イマワノキワ

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天穂のサクナヒメ:第1話『頂の世のサクナヒメ』感想ツイートまとめ

 天穂のサクナヒメ 第1話を見る。

 早稲豊かに実りし秋津島、カミとヒトが交わりて暮らす極めて日本的な在り方を、ポップ&ファンタジックに語り直しすゲーム原作のアニメ。
 両親を失い、わがまま放題の穀潰しと育った貴種が蛮地に配流され、農耕と開墾と闘争の物語が始まるまでを、丁寧に追いかける第1話となった。
 当方ゲーム未体験、扱ってるテーマにはバリバリ興味あり人間…大変面白かったです!
 頂の世と麓の世、徴租を受け取る神/貴族と土に塗れ上に苦しむ人間/農民に分割された世界を上手く戯画化しつつ、貴種流離譚のど真ん中へ力強く踏み込んできた。
 ココロワヒメからは重い湿気が香るし…良いよコレッ!

 

 頭身低めのコロコロ可愛いデザインが、元気に頂の世を駆け巡る元気の良さが、まず大変素晴らしかった。
 物語が本格的に動き出すまでのエピローグ、バトルも農業もメインディッシュはまだまだなわけだが、羽衣を使ったジップラインアクションなんかも良い作画で暴れて、画面が停滞していないのが良かった。
 今後運命共同体になっていくだろう、神域侵犯の大罪人どもには子どもが多く、ひこばえの芽が荒れ地にすくすく伸びるように、若い力が何かを為していく物語なんだと思う。
 なので、飛んだり跳ねたり走ったりが第1話から元気なのは、アクションが物語の足元をしっかり支えてくれてる感じがあって良かった。

 絹織の衣も麗しい、貴種住まう頂の世は天に浮いて土がなく、つまり稲が根を張って育つことの出来ないクニである。
 人知を超えた力を持ちヒトに恩寵をしろしめすカミの、妙に人間臭い偉ぶりが、彼らの領土に物理的に示されているのは興味深かった。
 社会の下層からコメを献上されることでしか、富を得ることが出来ない頂の世は、描かれているほどに往生楽土ではないのだろうし、その実態に追放されしサクナヒメは、手を泥に汚して飛び込んでいくこととなる。
 一瞬の架け橋がなければ往来も叶わない、傲慢な貴族の領土と悲惨な農民の土地、両方の意味を知ることで、サクナヒメも幼い自分を鍛えていくのだろう。

 彼女の不在なる両親が、かつて成し遂げた偉業が示すように、カミの立場に甘んじず土に手を汚し、額に汗して糧を得るヒトの苦しみと喜びを、サクナヒメは今後学ばなければいけない。
 生粋の貴種である彼女が、分断された社会のウエとシモを学ぶことで、本来あるべきカミの統治が回復され、世の中はあるべきバランスを取り戻していく。
 サクナヒメ個人の成長が、世界全体の調和と進歩を支えていくのだ。
 こういう極めてオーソドックスで、力強い神話的ジュブナイルの構造が、第1話から既に見えているのは大変いい感じだ。
 物語の進展を通じて己と世界を学ぶ話なので、そらー初期状態は伸びしろしかない最悪のクソガキだよなぁ!

 

 サクナヒメがクソガキな要因の一つは、恋しき父母の不在にあるわけだが、流刑地たるヒノエ島が彼らが行方をくらました場所でもあるというのが、なかなかに上手い。
 土を耕し鬼と戦う、神話級屯田兵として今後島に生きていくサクナの冒険は、自然父母の真実を探すルーツ探求の物語と、その愛を取り戻す家族再生のお話と重なっていくのだろう。
 武神たる父、豊穣神たる母の血を継いだ存在として、自分がどうあるべきかを学ぶ教材として、耕し戦う屯田兵の立場は大変しっくり来てるし、これが農耕バトルアクションという原作ゲームのジャンル…あるいは遊び方、面白さとリンクしているのも、なかなかに力強い。

