコミカルな…しかし崩しすぎてグズグズにはならない良いラインを、精妙に描いていた。
 この”ちょうど良さ”は作画から画面構成、音楽から芝居まで作品の全領域に渡っていて、そこがこのアニメの特色であり強み…になっていくのかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

画像は”空色ユーティリティ”第1話より引用

 作品を貫通するモチーフとして、タイトルにもある”空色”が重要なモチーフになっていくことを、第1話からしっかり示してくれたのも良かった。
 ゴルフという競技に向き合う時、スイングに従って必ず上がる顔、その先にある風景。
 青い空とそこにある光は、青波が出会ったゴルフにつきものの日常であり具象であると同時に、自分の平凡で灰色な未来を照らしてくれるかもしれない、特別さの象徴でもある。
 ここら辺の見せ方が、光と影と風の使い方が、真っ向勝負の素直さで気持ちよかった。
 ”ゴルフ”と遥はこのアニメにおいて、そういう特別さを青波につれてきてくれる存在なのだ。

 ゴルフ以外にゃな~んにもハマらない、根っからのダメダメちゃんな青波の性根は思いの外暗く、ほっておけばすぐ暗い場所に沈み込んでしまう。
 しかし優しく自分の可能性を信じて、ゴルフなら特別と出会えるかもしれないと告げてくれる遥の言葉によって、顔を上げて光に向き合う。
 ここら辺の心理的変化、出会いに伴う世界と自分の照らされ方を描くやり方が、凄くスタンダードかつ真っ直ぐ力強くて、テーマカラーに選んだ”青”に相応しい爽やかさがあった。
 こんだけ衒いなく、ベタ足の演出をしっかり入れ込んでくる作品と久々に出会った感じがして、でもフレッシュで独特な匂いもちゃんとしてるの、個人的にはかなり面白い。

 僕は誰も投げてない変化球を放り投げて、誰のストライクゾーンにも入らないヒネた作品よりも、どっしり構えて真っ直ぐ投げ込んでくるお話の方が期待とプライドを感じるので、この第1話で”空色ユーティリティ”が見せた素直な良さには、かなり好感を得た。
 程よくダメダメで程よく前向きで、たっぷりかわいい青波の主人公力と合わせて、今後いい感じに跳ねてくれそうな気配をしっかり漂わせてくれた。

 

 クラブを握ってボールを打つ、ゴルフの一番プリミティブな面白さがどんなものなのか、遥のセリフと手にクローズアップした演出でもって、どうにか削り出そうと努力してくれていたのも良い。
 アニメって絵空事だから、身体競技に伴うフィジカルな質感ってなかなた伝わらないわけだけども。
 勝った負けたの盛り上がりなし、出会いと練習だけで転がっていく第一話の中で、ゴルフの一番シンプルで楽しい”手応え”を真ん中に据えて、ド素人がそれに染まっていく様子を大事に描いていったのは、かなり好きな筆だ。
 その過程で青波がどんな女の子なのか、”ゴルフ”に何を期待しているのか、”ゴルフ”はそれにどう応えてくれるかが、その全部と初めて出会う僕らに見えてくる。
 アニメの第一話が、視聴者とどういう出会い方をするのか、良く考え誠実に作り込んでくれたスタートだなと思う。

 同時に今回かなり文字言語多めに削り出した”ゴルフ”の快楽を、絵と音と動きで一切の説明無し、人間の脳髄の奥に滑り込ませて体感させれるのが、アニメ独自の強みでもある。
 ここら辺は青波がもっとゴルフに親しんで、競技に向き合う足腰が整ってから叩きつけられる感じかなぁ…とも思うが、右も左もわからねぇド素人だからこそ感じ取れる、一番原始的な面白さの掘り下げを丁寧にやったのは、やっぱ好きだ。
 そういう出会いがあってこそ、作品のテーマに選ばれた競技に夢中になるんだろうしね。
 特別を外側から借り受けようとする、青波のありふれた俗物っぷりが、逆にこのプリミティブな喜びを際立たせてる感じもあった。

 

 

 

 

画像は”空色ユーティリティ”第1話より引用

 青波が表情コロコロ変わる可愛い子なのは大変いい感じで、目ん玉しいたけにしたりニヒヒと笑ったり、人生初コースに吹く風に何かを感じ取ったり、素晴らしくチャーミングな百面相だ。
 元気に色んなところに弾んでいく、主人公らしいエネルギーはつまり落ち着きがないってことでもあり、ここを補うように遥お姉さんがどっしりした安定感でもって、ド素人に優しく向き合っていたのも良かった。
 ベタついた湿度と近さを遠ざけて、作品のカラーに合った爽やかな間合いでもって、危なっかしい末っ子を優しく見守る立ち位置に経験者がいるの、収まりがすごく良い。

 青波を共感しやすい主人公足らしめている凡人っぷりを保つためには、遥お姉さんがゴルフとなったらブレーキを踏まない強引人間で、ダルい練習すっ飛ばして一気にホールまで連れて行ってくれる牽引役を、担当する必要もあろう。
 ゴルフという競技、遥という人間に出会ってしまった青波が感じた、未だ名前をつけられない空の青、眩しい光、爽やかな風。
 ここを第一話丁寧に編み上げた上で、コミカルな強引さで”ゴルフ”の新しい顔が見えるだろうコースに投げ込む展開は、なかなか良いヒキだった。
 何事も加速を続けるこの時代、こんぐらいのBPMで回していかなきゃ追いついていけないのだろうなぁ…。

 

 導かれ支えられつつも風通しが良い、青波と遥お姉さんの距離感が心地よいエピソードだったけども、ここら辺は遥に全部を任せきらず、ベテラン声優陣が嬉しい三爺を活かした結果なのかもしれない。
 部活じゃなくて学外のコミュニティを舞台とし、女たちの外側に元気な爺さん達を配置して、ベッタリ閉じた空気感から距離を取る。
 ”青”を印象的に使ってのこの雰囲気づくりは、基本晴天・屋外でやるスポーツである”ゴルフ”と噛み合って、既に独自のグルーヴを生み出している気もした。
 この爽快感は作品独自の魅力になりうると思うので、今後も大事にして欲しい。

 この落ち着いて爽やかな第一話、「常識をぶっ飛ばしたスーパーショットをぶち込み、勝ち負けに燃えるのとは違う方向に、作品が進んでいきますよ…」という挨拶とも取れる。
 それはそれで一つの選択であり、特別を追い求めるダメダメ少女が、ゴルフという競技を通じて自分の中に、誰かとの絆に、自分だけの答えるを見つける物語も面白そうだ。

 

 そんな青春ど真ん中を、”ゴルフ”と一緒に駆けていってくれそうな期待感、信頼感を、ちゃんと手渡してくれるスタートでとても良かったです。
 スタンダードであるがゆえの靭やかさを、今後活かして物語が進んでいってくれたら良いな…と思いつつ、次回を楽しみに待ちます!