 貴族の地位に甘んじ汚れを知らぬ繊手を、サクナヒメは今後血と土に染めながら、ヒトと肩を並べて生きていくこととなる。
 何しろ向き合うべきは人の営みの根本たる”農業”なので、一筋縄ではいかないだろうが、しかしその辛苦が失われた彼女のルーツを教え、クソガキの根性を鍛え直し、生きることの意味を新たにしていくはずだ。
 そこん所の実際の手応えは、ヒノエ島に実際足を運び具体的な描写が出てきてからだが…今回示された頂の世の在り方は、争いにも農耕にも縁遠いからこそ、不思議な期待感を高めてくれていた。
 貴族の高御座でノンキしてた時には見えなかったものが、苦労も喜び多い地上では、良く見えるのだろう。

 

 そんなバラガキの親友ッ面してるココロワヒメは、この旅の意味を改めてサクナヒメに告げつつ、一旦天地に別れることになった。
 『コイツ…ぜってー重い…』と、心地よい友情描写のはしはしから感じさせるなかなかいい感じの幼馴染枠だが、さてどんくらいの湿度と重力を宿しているのか。
 しばらくヒノエ島での悪戦苦闘が続くだろうが、人間世界の荒波が収まったあたりでカミとの繋がりを思い出し、もう一度彼女が顔を出すときが楽しみである。
 縁の深い相手を上つ方に残しておかないと、頂の世で起こる事件も描写しにくいし、麓の世での変化が社会の上層にどういう変化をもたらすのか、刻みにくいもんな…残したのは正着であろう。

 今後サクナヒメと生活を共にし、今は蔑んでるヒト≒下民がどんだけの苦しみを背負い、必死に生きてるかを教える役を担うだろう有象無象は…正直良くわっかんね!
 この横展開の弱さは、メチャクチャ主役一本に絞った、骨の太い第1話を繰り出してきたのと表裏一体だけども、『お話の中でこういう仕事します!』つうのは輪郭がちゃんと見えたので、この段階ではこれで良いんだと思う。
 盗賊に成り下がった元侍に、食い詰めたクソガキが三匹。
 いかにも中世っぽい座組だが、宣教師っぽい女性がいるのが特異で面白い。
 全力で神道ジャパンな作品に、外部の価値観を背負ったキャラがいることで、どういう化学反応が生まれるのか楽しみだ。

 

 土を耕し稲を植え、水を治めて虫を払い、苦労に苦労を重ねて稲穂を実らす。
 農耕をクニの基礎としてきた日本の、高貴でありながら身近なはずのカミの姿を、新たな装いで描く気概がしっかりと感じられる、とても良い第一話でした。
 今のサクナがどんだけ高貴でも身近でもないか、親の遺産にあぐらをかいて大失態をやらかす様子から、ちゃんと見て取れたのが良い。
 そういう欠落を今後、蔑んでいるヒトと家族同然に暮らす中で、一個一個埋めていく話になるんだろうしね。
 やっぱそういう、発見と再生のダイナミズムが物語の根っこにちゃんとあって、『稲を育む』というメインテーマにしっかり重なってるの、話の骨が太いわ。

 流刑地たるヒノエ島は陰の気のこごる悪しき地であり、武神の裔たるサクナヒメが剣をもって、平定するべき戦場にもなるようだ。
 光り輝く生へと人間を進める農耕と、暗い死を遠ざけ守るべきを守る戦闘。
 どちらも頂の世においては縁遠いものだったが、地上へ落とされた貴種は否応なく、そんな人間の本質に体ごとぶつかっていくことになるのだろう。

 

 耕し食って、戦い守る。
 人間が生きる根っこを、どうアニメに仕上げていくかを楽しみにしつつ、次回の放送を待つ。
 ふーむ…噂には聞いていたが、こらー良く出来たお話だわ。
 面白かったです、次回も楽しみッ!